国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

日韓シャトル外交の復活を日本が拒否したのは何故か?

2008年01月11日 | 韓国・北朝鮮
●日韓首脳シャトル外交、李明博政権発足を機に復活で合意 2008年1月8日20時40分 読売新聞

 【ソウル=平野真一】谷内正太郎外務次官と韓国の趙重杓(チョ・ジュンピョ)外交通商第1次官は8日、ソウルで第5回日韓戦略対話を行い、2月の李明博(イ・ミョンバク)新政権発足を機に、2005年以来中断している両国首脳によるシャトル外交を復活させ、今年中の両首脳の相互訪問実現などを通じて、日韓関係を未来志向的に発展させていくことで合意した。

 両次官はまた、北朝鮮の核問題について、同国が履行の遅れている核計画の申告を早期に行うことの重要性で一致し、寧辺の核施設の無能力化と合わせ、「次の段階の措置」が早期に完了するよう日韓両国が引き続き協力していくことを確認した。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080108i112.htm




●<グローバルアイ>韓日シャトル外交を成功させるには 金東鎬(キム・ドンホ)東京特派員 2008.01.09 12:17:39 中央日報

明治維新の初期に幕府が崩れ、天皇中心の政治体制を修復する過程で西郷隆盛は征韓論の先鋒に立った。征韓論は壬辰倭乱のときの朝鮮侵略の論理と近い。日本は内部が混乱する度に絶えず韓半島に視線を回してきた。

幕府政権が崩壊すると将軍を頂点として権力を支えていた武士たちは急に働き口を失った。これらは日本を富強国家としようとする維新の反対勢力であると同時に障害物となって浮上した。幕府体制を後押しした藩のうち、発言権が強かったところであればあるほど反発が大きかった。薩摩藩が代表的だ。

ここの出身である西郷は、社会的不満を収めるためには、朝鮮を掲げて下級武士の矛先を外に向けて不満を無くさなければならないと考えた。ただ、彼は征韓論推進時期をめぐる政争で敗れたため、征韓論の夢をつかむことができずに自決したが、日本の歴史上、憂国の哀情の化身として敬われている。執権政治勢力はこの雰囲気を利用して、日本国民の保守化を絶えずけしかけてきた。日本の立場では祖国のために命を捧げた人々を慰める靖国神社の参拝の何が過ちかという。これらに被害を受けた国家のことは眼中にもない。

盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の日本外交失敗はこのように理解しにくい日本の保守伝統に対する無知によるものだ。大統領当選前には米国には1度も行ったことがないと言っていた盧大統領だが、日本についても知らなすぎた。そして靖国と独島(トクト、日本名竹島)対立が起こると小泉純一郎当時日本首相に一発見舞われたと言って2005年6月以後“シャトル外交”を中断し、日本と一切縁を絶ってきた。政府次元の対話は断絶、不便な関係が長く続いた。日本の世論を丸めこむ保守勢力はこうした破局の状況の責任を盧大統領に一方的にかぶせた。反日感情を刺激して結集力を回復しようとする論理だった。盧大統領が日本の保守勢力に徹底的にやられたのだ。

日本の保守勢力は今後もいつどんな形態で刺激してくるかわからない。李明博(イ・ミョンバク)次期大統領は盧大統領のようにすぐに興奮し、そのペースに巻き込まれてはいけない。むしろ日本人と親しく過ごせる韓国の大統領にならなければならない。そのためには日本の保守勢力が挑発しても賢くいなければならない。方法は簡単だ。日本人がずっと韓国人の友達になれるよう基盤をつくり、交流できるように条件を整えていけばよい。

ちょうど日本では韓流が暖かく流れ続けている。ヨン様熱風の初期のように賑やかではないが奥が深い。1時間当たり2000~3000円支払って韓国語を学ぶ人も少なくない。韓流にもっと近づきたいからだ。韓国料理の人気も日増しに高い。西洋料理が主流のファミリーレストランデニーズにはスントゥブチゲ(おぼろ豆腐鍋)が看板メニューとして登場し、テレビには韓国式チゲの広告が多く流れている。雨後の竹の子のように増える韓国式レストランには日本人が多く詰めかける。子供たちはキムチを日本の食べ物だと思っているほどだ。韓国人の日本人気も高まっている。昨年260万人の韓国人が日本を訪問し、韓国人は日本の観光、ショッピング、レジャー産業において大切な存在となっている。

