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子宮頸がんワクチンの接種・・・積極的推奨を暫く止める厚生労働省

2013-06-19 16:43:00 | 危険なワクチン
 

■ 実は接種してもしなくても、検診が必要な子宮頸がんワクチン ■


子宮頸がんワクチンの接種には何かと問題が付きまといます。

問題の本質は、このワクチンで全ての子宮頸がんが予防出来る訳では無く、
結局をリスクを減らす為には、早期診断との組み合わせが有効で、
早期発見による治癒率の高い子宮頸がんは、そもそも怖い癌ではありません。
さらに、ヒトパピローナウィルス以外の発癌要素もあり、
結局、子宮頸がんワクチンは、女性の癌でも割合の高く無い子宮頸がんの
ある一部のリスクを低減させるだけの効果しか持っていません。

そもそもこのワクチンが注目されたのは、
初めてワクチンで癌の予防が可能になったという話題性による所が大きく、
結局、検診による早期発見との組み合わせでしか機能しないワクチンは、
接種しても、接種しなくても、子宮頸がんによる死亡率はそれ程変わらないのです。

ところが、欧米で半ば強制的な接種が行われ、
それに追随する形で、日本でも厚生労働省が積極的に接種を推奨しました。

■ 重度な副作用が8人、その他にも原因不明の痛みを訴える人も ■


私は子宮頸がんワクチンの接種の推奨があまりにも強引なので、
最初の頃は、このワクチンは何か良からぬ目的を持っているのでは無いかと疑いました。
丁度、スクワレンアジュバンドの副作用が問題になっていた頃で、
子宮頸がんワクチンは「不妊化ワクチン」などとの噂もありました。

しかし、子宮頸がんワクチンに使用されているアジュバンドは、
どうやら、スクワレンでは無いようで、その点の疑惑は薄まっています。

一方、ワクチン接種には当然のリスクとして副反応が伴います。
有名なものではギランバレー症候群などが挙げられますが、
最悪は死亡したり、重度な後遺症に苦しむケースが発生します。

頸がんワクチンでも、国内で意識障害が3例、
ギランバレー症候群が5例確認されています。
さらには、原因不明の痛みを訴える例も報告されています。

海外では、死亡例も報告されていて、
当然の事ながら、ワクチンの接種にはリスクが伴います。

リスクとメリットを秤に掛けて、メリットが大きい場合、ワクチンの接種は推奨されます。
例えば、伝染性が高く、致死率の高い鳥インフルエンザが流行したならば、
ワクチンのメリットはリスクを遙かに上回るので、ワクチン接種は推奨されます。


一方、日本ではお馴染みの結核の予防接種であるBCGは、
発癌の可能性が指摘されています。
結核はかつては、死の病でしたが、現在は抗生物質で簡単に治療出来ます。
ですから、結核による社会的脅威は非常に低く、むしろ癌のリスクが問題になります。
さらに、BCGの有効期限は十数年で、
子供の時に接種しても大学生くらいになると免疫は失われます。
近年、お笑い芸人の間や大学生の間で結核が流行する背景には、
免疫の有効期限が過ぎているという問題がるのです。
こうなると、結核の予防接種に対するメリットは減少します。
欧米では、既に結核の予防接種を中止した国もあります。

この様に、リスクとメリットを比較した場合、
子宮頸がんは空気感染する訳では無いので、
欧米の一部の国の様に、強制的に集団接種させる様なワクチンでは無い事は明確です。

アメリカではそろそろ製薬会社と政治家の癒着が取沙汰されていますが、
日本は欧米にかなり遅れて、厚生労働省が積極的な接種を推奨し始めました。

■ 副作用報告を重視して、積極的な推奨を一時中断する厚生労働省 ■

厚生省は重篤な副作用の発生を重視して、頸がんワクチンの積極適推奨を一時中断します。

「子宮頸がんワクチン接種、推奨中止…副作用報告」(読売新聞 2013.06.14)

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130614-OYT1T01159.htm

<全文引用>

子宮頸けいがんワクチンの接種後に体の痛みや歩行障害などの重い副作用が表れている問題で、厚生労働省は14日、「積極的な勧奨を一時的に差し控える」と発表した。


 同日の有識者検討会の議論を受けたもので、同省は、自治体から各家庭への接種の案内を控えさせる通知を都道府県に出した。こうした対応は2005年の日本脳炎ワクチン以来2例目で、極めて異例だ。

 副作用の頻度は少ないものの、原因不明の慢性的な痛みを訴える例が複数報告されていることを重視し、国民にリスクをわかりやすく説明する情報を整理するまでの暫定措置という。

 予防接種法で定められている定期予防接種は、その重要性から国が接種を勧めている。自治体などから各家庭に通知が届き、ほとんどは無料で受けることができる。

(2013年6月14日23時48分 読売新聞)

