国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロシア側が並行協議方式での交渉の用意があると表明。北方領土問題は急進展するか?

2008年01月26日 | ロシア・北方領土
●北方領土 並行協議方式で交渉の用意 元ロシア駐日大使が見解 2008年1月25日 北海道新聞

 【モスクワ24日藤盛一朗】旧ソ連崩壊前後から二○○○年代初頭のロシアの対日外交政策の立案者として知られるパノフ元駐日大使(現ロシア外交アカデミー学長)は二十四日までに、モスクワで北海道新聞のインタビューに答えた。森喜朗首相(当時)が○一年のイルクーツク首脳会談で提案した、歯舞、色丹両島の引き渡しと国後、択捉両島の帰属問題を並行して交渉する並行協議方式について、「日本が戻ろうというのなら、ロシアが否定する理由はない」と述べ、交渉入りの用意があるとの認識を示した。

 並行協議は、小泉純一郎政権下の○二年三月、ロシア側の正式な拒否で頓挫したが、パノフ氏は「ロシアの拒否は、日本側が拒否したから。当時、小泉政権が『四島一括』の原則に姿勢を転換し、交渉基盤が崩れた」と強調。日本政府の一部にある「並行協議はロシア側が断っており、展望が持てない」との見方を打ち消した。

 パノフ氏は、森氏が昨年末、プーチン大統領に対し、イルクーツク声明(○一年)を基盤とする交渉を呼びかけたことを評価。同声明が歯舞、色丹両島の引き渡し方針を定めた日ソ共同宣言(一九五六年)を重要合意文書と位置づけ、四島すべての帰属確認方針を明記した東京宣言(九三年)も盛り込んでいることを踏まえ、「イルクーツク声明は、日ロが領土問題の対立を脱し、解決策を模索する具体的交渉の出発点となる」と述べ、交渉活性化に期待を示した。

 プーチン大統領の交渉姿勢については「領土問題解決を図る決然とした意思が際立っている」と説明。五月の発足が確実視されているメドベージェフ新政権の対日姿勢については「プーチン氏の基本政策が維持される」と説明した。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/72375.html








【私のコメント】
北方領土問題で歯舞、色丹両島の引き渡しと国後、択捉両島の帰属問題を並行して交渉する並行協議方式での交渉の用意があると元ロシア駐日大使が表明した。並行協議方式はかつて鈴木宗男氏が主張した方式であるが、1956年の日ソ共同宣言が歯舞色丹の返還のみを定めており日本側に国後択捉の領有権の根拠が薄いことを考えると全く正当な交渉方針である。折しも2月7日の北方領土の日が近づきつつあるが、日本政府は直ちにロシアと交渉に入り、四島との方針にはこだわらずに二島+αの線での合意を結ぶべきであろう。

今北方領土問題が解決されるならば、それは日韓関係に大きな影響を与えることになる。日本が抱える三つの領土問題のうち、尖閣諸島は日本の実効支配下にあり、北方領土問題が解決されれば、残る領土問題は竹島問題のみとなる。竹島の日本への帰属はサンフランシスコ平和条約によって確定しており、日本は韓国に対して竹島の全面返還を求めていくことになるだろう。そして、竹島問題を国家団結の象徴にしてしまった韓国では国民の間に強硬な反日感情が広まり、李明博新大統領が目指す日韓の友好関係樹立は完全に失敗することだろう。韓国では反日暴動が発生し、それを理由に在留日本人が全員韓国を脱出した後で北朝鮮が南進するというような、日本にとって非常に好ましいシナリオもあり得るかもしれない。

日本の政治家は表向きは李明博新大統領の友好的姿勢を大歓迎している。しかし、日本が第二次大戦での敗北という犠牲を払って韓国を切り離したことを考えるならば、新たな日本への事大ともいえるこの政策は日本にとって大きな脅威であり、何としても失敗させねばならないのだ。竹島問題は歴史認識問題と並んで日韓関係を対立させるための切り札であり、今こそそれを使うべき時であるように思われる。


ソ連のゴルバチョフ政権はドイツ統一と同時期に北方領土返還を考えていたが、日本側が断ったという噂がある。それが本当かどうかは分からないが、もし1990年代はじめに北方領土問題が解決されていたら、韓国でも竹島を日本に返還して良好な日韓関係を築き、それによって日本の衛星国の地位を獲得しようという外交戦略が採られていた危険性がある。竹島問題の解決を阻止するために北方領土返還が先送りされた、という可能性は考えておくべきかもしれない。

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16 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-02-09 20:00:44
ロシアが伊豆沖で爆撃体制に!

