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経営危機の航空会社が犯した愚行・・・責められるべきはマレーシア航空

2014-07-25 06:24:00 | 分類なし
 

■ 誰が撃ち落としたかでは無く、何故紛争地帯の上空を飛行したかを問題にすべき ■

ウクライナでのマレーシア航空追撃事件で、世界は「誰が追撃したのか」に注目しています。欧米諸国とロシアが互いに責任をなすりつけ合う泥試合になっていますが、欧米や日本のマスミ報道は、ほぼ「ウクライナの分離独立派がロシアに供与された地対空ミサイルで撃墜した」との見方でまとまっています。

しかし、この事件で最大の責任はマレーシア航空にある事は見逃されています。

1) ウクライナは紛争地帯
2) 現代の戦争で制空権は勝敗を分ける
3) ウクライナの分離独立派は航空戦力を持たない
4) 航空戦力を有するウクライナ軍は分離独立派を空爆できる
5) ウクライナ軍の航空戦力に対抗し得るのは地対空ミサイルのみである

6) ウクライナの分離独立派は上空を飛行する民間航空機のフライトスケジュールを知り得ない
7) ウクライナ上空を飛行する場合、分離独立派もミサイルの餌食になる可能性が高い


この様な事情から多くの航空会社が紛争地帯上空の飛行を控える中で、マレーシア航空はあえてそのルートを選択し、そして運悪く追撃されてしまいました。

■ 経営難から燃料費を節約して紛争地帯上空を飛行するマレーシア航空 ■

実はマレーシア航空はウクライナの事故の後、シリア上空を飛行した事で非難を浴びています。

マレーシア航空は先の航空機行方不明事件から経営が悪化しており、経費削減から燃料費を節約しています。ウクライナやシリア上空の飛行は本来ならば避けるべきですが、最短ルートを選択した結果、このルートが選ばれたのでしょう。

■ 高度1万メートルを飛行する機体を撃墜する能力を分離独立派が有する意味合いは大きい ■

今回撃墜されたマレーシア航空機は高度1万メートルを飛行していたようです。富士山の3倍の高度を飛行する機体を、分離独立派が撃ち落とせるはずが無いという慢心がマレーシア航空にはあったと思われます。

ところが、ロシアはどうやら分離独立派に高高度を飛行する機体をもターゲットに出来る地対空ミサイルであるブークを供与していた様です。

ブークの特徴はレーダーがミサイル発射機に取付られた事です。これにより単独運用が可能になり、分離独立派の様なレーダー網を持たない勢力でも高度な航空迎撃能力を有する事が出来ます。

はたして、簡単なオペレーション研修だけで、この高度なシステムを分離独立派が運用し得るのかは私には分かりませんが、分離独立派がブークを運用できるとなれば、欧米各国がウクライナに軍事支援する場合のリスクは相当高くなります。高高度からの爆撃も安全では無くなるからです。

■ 分離独立派の失敗は、一方でアメリカやNATOの牽制に役立っている ■

プーチンの失策として報道される今回のマレーシア航空撃墜事件ですが、軍事専門家から見れば、また違った意味を持つのかも知れません。

政府軍の攻撃機であるスホーイも連日撃墜されているので、軍事独立派は完全にロシアにバックアップされており、ロシアはかなり本気である事を欧米の軍事関係者に知らしめたのが、今回の撃墜事件なのかも知れません。


メディアは双方、プロパガンダを繰り返していますが、ウクライナでは連日多くの命が失われ、その一方でアメリカはウクライナ政府の保有する金を持ち去ったと言われています。


・・・・戦争に大義など無く、戦争はいつも大国のエゴと、腐敗した個人の欲によって始まります。しかし、いつしか愛国心に火が付き、純粋な信念が戦争を収拾の付かない状況へとエスカレートさせてしまいます。


「集団的自衛権」を容認しようとする日本人の多くが、戦争の怖さに本当に気づいているのか、私は疑問でなりません。