<引用終わり>

■ 年間数千人の命を救うという皮算用 ■

子宮頸がんワクチンは高価なワクチンで、3回接種する必要があるので、
病院も製薬会社も利益が大きく、積極的に接種を推奨しました。

自治体が補助金を出す所も多く、行政を巻き込んで、ワクチン接種が推奨されました。

その結果が、複数の重篤な副作用の発生に繋がりました。
8人という人数が、多いのか少ないのかは私には分かりません。

先日は、ワクチン摂取後2日目に中学生が亡くなっています。
ワクチンとの因果関係は不明ですが、心臓に疾患を持っていた様です。

この様に、危険の伴うワクチン接種が正当化される理由は、
年間数千人の命を救うとされているからです。

しかし、実際にはワクチンの効用がいつまで継続するかは不明で、
結局、免疫が消失した後の感染による発癌を防ぐ事は出来ません。
はたして、年間数千人という数は実態に即しているのかも気になる所です。

例えば、14歳で接種して、30歳で効果が失われたとします。
その後の感染による慢性的な炎症が癌に発展するリスクは普通に存在するのです。

子宮頸がんワクチンの癌の予防効果は多分過大に見積もられ過ぎています。

■ 放射線と合わせ鏡のワクチン接種 ■

風島原発事故による放射性物質による癌の死亡者は将来的にもゼロに近いでしょう。
福島の子共達の甲状腺のスクリーニング検査で癌が発見されていますが、
対象群とされている長崎などの別の地域での癌の発生率の方が高かったりします。

これは大規模なスクリーニング検査によって、本来見つかる事の無い、
潜在的な癌が発見されているだけで、本来はもっと成人してから癌が大きくなり、
甲状腺にシコリが発見されて、癌と診断されるケースだと思います。

既に、成人しているので、小児甲状腺癌とは分類されません。
スクリーニング検査は本来存在しない小児甲状腺癌を作り出しているとも言えます。


実は、福島原発事故と、子宮頸がんワクチンの事件は合わせ鏡の様な現象です。

方や、リスクは非常に低いのですが、
受動的リスクの為に人々はそのリスクを徹底してゼロにしろと主張します。

一方、子宮頸がんワクチンの場合、メリットが存在するので、
人々はワクチン接種の副反応を無視する形で、
自ら進んで、そのリスクを受け入れます。


生物はリスクを非対称に判断する事で、生き延びてきたので、
この事自体は悪い事ではありません。

ただ、リスクというものの本質を考えた時、
福島の現状に、もっと別の視点が生まれるのでは無いかと思ってしまいます。


■ ワクチンの必要性 ■

子宮頸がんワクチンの騒ぎが大きくなると、様々なワクチンに疑問が生じてきます。
しかし、例えば、風疹のワクチンは必要なのでしょう。
伝染性が高く、妊婦が罹患した場合、胎児に障害が出るので、
これは必要なワクチンと言えるでしょう。

ただ、ハシカにしても水疱瘡にしても風疹にしても、
昔は子供の内にしかり感染して、一生の免疫を獲得しました。

これらの病気は子供の頃掛かれば症状は軽いのですが、
大人で掛かると、重症化したり胎児に影響が出たりします。

最近、大人になって水疱瘡に掛かる人も増えています。
ワクチンによる仮初の免疫では、再罹患する可能性もあるのです。

アメリカでは幼児に大量のワクチンを接種しますが、
なんだか、人間が本来持つべき免疫がどんどん失われる気がしてなりません。
人が動物から進化していると言えばそれまでですが・・・。


<追記>

■ 日本人には殆ど効果が認められないワクチン ■


この国会での質疑は全国民が見る必要がるでしょう。
子宮頸がんワクチンは、ほとんど日本人の子宮頸がんに効果が無い事が明らかにされています。

il-manoのアロマでサンバ
助産師のアロマテラピーiL-MANO


http://ameblo.jp/il-mano/entry-11503090402.html

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=yUZEm5JRvjM
国家での質疑の内容のYoutube動画

<引用開始>

2013.3.28の厚生労働委員会質疑の模様です。

 先日定期予防接種になった子宮頸がん予防ワクチンについての事実です。

 日本で現在認可接種されているワクチンはガーダシルとサーバリックスの2種類です。

 どちらも、16型と18型のHPVに対するワクチンです。

 ここで質疑を見てもらうと、

 日本人の一般女性でHPVの16型に感染している人は0.5%、18型に感染している人は0.2%だと厚労省が発言しています。

 99.5%の人は感染していないウィルスのためのワクチンだったんですね。

 さらに副反応については、

 インフルエンザワクチンに比べて、

 サーバリックスは38倍 そのうち重篤な副反応は52倍

 ガーダシルは26倍 そのうち重篤な副反応は24倍

 こんなにも多いんです。

 また子宮頸がんについても、

 HPVウィルスは性活動のある女性の50%は感染し、感染しても90%以上は自然に排泄されると認めています。

 その上、適切に治療すれば治癒率はおおむね100%と発言されています。

 つまり、HPVはありふれたウィルスで多くの人が感染し、感染しても90%以上は自然に排泄してしまうもの。

 仮に持続感染しても適切に治療を行えばほぼ100%治る。

 このウィルスのなかのしかも99.5%の人が感染していないタイプのウィルスに対して、インフルエンザワクチンの何十倍もの副反応が出るワクチンを打つという事はどういう事なんでしょう?

 しかも対象は小学校6年生から中学生、高校生。

 10代の若い女の子に打つわけです。

 厚労省が認めたこの事実をあなたはどう考えますか?

