李明博新大統領の空想的外交政策の行方

●李次期大統領「好もうが好むまいが米国キープすべき」 　中央日報　2008.01.11 16:23:35

「李明博（イ・ミョンバク）新政府は、韓米関係を再確立するための『２１世紀・韓米新同盟宣言』を進めている」。

柳宗夏（ユ・ジョンハ）元外相は１０日、中央（チュンアン）日報と現代（ヒョンデ）経済研究院が共催した「２１世紀・北東アジア未来フォーラム」でこのように述べた。「李明博新政府の実用主義・外交安保策」をテーマにしたフォーラムで、柳氏は「宣言の文案は準備済みだが、さらに討論、検討する考えだ」と述べた。

柳氏は、李次期大統領陣営の選挙対策委員会・共同委員長を経て、現在、政権引き継ぎ委員会・外交安保分科諮問委員を務めている。柳氏に、李次期大統領の外交政策に関連した構想を尋ねてみた。

◇韓米同盟と対外政策の基調＝李次期大統領は「好もうと好まざると米国はキープしなければならない」との立場だ。国益のために米国と共に歩むべきだということだ。また中国と日本については「良い出方をすれば良い取り組み方をし、無視すれば言うべきことを言う」と述べた。李氏の実用主義外交は、経済のコンテンツを重視し、外交を国内政治に利用しないという。また、韓国の地位に合う先進外交も目指す。▽５０００人の平和維持活動（ＰＫＯ）を常時運営▽大量破壊兵器の拡散防止構想（ＰＳＩ）への参加拡大▽海上輸送路を保護するための海上合同軍事演習への参加－－を進める。

◇新アジア協力の外交＝外交を拡大するということ。インド、ＡＳＥＡＮ（東南アジア諸国連合）、オーストラリアとの関係をさらに深め、東アジア協力安保共同体作りも模索する。また韓流を活用した文化コンテンツ・スポーツ強国のパワー・ＩＴ（情報技術）の技術力を活用し、地域の災難に迅速に寄与する人道主義外交を展開するほか「軟性強国（Ｓｏｆｔ　Ｓｔｒｏｎｇ　Ｐｏｗｅｒ）のイメージを確立するとしている。政府開発援助（ＯＤＡ）を国連レベルにあたる、国民総所得の０．７％まで増やし、セマウル（「新しい村」という意の韓国語。韓国の農村近代化運動。７０年以降勤勉・自助・協同をスローガンに国民的運動として展開された） センター、ＩＴセンターも設け、発展途上国の国民３０００人が韓国内で研修を受けられるようにするという構想もある。

◇北朝鮮との関係＝李次期大統領は、北朝鮮について「少し教えてやり、助けるべきだ」と考えている。それと同時に「北朝鮮も感謝を示すなど、何かを見せるべき」だという立場だ。韓国の経済協力と北朝鮮の平和協力を交換するという、互恵的関係の基本哲学が「非核開放３０００」の骨子。北朝鮮が核を放棄する場合、国民所得が１人当たり３０００ドルになるよう支援する。年１３～１４％ずつ１０年間成長しなければならない数値だ。そうなれば、北朝鮮経済は自生できるようになる。そのときまで信頼し、北朝鮮体制を支えるとしている。

◇エネルギーの主導権を目指す外交＝ロシアの油田を開発した後、パイプラインで石油を運び、韓国に設けた大規模な油田施設を通じて国際的取引を行うという「石油の現物市場」も検討中だ。そうなれば、石油のイニシアチブを握れる。中国・インドの急成長で、エネルギーの需給が危機に陥るかもしれないからだ。民間の海外油田開発を支援し、韓半島～ロシア～中国～中央アジア～中東をつなぐエネルギー・シルクロードも検討する。

一方、討論者として出席した丁世鉉（チョン・セヒョン）前統一部長官は「北朝鮮に平和と経済協力の交換を求めるのは良いアイデアだ」とした上で「しかし北朝鮮は厳しい相互主義を適用できる対象ではないことから、慎重な分析だと評価した後、現実的な北朝鮮関連政策を講じるべきだ」と指摘した。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=94805






●中国重視の言質　王毅特使が要求　韓国の次期大統領に 　朝日新聞　2008年01月15日02時10分

　韓国の李明博（イ・ミョンバク）次期大統領は１４日、ソウル市内で中国の胡錦濤（フー・チンタオ）国家主席の特使として訪韓した王毅（ワン・イー）外務次官と会談した。韓国側によると、王氏は韓国次期政権の外交政策に触れ、「対米関係の回復や対日関係の改善に数多く言及しているが、中国との関係をおろそかにするわけではない、という言葉を直接聞きたい」と迫ったという。

