『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

ファイトォ!

2005年10月31日 03時55分47秒 | 歌と私と私の祭り
歌が支えと言いながら、歌えなくなっちゃうかもな・・・と思ってた。
実際、この所集中できなくて、覚えられなくて、何も頭に入らなくて
音が素通りしていくような感じで、声も出せないし
皆と一緒に歌うのはそろそろ無理なのかなぁとどこかで思ってた。

けど、涙を拭く気力もなくて、ぼっけ~っとしてる私を見て
私達を見守り続けてくれていたお母さん代わりの友人が
「あんたが歌わんでどうする。あの子はずっと歌いたかったんやで!」と一喝!
はい!はいっ!!わかりました~っ!!
私は頑固なので、にこにこしながらも人の言う事は聞かない性質なのだが(最悪)
今回ばかりは言うこと聞きます。頑張ります。
私は叱ってくれる人に恵まれている幸せ者だ。


だいたい、月に一度の母のショートステイの日を選んで逝くのがいかにも彼女らしい。
一日ずれてたら、お別れの式にも行けなかったんだから。
「えらいでしょ?」と笑う顔が想像できる。
「お葬式は明るく楽しく」って言ってたらしいけど、無理無理!!
けど、思い出す事は思わず吹き出す事ばっかり。
泣き笑いしてる私を、きっと「ば~か。」って笑っているに違いない。
あっかんべ~だ!

ここ数年の彼女の口癖は「上手に遊びなさい。」だった。
「遊ぶ時には、他の事はぜ~んぶ忘れて遊ぶ事。」ってよく言われた。
だから「ゴスペルやろ~っかな。」って言った時も「やれやれ~!」
2年程前一大決心をして「一人で大冒険旅行に行くぞ!」と言った時も
「よく決心した。行け行け~!」・・・さすがに今年に入って二度も決行した時は
「行ってこ~い!でも、帰って来るんでしょうね?」と笑ってたけど
そう言えば、何をしに行くかまでは言ってなかったなぁ・・・。
何か誤解してたような気がするけど、ま、いいか(笑)

なので、私は歌います。そしてもっと遊びます!?
なので、ちゃんとゴスペルを今日も歌ってきた。
覚えられなかった歌詞が嘘みたいに自分の中に入って来る。
そして、一つ一つの歌が前よりもっと愛しく感じられる。
先がどうなるかなんて、誰にも分からないんだから
大切に、大切に歌って、笑ってがんばろっと。

ファイトだ~っ!!




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綺麗だよ

2005年10月28日 01時31分38秒 | 日々の出来事
心の中にぽっかり開いてしまった穴を
他の何かで埋めようとしても、それは絶対無理だ。

それでも、長い時間をかけて、
一枚一枚が、それだけでは破れそうな薄い薄い虹色のベールを
少しずつ少しずつ重ねて丈夫にして、やっとその穴を
普段は目に留まらない程に隠す事は出来る。

虹色のベールを織り成す細い糸は
日々積み重ねた偽りの無い自分の思いや、感情。
日々出会った人や物や歌達への愛情と尊敬でないといけない。

けれど、ありったけの思いで隠した筈のその穴でさえ
油断をすると、いとも簡単に塞いだ布がまた破けてしまう。
今度は破けた布を繋ぎ合わせ、縫い合わせるために
また同じ作業を繰り返す。

それは決して悲しいだけじゃない。
糸を織り成して出来る模様は優しくて綺麗だもの。
織り成す事自体は切ないけれど楽しい。
ねぇ、虹色のベールは、随分貴女色に染まっているんだよ。


安らかに眠る貴女の顔があんまり綺麗で悲しい。
こんなに美人だったとは気が付かなかったよ。
ねぇ、貴女、本当に綺麗だよ。
どうしようもなく綺麗だよ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

まいったな。
前に破れたベールをちゃんと繋ぎ合わせる事がまだ出来ていないのに
今度の穴はでかすぎるぞ・・・どうするんだ私?