<引用終わり>


助産師の方で、この問題を真剣に取り上げている姿勢に感服いたします。

私もこのワクチンは「怪しい」と思い、その効果には疑念を抱いていましたが、
これ程までに効果の無いワクチンの接種を推奨し、
そして、インフルエンザワクチンの52倍もの重篤な副反応の被害者を生み出した
厚生労働省の責任は、免れ得ないものだと思います。

導入時点で、多くの人達が既に警鐘を鳴らしていたにも関わらず、
「陰謀論」と切り捨てたせその責任は誰が取るのでしょうか・・・。


上の動画の拡散を望みます。

落下系男子との恋物語・・・有川浩 『植物図鑑』

2013-06-19 04:39:00 | 
 



■ ヘクソカズラ(屁糞蔓)とはあんまりだ・・・ ■

上の写真の花の名前をご存知でしょうか?

普通にそこら変のフェンスに絡まっている蔓草(つるくさ)ですが、
初夏にベル状の小さな白い花を咲かせます。
花弁の中心は、品の良い紅色。

この花の名前は「ヘクソカズラ」と言います。
漢字で書くと、「屁糞蔓」。

何故、こんなにカワイイ花が屁糞なのとお思いでしょう。
実はこの花、茎や葉を折ると、その汁が強烈に臭いのです。
手を石鹸で洗っても、ちょっとやそっとじゃ臭いが落ちない。
だから付いた名前が「ヘクソカズラ」

有川浩の『植物図鑑』はこの花のエピソードから始まります。

上司と外回りをしているOLの「さやか」は、駐車場のフェンスに咲くこの花を見つけます。
部長も可憐な花に目を留め、この雑草は綺麗だねと言います。
「雑草という名前の草はありません。この花はヘクソカズラと言います」と応じる彼女に、、
「うら若い女性の口からそんな言葉が・・・」と部長はビックリします。

「雑草という名の草はありません」と言ったのは、昭和天皇だとか・・・。
素晴しい言葉です。

■ 本が消えた・・・ ■



娘の部活には、有川浩好きが居る様で、時々ハードカバーを借りて来ます。
『植物物語』も先日娘の机の上のあったので、ちょっと拝借して読み始めました。
これが、とても面白く、100ページくらい読み進んだのですが、
次の日、本は我が家から消えていました。
そう、娘た友達に返してしまったのです。

こうなると、どうあっても続きが読みたい・・・
かと言って、100ページ読んだ本を新品で買うのは勿体無い・・・。
そこでブックオフに行くと、文庫版が400円で売られていました。
これなら丁度100ぺージ分のディスカウントです。
早速、購入して読書再開。

■ 落下系男子との恋物語 ■

OLのさやかは、飲み会から帰宅した時、玄関先に落ちている男を発見します。
恐る恐る、男に話しかけると、彼は行き倒れだと告げます。

「お嬢さん、よろしかったら俺を拾ってくれませんか」
「噛みません、躾けのできた良い子です。」

そういう男に、酔いも手伝って、ついついさやかは男を拾ってしまいます。
翌朝、目が覚めると、部屋には味噌汁の良い香りが・・・
自炊なんて、めったにしない彼女の冷蔵庫には、
腐りかけの玉ねきと味噌と卵しか入っていません。
男は、それだけの材料で、美味しい味噌汁とオムレツを作ったのです。

さやかの胃袋は、鷲掴みにされてしまいます。

こうして、さやかと、行き倒れのイケメン樹(いつき)との奇妙な共同生活が始まります。
さやかが家と食費を提供し、樹が家事を担当する。
昼間はさやかが会社で働き、夜は樹がコンビにでバイトをする。

こうして粗筋を書くと、なんだか典型的な「落下系」のお話。
漫画やラノベでは、ヒロインは往々にして空から降ってくる。
主人公の男子は、最初はビックリするけれど、
天真爛漫な美女にすぐに心奪われて、同居する事に・・・。

この「落下系」のお話を、少し現実的にして、
落ちてくるのを美女から、イケメンに変えただけ・・・。

作者自身、後書きで「リアル落ち物女子バージョン」がコンセプトと書いており、
ラピュタみないな話を、イケメンでリアルにやりたかったみたいです。

■ 川原に生えている草を食べる?! ■

拾った男は優秀でした。

家事万能。
料理は上手い。
おまけに礼儀正しく、
そして、いつもさやかに優しい。
・・・さらに、さやかに手を出す事は絶対しない・・・。

もう、現代女子が理想とする男性像がこれでもかという程、てんこ盛り。

さらに樹には隠れた才能が・・・
それは、彼が植物に異常に詳しい事。まさに歩く植物図鑑。

休日になると二人は自転車で近くの川に出かけています。
都会を流れる川の川原や土手には様々な雑草が生えています。
その一つ一つに名前があり、中には食べられるものもある事を樹はさやかに教えます。
樹は季節季節の食べられる野草をさやかと採り、そして様々な料理でさやかを感激させます。

