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詠里庵ぶろぐ

詠里庵

部屋を整理してたら昔の

2006-10-25 04:51:41 | サイエンス
写真が出てきました。よく顔や体型が変わったので別人みたいに思われることがありますね。変わったのが顔なのか体型なのかは想像にお任せするとして、あるときそう言われて「そりゃ別人だよ。新陳代謝があるから7年も経てば体の物質はすっかり入れ替わるんだから」と言い訳したことがあります。どこで読んだか忘れましたが、7年で総入れ替えになるという説を聞いたことがあります。もちろん短時間で入れ替わる皮膚や爪もあれば時間のかかる部位もありますが。ま、こんな言い訳が成り立つなら、昔の悪事に「それをやったのは私ではない。7年前の別の物体がやったんだ」と開き直ることも出来てしまいますが。

7年で「入れ替わってしまう」というのはどうやって推定するのでしょう。「電子や同種原子が入れ替わったかどうかは、量子力学的には意味がない」などと突っぱねることはしないとして、多分若い細胞が生まれてから死滅して排泄のコンベアに載せられるまでの時間のことなのでしょう。その「時定数」をきちんと測定するにはどうするのでしょうね。たとえば炭素の同位体自然比はC12が99%でC13が1%です。で、C13でつくった栄養ドリンクばかり摂らせて体全部を同位体人間にするのに7年かかるとか、その人が逆に普通の食事で1%に戻るのに7年かかることがわかるなら誰も納得するでしょうが、そんな実験しているわけがありませんね。ちょっと生命体分野の専門家に聞いてみたいところです。

さて、7年かはともかく本当に物質がすっかり入れ替わるとすると、「私」「あなた」「彼」「彼女」のアイデンティティーは物質にあるのではなく、それが運んでいる「ソフトウェア」にあるということになるんでしょうか? 脳細胞も、脳の記憶は保ったままに何年かで入れ替わるのでしょうか?

そうだとすると「私」「あなた」「彼」「彼女」の記憶は炭素系化合物の上に乗って存在する必要はなく、シリコンや他の物質系、はたまたコンピューターやロボットのような機械の上に存在してもいいのでしょうか?  もちろん脳の記憶はコンピューターのように全て0と1で覚えるのと違うやり方だとは思いますが。

疑問のタネは尽きません。
コメント (6)
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家族の一人

2006-09-15 23:52:43 | サイエンス
が免許を取ってから1年。で、予想通り塀にこすって車に傷をつけてくれました。で、直していません。免許取って2年くらいはまたこするに決まっているからです。その後きれいにするか考えます。ま、ボディーはどうでもいい部分です。もっと本質的に修理しなければならない部分ならすぐ直しますが。

では車で本質的部分とはどこでしょうか? こればかりは修理せずにおけないものとは? あるいは「これがないと車とは言えないもの」とは? とりあえず最低限シャーシーとタイヤはあるとして、それ以外ということにしましょう。これとても多少凹んだりパンクしたくらいでは直さず買い物くらい行けますが。

明らかなのは窓や屋根は重要ではないでしょう。これがない車だってある、というか、その方がステータスが高いのだから。フロントガラスだって、なくても使えないことはないでしょう。(映画「ブッシュマン」が懐かしい)

エンジン? 確かにこれがないと進みませんね。でもギヤをニュートラルにすれば手で押しても動くから、リヤカーや人力車代わりには使えそうです。

ハンドル? 確かにこれがないと、動いたとしても好きな方向へ持っていけませんね。でも鉄道だってハンドルはないのだから、軌道を決めてしまえば使い道はありそうです。

私は、実は、ブレーキなのではないかと思うのです。これがないと止まれない。止まれなければ使い物になりません。坂でもあろうものなら駐車しておくことすらできません。ブレーキの異常はどんなに小さくても放置できませんね。およそ輪っかのついた乗り物と呼ばれるものの中でブレーキ機構のないものは存在しないのではないでしょうか。