けれど、はじめて気付いた思いが一つ。
今は、かぁちゃんやぺこちゃんの存在がありがたい。
何があってもやらなければならない事があるのがありがたい。
崩れ落ちてはいけないと、踏みとどまる勇気をくれる。







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参上!パート3

2005年10月25日 02時07分04秒 | 日々の出来事
参上!は尚も進化する。

かぁちゃんは今日はすこぶる調子が良い。
便箋に向ってペンを走らせる様子なんざ、きりっと見えるから不思議だ。
書いてる文字を見て吹き出したのなんの・・・。
「参上!」、そんなに気に入りましたかぁ?

「御参上」・・・(あれま、御がついて参上さん格上げ~!)
「ごさんぎょう」・・・(読み仮名までかよ!ぎじゃなくて、じだけど?)
「御参上上」・・・(出ました、お気に入りの繰り返し)
「御参上野先生」・・・(・・・?)
「御御三上様」・・・(あり?気持ちがそれたか?)
「御参上様上様」・・・(ひゃは、上様だって~)
「御参上様上様上様上様」・・・(あはは、新さんですかぁ?徳田様ですかぁ?)

暴れん坊将軍見てたもんね。そのせいかね?
見てないと思ってたけど、ちゃんと解って見てたんだ。
・・・と言う事にしておこう。

今日はその後も便箋三枚に一気に書き上げた。どうしちゃったんだ?
最後の一枚は御、参、上、外?を漢字の練習帳よろしく文字の羅列。
うむ、勉学の秋ですな。見習わねば(笑)
何だか楽しくなっちゃって、
今日は「高原のお嬢さん」3コーラスですよ。
♪り~ふ~、り~ふ~♪ってかぁちゃんコーラス入れてくんないかな。
まぁ、無理だろうね。代わりに「うふふふ」コーラス入りました~!!

しかし、頭が冴えると体も冴える。
今日は一人ですくっと立ち上がる事まで出来たりする。
何度も何度も・・・これってちょっとヤバイです。
また外にでも出て行かれたら・・・。

頼むから「かぁちゃん、参上!!」なんてあちこち出没しないでおくれよ~。

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素直に響く

2005年10月24日 02時17分01秒 | 歌と私と私の祭り
歌と一緒にいる時は多分私は一番素直になってる。
ゴスペルを歌っている時は特にそう思うことが多い。
素直な心で美しく・・・なんてのじゃなく、
喜び、悲しみ、怒り、苦しみ、切なさ、優しさ、愛しさ。
様々な感情が渦巻いて、時には歌えない。
「これは、歌えない。」と泣きそうになって言った事がある。
でも、それで良いのだそうだ。
歌の前で、何を包み隠す事があるだろう。
はじける時ははじけたなりに、落ち込んだ時もそれなりに。
嬉しいときは笑顔であふれて、哀しい時は涙と共に。

私だけじゃない。同じ歌を聴いていると自然に素直になるのは愚息も同じ。
おかしな血をひいてしまったかと思うと、ちょっと残念(笑)
年に一、二度、ある歌い手さんのコンサートのチケットを取ってくれる奴は
普段はあまり喋らないが、歌や映画の話になると饒舌で、頼みもしないのに
「おかんが好きそうだ。」と近頃の歌い手さんのCDを勧める。
この春まだ寒い時期、コンサートの帰り道、まるで人事のように
体調を崩して医者に通っているとぼそりと告げる・・・馬鹿め。

そうだよね。久しぶりに家に帰っても、私はほとんど家にいない。
年がら年中バタバタしていて会話はメールですます事の方が多かった。
すぐに言い出せない状況を作ってしまっていたのは私。
かぁちゃんよりもぺこちゃんよりも、気にかけねばならなかったのに。
全くひどい母親だね~。前から思ってたけど、母親失格かもね。

先日もぶっきらぼうに、新しく出たCDを差し出す。
私は、他に大事な事もあるくせに、まずはその中の歌の話をぽつぽつ話す。
なんだかんだ言おうとしても、他の事は素直には話さないものね。
お~い、意地張って、がむしゃらに突っ走ってんじゃないよ。
ま、これも人の事は言えないか・・・。

半年休学して先月復帰。
頑張れよ~、ほどほどに。でさ、歌はどんな時も忘れちゃ駄目だよ。
共に口ずさんだり、時には号泣したり、別に恥ずかしくないじゃん。
自分が素直になれる場所、大切にしなよね。

・・・CDはちゃんと歌詞カードと共にケースに入れるのも忘れないように。

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そりゃないよ!