フキは天ぷら、炊き込みご飯、きゃらぶき、ぼっけ味噌に。
ノビルとセイヨウカラシナはパスタに。
イタドリは炒め物に・・・。

こうして、さやかは休日に樹と「狩」に出かける事を楽しみに日々をすごします。
野草たちは、日々の食卓を彩るだけで無く、さやかのお弁当にも入っています。

そんな日々を過ごすうちに、さやかのハートはもう樹に鷲掴みにされています。
でも、苗字も素性も言わない、行き倒れの男との距離は近くて遠い。

そんな、二人の恋の行方は・・・・・


■ ベタ甘な恋愛が読みたければ、有川浩に限る ■

粗筋を書いているだけで、こっちが赤面してしまいそうです。

でも、多分、いまどきの繊細な女子の理想の恋愛感って、こんな感じなのかも知れません。
もともと、携帯小説の形で発表された作品なので、若い女性がターゲットです。

作者が読者のニーズに応える事が良い事かどうかは意見の分かれる所です。
純粋に文学を志す人からすれば、こういった小説は好ましくないと判断されます。

一方、漫画やライトノベルは読者の反応が、作品の内容を変化させます。
ジャンプの人気投票システムではありませんが、
どうしたら、読者の人気が継続的に得られるかのマーケッティングは綿密です。
ライトノベルもシリーズを長続きさせる為には、読者の反応が重要です。

この様なジャンルを日常的に読んで育った現代の作家達は、
「どうしたら読者が喜ぶか」というツボを良く心得ています。
そして、読者が喜ぶ作品は、自分自身が読みたい作品である事が彼らのパワーの源泉です。

だから、読者の若い女性が「ベタ甘」な恋を望むなら、
さまざまなフレイバーのスイーツを提供します。
そして、それが作者自らも、読みたい作品なのです。

有川浩の作品の男女の恋は、いつも「ベタ甘」です。
好きなのに、なかなか言い出せずに、
ぶっきっちょうな優しさだけしか相手に示せない男女。
でも、意外と現実の世界でも、イケテない男女の恋なんてこんな感じかも知れません。

そんな少女マンガ的な「ベタ甘」の恋を書かせたら
有川浩は最高のパテシエかも知れません。

■ 全ての草には名前がある ■



上の写真は私が中学2年の時、お年玉で買った植物図鑑です。

日本の植物学の大家、牧野富太郎博士の『牧野 新日本植物図鑑』。
初版は昭和36年です。
私が持っているのは第15版で、昭和42年発行。

1万円を超える本でしたので、新品は買えずに、
生まれて初めて神保町の古本屋に足を踏み入れました。
6千円という値段が、奥付きにスタンプされています。

植物好きの私は、この本にはずいぶんお世話になりました。
高校時代は野山に出かけては、植物採集をしていました。
新しい草花の名前を一つ覚えるのが楽しくて、
片道切符で、房総の方までも出かけていました・・・。

大学時代は下宿先が山に近かったので、
それこそ食べられそうな山菜を取っては、
図鑑で食べられると書いてあれば食べてみたりもしました。

「雑草という名の草は無い。全ての草に名前がある」とは昭和天皇の言葉だそうですが、
道端に生えていて、名前が分からないものがある事は私にとっては気持悪い事でした。

なんだか、樹君に、若かりし頃の自分が重なってしまって、
50歳も近いのに、電車の中でニヤニヤしながら「植物図鑑」を読んでしまいました。



そんな私ですが、マンションのフェンスに絡むヘクソカズラを天敵の如く引き抜いています。
花はカワイイのだけれど、やはり見た目は、雑草なんですよね・・・臭いし・・・。




三橋貴明には気をつけろ・・・「日本はこんなもんじゃない」という幻想

2013-06-18 04:51:00 | 時事/金融危機
 

■ 経済論では無く、「日本は韓国や中国より優れている」と証明したいだけ ■

三橋氏は、「韓国経済崩壊論」でネットから登場した人物です。

彼は経済学者では無く、中小企業診断士が本業の様ですが、
実は「三橋貴明」というのはペンネームなんだそです。

彼の「経済論」の目的は、「日本は韓国や中国より優れている」と証明する事の様に思えます。
それが、長引く景気低迷で悲観的になっている若者の心に希望を植え付けるのでしょう。
同時に、ネトウヨ的な現在の風潮にシンクロして支持を拡大します。

経済学者や経済を専門に学んだ人達は、議論がかみ合わないので無視していますが、
安倍総理に影響を与えている事などを考えると、彼の影響力は小さくはありません。
むしろ、ネットでの支持は高く、政治に興味の無かった若者を自民党支持者にしています。