エンジンよりブレーキ。逆説的でしょうか? エンジンもハンドルも、ブレーキの健在を前提に活躍できる、というのは人、組織、国なんかにも言えるのかもしれません。
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エアバス社

2006-09-08 06:50:05 | サイエンス
が業績不振ということですが、その中にあって新型巨大機A380の試乗があったそうです。エコノミーのみの座席にすると800人越えるということで、ちょっとした会社や学校は丸ごと移動可能ですね。中でオフィスワークや授業でもしようものならビルごと空を飛んでいる感じです。

日本からアメリカに行くとき偏西風の影響で西行きと東行きで1時間ほど違いますが、A380みたいにでかくても同じでしょうね。飛行機はフリスビーのようにわずかに上に凸の翼が風を切るときの揚力で浮いている(クッタ・ジューコフスキーの定理)ので、大気あっての浮遊です。地面に降りているときは翼が胴体にぶらさがっていますが、飛んでいるときは胴体が翼にぶらさがっているわけです。窓から見ていても角度の違いがわかることがあるほどです。

大気からの相対速度というのは火星でも同じでしょうか? 火星の大気圧は地球の100分の1ですが、地球から砂嵐が見えるほどですから風はあります。そういう環境で飛ぶ飛行機が作られたとしたら、やはり大気に対する相対速度になるでしょう。

では真空中でも浮いたり飛んだりするロケットはどうでしょう? 大気を利用するのでなく、モノ(燃料)を放り投げる反作用で推進しているわけですが。これも大気の中で運動している場合は同じはずです。

ちょっと考えるとこれは不思議です。だってロケット打ちあげ直前は地面に固定されているのに、浮いたとたんに風の速度ヴェクトルをプラスしなければならないのでしょうか? そんなことはないでしょう。

ロケットが浮いた直後はやはり直前まで固定されていた地面に対し水平方向の速度はゼロです。しかし風に押されて徐々に水平方向は風速に一致して行くでしょう。その時間が経った後は大気からの相対速度になります。風向きや風力が急に変われば、それに追随する時間のあとは、新しい風速ヴェクトルを足したものになります。(追随時間---緩和時間ともいう---より速く風速が変化する場合は、慣性の勝った運動になりますが。)

というわけで、飛行機もロケットも木の葉も追随時間の差があるだけで、追随時間の後の定常状態では火星といえども浮いているものは大気が基準となるでしょう。もっと真空に近い薄い大気でも、定常状態を考える限り大気からの相対速度で推進することになります。地球の大気中を長時間飛ぶエアバスは間違いなく偏西風の影響を受けますね。
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出張でコロラド

2006-08-29 21:42:54 | サイエンス
の山岳地の町Breckenridgeにある国際会議場に行っていました。会議場に向かう途中、ちょっと忘れ物をしたのでホテルの自室に駆け戻ったところ、おや?何だか変です。心臓がパクパク、呼吸が追いつかない。・・・

そうです。かなり高度があるところなのです。あと何十mで3000mという高地なので、走ることは禁物。ちなみに気圧はというと、約700ミリバールだから平地の約7割。富士山頂のように高山病にかかってもおかしくはありません。

そういえば同じ地方のBolderという町に世界の時刻標準に一役買っている米国標準技術局の研究所(NIST)がありますが、Bolderはまたマラソン選手の練習地としても有名です。Breckenridgeより高度は低いとはいえ、自分がちょっと走っただけで呼吸困難を体験してしまうと、高地でマラソン練習をするなんてとても同じ人類とは思えません。

ところで大気圧が700mbということは、酸素の分圧は平地の酸素濃度に換算して約15%になります(21%×700mb/1013mb)。これって大丈夫なんでしょうか? というのは、酸欠が恐ろしいことはよく知られています。通常酸素濃度が18%を切ると危険と言われます。ではBreckenridgeにいてもなぜ平気なのでしょう? 疑問に思ったのでちょっとWikipediaで調べると

