詠里庵ぶろぐ

詠里庵

今週の一曲

2006-07-30 08:06:28 | 詠里庵・新着案内
を更新しました。元ページはここ。直接聴きたい場合はこれをクリック。数年前の7月、この曲の題名になる地での国際会議に出張しました。なんでまたそんなところでと思うかもしれませんが、大体国際会議というのは超便利なところかこういうところかのどちらかです。その地は曲を通じて持っていたイメージピッタリのところもありましたが、意外なところもありました。

先週の一曲はサン=サーンス「動物の謝肉祭」より「水族館」でした。2台のピアノは原曲と同じですが、あとは口笛、水入りコップ音階、ストローの泡音、ピアノの内部奏法などを含め編曲しました。1975年、重ね録音用のテープデッキで4回重ね録音録音しました。自分で調律したあと、アップライトピアノの前面を閉じる前に、解剖されたままの状態でそのまま内部奏法をやったので便利でした。音楽の雰囲気と録音現場の情景にはかなりギャップがあります。

「動物の謝肉祭」は即席でかき集めた音楽仲間のために書いた組曲です。だから楽器編成が奇妙なのです。またこの曲は非常に皮肉に富んでいて、自分の交響曲第三番のメロディーをとてつもなく急速な音型にした「らば」とか、急速なオッフェンバックの「天国と地獄」をものすごく遅くした「亀」とか、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」の中の「妖精の踊り」とメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の「スケルツォ」などの高音旋律をコントラバスにやらせる「象」とか、自作の「死の舞踏」からとった「化石」などがあります。サン=サーンスは「精魂込めた交響曲第三番を自分の代表作と思っているのになぜか人気がなく、軽く作曲した『死の舞踏』なんかの方がなんで受けるのだ!?」という気持ちだったようです。現代ではちゃんと人気は逆転していると思いますが。

水族館といえばアメリカではボルチモア水族館(1981年開館の米国立)が有名です。大阪の海遊館(1990年開館の私企業)も大規模で似ています。前者の方が多少学術的な感じがしました。両方とも昔ながらの水族館と違って大スペクタクル感があり、お薦めです。それにしても水族館って最近は若いカップルも多いんですね。デートコースなんでしょうか。私は本物の水族館=海もなかなか好きです。最近は海水浴に行っていませんが、日本でも岩場で素潜りすると熱帯のようないろいろな生き物が目の前で楽しめます。
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久々に科学の間

2006-07-27 04:37:32 | 詠里庵・新着案内
を更新。サイエンスエッセイに「オイラー数(その2)」を掲載しました。元ページはここ。直接読みたい場合はこれをクリック
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水面に

2006-07-25 21:54:49 | サイエンス
自在に絵・文字を波立たせて見せる技術が開発されたそうです。ちょっとこの写真を見てください。見ただけで「そうかー」と思わせるコロンブスの卵的アイデアですね。任意の図形を2次元Bessel直交関数系(ティンパニの固有振動波動関数の系)で展開し、それぞれの振幅に応じた波動を励起する振動を、円周上に密に配置した振動子に与えてやればいいわけです。

余計なことですが、この円の外に放出されている波は、円の中の図形情報を相補的に持っているんでしょうね。外でそれを全部測れば中の図形情報をreconstructionできるのでしょう。どうも量子情報の研究をしていると、どこかに何かを形成したらそのおつりを別の場所に持って行くか環境に捨てなければならない、と考えてしまいます。ゴミ処理問題と通ずるものがあります。
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今週の一曲

2006-07-23 09:09:45 | 詠里庵・新着案内
を更新しました。元ページはここ。直接聴きたい場合はこれをクリック

先週の一曲はバッハ「フランス組曲第5番」よりガヴォットでした。ソプラノブロックフレーテ3本用に編曲しました。1973年、重ね録音用でない通常のテープデッキで重ね録音しました。当時フランス・ブリュッヘンのブロックフレーテが一世を風靡していて、そのすばらしさに私も影響を受けました。私が吹くと小学校のリコーダーみたいですが、一応ブロックフレーテで演奏しました。
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ロッキード事件

2006-07-21 00:19:20 | 日々のこと(一般)
新事実「英首相が直々セールス」というニュースがありました。「指定期間(30年)が経過して英政府が公開した機密文書によると、ヒース首相は首脳会談で田中首相に対し、全日空がトライスターを採用するよう求めた。田中首相は「検討中」とだけ答えたが、会談の約40日後トライスター採用を決定。英機密文書は『ヒース首相の“トップセールス”が功を奏したと強調』としている」というものです。

これは何を意味しているのでしょうね。ヒースはなぜロッキードのセールスをしたんでしょうね。「ソ連やアラブ諸国からのエネルギー資源の直接調達を進める田中の追い落としを狙った、石油メジャーとアメリカ政府の陰謀だったとする説がある」(Wikipedia)に英国も乗っていたのかもしれませんね。そもそも事件はロッキードのコーチャン副社長がチャーチ委員会で贈賄を告白したのが発端ですが、この人なぜ突然告白し始めたんだろうという感じではありました。(ライバルのダグラスの告発をかわせなかったということかもわかりませんが。) 結局コーチャンは無罪でした。また上記の内容を30年機密保持に指定したというのも微妙です。どうしてそう判断したんでしょう。ま、真相は闇の中ですが。