■ 経済学の美味しい所をツマミ食いする合成経済学 ■

彼の「経済学?」は、現存の経済学の美味しい所を合成して出来上がっていますが、
都合の悪い所は、あえて無視する事によって独特の体系を作り上げています。

その最たる物が、「自国通貨建ての内国債は破綻しない」というものですが、
高率のインフレを「破綻では無い」とする事のスリカエでしかありあません。

国家や中央銀行は国民に対して責任を負う立場にあるので、
通貨や国債の信用を失う政策は普通は取りません。

しかし、政治家や政党は人気取りの為に、大衆迎合の政策に陥りがちで、
国債を増発したり、通貨を大量に発行して古来より財政破綻を繰り返しています。

その反省の元に、現在の中央銀行制度は成り立っており、
政府から独立して通貨を管理する事で、通貨の信用が損なわれる事を防いでいます。

現在の世界の経済は密接に絡み合っているので、
ドルかユーロか円のいずれかが崩壊しても、
世界経済はパニックに陥り、通貨が紙でしか無い事が急激に意識されます。

ですから、IMFは各国の財政状況や債務残高に口出ししますし、
通貨の信用を軽視する国は、徹底的に糾弾され、市場ではその国の通貨が暴落します。

■ ケインズが天国で嘆いている ■

三橋氏に限らず、リーマンショック以降、クルーグマンなどケインズ派が復活しています。

ケインズは「不況に際しては国家が財政出動して景気を下支えするべきだ」と主張し、
実際に世界恐慌の時には、アメリカではニューディール政策が実行されました。

ケインズ経済学は戦後も主流派でしたが、
各国の財政赤字が拡大した事で、だんだんと新古典派に主流の座を明け渡して行きます。

新古典派、特にシカゴ学派は、「市場原理を重んじる事で、経済は自律的に成長して行く」と主張し、
アメリカやイギリスでは金融革命という名の下に、様々な規制が撤廃されて行きます。
その結果、市場は不必要なまでに拡大し、自己崩壊を起します。
これが、リーマンショックです。

シカゴ学派の生み出した金融革命が失敗に終わると、
ケインズ派が再び台頭してきます。
「中央銀行に大量の通過を供給させて崩壊を防げ」と主張します。
さらに「政府は需要創出の為に財政を拡大しろ」という主張も高まります。

しかし、ケインズ政策の行き着く先にケインズは自覚的です。
結局破綻する事を彼は知っています。

だから彼は「アニマルスピリット」に期待し、
野心によるイノベーションが経済を活性化させると述べたのでしょう。
ですから、規制緩和や構造改革の元祖もケインズだと言えます。

■ アニマルスピリットをあえて無視する三橋経済論 ■

三橋貴明氏の経済論の不自然な所は、市場原理を軽視しているところです。

1) 日本国債の保有者は日本の金融機関だから、
   日本国債の金利が上昇しても日本国債の投売りは発生しない。

2) 世界経済の危機が深刻化したら、安全資産として日本国債が買われる

3) 金融危機が発生したら、景気が後退するのだから国債金利は低下する

三橋氏の主張は、ある意味において常識的です。
しかし、一方で想定外の危機を無視しています。

ケインズの言う所のアニマルスピリットは、人の欲望が経済の不安定化の要因で、
アニマルスピリットによって、非合理激な決断が為される事がるというものです。

アニマルスピリットが無ければ、経済は縮小し活力を失いますが、
アニマルスピリットが時として経済に回復不能なダメージを生み出します。

市場参加者は、普段は「日本国債は安全だ」と判断しています。
しかし、異次元緩和で混乱が発生した様に、
需給バランスが崩れる様な事態が発生すれば「日本国債は危険だ」と判断するはずです。

国債市場で巨額の資金を運用する担当者は、
金利が上昇し始めれば、損失が拡大するので、どこかの時点で国債を売却せざるを得ません。
本当は皆が売らなければ、金利上昇も抑制されますが、
市場を恐怖が支配すると、個人の合理性が優先され、合成の誤謬が発生します。

「誰かが売り抜けたら、自分が損失を被る」・・・これが市場原理です。

三橋氏が「日本国債は破綻しない」と主張する背景には、
危機に際しても、日本国債の市場参加者達は、市場にとっての合理的判断を下し、
個人の合理性を抑制出来ると信じているのです。

はたして「自国通貨建ての内国債」は崩壊しないのか、
私は日本国債市場で実際に運用を担当されている方に伺ってみたいと思います。

尤も、実際の運用は、もっとテクニカルな理論に基づいていて、
現状は「暴落」などというリスクは想定外なのでしょうが・・・。


■ いざとなったら日銀が日本国債を全部買えば良い ■

三橋氏は「日本国債が暴落したら日銀が全量買い取れば良い」と言っています。

1) 日銀の金利収入は国庫に返納される
2) 政府が国債を発行して、日銀が引き受ければ事実上国債金利は発生しない
3) 財政が拡大したら、その分日銀が引き受ければ良い

確かにその通りなのですが、これは政府通貨と同じ事になり、
政府が経済規模に応じて通貨を直接発行する事と何ら変わりありません。

「実は政府通貨が何故いけないのか?」という疑問に、誰も正しい解答は出来ないと思います。
政府が十分に自制的であるならば、通貨の不必要な増刷も避けられるはずです。
もし、政府通貨が許されるのであれば、政府は財政赤字を気にせずに、
必要と思われる量の通貨を自分で発行して、公共事業を推進する事も出来ます。

しかし、実際の世の中では、政府通貨は通貨システム最大のタブーとされています。
政府が勝手に通貨を発行したら、民主主義の元では人気取りの為に
政府は財政を拡大してばら撒きを続け、結局はインフレを招くとされています。

同時に、国内の通過量がどんどん増えて行くので、為替が下落します。
これも輸入価格の高騰を招き、結局はインフレを助長します。

実際にジンバブエなどはこのケースに近く、
自国通貨建ての内国債を大量に発行してそれを中央銀行がファイナンスしています。
その結果がどうなったかと言えば、ハイパーインフレが発生しています。