・酸素濃度16%: 呼吸脈拍増、頭痛悪心、はきけ、集中力の低下
・酸素濃度12%: 筋力低下、めまい、はきけ、体温上昇
・酸素濃度10%: 顔面蒼白、意識不明、嘔吐、チアノーゼ
・酸素濃度 8%: 昏睡
・酸素濃度 6%: けいれん、呼吸停止

とあります。これだと確かに15%はまだ致命的とはいえません。しかし18%で危険だぞと言われる一方、15%のこの町にホテルなどが林立しているんですね。

それにしてもエヴェレストに酸素マスクなしで登った人達がいるそうですが、こうなると本当に循環器系が通常人とは違うのではと思ってしまいます。
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一昨日まで文科省系の

2006-08-22 02:02:52 | サイエンス
とあるサマーセミナーで3日間の集中講義をしていました。2時間ずつ3回という短時間なので、また聴講する院生も少々広い分野から来ているので、自分の大学で行う講義ほど詳しい話はできません。それでも、出てくる質問にはいつも感心します。実際学生の質問によってこちらが磨かれる、とよく言われますが、それは本当ですね。質問でなく単なる感想であっても、実に参考になります。

その感想ですが、まじめな感想に混じって奇想天外なものもあります。本人達は別に奇をてらっているわけではなくごく自然に言っているようなのですが、それが一層新鮮さを引き立てます。

講義では量子力学と情報理論が結びついて生まれた新奇な研究分野の話をしたのですが、導入として、量子力学を信じる必要は本当にあるのか?徹底的に古典論に固執したとして、それでは絶対信じられない現象というのはあるのか?それがあったとして、古典論でも量子論でもない理論で説明することもできないのかという話から始めました。答を言っておきますと、そういう現象は実は珍しいけどあって、それは実際に実験されており、したがって古典論は本当に捨てなければなりません。しかし新たな理論としていわゆる正当派量子論以外も可能です。ただ、最も使いやすい正当派量子力学が普及しているだけです。教科書はまず学び、しかしそれには常に疑いを留保した上で、学んだ技術を使うことが肝要です。

次はそれを聴いた院生の感想です。

「量子力学を初めて習ったときは、バーでお酒を呑む経験を初めてしたみたいな、子供の世界を卒業した気分だったけど、今回の話はさらにきわどい話というか、冒険しないとわからない世界、裏の世界をかいま見たような感じですね。何か女の人がはべるクラブに足を踏み入れた、てゆーか」
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台風

2006-08-19 06:16:02 | サイエンス
もノロノロや居座り方は大迷惑ですね。九州の方々は大変でしょう。ザーッと襲って来てあっという間に去って晴れ上がってこそ気っぷのいい、台風らしい台風と思いますが。

アメリカ海軍の台風予報センター台風10号の進路予測がありますが、凡例にあるようなarea of uncertaintyが示されていません。ノロノロだと予想に自信が持てるのか、あるいはどっちに進むかかえって予測がつきにくいのでしょうかねえ。一度このページと気象庁の予報を比べてみたいものです。
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科捜研

2006-08-11 09:00:09 | サイエンス
や科学警察研究所がドラマでも拉致問題でも活躍しています。実社会に存在する研究所ですが、これらはいつ頃からあるのでしょうね? というのは、学生の頃ある教官の退官記念講義を聴いたところ、有名な社会的事件があったのですが、ちょうどその教授の専門領域での実験鑑定が必要となりそれを依頼された、という話を聞いたことがあります。世の中あまりにも次々事件が起こるので、何の事件だったか結末がどうだったか忘れましたが、その教授の出す実験結果が裁判で大きな影響を持つというのは大変なプレッシャーだったろうなと思いました。今でも拉致事件のDNA鑑定は科学警察研究所がやるだけでなく外部専門家にも依頼しているようです。技術力の問題というより中立性の問題かもしれませんが。