話は逸れて行きますが、当時オーケストラの指揮もしたヒースに比べ我らの首相のなんと教養のないことよ、という音楽評論家がいました。私は田中角栄が好きでもなんでもありませんが、これはまた実にとんちんかんな発言でした。では角栄が中国と国交を開いたときに漢詩を詠んだ(もちろん事前に準備したのでしょう)がヒースにそれができるか、と言ったら、やはりとんちんかんでしょう。それに映像見りゃヒースがオーケストラに指揮されていたのは明らかでした。
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楽譜の値段

2006-07-18 07:30:56 | 日々のこと(音楽)
というのは不思議なものです。ページ当たり(音符当たり)の値段に随分差があります。

中学も終わる頃、ピアノの師であった石渡日出夫先生に「次はガヴェールのソナチネをやりなさい」と「ヴェ」にアクセントを置いて言われ、「ガヴェール?」と聞き返すと、「ガヴェール知らない?これだよ」と言われて楽譜を出してくれました。見ると、なんだラベルのことではないか。そんな本格的なフランス語の発音勘弁してよと思いつつ、先生のお宅を出たその足で日本楽器に向かいました。さすが日本楽器、すぐ見つけましたが、値段を見て飛び上がりました。この一曲だけで650円! これがどんなに高いか、その頃食堂で数十円のラーメンが食えたといえばわかるでしょうか。あるいは、「展覧会の絵」全曲が全音楽譜で250円だったといえばいいでしょうか。

たまたま650円ほどの大金を持ち合わせてはいましたが、すんなりとは買えませんでした。いや、買うしかないのですが、別に裕福な家庭というわけでもない中学生の分際でそんな買い物していいのだろうか、と逡巡して、エイヤッと買いました。

出版社の名前は、ご存じ、Durand(デュラン)。フランスはサラベールといい、なんでこんなに高いんだろう! Petersか全音あたりが安く出してくれればいいのにと思いました。コストパフォーマンス最低の「ソナチネ」と最高の「展覧会の絵」、ボロボロになった今でも大事に持っています。

その後さらにコストパフォーマンスの悪い楽譜も見つけました。サティのグノシェンヌはもっとすごく、第1番のみ2ページで800円。さすがにこれは買わず、廉価版の(といっても決して安くありませんが)サティ集が出るまで耐えて待ちました。

今まで買った楽譜の中で最もコストパフォーマンスが悪い楽譜は何でしょうか? それはなんといってもジョン・ケージのピアノ曲(?)「4'33"」820円と「0'00"」460円です。こうなると私も意地で買ったみたいなもんです。これらの曲の何たるかは検索すればすぐわかります。一応有名曲ですが、解説するのもアホくさ。コストパフォーマンスは無限に悪いと言ってよいでしょう。大体この値段はいったいどんな根拠でつけられたんでしょう?(出版社を見ると、意外にもPeters!)
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今週の一曲

2006-07-16 09:13:53 | 詠里庵・新着案内
を更新しました。元ページはここ。直接聴きたい場合はこれをクリック

先週の一曲はシューマン「クライスレリアーナ」より第6曲でした。1975年自分調律ピアノで録音。この曲集については3つ前の7月1日のブログを参照してください。この第6曲は「きよしこの夜」に似ていると言われます。こういうとき、どちらの曲が先に作られたか、触れないわけには行かないのが研究者の性です。きよしこの夜は1818年グルーバーにより作曲され、Kreislerianaは1838年に作曲されました。シューマンが「きよしこの夜」を聴いたかは定かではありません。逆の例としては、山田耕筰の「赤とんぼ」はシューマンの「ピアノと管弦楽のための序奏と協奏的アレグロop.134」の一節に大変よく似ています。山田耕筰はドイツに留学してブルッフに習ったので、この曲を知っていた可能性もあります。これも定かではありませんが、こちらの方は酷似といってよいように思います。(その後山田耕筰はスクリャービン中期の影響を受けています。ドミナント和音の第5音を半音上げるなど)
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頭突き事件

2006-07-14 05:46:28 | 日々のこと(一般)
が収束を見ませんね。結局ジダンがイタリア語も堪能だったということですが、堪能でなければ良かったのにね。何を言われたかまだ明らかにされていませんが、よっぽど酷いことを言われたのでしょう。ある番組では「プロともなると選手同士の舌戦もプレーの内」というコメントがありましたが、あまり下品な、人格を傷つけるような舌戦では、見る方の興をそがれます。