2005年10月23日 03時49分18秒 | 日々の出来事
かぁちゃんは昨日から三泊四日の予定で妹の所に行っている。
急な用が出来たので頼み込んだ。
頼み込める相手がいるというのは実にありがたい。
しかし、何事をするにもショートステイやら妹やら
人様のお世話にならなければいけないと言うのが何とも心苦しい。

夕方妹から連絡がはいった。
「ばぁばが、姉ちゃんは恐い。私を叩く。と言ってる。」との事。
・・・・・「んぁ?叩くだぁ?」
何だぁ?心当たりは・・・あった~っ!
夜中にトイレに何度も行き、その度に用も無いのにトイレットペーパーを 
右手だけで器用に、ぐるぐるぐると巻き取って、ごしごしごしとするので
「これは、出てからっ!」と、手の甲をぺちっ♪と叩いたぞ。うん、確かに。
だけど、びしっ!でも、ばしっ!でもないぞ~、ぺちっ♪だぞ!!

しか~し。
かぁちゃんはずっと「ねぇちゃん恐い。ねぇちゃんは叩く。」と言ってるらしい。
ううぅぅ・・・いいけどね別に。
妹が笑いながら言うのだ「こりゃ、デイサービスでも言ってるなぁ、だから
施設に入れろって言われるんじゃないの?」
うがぁぁ・・・良くないよそりゃ。

思い起こせば、まだ母が自分の意思で歩ける頃、
母の住むアパートの近所の奥さんの様子が、しばらくおかしかった事がある。
日課になってるかぁちゃんとのお散歩時間にでくわした時、
「おかぁさん、今度は私が散歩に連れて行ってあげましょうね。」とのたもうた。
やさしい人だなぁ、と思ってたんだけど
後で、かぁちゃんが「娘にいつも怒られてます。」と言いに行ってた事が判明。
そう言えば、ヘルパーさんとの連絡帳にも
「怒らないで優しく言ってあげてください。」と何度も書かれたっけ・・・。
これって接し方の注意だと思ってたけど、きっと違ったのね。

かぁちゃん、そりゃないよ~。
確かに私は声がでかいし喋り方も優しくはない・・・微妙だなこの言い方(苦笑)
かぁちゃんが元気な頃はめちゃくちゃ怒っていた。それは認める。
まぁ、そうか・・・自業自得だなぁ、こりゃ仕方ないか。

そう言えば、かぁちゃん「あんた、デイで評判がいいの。」と
えらく不服気に言ってた事もあったなぁ。
なるほど、私が良く言われるのが気に入らないんだろうなぁ。
まぁ、それはそれで人への対抗意識が残ってると理解すれば救いようもあるかな。
でも、やっぱり、そ~りゃない♪そ~りゃない♪そ~りゃないよ!だよ~。

え?え?あたしゃ、母親を虐待してると思われてる?・・・いや~ん!!
うう・・・帰ってきたらおしりをぺちっ♪としてやる!
また叩かれたって言うかなぁ?あはっ、試してみようっかなぁ・・・しません!








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気付かなかった罪(前書き)

2005年10月22日 01時36分03秒 | 気付かなかった罪
認知症には様々な原因となる病気があるが、かぁちゃんの場合、アルツハイマーとパーキンソンという二つの病名をもらっているので、あえて認知症という言葉は使わないでおこうと思う。

少し過去に遡って、自分自身の記憶を整理しておきたい。自戒の念も含めて。
かぁちゃんのアルツハイマーが何故中期の段階まで気付かなかったのか。
サインはずっと出ていた筈なのに、見つけられなかったのは何故か。
その兆しはどんな形で現れどういう経路で進行してきたのか。