三橋氏は日本は供給力が有り余っているのだからインフレは発生しないと主張します。
しかし、日銀が国債を直接引き受けたと市場が判断すれば、
将来的なインフレを予測して、金融機関は手持ちの国債を手放そうと必死になります。
金利が極端に低い国債を保有し続けていては、金利上昇局面で損失が拡大するからです。

かくして、日銀が銀行などが保有する国債も市場から買い上げる事になり、
市場に一気に円があふれ帰ります。

この状況を見て国民は判断するでしょう?
私なら、預金を引き出して、現物で価値を保存しようとします。
皆が同じ行動に出ると思われるので、銀行はシャッターを開ける事が出来なくなります。
所謂、「取り付け騒ぎ」が発生し、預金封鎖が実行されるでしょう。

「日本国債が暴落したら日銀が全量買い取れば良い」などという発言は、
責任ある大人の発言とは思えません・・・。

これを口に出来るのは、「中央銀行制度はロスチャのシステムだから破壊しろ」と主張する
ちょっと頭のネジの緩んだ、私の様な陰謀論者だけです・・・。
あるいは、ロン・ポールの様な、過激なリバタリアンでしょう。

■ 高橋是清の政策を理解していない三橋貴明 ■

「昭和恐慌の際には高橋是清が日銀に日本国債を直接買い取らせたがハイパーインフレは起きていない」

これも三橋氏がよく使う言葉です。

1) 当時の国際市場は未発達だった
2) 日銀は買い取った国債を、再び売却してインフレを抑制していた。

この事実は無視です。

現在の日本国債市場は規模も大きく、取引も活発です。
日銀が日本国債を直接買い取ったら、
日本国債市場は瞬時に反応して暴落します。

尤も、国債市場が暴落した後に日銀の全量買取に進むので、
既に、この時点で、日本国債市場は存在意義を失っています。


■ 少子高齢化は低迷の原因では無いのか? ■


三橋氏は日本のデフレの原因は、緊縮財政に原因があると声高に叫びます。
少子高齢化で経済は縮小しないと主張します。

日本国債はどんなに発行しても暴落しないと主張しているので、
財政だって、必要なだけ拡大しても構わないというのが彼の主張です。

しかし、少子高齢化の日本では、労働者が減少し、高齢者が増加するのですから、
財政負担は何もしなくても拡大し、プライマリーバランスは悪化します。
納税者が減り、年金需給者や福祉の対象者が増えるのですから当然です。

三橋氏が良く引き合いに出すクルーグマンですら、
「日本の人口動態は酷い」と言っていま。

三橋氏の主張は、財政を拡大して、日本経済を成長軌道に乗せれば
税収も増加して、プライマリーバランスは改善するというものです。

間違ってはないなのですが、費用対効果の認識が欠落しています。
国土強靭化などで公共事業が増発された場合、
一度動き出した巨大事業は10年くらいは継続されます。

もし、財政を拡大しても名目GDPが拡大分しか増加しなければ、
その効果は一過性で、後には財政赤字と、
メンテナンスコストが掛かる不要なインフラが残されます。

高齢化の進行する日本で、これ以上のインフラは不要です。
むしろ、財政的には既存のインフラのメンテナンスで手一杯になります。

■ ストックがある内に作っておこう ■

一方、考え様によっては、財政拡大余力がある内に、将来の為のインフラを整備しておこう・・
こういう考え方も正しいと思います。

しかし、これは財政破綻を前提にした考え方です。
今の内に作っちゃって、財政破綻の高インフレで支払いはチャラ・・・・。

しかし、それにしたって、作るべきものは、将来の日本の発展に寄与する
都市部のインフラの強化が主体であるべきで、
海岸線を津波防止の高い防波堤で固めて、日本の景観を損なう事業であるはずがありません。

そんな物を作るくらいなら、津波襲来時の非難訓練を徹底したり、
非常用備蓄に予算を回す方が効果的です。
防波堤が整備される前に津波が襲う可能性もあり、
あるいは、防波堤が一部だけ整備された時点で、財政破綻を迎えるかも知れません。