ただ舌戦そのものはあるらしく、いつだったか野村克也が言ってましたが、キャッチャーとしてはバッターが調子狂うようなことを言って少しでも打てなくするんだということです。何を言うのかは言ってませんでしたが、想像するに「今日はダメだね、打てねえ打てねえ」とでも言うんでしょうか。いやこんなのじゃかわいらし過ぎるでしょうか。いずれにせよこれが功を奏するんだそうです。

その野村が言うには、一人、何を言っても調子を狂わせず、全く効果のなかったバッターがいたということです。その人とは・・・長嶋茂雄です。これは想像に難くありませんね。人の言うことを聞いているんだかいないんだか、全くマイペースな人のようですから。

この話を家族にしたら、「お父さんみたいだね」と思わぬ矛先が自分の方へ。「何言ってるんだ。いまスポーツの話をしているんだ」と切り返すが後の祭り。笑いに包まれて一人口をとがらせていました。

舌戦にはくれぐれもご注意を。

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ジダン

2006-07-11 23:58:17 | 日々のこと(一般)
が頭突きした場面、予約録画ビデオで生放送の直後くらいに見て、ビックリしました。ニュースのようにその場面だけでなく前から見ても、何のファウルも脈絡もなく突然振り向いてツカツカと歩み寄っていきなり頭突きですから。これはマセラッティに何か言われてカーッと来たのは間違いないですね。ジダンが悪いのは明らかですが、マセラッティにも「君はいったい何て言ったの?」と訊かざるを得ませんね。

私がちょっと興味あるのは、何語で言ったかです。我々が英語で酷い侮辱の言葉を浴びたとして、意味的に侮辱だとわかっても、カーッとなって頭突きするほど感情面まで英語がスーッと入って来ませんよね。もちろんヨーロッパの人たちは母国語以外のヨーロッパ語をいくつも話す人がたくさんいますが、そうでない人もたくさんいます。ジダンの頭突き事件で思うのは、マセラッティがフランス人を激昂させるほどフランス語に堪能だったのか、ジダンがイタリア人の挑発にその場で怒り狂うほどイタリア語が堪能だったのか。あるいは案外二人とも母国語並みに英語が堪能だったとか。

我々研究職にある者も、研究討論は英語でできても、感情をむき出しにした口ゲンカを英語でできるかというと、難しいですね。それができたら、これはもう相当英語がうまい証拠です。もっと難しいのはコメディを聞いてネイティブとともに笑い転げることですが。

それにしてもゴールシーンより頻繁に放映されるその場面を見るにつけ、さすがサッカー選手、本能的にハンドになるのを避けたのか、という感じでした。いやー傷心のジダンは後悔してもし切れないことでしょう。
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今週の一曲

2006-07-09 09:42:00 | 詠里庵・新着案内
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先週の一曲はドビュッシー「ベルガマスク組曲」より第3曲「月の光」でした。1973年録音。あまりにも有名な曲です。初期に属する「二つのアラベスク」や「夢想」と同時期の1890年の作曲ですが、ドビュッシーはベルガマスク組曲を少しずつ改訂し1905年に出版しています。「月の光」ももとは「感傷的な散歩道」でした。両方ともヴェルレーヌの詩からとられています。ドビュッシーが独自の世界を築いた後の1905年にもなっての初期作品の出版ということは、彼自身この組曲を相当気に入っていたと想われます。
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ミサイル

2006-07-06 08:07:09 | 日々のこと(一般)
の方向はアメリカ向け大圏コース(アムール川・カムチャッカ半島向き)より若干南寄りで、ロシア領空を避けたようにも見えます。テポ2が失敗だったとすると、オホーツク海峡を抜けて、アラスカに近い海あたりに着弾することを本気でねらっていたことになりますが、それだと由々しきことですね。これでアメリカを対話に引き込もうとしても逆効果なんですが、他に打つ手がないということでしょうか。

日本なんか相手にしていないんだからぎゃあぎゃあ騒ぐな、という感じもしなくもないですが、それはちょっと・・・
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今週の一曲

2006-07-01 23:59:56 | 詠里庵・新着案内
を更新しました。元ページはここ。直接聴きたい場合はこれをクリック。梅雨時より秋の夜長に聴くべき曲かもしれませんが。

先週の一曲はシューマンのクライスレリアーナより第1曲でした。自分で調律したピアノで1975年春録音しました。これも今弾くとしたらもう少し違った演奏にしたい気がします。

クライスレリアーナの解説はここをご覧ください。この曲集はショパンに献呈され、ショパンはその後「バラード第2番」をシューマンに献呈しています。どこかに書いたかもしれませんが、当時シューマンはクララとの恋をクララの父フリードリッヒ・ヴイークに猛反対されていました。その恋のさなかに書かれたこの曲について、シューマンはクララにいろいろ書き送っています。一曲ごとに対比的な性格を持つ8曲から構成され、激しい感情から柔和な調べ、それに対位法や軽やかなウィットまで含む傑作となっています。この第1曲ニ短調は激しい感情の曲で、シューマン独特のコントロールを失わんばかりの加速的曲調です。中間部はやさしい雰囲気の長調が入っています。
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