国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

尖閣問題の経緯と米国の思惑

2010年09月24日 | 中国
『1969年および70年に行なわれた国連による海洋調査で、推定1095億バレルという、イラクの埋蔵量に匹敵する大量の石油埋蔵量の可能性が報告され、結果、周辺海域に石油があることがほぼ確実であると判明すると、ただちに台湾がアメリカ合衆国のガルフ社に周辺海域の石油採掘権を与えるとともに、尖閣諸島に上陸し「青天白日旗」を掲揚した写真を撮らせ世界中の通信社に配信したため、日本政府が抗議した。』『1971年6月に台湾、12月に中国が相次いで領有権を主張した。』とのwikipediaの記述は重要である。ガルフ社の石油開発権取得は当然ながら米国政府の意向を受けていると思われる。また、台湾が米国の意志なしに尖閣諸島の領有権を主張するとは考えにくい。尖閣諸島の領有権問題は、北方領土問題と同様に、米国が中心となって作り上げたものである、という認識を持つことが重要である。その目的は、日本・台湾・中国の間に領土問題を作り出すことによりこれらの国々の団結を阻止することにあると思われる。  現在も米国の意図は変わっていないと思われる。米国は「尖閣諸島は日米安保条約の対象である」とは明言しているが、沖縄返還前は尖閣諸島を米軍射撃場として利用していたにも関わらず、現在の帰属については関与しないという、同盟国としては背信的な行動をとり続けているのだ。米国は味方であるという安易な幻想は捨て去って、冷徹な国際政治の現実を見据える必要がある。  米国は元切り上げ問題で中国に圧力をかける目的でこの問題を利用していると思われ、11月2日の中間選挙までは問題解決は無理だろう。上海閥は北京閥を弱体化させる目的があると思われ、その節目は10月に開催される五中全会で胡錦濤国家主席の後継の最有力候補とされる習近平国家副主席が軍の要職である中央軍事委員会副主席に選出されるかどうか、ライバルの李克強がどうなるかが焦点だ。習近平は上海閥、李克強は団派(北京閥)の様である。日本としては、船長を日本の法律で適正に処分するという点は絶対に妥協してはならない。11月3日以降に執行猶予付きの有罪判決を裁判所に出して貰って国外追放、というのが現実的な落とし所ではないかと思われる。それまでは、レアメタルの輸出停止や日本人駐在員の拘束などの恫喝に決して屈してはならないだろう。 . . . 本文を読む
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