2015年の墓碑銘

2015-12-31 17:42:13 | 日々のこと(一般)
大晦日、このブログ恒例の今年の墓碑銘。主に科学と芸術関係から独断で選んでいますが、今年はそれ以外も結構多くなりました。

[1] 1月27日 チャールズ・ハード・タウンズ(Charles Hard Townes, 1915年7月28日 - 2015年1月27日、アメリカの物理学者。享年99才)
 一般にはレーザーの発明者として知られていて、そう言って構わないのですが、少し細かい話をしましょう。スピーカーにマイクを近づけるとピーッと音が出るのと同じことを電磁波でやれないかという提案を1951年に行い、数年後に実証実験したのが彼の偉大な功績です。ただしその電磁波は可視光ではなくマイクロ波でした。そこで彼はlightのLでなくmicro波のMを使ってまずMASER(メーザー)と名付けました。1960年になってメイマンという人が可視光で同じことをしてLASER(レーザー)という言葉が生まれました。今日では可視光以外の電磁波でもレーザーと呼ばれていて、メーザーという言葉は専門家でさえあまり使いません。だからレーザーの発明者(他に独立に同時に発明したロシア人二人を含め共にノーベル賞)と言って構わないわけです。

[2]2月1日 アルド・チッコリーニ(ナポリ生まれのフランスのピアニスト。享年89才)
 何でも良質の演奏でこなす人で、その分特徴をとらえて賞賛されることのない感じのピアニストですが、私は好きです。このブログ内に記事を書きましたのでご参照ください。

[3] 3月23日 リー・クアンユー(シンガポールの建国者。享年91才)
 科学でも芸術でもなく、何と政治家ですが、シンガポールの創設者で「よき」独裁者として印象的なのでとりあげました。この人についても3月に記事を書きましたのでご参照ください。ただし3月の時点で「シンガポール国立大学をかろうじて凌いでいる日本の大学は東大のみ。京大はときどき争っている」と書いたのは既に古く、今年のランキングでは東大をはるかに抜き去っています。卒業生が日本国内だけでなく世界で活躍するような教育をしないことには、この傾向は簡単には戻りませんね。

[4] 5月23日 ジョン・ナッシュ(アメリカの数学者・ノーベル経済学賞。享年86才)
ゲーム理論における「ナッシュ均衡」の発見・提案者でノーベル経済学賞受賞。実話にもとづく有名な映画「ビューティフル・マインド」の主人公だったので知る人も多いでしょう。私は脇役が気になることが多いので、この映画でもナッシュのライバルであるハンセンが割と好きです。大学の地位的には最終的にナッシュに勝ったハンセンですが、ナッシュの能力を認めていて病気のナッシュを支援する描写が(実際そういう話があったのか知りませんが)いい感じです。ナッシュについてもこのブログ内に記事を書きましたのでご参照ください。

[5] 7月5日 南部陽一郎(日系アメリカ人の物理学者。享年94才)
話題も多い有名人なのであまり説明の要はないでしょう。素粒子論の人に言わせると南部先生の貢献は並大抵ではないと言います。私の勤める大学で開かれたご本人の講演会を2年前に聴いたときお元気そうだったので、訃報は残念に思いました。

[6] 7月27日 イヴァン・モラヴェッツ(チェコのピアニスト。享年84才)
 今回とりあげるピアニストは二人ですが、その二人目です。Ivan Moravecは音が綺麗。大変なテクニックに基づく粒のクリアさが特筆です。ロマン派、近代モノを得意としますが、中でもショパンやドビュッシー、ラヴェルがいいですね。ナマで聴いてみたかったなぁ。デイリーテレグラフの訃報を挙げておきます。

[7] 8月1日 ベルナール・デスパーニャ(理論物理学者・享年93才)
 Bernard d’Espagnatはあまり知られていないかもしれない。いわゆる「量子論と実在」や「観測の理論」を手がけて来た人で、思い込みを前面に出すのではなく、理知的・客観的な語り口が印象的です。やはりデイリーテレグラフの訃報を挙げておきます。