李明博次期大統領と福田康夫首相は特使交換に続き、シャトル外交も復活させることにした。今年最低でも4~5回会談する見込みだ。両首脳は東北アジアの安定と経済協力に共に関心をみせている。実用的なアプローチだ。それでも日本の保守右傾化の動きを忘れようという話ではない。“経済大統領”を自任しただけに日本の保守勢力の蠢動を警戒するが、互いに“ウィンウィン”対日外交を繰り広げなければならない。今後ずっと日本人が韓国人の友達となっていくことだ。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=94679&servcode=100§code=140





日韓シャトル外交 日本側、復活を否定 2008年01月09日21時42分 朝日新聞

 ソウルで8日あった日韓次官級戦略対話で韓国外交通商省が「首脳間のシャトル外交の復活などで合意した」とする報道資料を出したのに対し、在韓日本大使館は同日夜、「そのような合意があった事実はない」と発表し否定した。韓国側も8日深夜、該当部分を削除した。外交通商省当局者は9日、「今後、可能な限り首脳外交を活発に行うことを大まかな方向性として意見交換した」と述べた。
http://www.asahi.com/international/update/0109/TKY200801090299.html




●森元首相 イ次期大統領と会談 2008年1月11日 0時4分 NHK

会談はイ・ミョンバク次期大統領の事務所で行われ、冒頭、森元総理大臣は、早期の訪日を求める福田総理大臣の親書を手渡しました。そして、森氏は、「日韓両国は、自由、民主主義、市場経済という共通の価値を持つ重要な隣国であり、新しい日韓関係を築きたい。また、日米韓3か国の協力を強化すれば、北朝鮮の核問題への対応にも有意義だ」と述べました。これに対し、イ・ミョンバク氏は、「北朝鮮の核問題は、非常に難しい問題だが、日米韓がしっかり協力する必要がある」と述べました。また、イ・ミョンバク氏は、「福田総理大臣にも早く韓国を訪問してほしい」と述べたうえで、「日韓の首脳が頻繁に往来を行っていきたい。首脳が頻繁に行き来することで日韓関係がうまくいっていることを国民に示していきたい」と述べ、いわゆる「シャトル外交」の再開に前向きな考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/2008/01/11/d20080110000170.html






【私のコメント】
1月9日の朝日新聞で、日韓シャトル外交の復活を日本側が否定したという興味深い記事があった。韓国の外交通商省当局者は9日、「今後、可能な限り首脳外交を活発に行うことを大まかな方向性として意見交換した」と述べたという。韓国側がシャトル外交の復活を強く求めたのに対して、日本側はそれに同意せず、結果的に意見交換のみにとどまったということだろう。では、日本側がシャトル外交の復活を拒んだ理由は何だろうか?

最も可能性が高いのは、日本政府が今年中に日朝国交回復を実行する予定であり、今後の朝鮮半島政策は韓国ではなく北朝鮮を中心に行うという方針が固まっているからではないだろうか。日韓シャトル外交の復活拒否は日本から北朝鮮への友好のメッセージであったと想像する。

第二次大戦後、共産主義のランドパワーを資本主義のシーパワーが包囲するという冷戦体制の元で日本政府は韓国支援を余儀なくされ、大東亜共栄圏の正統な後継国家の一つである北朝鮮と日本の関係は朝鮮総連や日本社会党といった隠れ蓑を通じて細々と維持されてきたのだと思われる。しかし、米国の世界覇権崩壊とそれに続く世界の多極化は朝鮮半島の冷戦状態を打ち破り、日朝の友好関係が表面に出てくることが可能になると想像される。それと同時に日本は米国に強いられてきた韓国支援を打ち切り、竹島問題や知的財産権問題などでより強硬な姿勢に出て韓国を政治的・経済的に追い込むことも可能になると想像される。それは李明博新大統領の対日宣戦布告とそれに続く敗北によって日本が韓国を衛星国として背負い込みかねない危険性を秘めている。
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19 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-01-11 10:34:09
江田島孔明による日朝同盟は新満州帝国なのだろうか?
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Unknown (Unknown)
2008-01-11 17:38:36
日朝同盟など、もう存在しないだろう?
そもそも、日本は北朝鮮が中国に併合されるのを了承していると思われる。
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Unknown (Unknown)
2008-01-11 18:55:51
JFE社長、IHIとの造船統合「申し出受けた」