病名をはっきりと告げられたのは、かぁちゃんのかかりつけの医者から紹介されたある大学病院の「物忘れ外来」でだった。
かかりつけの医者で撮ってもらったMRIを同年代の他の方と並べて見せてもらった時、既に素人目にも明らかなほど脳に萎縮がみられたので覚悟もしていたが、異常な言動が脳の病から来る物だと分かって少なからずほっとしたのを覚えている。

その時の医者の注意事項が、病名を本人に告げない事。何故なら初期の患者さんの中には先を悲観して自殺をしてしまう人がいるからだと言う。
アルツハイマーの特色として後期になると、とても穏やかになるそうだ。
いつもにこにこして、まるで仏様のように穏やかな顔つきになるらしい。そう告げた医者の顔がにこにこしていたので、そこまで来ると救いなのかなぁ・・・と漠然とした希望を持った。・・・確かにここ半年のかぁちゃんは無表情の時間が多いがなにかあると「うふふふ」と嬉しそうに笑っている。

アルツハイマーの治療方は薬を飲み続ける事、刺激を与える事。
デイサービス等で人と接する事は刺激と言う意味では効果的らしい。薬(アリセプト)は病気を治癒するものでもその進行を止める物ではなく、進行の程度を遅らせる物だという事だったが、これにも大きく個人差があるらしい・・・それだけだ。あとはかかりつけの医者のもとで、病気と付き合って行くしかないらしい。

「なら、どうすればいいんだ?」本人はそうでも、共に生きて行く私達はどうすれば良いのか?どのように接すればよいのだ?
一番知りたいのはそこだ。その辺りの事を教えてもらえる所はないのかと妹と二人で医者に尋ね、若いが熱心なその病に詳しい先生をを紹介してもらった。

彼女はお年寄りにはとても親切だった。見ていると暖かい心配りが感じられてとても好感がもてたのだが、何か嫌な思い出でもあるかのように、私達に対しては淡々と、これから起こり得るだろう問題点と、問題が起きた時に怒らないようにしなければならないという注意点を冊子を渡しながら説明し「病気の進行は個人差がありますが、家族の方がどう接するかで大きく変わってきます。」と言った。
この言葉は忘れられない。「この若さでこうなったのはあなたの責任ですよ。」という意味に取れた。そうでなくても自分の中では悔いが多く残っているのだ。どうか、追い討ちをかけるのはやめてくれ。本気でそう思った。

かぁちゃんが68歳の終わりごろだった。


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朝帰り?

2005年10月20日 02時04分32秒 | どうでもいい話
長年同じ場所辺りに住んでいると顔見知りも多い。
かぁちゃんの友人達もそのうちに入るのだが
特に親しくしていないのに、偶然によく会う人も何人かおられる。
かぁちゃんの今を知っている人はエールをおくってくださるのだが・・・。

毎晩、我が家の食事や雑用を半分済ませて9時半頃
かぁちゃん宅目指して自転車を走らせる。その日の最終出撃時刻だ。
かなり焦りもしているが、MDを聴きながらなので、ノリノリでこいで行く。
毎朝、かぁちゃんの身の回りの世話のためにその日最初の出撃をするが
8時過ぎには、ぺこちゃん送り出すために、我が家へ一旦舞い戻る。
朝は苦手、半分寝てるので目もうつろでとろとろ帰る。
もちろん、夜と朝の間にはちゃんと家に帰って
後片付けやアイロンがけ、お風呂にも入るし、眠りもする。
ついでに、パソコンの前に座って行きつけのサイトを巡る。

母の知り合いに何度か夜も朝も会ってしまった。
にこやかに近づいて来られたので自転車を止めて笑顔でご挨拶!
すると、「あなた、毎晩どこへ行っているの?
お子さんも大きくなられたし、遊びにいっちゃってるの?」ときたもんだ。
もちろん、冗談半分なのは口調でわかるが・・・。

むぅ・・・かぁちゃんと同世代だしどこまで話せば良いのやら・・・。
仕方がないので、馬鹿笑いしながらやんわりと否定はしたのだが、
なるほど、他人様からすると毎晩夜遊び、朝帰り!?
ひえぇぇぇ!嘘でしょう?だいたい、こ~んな格好で夜遊びするかぁ?
言い返したいのをぐっと堪えて笑顔で別れたが、一瞬落ち込む。
私はそんなに楽しそうに見えてるのかなぁ!?