空自は二十四機のF15で緊急迎撃へ。

連山にあるロシアの対日包囲戦略の一環なのか?



国内の親ロ派は売国奴!
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北京オリンピックの歴史的役割 (Unknown)
2008-02-05 03:57:28
開催するが幾つかの競技が成り立たない。

http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080204/oth0802041600012-n1.htm

この人物もメンバーなのだろう。本番では文明転換に向けてかなり濃いプロパガンダになりそうだ。特に男子マラソンに注目されたし。
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Unknown (Unknown)
2008-02-04 22:47:53
イスラエル、イラン核施設を来年攻撃の可能性…米誌報道

 【ワシントン=宮崎健雄】米誌ニューズウィーク(電子版)は23日、信頼できるイスラエル当局筋の話として、イランが核開発をやめなければ、イスラエルが来年、イランの核施設を攻撃する可能性があると報じた。

 当局筋は同誌(24日発売)に対し、「2007年は外交努力でイランが(ウラン濃縮を)止めるかどうかを決断する年になる。今年末までに実を結ばなければ、08年は行動を起こす年になる」と指摘。同誌は、イラン政府が制裁措置に屈してウラン濃縮を止めるか、イスラエル軍を相手にするかは、今後3か月が決め手となるとした。また、イスラエルが今月、シリアで行った空爆は、北朝鮮がシリア経由でイランに移送中の軍事物資が標的だったとする欧州安全保障筋の見方も紹介した。

 ただ、イラン攻撃について、米国内では反対意見が大勢だという。イランが核爆弾を保有するのは早くても10年~15年になるとみられ、イラクなどに大部隊を展開させている国防総省は戦線の拡大を嫌っているとしている。
(2007年9月24日21時31分 読売新聞)
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Unknown (<以下引用>)
2008-02-04 12:30:56
<以下引用>
http://www.asyura2.com/07/lunchbreak9/msg/614.html

Q&A
Q 中国の電池メーカーの方「中国製品が悪いと日本で言われているようです。ちゃんとしたものを作ってますし金属原料も値上がりしています。納得できませんがどうすればよいでしょうか。充電電池は環境にやさしいですしより一層の普及をはかっていきたいです。(一部要約)」
A
昨今におきましてはマスコミによる中国製品バッシングが行われております。
20年くらい前には、アメリカで日本製自動車がハンマーでつぶされたりしているジャパンバッシングの映像が繰り返し流れていたのを思い出します。
当方といたしましては、中国製も非常によくなってきているという認識であり、なんとか取り扱いできないかなあと常々考えているという方向にございます。

自動車でも、日本製に技術的に追い越されるとき、もう暴力手段しかなくなると日本車をハンマーでつぶしてみたりといったことがアメリカでありました。半導体で日本がぶっちぎりに最先端をいっていた時期には日航ジャンボ機墜落
http://gray.ap.teacup.com/123ja8119/
が発生し松下のIT技術者17名をはじめ、各界で努力して先端を担っていた方々が亡くなりました。
たぶん、電池の分野でも、今、日本は中国に追い越されようとしていると思われます。技術的に競争できなくなってきたから他の製品をとりあげ、話を一般化して「中国製はだめだ」と中国バッシング始まるわけです。このようなことをしていては日本は技術面で敗退寸前といえます。アメリカが中国に接近しているのも単純に日本よりも中国のほうが技術的に優秀と評価しているからです。
日本人として大変悲しいことですが日本も昔のアメリカのようなことをし始めてしまいました。技術的なイノベーションのアイディアで競争すればよいのであってテロや暴力手段に訴えるのは愚の骨頂です。日本は今回の件を反省しなければなりません。
技術的に追い越していけば、価格主導権も握れますので、普及させて生活必需品にしてから価格を上げていくことが可能です。
先に普及させておいて必需品にしてから値を上げるという欧米の戦略を見習うことが肝心ですが中国にはそういった考え方があるのかわかりません。あえて、「普及促進価格でどうでしょうか」という意味での提案をしてみた次第です。普及期には、格安でばら撒いておき、数百回使った後の買い替え需要を狙うというのも欧米ではあります。値段もそのころはかなり高くできると思います。