 JFEホールディングスの数土文夫社長は11日午前、日本経済新聞記者などに対し、IHIとの造船事業の統合交渉について「(IHIから)申し出を受けた」と語った。IHI首脳も同日、「造船の事業改革を検討中」と述べた。統合で合意すれば今治造船(愛媛県)を抜き、国内首位の造船会社が誕生する。

 JFEは日立造船と折半出資する国内2位のユニバーサル造船(川崎市)を子会社化したうえで、IHIの造船子会社で同6位のアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド(東京・港)と統合する方向で協議している。統合すれば売上高は約3450億円(2007年度見込みの合計)、建造量の国内シェアは2割近くになる。造船業界は韓国・中国勢との競争が激化しており、JFE・IHI連合は規模拡大で勝ち残りを目指す。(16:02)
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Unknown (Unknown)
2008-01-11 19:00:58
ロックフェラーの石油である江田島孔明のアメリカ軍と朝鮮閥、ロスチャイルドの原発、そして、日本による水素プロジェクト。三国志が始まった。


イギリス政府が原発回帰の法案提出 野党も賛成
2008年01月11日10時01分
 英政府は10日、原子力発電所の新設を認める法案を下院に提出した。野党・保守党も賛成しており成立する見通し。86年のチェルノブイリ原発事故以来の「脱原発」政策は転換される。電力安定供給の必要性に加えて、地球温暖化対策から原発回帰に踏み切った。

 法案では、原発の建設・運営を外資を含めた民間会社に開放、計画立案の手続きを簡素化させるとともに、建設数の上限を設けないことで新設を後押しする。
 現在、英国では19基の原子炉が稼働し、電力需要の18%をまかなっている。だが、老朽化で20年以内に大半が廃炉になるうえ、風力や潮力などの代替エネルギーだけでは温室効果ガスの排出削減目標の達成は不可能だとしている。
 これに対して環境保護団体からは、安全性や廃棄物処理の問題から反対の声が出ている。

アラブ首長国連邦の人工島で水素発電(スイス研究所)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200801/2008010200075

スイス近自然学研究所代表
http://members.aol.com/masayama/

希望の船と皇室財産華族系財界の総力戦
http://www.teamrenzan.com/archives/readers/takahashi/post_381.html
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Unknown (Unknown)
2008-01-12 00:09:05
>大東亜共栄圏の正統な後継国家の一つである北朝鮮

金策を知らずして大東亜共栄圏の正統な後継国家・北朝鮮は語れない.
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Unknown (Unknown)
2008-01-12 09:56:00
田中宇に江田島孔明のバックである北方領土ユダヤ割譲勢力とパキスタンを操る裏システムが掲載された。

江田島孔明コラムが休止しているのも奥の院による指示だろう。
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Unknown (Unknown)
2008-01-12 23:18:05
なるほどね米国が韓国を捨てたからなのかw
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Unknown (韓国=鼠小僧)
2008-01-13 00:03:09
韓国という国は基本的に信用すべきでは有りません。彼らはこれからも絶対に日本の「友人」とはならないでしょう。

唯自力では何も出来ない国であるが為に、都合が悪くなると日本に擦り寄って来る性質の悪い鼠小僧みたいな存在なのです。そして彼らは得るものを得られれば簡単に我々を裏切るでしょう。

日本にとってアジアで重要なのは対中・対印・対ASEAN外交であって、ここをちゃんと押さえていれば、対韓国外交は自然と収まってしまうでしょう。それは日本にとって韓国の存在はそれ重要性が無いからです。
返信する
Unknown (Unknown)
2008-01-14 19:20:49
アメリカのエージェント江田島孔明
ロシアのエージェント北野幸伯

真っ二つに割れた中東情勢への見解、どちらが正しいのか?