　中国側のこうした言及は外交上異例だ。王氏に対し、李氏は「決しておろそかにしない。経済だけではなく多方面で協力関係を格上げしよう」と語ったという。
http://www.asahi.com/international/update/0115/TKY200801140226.html







【私のコメント】
1月11日の中央日報で韓国の李明博新大統領の外交政策が紹介されている。これを一言で言うと、日中二大国にサンドイッチされた苦境から脱出するために米国とロシアを最大限に利用するというものだ。しかし、この外交政策は韓国には非常に有益だが、米国とロシアにとっては損害はあっても利益はないものであり、実現する可能性はまずないだろう。既に米国は韓国から米軍を撤退させる方針の様であり、韓国にはそれを覆すだけの交渉材料がない。また、ロシアにとっては自国の石油は自国の港から輸出するのが最も有益であり、わざわざ韓国までパイプラインを引いて韓国にイニシアチブを与える様な損失の大きい政策を採ることはあり得ない。この自国に都合の良い空想的外交政策は早期に破綻し、韓国は米国の次に日本への事大を始めることだろう。しかし、日本政府は歴史教科書問題や竹島問題を煽り立てて韓国の反日世論を刺激して日本への事大を阻止することだろう。日本への事大が失敗した韓国は結局、現実的外交への方針転換を余儀なくされると予想する。

韓国の現実的外交とは、日中二大国に挟まれた小国という立場をよくわきまえ、日中両国に損害を与えないこと、日中両国と対立しないことを最優先に韓国の経済政策や文化政策、外交政策などを組み立てることである。ポーランドの新政権が親ドイツ・親ロシア政策に転換したことが韓国にとって良い教科書となるであろう。しかし、韓国の政策転換は多くの点でコペルニクス的な意識改革を必要不可欠とするものである。

例えば経済面では韓国の輸出産業は日本と激しく競合しているが、日本と対立しないことを目指すならば、日本と競合しない分野に方向転換していく必要があるだろう。日本ではコスト的に成り立たないもの、日本では不要とされるものに着目してそれに特化していくことが必要ではないだろうか。

文化面ではより大きな方針転換が必要になる。日本は今後、欧州のブランド製品と同様の「日本製であることのプレミアム」を確保するため、日本文化の優位性を全世界に発信していくことになるだろう。そして中国も観光産業のために中国文化の優位性を世界に発信することになると想像する。そのような状況では、これまで韓国が日本独自の文化・中国独自の文化を韓国発祥であると宣伝してきたことは決して許されなくなるだろう。韓国人は自国が文化小国であることを認識した上で、日本語や中国語の習得に力を注ぐべきである。三カ国語、四カ国語を話せるのが当たり前のベネルクスの人々から韓国は学ぶ必要がある。

外交政策に於いても大きな政策転換が必要になる。まず、日本の領土であることがサンフランシスコ条約で確定している竹島は早期に日本に返還されねばならない。中国を軍事的に刺激しない為にも、米軍は韓国から撤退させる必要があるし、韓国軍は米軍との合同演習への参加を見送る必要があるだろう。韓国は中国の衛星国になるという事実を韓国人は認識する必要がある。ソ連を刺激しないことを第一としつつソ連を上回る生活水準を獲得することに成功した冷戦時代のフィンランド外交から韓国は学ぶべきだろう。

これらの政策転換はいずれもコペルニクス的なものであり、通常の手段では国民の反対意見のため実行困難であろう。敗戦（対日戦争を実行してわざと負けるシナリオを含む）の衝撃か、あるいは主要企業が軒並み破産するような大恐慌、といった国民に大きな衝撃を与える事件が起きないと実行は難しいと想像する。そして、その様な危機が訪れた際に韓国国民は団結することができず、国内が騒乱状態になって結局北朝鮮に併合される可能性が高いだろう。

日本人拉致問題と核開発問題で日本と北朝鮮は一見対立している様に見える。しかし、実はこれらは日朝両国の合作劇であり、裏では日本と北朝鮮は親密な関係にあるのではないかと私は想像している。中国にとっても、威張り散らし文化を盗む韓国人よりも北朝鮮人の方が望ましい隣人であることは間違いない。北朝鮮は「日中二大国に挟まれた小国という立場をよくわきまえ、日中両国に損害を与えないこと、日中両国と対立しないことを最優先に」して作られた、日中両国にとって理想的な緩衝国家なのだ。日本と中国は韓国を滅亡させて北朝鮮に吸収させることで合意しているのではないか。そして、その滅亡という運命から逃れようと必死になっているのが李明博新大統領を含む韓国の支配階層であるように思われる。