詠里庵ぶろぐ

詠里庵

一昨日まで文科省系の

2006-08-22 02:02:52 | サイエンス
とあるサマーセミナーで3日間の集中講義をしていました。2時間ずつ3回という短時間なので、また聴講する院生も少々広い分野から来ているので、自分の大学で行う講義ほど詳しい話はできません。それでも、出てくる質問にはいつも感心します。実際学生の質問によってこちらが磨かれる、とよく言われますが、それは本当ですね。質問でなく単なる感想であっても、実に参考になります。

その感想ですが、まじめな感想に混じって奇想天外なものもあります。本人達は別に奇をてらっているわけではなくごく自然に言っているようなのですが、それが一層新鮮さを引き立てます。

講義では量子力学と情報理論が結びついて生まれた新奇な研究分野の話をしたのですが、導入として、量子力学を信じる必要は本当にあるのか?徹底的に古典論に固執したとして、それでは絶対信じられない現象というのはあるのか?それがあったとして、古典論でも量子論でもない理論で説明することもできないのかという話から始めました。答を言っておきますと、そういう現象は実は珍しいけどあって、それは実際に実験されており、したがって古典論は本当に捨てなければなりません。しかし新たな理論としていわゆる正当派量子論以外も可能です。ただ、最も使いやすい正当派量子力学が普及しているだけです。教科書はまず学び、しかしそれには常に疑いを留保した上で、学んだ技術を使うことが肝要です。

次はそれを聴いた院生の感想です。

「量子力学を初めて習ったときは、バーでお酒を呑む経験を初めてしたみたいな、子供の世界を卒業した気分だったけど、今回の話はさらにきわどい話というか、冒険しないとわからない世界、裏の世界をかいま見たような感じですね。何か女の人がはべるクラブに足を踏み入れた、てゆーか」
コメント
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