しかし、待てよ。
夜な夜なふらりと家を出て、朝まで勝手気ままに遊びまわってる気持ち~!
になると、それはそれで夜道はとっても楽しいかもしれない(笑)
ふっ、ふっ、ふっ・・・そ~うだったらいいのにな♪・・・妄想だ。

だけどもう少し、ドレスアップはしないまでも
口紅くらいはちゃんとひいていこう。うん、そうしよう。

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愛しちゃったのよ♪

2005年10月19日 02時26分01秒 | 歌と私と私の祭り
かぁちゃんの好きな歌謡曲、映画音楽、クラッシック。もしくは
オヤジさんの好きなムード歌謡曲やジャズ。そして二人の時代の懐メロ等々
いつも何かの音楽が流れていた家に育った私が
生まれて初めて買ったレコードが、ミッシェル・ポルナレフの
「悲しきマリー」と「悲しみのロマンス」のカップリングのEP盤だった。
深夜放送を聴き始めた頃、その哀しくて切ない歌声が忘れられなくて
どきどきしながら買ったもの。案外ませガキだったのかもしれない。

そのまま行けば、洋楽好みで英語も好きになったかもしれないが、
記念すべき第二弾、初めて小遣いをはたいて買ったアルバムが
とある特撮系のTV番組のLPだった。(LPって懐かしい響きだ)
感動した・・・何てもんじゃない、人生変わりました。
特撮、アニメの歌たちを侮る無かれ。とにかく凄いのだから。
私に一番元気を与えてくれるのは、この年になってもこれらの歌達だ。
(あはははは~!!一部分で私はオタッキーなのです。間違いなく)

時代はフォークからニューミュージックというジャンルが出来た頃。
そちらの歌達も、ギター片手に近所迷惑顧みず毎日のように歌っていた。
性格上、人前で歌うなんて事は考えもしなかったけれど
まだカラオケBOXなどない頃は、皆そうして歌っていたと思う。


ダブルチョップな日々が始まって、三ヶ月を過ぎた頃
まだかぁちゃんに病名が下る前だったが
ぺこちゃんへの接し方が解らず、かぁちゃんの行動が理解できなくて
もどかしくて、やりきれなくて、先が全く見えなくて
二人を連れて歩く道すがら、突然叫び声を上げそうになった。
「自分が壊れる」といった感覚は遠い過去に一度だけ経験したが
再び唐突にしかもいい年をした大人が・・・。自分でも信じられなかった。

自分の感情を持て余して、パソコンをいじり始めたのがちょうどこの頃。
眠れぬままに、ネットサーフィンをする中で、ひとつのサイトと出合った。
「へぇ、世の中には素人ながら、こんなに真剣に歌ってる人達がいるんだ。」
素直に感動。久しぶりの気持ちの高揚。俄然ファイトが沸き起こる。
「負けてはいられませんよ~!!」・・・私は単純で、影響されやすい(笑)

折も折、ふとしたきっかけでゴスペルに出合った。
それから、週に一度はゴスペルを歌っている。
徐々に時間を捻出するのが困難にはなってきているけれど、歌い続けていたい。
ちっとも上手くはならないけど、歌っている時だけは自分だけの自分でいられる。
少なくとも何とか意地を張って前進していられるのは
「歌う」事が出来る、幸せな時をを知っているからなんだと思う。

「歌うこと」・・・愛しちゃってます♪





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参上!パート2

2005年10月17日 01時47分32秒 | 日々の出来事
参上!は進化する。

何が気にいったのか、かぁちゃんは今日もまた「参上」と書いている。
しかも、「参上」だけではない。
「参上さん さん」・・・(参上!が人格を持ったようだ)
「参上さん さん さん」
「杉上さん さん さん」・・・(たぶん、漢字が一部似てるから!の変化)
「杉上さん さん さんま」・・・(ほぅ、さんまと来るのか)
「杉上さん さん さん さん死」・・・(ぎょぇ!その字はやめて)

違うだろう!さん枝だろう!!と一人でつっこむ。
何なんだろう?彼女なりに何かを考えながら書いてるのだろうが、

かぁちゃん、あなたはいったい何を告げたいのですか?