スーパー堤防と同じ運命を歩むのは明確です。

■ 「国民の為」という欺瞞 ■

三橋氏は「国民の為」という表現も良く使います。
だいたい、こういう事を言う人物は、政治家同様に信用がなりません。

「国民の為」と軽がるしく口にする人物の主張は、
メリットだけが強調され、デメリットやリスクが過小に評価されています。

政府が財政を拡大しても、将来的な税収の増加でバランスする・・・・。

財政拡大に現在の私達の懐は痛みません。
しかし、将来の税金は誰が払うのでしょう?
思った様に税収が伸びない場合は、増税が待ち受けています。

「今の君たちに利益があるのだから」というタダ乗りの理論は、大衆受けします。

■ 「日本の実力はこんなもんじゃない」という洗脳 ■

三橋氏が若者の支持を集める最大のポイントは、
「日本の実力はこんなものでは無い」という若者の自尊心をくすぐる言葉です。

製造業で韓国や中国に押され、20年以上も不景気の底に沈む日本で、
若者は失望の内に暮らしています。

そこに救世主が現れ「おまえ達はもっと出来る子だよ」と甘言を弄しているのです。
「中国や韓国は見かけだけで、本当にすごいのは日本人だよ」と囁きます。

最近のネトウヨの深層心理に見事に迎合する事で、三橋氏の支持は拡大しています。

■ 日露戦争前や第二次大戦前と似ている ■

現代の「経済宗教」である三橋教の雰囲気は、
日露戦争や第二次体制前の一部の言論に良く似ています。

そして、朝日新聞などが国民を煽った様に、三橋氏も若者を煽ります。
この雰囲気は非常に危険なものを感じます。

安倍総理は、彼に参議院選挙に立候補する様に要請したそうです。
三橋氏は断った様ですが・・・。

■ 個人のブログで個人を攻撃するのは好ましく無いが・・・ ■

基本的に個人のブログで個人の実名を挙げて攻撃する事は好ましくありません。
特に、匿名ブログであるだけに、卑怯とも言えます。

しかし、三橋氏は一種の「言論人」ですから、批判を受けるのは当然とも言えます。
批判に対して「抗弁」で対抗するのが「言論」であり、
本来、彼が「経済学」を批判するならば、それなりの「経済学者」が相手をすべきなのです。

しかし、あまりにも意見がかみ合わないのと、狂犬に触れると噛み付かれるので、
多くの経済学者は三橋氏を無視しています。

しかし、彼が多くの若者の支持を集め、安倍総理の信頼を得ているのなら、
その影響力を過小評価するのは危険だと思います。

池田信夫氏は、三橋氏を批判し始めましたが、
そろそろ、きちんとした経済学者が、批判を展開しても良い頃かと思います。

尤も、狂信者達は、それをも糧として信仰を深めてしまうのでしょう。


ケインズがあの世であきれています・・・。




最後に三橋貴明批判をブログで展開されている「meguのブログ」さんが痛快です。
三橋氏がリフレ論の根拠とする高橋是清についても詳しく調べていらっしゃいます。

http://megu777.blogspot.jp/2013/01/vs.html

少々、市場を妄信しすぎている感じもありますが、
まあ、経済を専門に勉強されている方からすると、
三橋氏の言説は相当頭に来るのかも知れません。


私はトンデモ論が好きですから、三橋氏の隠れファンではありますが・・・・。
この間、本も買っちゃたし・・・
でも直ぐにブックオフで売ったら100円にしかならなかった・・。

「円は消えて無くならない」説は本当か・・・金融市場にプ-ルされるか、資産バブルを作り出す緩和マネー

2013-06-17 18:02:00 | 時事/金融危機
■ 「円は消えて無くならない」と主張する三橋貴明 ■

三橋貴明氏は「円は消えて無くならない」と主張します。

「リフレ政策で増刷された円が、海外で運用される事は無い」と主張します。
これは、ある意味において正しく、ある意味において間違っています。

1) 円キャリートレードや、キャピタルフライトで円と他国通貨が交換される
2) 円売りから、円安が発生する
3) 為替市場は巨大なので、供給された円をある程度プールする事が出来る
4) 為替市場内で、日々大量の円が売り買いされる
5) 短期的には通貨定量説に準じる形で、為替市場でだぶ付いた円が円安要因になる

一方、円は為替市場の外にも流れ出します

6) 円は日本国内の投資に使われる
7) 日本株や、不動産市場などに資金が流入して資産価格が上昇する

三橋貴明氏らは、供給された円は、日本の投資の為に使われる為に
景気回復に繋がるを主張します。
しかし、実際には、緩和マネーによる市場は、流動性が高いので、
一度、市場動向が反転すれば、一気に資金を回収して次の市場に移って行きます。

ですから、設備投資や建築投資など、回収に時間の掛かる市場より、
株式市場や不動産REITなど、ある程度流動性の高い市場に資金は集まり、
ここで、プチバブルを作り出します。

確かに資産市場の活況は、今年前半の様な消費の改善を促します。
しかし、それは株や不動産で儲けた人が達が消費を拡大しているだけなので、
株式市場や不動産市場が下落すれば、この消費はたちどころに消失します。

むしろ、投資元本割れが発生するなど、相場下落(プチバブル崩壊)後の経済に悪影響を与えます。

結局、金融緩和による「期待に働き掛ける政策」は、市場の移ろい易さゆえに失敗し易く、
それは、昨年秋からの日本の状況を見ても明らかです。


では、供給された円は何処に消えるのでしょうか?
一時的にリスク回避で預金や、日銀の当座預金の積みあがります。
しかし、プチバブル崩壊で景気回復の芽が摘まれていますから、
実体経済の投資される量は多くはありません。

結局、再び、円は調達通貨となって海外で運用され、
一方で国内で再びバブルの芽を育み始めます。
こうして、プチバブルが崩壊する度に、日本の国富が海外に流出し、
どこかで限界を迎えて、円相場が下がる事で調整されますが、
FRBもECBも緩和の真っ最中なので、為替による調整がされないのが現在の世界です。
そして、金融市場が崩壊するまで、このサイクルは継続されます。


この事が理解できずに、「日本経済の実力はこんなもんじゃない」と主張する三橋氏は、
彼の信者をして、「竹槍で外資を駆逐しろ」と鼓舞している様に私には見えます。

尤も、頭の良い三橋氏は、こんな事は百も承知だとは思うのですが・・・。
彼は市場の効果をあえて軽視する事で、人々を何処へ誘おうとしているのでしょうか・・・。
それは、獰猛なファンドの目の前に置かれた皿の上かも知れません・・・。

「成長無くして日本の復活は無い」・・・あまりに単純化された理論は危険です。
そして、苦悩する庶民は、「分かりやすさ」を「正しさ」と勘違いするのです。
これこそが、現代の経済宗教「三橋教」の姿では無いでしょうか?