日本車のバッシングの事例を振り返りますと、日本車バッシングされているときに日本車を格安でばら撒いたため、アメリカ人はもうアメリカ車には戻れなくなりました。
今回、中国バッシングされている期間中に「参りました」ということで安くばら撒いてシェアを握るのは大変有効です。今回の日本の愚かな「餃子案件」は、中国製品のシェアを高める絶好の好機です。(逆に、ここでチャンスを活かせないようなら中国の未来も明るくないかもしれません。頭の良し悪しが試されていると思います。)日本では「損して得取る」とか「死んだふり戦術」とか言います。
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Unknown (Unknown)
2008-02-04 11:42:18
日本が米国による植民地化・奴隷化=某構造改革を免れる為には対ロ関係が一番重要になって来る罠。
エネルギーや安保の面で。
プーチン院政下である限りロシアは反新自由主義、反ユダヤ資本だから好都合だしね。
次に重要なのは反米でまとまってる南米だな。
もちろん米国の傀儡である日本の朝鮮・韓国系=清和会・凌雲会・マスコミ・創価・統一協会はその逆をいくだろうね。
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Unknown (Unknown)
2008-02-03 14:49:01
日本の理数系が知らないワールド・アカデミー

「大東亜戦争とスターリンの謀略-戦争と共産主義(三田村武夫著/自由選書)」
 
 昭和二十五年に民主制度普及会から刊行されたものの、余りにも衝撃的な内容であった為、GHQによって発禁処分にされた「戦争と共産主義-昭和政治史秘録」の復刻版。これこそ東京裁判史観を覆す比類無き名著であることは、馬場恒吾(読売新聞社長)や、岸信介(元首相)すらこれを読んで驚愕絶句したことから明白である。
 

 岸いわく、

 「知友のラジオ日本社長、遠山景久君が、某日、『岸先生、大変な本を見付けました。是非第一読下さい』と持参されたのが、この三田村武夫氏の著書であった。読む程に、私は、思わず、ウーンと唸ること屡々であった。

 支那事変を長期化させ、日支和平の芽をつぶし、日本をして対ソ戦略から、対米英仏蘭の南進戦略に転換させて、遂に大東亜戦争を引き起こさせた張本人は、ソ連のスターリンが指導するコミンテルンであり、日本国内で巧妙にこれを誘導したのが、共産主義者、尾崎秀実であった、ということが、実に赤裸々に描写されているではないか。

 近衛文麿、東条英機の両首相をはじめ、この私まで含めて、支那事変から大東亜戦争を指導した我々は、言うなれば、スターリンと尾崎に踊らされた操り人形だったということになる。
 
 私は東京裁判でA級戦犯として戦争責任を追及されたが、今、思うに、東京裁判の被告席に座るべき真の戦争犯罪人は、スターリンでなければならない。然るに、このスターリンの部下が、東京裁判の検事となり、判事をつとめたのだから、まことに茶番というほかはない。

 この本を読めば、共産主義が如何に右翼、軍部を自家薬籠中のものにしたかがよく判る。何故それが出来たのか、誰しも疑問に思うところであろう。然し、考えてみれば、本来この両者(右翼と左翼)、共に全体主義であり、一党独裁・計画経済を基本としている点では同類である。当時、戦争遂行のために軍部がとった政治は、まさに一党独裁(翼賛政治)、計画経済(国家総動員法→生産統制と配給制)であり、驚くべき程、今日のソ連体制と類似している。ここに、先述の疑問を解く鍵があるように思われる。

 国際共産主義の目的は、この著書でも指摘しているように、大東亜戦争の終結以降は筋書どおりにはいかず、日本の共産化は実らなかったものの、国際共産主義の世界赤化戦略だけは、戦前から今日まで一貫して、間断なく続いていることを知らなければならない。往年のラストボロフ事件、又、最近のレフチェンコ事件などは、ほんの氷山の一角にすぎないのであろう。これを食い止めるには、自由主義体制を執るすべての国家が連帯して、自由と民主主義をがっちりと守り、敵の一党独裁・計画経済に対するに、複数政党・市場経済の社会を死守することである。