そう言えば、かぁちゃんの発想には時々驚かされる事がある。
夏休みに姪っ子が遊びに来た時、頭にひまわりの髪飾りをつけていた。
姪っ子が「ばぁちゃん、これなぁに?」と聞くと
かぁちゃんはすかさず応えたのだ。
「ゴッホ!」と一言。

確かに、「ひまわり」はゴッホの代表作ではあるけれど・・・。
かぁちゃん、あんたはまだまだ凄いぜ!
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夕暮れ時

2005年10月16日 02時18分23秒 | 歌と私と私の祭り
アルツハイマーのせいかパーキンソンが原因しているのか
かぁちゃんは一年ほど前から左手が全く使えない。
握りこぶしのまんまで、半年ほど前からは掌に爪が食い込むほど握ってしまう。
そこで薄手の綿の手袋の指先を切ったのをはめさせて保護しているのだが
指を開くと痛いらしく、はめようとすると使える右手で必死に抵抗する。
凄い力で私の手を掴んだり、爪をたてたり・・・。
おかげで近頃私の手は引っかき傷だらけだ。
お風呂に入ると沁みるんだよな~これが・・・余計な記憶も蘇る。

かぁちゃんは良い意味でも悪い意味でも「少女」のままだ。
純粋だけど、いつも誰かに頼らないと生きていけないタイプの人だった。
だから、信じきってたオヤジさんが馬鹿な借金作って最初に家をなくした頃から
私達の親子関係は逆転してしまった。
「私はあんたの親じゃない。」と何度叫んだか覚えていない。
まぁ、実に冷たい娘だったわけですよ。

かぁちゃんがアルツハイマーと言われた当初
「あんたは結局、どこまでも私を自由にしてくれないんだね。」
というのが正直な気持ちだった。

粗相の後始末をしながら、かぁちゃんとの良い思い出を探そうとした。
楽しい事を思い出せば、なんとかやっていけるかな・・・とまた甘い事を。

しかし、何も思い浮かばない。おかしなくらい思い浮かばない。
焦れば焦る程、何かにつけて叩かれたり、灸をすえられたりした事ばかりが蘇る。
かぁちゃんに愛されなかったわけじゃない。
むしろ彼女なりに必死に愛してくれた事はわかってる。
けれど感情を抑えきれないタイプの人だったので
怒り始めると歯止めがきかなかったのだろう。
しかし時折、手袋をはめる私の顔をしかめっ面でじっと見つめて
「あんた、私がいじめたから、いじめ返すの?」
と言う所を見ると、案外自覚していたのかもしれない(苦笑)

私たちはいわゆる「仲良し親子」じゃない。
もしも、かぁちゃんが愛しい存在なら、多分もっと苦しんでいるだろうと思う。
そういう意味では、どこか冷静でいられる事は感謝するべきなんだろうなぁ。
反面教師。こんな生き方だけは絶対にするもんかといつも思ってきた。


ところが、記憶をたどって行くと確かにあったのだ、楽しかった事が。
好きなレコードをかけて嬉しそうに笑うかぁちゃん。
野に咲く花を見てこぼれんばかりの笑顔を溢れさすかぁちゃん。
それがあざみの花だったりすると、歓喜の声をあげてたっけ。

そして見つけた古ぼけたB5の大学ノート。
「あざみの歌」「さくら貝の歌」「白い花の咲く頃」「マリモの唄」・・・。
綺麗な文字で、かぁちゃんが自分で綴った歌詞カード。
よく歌ったよね夕暮れ時に。私はまだ中学生だったっけ。
あの頃から私が歌うと嬉しそうだったよね。

夜が嫌いだと、夕暮れ時になると寂しがって歌うのに付き合わされた。
だから私は、何時しか夜が一番大好きで、
その幕開けの夕暮れ時にはうきうきと心が弾む。









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