★2008年問題2(アメリカーイラン一触即発)
http://blog.mag2.com/m/log/0000012950/109338508.html

世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL186
中東情勢が改善へ向かってきた。今回は、その考察。
http://klingon.blog87.fc2.com/?no=535

おめでたい人だ
日英米ではなく中英米+豪になることは明々白々としている。
もはや国際社会にとって日本の存在感など無いに等しい。
2008/01/14(Mon) 10:13 | URL | 佐藤真 #-[ 編集]
>砂糖神さん
ソースPLZ

言い逃げは良くないよ。
2008/01/14(Mon) 15:03 | URL | 三輪耀山 #X.Av9vec[ 編集]
スタグフレーション経済の戦犯
>日英米ではなく中英米+豪になることは明々白々としている。

北野幸伯さんが言う(悪の?)薩長同盟の中国は湾岸有事に備えて明らかに石油の備蓄を強化していますね。http://oilgas-info.jogmec.go.jp/sougou.pl?area=&baitai=&field=&freeword=lng&frommonth=12&fromyear=&tomonth=&toyear=&page=9&sort=registday&sortidx=1

▼米ーイラン一触即発 ロシア政治経済ジャーナルより
http://blog.mag2.com/m/log/0000012950/109338508.html

日本が石油備蓄で出遅れたのは経済産業省の行政指導の失敗が原因だと思います。その理由の根底にあるのはイラン戦争はないという怪情報にあります。そして、その真偽は今年中に判るのではないかと考えていますが、佐藤誠さんはどう思いますか?

私は米軍情報筋の意を受けた情報エージェントが戦争は発生しないと言う情報を意図的に流して石油価格高騰によって日本経済の打撃を狙ったのだと読んでいます。既に昨年の1月と比べて2倍を超える石油価格です。産業界の受けた尋常でない被害コストは消費者に転化されるはずです。
2008/01/14(Mon) 18:17 | URL | 柳生石舟斎 #nZ/sJ5a6[ 編集]
返信する
Unknown (Unknown)
2008-01-15 15:16:47
まだアングロ国家+中国・朝鮮が日本潰しに動いてる
って事をわからん奴が多すぎる罠。
慰安婦決議を見てるとどうやら欧州もそうかな。
馬鹿なのか現実を見ようとしないだけなのかはわからんが。
これから日本が組むべき相手はロシアや南米だろうに。
過去がどうであろうと国民感情がどうであろうと関係ないんだよ。
小泉改革はまさに日本の国力弱体化と英米資本の植民地化を狙ったものだろうが。
名目成長率の低迷で今や日本経済のシェアは10%を割ってる。
しかも今年度の予測では7%台に落ちると予想されてる。
94年には18%を占めてたのにだ。
ちなみに日本の07年度の名目成長率の見通しは0.8%、米国は4.7%、仏は4.1%だ。
一人あたりのGDPは為替の影響もあるだろうが2000年は3位だったものが今では18位まで落ち込んでる。
かつては5年連続世界一だった国際競争力もついにシナに抜かれて24位まで落ちてしまった。
日本弱体化はプラザ合意以降、米国の言いなりになった事から始まってるのは火を見るより明らかだろうに。
対日年次改革要望書しかり、日米投資イニシアチブしかり。
国内市場の衰退と共に外国はおろか自国の企業にまで相手にされなくなる時期はもうそこまで来てるぞ。
国力=軍事力=経済力=購買力って事を忘れるな。
下らんイデオロギーや好悪の感情だけで世界を見るな。
世界は常に利を求めて動くもんだ。
米国やシナの影響力の源泉は軍事力ももちろんあるが自国の消費市場なんだよ。
愛国者・右翼を自称してるやつらがなぜ小泉・竹中や
自民清和会・民主凌雲会と言った似非右翼の売国奴どもを崇拝してるのかよくわからん。

http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/
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