私はもちろんそういう鑑定を頼まれた経験はありませんが(頼まれたくはないです、正直言って)、研究しているととんでもない依頼が来ることもあります。ひとつ挙げましょう。「量子非破壊測定」というのが私の研究テーマの一つですが、これは「量子力学には不確定性原理があるにもかかわらず、対象の物理量を壊さずに測る方法がある」というものです。それを聞きつけたある会社から講演の依頼がありました。講演の依頼自体は別にどうということではありませんが、そのときは普通と違って、物理・情報処理・通信・光学などとは無関係な会社だといい、しかもその中のごく限られた部署で、「講演」と銘打ってはいますが実際は「相談」に乗ってくれといいます。何か変だなと思ったのですが、電話応対に出た人は全く朴訥そうな、真面目な話しぶりの人でした。少々話がかみあわないので、結局「私の研究のどういうところが御社の役に立つとお考えなのでしょうか?何を仕事にしている会社かをお聞かせ願えませんか」と聞いたところ、「実は、缶詰の非破壊検査をしている会社です。最新の技術を導入したいのですが、ライバル会社には知られたくないので」とのこと。

そのあともちろん、如何に私の研究がその会社の役に立たなそうかを丁寧に説明してお引き取りいただきました。
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タイタン

2006-08-01 05:53:55 | サイエンス
メタンかエタンの川が流れていることが一層現実味を帯びて来ましたね。海は、現存するかはともかく、少なくとも過去にはあったことになります。

ということは雨が降ったんですね。寒冷地獄のタイタンではメタン(エタン)ですが灼熱地獄の金星では硫酸の雨が降っています。温度によっていろんなものが降るんですね。

(この話をして家族に「酸化水素が降っている惑星もあるんだよ」と言ったら、一瞬「へー、そうなんだ」となってから「まったくもう」)
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水面に

2006-07-25 21:54:49 | サイエンス
自在に絵・文字を波立たせて見せる技術が開発されたそうです。ちょっとこの写真を見てください。見ただけで「そうかー」と思わせるコロンブスの卵的アイデアですね。任意の図形を2次元Bessel直交関数系(ティンパニの固有振動波動関数の系)で展開し、それぞれの振幅に応じた波動を励起する振動を、円周上に密に配置した振動子に与えてやればいいわけです。

余計なことですが、この円の外に放出されている波は、円の中の図形情報を相補的に持っているんでしょうね。外でそれを全部測れば中の図形情報をreconstructionできるのでしょう。どうも量子情報の研究をしていると、どこかに何かを形成したらそのおつりを別の場所に持って行くか環境に捨てなければならない、と考えてしまいます。ゴミ処理問題と通ずるものがあります。
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「記憶を妨げる遺伝子

2006-06-09 20:26:10 | サイエンス
の数が学習で半減することを貝を使った実験で解明」というニュースがありました。パブロフの犬の貝版みたいな実験です。貝はよだれはたらしませんが、どんな実験かはここを。

ところで「この貝の脳は構造が単純で、細胞数もヒトの1%以下の数十万個と少ないため・・・」とありますが、これはちょっと・・・人間の脳の細胞数はもっと多いと思われます。ある京大関係のサイトでは2000億個と書いてあります。まあ、2000億個だとしても、最近のコンピューターのCPUの方が集積度は高い(素子サイズが小さい)ですね。そもそも動作原理が全然違うでしょうが。余談ですがCPU単位体積あたりの消費エネルギーはコンピュータよりヒトの脳の方がずっと少ないらしい。脳はエコマークですね。

それにしても貝に脳があるとは。漠然と「脊椎が発達したのが脳だろう」と思っていましたが、軟体動物にもあるようです。確かにイカやタコにも目があるし敵に向かって墨を吐いたりするのだから、脳があっても不思議はありません。マグロはもちろん脊椎動物だからあるでしょう。ウニはどうでしょうね?(発想が・・・寿司屋に行ったもので)

このニュースの研究者は「これらの遺伝子はヒトにも存在しているので、記憶力の向上に役立つ薬剤開発につなげたい」とのこと。そんな危ない薬ができたら、健常なうちはともかく老後は欲しくなるかもしれません。
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久々の科学モノ