 私は、私自身の反省を込めて、以上のことを強調したい。また、このショッキングな本が、もっともっと多くの人々に読まれることを心から望む次第である。」
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Unknown (Unknown)
2008-02-03 14:20:11
毒入り餃子はKGBの工作だった | 2008/02/03 14:18
http://shadow-city.blogzine.jp/net/2008/02/post_2fde.html


日本人はメディアと外国諜報機関による陰謀テロに本当に弱いな。オウムの背後と同じでKGBだよ!
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追加 (けんじ)
2008-02-03 13:41:41
国の対ロシア外交は史那とセットで考える必要があると私は思う。日露戦争の時何故史那は中立を保ったか?
これが不思議であった。義和団事件が大きな打撃を史那に与えただろうか?
 我国は沿海州の開発をする必要があるが、此処はもともと満州族の土地であったが、今は史那人と朝鮮人がのさばって居る。
之をどうするか。
難しい問題があるが、もう少しロシアが困るまで待ったほうがいいだろう。トヨタもペテルスブルグに色目を使ってはいけないトオモウが、我慢ということか、とぼけるということが出来ない我々は山本五十六氏と同じだろう。
あしたがアルヨ、日はまた昇るよということが判らないし、そのような余裕もない。戦争で言うと予備師団がないということである。
かくし金がねがないということである
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寝言 (けんじ)
2008-02-03 10:28:41
ポツダム宣言をよく読むと北千島まで我国の領土であるし、南樺太も我国の領土である。ソ連(ロシア)に占領されているに過ぎない。
 ではロシアはどの様に考えているか。
私は解決をつける気もないとみている。
ソ連が崩壊した時、北千島まで占領することであったしそれが出来るような、心構えと、気迫の持続が終戦後から,つずいている必要があった。後は説明の必要はないだろう。
戦後のソ連、ロシアとの交渉を見れば、奴等が何を考えているか手に取るよう判るではないか。
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北方領土返還実現のためには (Aletheiajp)
2008-02-01 01:41:53
 北方領土返還実現のためには、(アルメニア人大虐殺事件を起こし、謝罪すらしていない)トルコに対する支援をやめることである。
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Unknown (通りすがり)
2008-01-31 16:14:51
日本には領土問題は2つしかありません。

「現実的北方四島奪還戦略」佐藤優
http://jp.youtube.com/watch?v=vaafDyMCrHo
http://jp.youtube.com/watch?v=q17e3jq3hYs
http://jp.youtube.com/watch?v=lgLeSI6UfRU
http://jp.youtube.com/watch?v=T7PgtXMihkE
http://jp.youtube.com/watch?v=CACZ5NhTzF4

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Unknown (Unknown)
2008-01-29 20:18:28
ロシアのエネルギー戦略
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/alacarte/nedo.html

連山で特集されていました。
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Unknown (Unknown)
2008-01-27 18:34:41
日本の抱える領土問題は2つです。3つではありません。
尖閣諸島領有を巡る、所謂中国側の難癖については日本政府はこれを領土問題と認めてもいませんし、それを日本人が問題として取り上げるようになる事自体が中国の戦略です。
もともと在りもしない勝負にカードを用意してやる必要はありません。
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Unknown (湘南リーマン)
2008-01-27 15:47:26
ますますJJの予知夢が現実に近づきつつあるな。
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Unknown (のらくろ)
2008-01-27 01:05:11
択捉島内に国境というのは絶対に避けたいところ。海洋国家にとって国境は邪魔なだけ。

むしろ中東の問題児イスラエルかパレスチナの引っ越し先に択捉全島というのはどうか。どちらも北朝鮮のような利害関係が、少なくとも日本にとってはないから。
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Unknown (沖ノ鳥島)
2008-01-26 23:55:58
北方領土については、二島+αもOKです。個人的には、沖ノ鳥島を埋め立てて海上保安庁等の職員を常駐すべきと思います。2009年5月までに行ってほしいものです。沖ノ鳥島(領土、領海、領空、排他的経済水域、大陸棚)を守るポーズを、ロシア上層部、特にプーチン氏に示すのです。今の日本政府に出来るかどうか、微妙ですが。
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