詠里庵ぶろぐ

詠里庵

音楽評論家の吉田秀和

2012-05-27 17:28:18 | 日々のこと(音楽)
が22日死去したというニュース。

一番の名セリフは、初来日のホロヴィッツの演奏会を受けたテレビのインタビューで「まあ、ひびの入った骨董品だなぁ」と言っていました。それを聞いたホロヴィッツが「日本人の中で本当のことを言ったのはあのじいさんだけだ」と言ったそうな。

音楽評論家よりは演奏家や作曲家の方が上、と、どうしても思ってしまう私ですが、吉田秀和、小林秀雄、山根銀二あたりになると比肩し得るように思われます。その中でも吉田秀和の評論はすべての思い込みから自由であるように思われました。
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ヘルベルト・ブロムシュテット

2012-05-26 02:47:51 | 日々のこと(音楽)
がバンベルク交響楽団を率いて秋に来日するようです。それに向けてのインタビューがアップされています。8分ほどかかりますが面白いのでお勧め。

ピアノ以外のクラシック音楽を本格的に聴くようになったきっかけがヨーゼフ・カイルベルト率いるバンベルク交響楽団のドヴォルジャークやブラームスでした。今から思えば小さい白黒テレビの映像と約10cm径ひとつのスピーカーから聞こえるモノラル音響は、記憶の中では広大な宇宙と化しています。バンベルクは昔の雰囲気を残している点と半日程度で旧市街を歩いて回れることから川越市と比較できる市だと思いますが、どうしてこんな交響楽団を擁していられるのだろうという規模の街です。そのことはインタビューの中でも触れられていました。カイルベルトの名前も出て来て、感激。

それにしてもYouTubeって何なんでしょう。ブロムシュテットの指揮でいろいろな音楽が映像とともに聴けます。ナゾ。
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Dietrich Fischer-Dieskau

2012-05-22 08:28:50 | 日々のこと(音楽)
が5月18日に亡くなったニュースがありました。享年86才。ヘルマン・プライと並んでドイツの2大バリトンでした。プライには人間ドラマを、ディースカウには神様の慈悲深さのような包容力を感じます。LPレコードでしか知りませんが、やはりディースカウの歌うシューベルトやヴォルフ、フォーレのレクイエムには動かされます。冬の旅など至高ですね。プライの冬の旅は当の若者が歌っている感じですが、ディースカウのは年を重ねた男が若き日を歌っているかのような感じがします。
コメント (2)
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大学教員はもっとヒマに

2012-05-12 01:32:58 | サイエンス
してあげなければならない、と、とある二つの研究会をハシゴして会った他大学の知人達や科学ジャーナリスト達と意気投合しました。

「何を言っているのだ。大学教員こそ一番自由じゃないか。もっと真面目にやってもらわなければ」という声が聞こえてきそうです。

いや、違います。その研究会でつくづく思ったのですが、世の中、年を重ねても100%研究に打ち込んでいる人がいます。そういう人は、その年でも若い人達に必ず刺激を与え続けている・・・とは限りませんが、逆は真なり(つまり年を重ねても若い人達に刺激を与え続けている人は、だいたい研究管理や研究行政を避けてほぼ100%研究している)と思います。

科学ジャーナリストさんも言います。「最近大学教員の人達はみんな忙殺されている。ウィークデーの日中連絡をとろうとしても会議だの面会中だのでつかまえられない。夜とかウェークエンドしか話せない。昔はこんなことはなかった」といいます。ああやっぱりほかの教員達も同じなんだ、と思いました。

いやほんと、真面目な話、未来が心配になります。研究行政やadministrationの人達は「教員は無限の時間を持っている」と思っているのではないかと思うほど次々といろいろなことを言って来ます。それもいつの間にかメールで。イギリスにいた若い頃「Phys. Rev. Bの厚みが年々加速度的に増している。単純に外挿すると、いずれ図書館に溜まる同誌の増加は光速度を超えてしまう。しかしそれは物理に反しない。最近のPhys. Rev. Bは情報量ゼロだから」という笑い話がありました。この話じゃないけれど、メールが溜まる速度が異常に速くて、あっという間に画面から上に消え去って行く。こんな状況で「送りましたよッ」と言われても辛いなあ。

(なんか似たような話を前に書いたような気もする)
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外村彰さん

2012-05-03 00:29:36 | サイエンス
が2日未明亡くなりました。享年70歳。アハラノフ=ボーム効果の実証実験をはじめとする、自ら開発した電子顕微鏡を用いた数々の実験は、科学者のみならず多くの人を魅了しました。とてつもない成果のみならず氏の科学に対する真摯な有りようは、科学に携わる者をどれだけ勇気づけたかわかりません。
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