2006-05-18 23:24:06 | サイエンス
ですが、今日のホヤホヤ速報です。紫外線発光ダイオード(LED)が開発されました。ここに記事がありますが、いつまであるかわからないので少し書きますと、波長は210ナノメートルだから、有名な中村修二さんの青色発光ダイオードの波長の3分の2以下の短波長。材料は窒化アルミニウム。中村さんの窒化ガリウムの親戚物質ではありますが、この世界は少しでも成分が違うと「純粋結晶」を作るノウハウは全く異なるのが普通です。

開発したのはNTT物性科学基礎研究所。私の古巣で、開発者もよく知っている人です。だからといってこのニュース、事前には知りませんでした。今日Nature誌に発表されたということで、ご存じかもしれませんがNature誌は発表日前にニュースにすっぱ抜かれないよう、信頼できるマスコミには紳士協定で多少事前に通知しますが、それ以外は論文の著者にさえも秘匿を守るよう細心の注意を要請するのです。

紫外線は目に見えないので信号機やディスプレイへの応用はありませんが、すぐ思いつくのはDVDの読み書きに使えば記憶容量を一ケタくらい上げられそうです。一枚に映画何本入るのだろう? もしかすると作曲家一人の全作品がDVD一枚に入ってしまうようになる日は目の前かも。
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今朝、上野の国立科学博物館

2006-05-03 15:52:53 | サイエンス
に家族で出かけてさっき戻って来ました。上野に着くと大日本なんとか会などの宣伝カーの大群がすごい音量でがなりたてています。警察官も大量の動員で彼らを監視。そうか、今日は憲法記念日だった。それにしても上野だけがなぜこんなに騒然としているのだ?その答は、ディストーションのかかった絶叫からなんとか聞き取れた言葉からわかりました。「社民党の集会フンサーイ!・・・」

 それはともかく、国立科学博物館に着くと、朝から家族連れや若いカップルらが行列で、ちょっとびっくり。中に入ると、行列はそのままナスカ展や常設展へ。我々は別の展示がお目当てだったので、行列から外れて地下の方に行きましたが、誰もついてきません。実は、閑散とした小さな展示室に来訪者は我々家族だけかもと予想しないでもなかったのですが、どうしてどうして、そこそこ人が入っていました。何の展示かって?
 それは「湯川秀樹・朝永振一郎生誕百年記念」展です。どんな企画なのか、もしつまらなければ他にも見るものはあるからいいや、などと思って訪れたのですが、さてこれがなかなかのものでした。まず入り口に等身大よりやや大きい二人の立像写真があります。(和服の朝永は芥山龍三郎先生によく似ています。ドラマでなくオリジナルのマンガの方ですが。が、そんなことはどうでもよろしい) 結局これだけ見て食事して帰って来たのですが、帰るころは入場者も非常に多くなっていました。いろんないでたちの老若男女で、中には渋谷か原宿で見るようなチャラチャラした若いカップルもいました。そんなに多様な人達が湯川・朝永展に来るなんて、嬉しいですね。

 さて中身ですが、私は物理が専門ですし湯川・朝永周辺の一般書も少しは読んでいるので展示の中身は知っている話が多いのですが、静かで暗めの会場に明るく展示してある史料や写真や説明、見学者が触ることができる簡単な実験の展示などを見ると、その時代に居るような気になり、現代物理の黎明期の息吹に包まれて総毛立つ感じがします。それも、昔の科学を懐かしむというよりは、いま見てもよくこんな最先端のことを、誰も教える教授がいない中で、この二人は達成したものだなと、感嘆にくれるのを禁じ得ません。
 それと、展示の文章や、20ページほどのパンフレットの文章が素晴らしい。文学的文章という意味ではなく、題材の選択が客観的で、主催に名を連ねている京大、筑波大、阪大の宣伝っぽさがなく、二人が人生のどの時期をそれぞれの大学や旧理研で過ごしたのか、淡々とグラフや文で綴っていたりする。却ってそれがこの4つの機関が果たした「彼らのような存在を可能とした容れ物」としての偉大な貢献を物語っています。パンフレットにごく小さく書かれていた執筆者の名を見て、ああこれなら、と納得しました。佐藤文隆と江沢洋です。