[8] 11月30日 水木しげる(漫画家・享年93才)
 大きな話題になったので多言は無用ですが、昔漫画好きだった者として一言。テレビくんはユニークですねぇ。当時から水木しげるは顔の描き方に特徴があります。何かというと、目が顔の上の方についているのです。ねずみ男はその典型ですが、他のキャラクターもそうです。漫画はディズニー以来(劇画でなければ)目を下の方に描いて赤ん坊のような可愛さを出すのが常ですが、その逆を行っているのがオリジナリティー溢れていると思います。

[9] まだ亡くなったわけではありませんが、アーノンクールが引退を表明しました。12月7日のニュースです。古楽(ピリオド楽器を使ってバッハやそれ以前の音楽を演奏すること)への興味を抱かせてくれた指揮者です。それ以降出て来たトレヴァー・ピノックやブリュッヘンなど歯切れのいい古楽指揮者も好きですが、私にとっての古楽のスタンダードでした。このブログ内に記事を書きましたのでご参照ください。

[10]12月19日 クルト・マズア(ドイツの指揮者・享年88才)
 この指揮者のCD、あまり持っていないわりに印象に残っています。私の好きなライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団をはじめ世界の名だたる管弦楽団・交響楽団を渡り歩いているし、N響や読響も指揮していたので印象に残っているのだと思います。しかしそれより(私は知らなかったのですが)ベルリンの壁崩壊のときに暴力衝突を避けるのに尽力したことで有名なんですね。


以下、10人の選外になりますが何人か補足します。
・2月17日 横溝 亮一(よこみぞ りょういち、1931年1月3日[1] - 2015年2月17日[2])は、音楽評論家・解説者として活躍していました。
・2月27日 レナード・ニモイ(Leonard Nimoy/ˈniːmɔɪ/、本名Leonard Simon Nimoy, 1931年3月26日 - 2015年2月27日)は、アメリカの俳優。ミスター・スポックの印象が強すぎますね。
・3月8日 塩月 弥栄子(しおつき やえこ、1918年4月4日 - 2015年3月8日)は、日本の茶道家。私の年代は社会人になるとき彼女の「冠婚葬祭入門」で社会作法を勉強しました。
・5月2日 マイヤ・ミハイロヴナ・プリセツカヤ(ロシア語: Майя Михайловна Плисецкая, ラテン文字表記:Maya Mikhailovna Plisetskaya, 1925年11月20日 - 2015年5月2日)は、ロシアのバレエダンサー。この人の「瀕死の白鳥」は本当に瀕死の白鳥みたいでした。YouTubeを紹介しておきましょう。
・9月29日Phil Woods(ジャズサックス奏者・享年83才)。持っているのは1枚だけですが、これが尋常ならぬLPですね。
・10月12日 - 熊倉一雄(俳優・声優・演出家。他人にまねできない声優の女性代表が大山のぶ代とすれば、熊倉一雄は男性代表。典型例を挙げるのが困難なほどいろいろ出演していますが、ケペル先生の「ものしり博士」(NHK)といえばピンと・・・来ないかな、古すぎて。
コメント

クルト・マズア死去

2015-12-21 09:01:12 | 日々のこと(音楽)
のニュースがありました。メンデルスゾーン創設になるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団をはじめ多くの交響楽団・管弦楽団を指揮しました。
コメント

アーノンクール

2015-12-07 02:24:34 | 日々のこと(音楽)
が引退を表明というニュースが産経Slipped DiscGlobal Post、そしてなぜか台湾からのAFPにありました。ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを率い、ピリオド楽器を使ったバロック-特にバッハ-の演奏は、素朴な中に知性と情感が溢れ、同類の古楽指揮者であるレオンハルトとともに聴き惚れていました。

それにしても現時点でアーノンクール公式ページで何もないのはなぜ?(このニュースの出どころはアーノンクール自身のブログとありますが、そのブログも見つからないなぁ。)
コメント