詠里庵ぶろぐ

詠里庵

科捜研

2006-08-11 09:00:09 | サイエンス
や科学警察研究所がドラマでも拉致問題でも活躍しています。実社会に存在する研究所ですが、これらはいつ頃からあるのでしょうね? というのは、学生の頃ある教官の退官記念講義を聴いたところ、有名な社会的事件があったのですが、ちょうどその教授の専門領域での実験鑑定が必要となりそれを依頼された、という話を聞いたことがあります。世の中あまりにも次々事件が起こるので、何の事件だったか結末がどうだったか忘れましたが、その教授の出す実験結果が裁判で大きな影響を持つというのは大変なプレッシャーだったろうなと思いました。今でも拉致事件のDNA鑑定は科学警察研究所がやるだけでなく外部専門家にも依頼しているようです。技術力の問題というより中立性の問題かもしれませんが。

私はもちろんそういう鑑定を頼まれた経験はありませんが(頼まれたくはないです、正直言って)、研究しているととんでもない依頼が来ることもあります。ひとつ挙げましょう。「量子非破壊測定」というのが私の研究テーマの一つですが、これは「量子力学には不確定性原理があるにもかかわらず、対象の物理量を壊さずに測る方法がある」というものです。それを聞きつけたある会社から講演の依頼がありました。講演の依頼自体は別にどうということではありませんが、そのときは普通と違って、物理・情報処理・通信・光学などとは無関係な会社だといい、しかもその中のごく限られた部署で、「講演」と銘打ってはいますが実際は「相談」に乗ってくれといいます。何か変だなと思ったのですが、電話応対に出た人は全く朴訥そうな、真面目な話しぶりの人でした。少々話がかみあわないので、結局「私の研究のどういうところが御社の役に立つとお考えなのでしょうか?何を仕事にしている会社かをお聞かせ願えませんか」と聞いたところ、「実は、缶詰の非破壊検査をしている会社です。最新の技術を導入したいのですが、ライバル会社には知られたくないので」とのこと。

そのあともちろん、如何に私の研究がその会社の役に立たなそうかを丁寧に説明してお引き取りいただきました。
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