 愛国心をがなりたてる連中には全く閉口する一方、純粋に科学する偉大な二人の軌跡とそれを語る大先輩の見識につくづく誇りを感じた一日でした。
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北極星

2006-01-11 07:05:39 | サイエンス
の第三伴星の光学望遠鏡による観測に成功したそうですね。ハッブル望遠鏡により行われたということです。

で、話題はこのことではなくハッブル望遠鏡そのものについてなんです。何か結論じみたことを言うわけでなく、問題意識だけですが。

 とりあえずハッブル望遠鏡とは何か、簡単な描写から。ご承知のように天文台は空気の澄み切ったところに建てられます。日本のスバル望遠鏡はハワイに建てられ、その付近には各国の天文台が林立しています。(光学望遠鏡以外-X線望遠鏡や電波望遠鏡-も同様に僻地に建てられる傾向にあるようですが、ここでは光学望遠鏡の話にします。)
 しからば大気のない宇宙の人工衛星に望遠鏡を搭載するとか、月に天文台を作るのが最も良さそうです。このうち前者を実現したのがハッブル望遠鏡です。誰がそんなことしたか、言うまでもないと思いますが、NASAです。1990年に打ち上げられて以降、鮮明で貴重な画像の電波を地球に送り続けています。(当然暗号化されているのでしょうね。他国やマスコミに盗られては大変でしょう。)

 問題は寿命があと数年ということで、その修理を行うべきか、太平洋に誘導して廃棄するかでもめたんだそうです。もめ「た」というのは、約一年前、ブッシュ政権は廃棄を前提に2006年度予算を組んだということです。端的に言って維持費予算がないらしいのですが、議論はいろいろあったようで、たとえば「スペースシャトルで人を送って修理すべし」に対しては「スペースシャトル計画自体、安全性を再検討するのが先決」とか、「ロボットを送って修理すべし」に対しては「成功確率が低く金食い虫」など。科学者は修理継続、行政は廃棄などとニュースで見かけますが、議論はもっと複雑なのでしょう。
 そんな中で後継機打ち上げ予定もあるという話も聞きます。それならそれでいいよね、という気もします。後継機には日本製高性能カメラをという声もあるので、ますます結構と思うと同時に、こりゃあ様々なハイテク産業の利害も絡む単純でない議論かも・・・

そこで今の時点でわからないことを挙げるとすれば、

・修理延命派と廃棄終了派と廃棄後新規打上げ派がいるのか?いるとすればそれぞれのメインの主張点は?それぞれの予算は?
・後継機は2010年打ち上げと言われているようだが、その計画はどのくらい進んでいるのか?
・仮に後継機を打ち上げるとして、それまでに何年か大気圏外天体観測不能の期間があるらしいが、それは天文学にとってどのくらい痛手なのか?
・(直接関係ないが予算的に影響ありそうな)火星有人基地計画はどのくらい見通しがあるのか?

といった感じでしょうか。世界世論も巻き込もうというアメリカに乗せられている感もありますが、やはり宇宙のロマンの話だけに、気になります。
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乾電池

2005-12-09 00:15:05 | サイエンス
って日本人が発明したのですね。こんなページがありました。屋井なんて人知りませんでしたが、偉い人だったんですね。
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うるう秒

2005-10-28 22:17:09 | サイエンス
を2006年1月1日に1秒間だけ入れるという総務省からのお達しが、今日午前、事務からメールで回ってきました。

おっ、これだ! 今日は例の1年生の力学の授業。角運動量保存の話。何か余談入れられないかな、と思っていた矢先のメール。何でもかでも大量のメール送って来る事務も、たまにはいいニュースをよこしますね。

どんな余談なのかは詠里庵「科学の間」「地球は酔っぱらい?」でどうぞ。
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