「安全資産としての円」・・・円キャリートレードの巻き戻し

2013-06-16 04:48:00 | 時事/金融危機
 

■ 「安全資産としての円が買われ」・・・ってどういう意味? ■

株の暴落と同時に円高が進行し、1時は93円台まで円高に振れています。
株が暴落して、日本経済の先行きに暗雲が垂れ込めているというのに
円が買われて円高になるのは、変な感じがします。
現状を見る限り、「安全資産の円が買われる」理由が良く分かりません。

■ 2012年10月以降、何故円安になったのか? ■

アベノミクス期待で円安と株高が進行したと言われています。
しかし、景気回復を期待して円安になるのは不自然です。

1) 2012年10月から円安が始まる
2) この時点での円安要因は、民主党政権末期の政治的混乱も一つの原因
3) 消費税増税が決定していたので、市場は増税分の物価上昇を織り込んで円安に振れる

問題はこの後、2012年12月の日銀の量的緩和策の拡大にあります。


「日銀総裁、貸出増加支援「前向きな資金需要サポート」「円高是正も」日経2012/12/20 より

http://www.nikkei.com/markets/features/12.aspx?g=DGXNASFL200M3_20122012000000

<全文引用>

日銀の白川方明総裁は20日の金融政策決定会後の記者会見で、貸出増加を支援する資金供給策の詳細を決めたことについて「金融機関の一段の積極的な行動と、企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す」と、導入の狙いを語った。対象として「前向きな資金需要を最大限サポートする観点から、ファンド向けや非居住者向けの貸し出し、邦銀海外店の貸し出しを含めることにした」と説明した。

 海外向けも対象に含めたことで「海外における円建ての貸し出しが増加すれば円の国際化と強調。企業がM&A(合併・買収)などで円を外貨に転換する動きにつながれば「円高是正の方向に資金の流れも強まる」と期待を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<引用終わり>


1) 日銀は2012年12月からヘッジファンドに円を供給している
2) ヘッジファンドは市場で円を売りドルや新興国通貨を買う
3) これは円キャリートレードで、円は調達通貨として市場で売られ「円安」が発生する

4) ヘッジファンドに供給されて円の一部は、日本株の買上げに使われる
5) アベノミクスを支えた円安・株高は日銀の資金提供でヘッジファンドが演出した


「アベノミクスによる期待の高まりで、為替の円安傾向が進み、輸出関連株が買われています。」
ニュースで良く耳にするフレーズですが、いかに表面的な報道しかしていないかが分かります。
実体は日銀の通貨供給によるヘッジファンドの仕込みに過ぎなかったのです。


■ 円キャリートレードの巻き戻しとしての円高 ■

現在、円安傾向は反転して円高に戻っています。

1) 世界的なリスクオフの流れで新興国通貨が売られる
2) 円キャリートレードのポジションの解消で、円が買われる
3) 円高傾向になるので、ドル-円の相場も円高に反転する


「ドルが売られ、安全資産として円が変われています。」
ニュースではお馴染みのフレーズです。
しかし、その実体は昨年秋以来の円キャリートレードの巻き戻しに過ぎません。


■ 円の緩和マネーが生み出した幻 ■

結局、アベノミクス相場の仕込みは、白川時代の2012年後半から始まっており、
黒田総裁の異次元緩和は、相場の仕上げの為の株価上昇を演出して、
外資の絶好の売り環境を整えてあげたと見るのが正しいのでは無いでしょうか。

要は、日経平均12000円まではヘッジファンドなどの外資の仕込み。
そこから15000円までは、異次元緩和効果による日本国内の上乗せ分。

要は、今回の円安も株高も、日銀の緩和マネーの生み出した幻だったのです。

■ 12000円台を底に細かい上下を繰り返し、最後は8000円まで落ちてゆく? ■

株価予測は難しいのですが、ヘッジファンドの戦略は・・・

1) 薄商いの状況で効率的に日経平均を吊り上げる
2) タイミングを見て、日本株を売却する
3) 再び、吊り上げる
4) この繰り返しで、徐々に相場を15000円~17000円まで吊り上げる
5) 日本人が「株価回復!」などと浮かれ始めたら空売りも織り交ぜて一期に売り崩す
6) 8000円台まで売り崩して、ガッチリ利益を出す
7) 後にはぺんぺん草も生えない・・・

まあ、これはヘッジファンド側が描く「理想」ですから、
日本株に日本国内からの投資がある事が大前提となります。

はたして、誰が日本株を買うのか・・・
日銀か、ゆうちょか、年金か・・・・?