『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

年の終わりに

2005年12月30日 03時28分19秒 | 日々の出来事
うわぁ、あと二日かぁ。
提案!おせちの仕込みに入る時は、夕食はつくらなくていい事にしようよ。
・・・やっぱり駄目か。

この時期、夜の風景がいつもと違う。
すれ違う人の数が多い。
わ~、そこの見知らぬお兄さん、道路をジグザクに歩いてちゃぁ危なくって仕方がない。飲みすぎちゃったんだねぇ。
無事で家まで辿り着けるかしらと気になって、つい自転車を止めて角を曲がるまで見送った。はい、大きなお世話です~。


かぁちゃん・・・。
がりがりがりと音がする。目を離していたのが悪かった。
メモを止めていたゼムクリップを食べちゃだめだよ。
吐き出させようとしたら、ううう、まただよ。被せてあった歯が取れた。
肝心のクリップをなかなか出さなくて、口に指を突っ込んで何とか出したものの
「噛むな~!」・・・いつも言うけど、思いっきり噛むのは止めて欲しいなぁ。
しかし、飲み込まなくて良かった。口の中も無事だったしね。
この一年、何だかんだあったけど大事に至らなくて良かったよね、かぁちゃん。

私にとっては「消えて無くなれ!」と願う程、失うものが余りにも多かった一年だったけれど、それだけじゃなかった。嬉しい事も楽しい事も心踊る事も、失った物と同じ数くらいには確かにあった。
だから、笑って一年を締めくくろう。

同じ速さで時は流れ、明日は今日の続きでしかないのに、区切りがある事で何か別の流れに乗れるような気持ちになれるのが有りがたい。
新しい年がきっと良い年でありますように。


お世話になった皆様へ
今年一年、どうもありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わるあがき

2005年12月28日 02時38分10秒 | どうでもいい話
真面目な店員さんなのである。
おそらく新人のコンビニの店員さん。年の頃は30代半ばといった所か。
いつものように宅急便を預けようとしたら
「雪のせいで遅れるかもしれません。明日着くかどうか。」とおっしゃる。
・・・確かに、六日前には雪が降った。
しかし、こちらはそれ以来降っていないし宛先は電車でも2時間の距離だ。
「へ?」・・・おそらく雪深い所への荷物は一応断りをいれるように店長に言われているんだろうなぁ・・・と一人納得して、支払いを待った。
コンビニのレジでもたつくのが嫌なもので送り状はいつも先に書いてある。
ところが、今度は何やら悩んで店の奥へ人を呼びに・・・。
まずったなぁ、店長が留守の時に来てしまった。

箱ではなく、カバンで出したので送り状が貼れないとおっしゃる。
「へ?」・・・いや、初めて出すなら納得するだろうが何度も経験があるので、
「カバンの場合はエフのでっかいのに送り状を貼って・・・。」と説明する。
けど、解っていただけないので、「家にあるので持って来ましょうか。」と以前に届いた荷物に付いていたのをわざわざ家に取りに帰った。
物珍しげに見ていた彼女はまた奥へ行こうとするので、以前に何度も経験がある事と、ドライバーさんが持っておられるのではないだろうかと告げながら、
何で私がこんな事をしてるんだと思う事しきり・・・。
だいたい、私は非常に急いでいたのだ。

やっと「わかりました。」とおっしゃるので今度こそ安心して支払いを待つ。
すると、時間指定の所をペンで消そうとなさるのだ。
理由を聞くと、雪で希望時間に届けられないかもしれないからって・・・おい!
今も降ってないし、この辺りは天気予報でも明日は降らぬわ!
第一、その雪の日にアイスバーンと化した道路を、すっ転ばないよう足を踏ん張って持って行った荷物だってちゃんと翌日届いたのだ。
「届かなくても良いから、一応希望時間は消さないで!!」
いかん、いかんと思いながら、頬の辺りの筋肉がいけな~い動きをする。
だって、私は本当にとても急いでいたのだ。

いや、わかる。万が一の事を考えての思いやりでしょうが
貴女は真面目すぎ!普段なら微笑んで済ませられるのだが私は焦っていたのだ。
顔色の一つや二つ変わるのは許されよ。


調子を崩したままの息子が下宿先から初めてのSOS。
君ねぇ・・・SOSは差し伸べた手がしっかり掴める間に出しなさい。
何とか間に合ったのかな・・・別れ際の笑顔に胸がつまる。無理するなよ馬鹿。

オヤジさんが久しぶりにやって来た。
会話するのに10年かかって、目を見て話すのにまた10年もかかっというのに
彼だけが変わらず飄々と、悠々自適に60代最後の独身貴族生活を謳歌している。
全く何てちぐはぐな元夫婦。近頃やたらにメールが多いのはやっぱり年のせいか寂しくなったかな。ん~、先々どうするんだか。ねぇ、私は知らないよ(苦笑)

かぁちゃんぺこちゃんダブルの年内最終の三日間のショートステイは
大掃除も年賀状にも全く手をつけられずに終了。
焦りが苛々を呼んで、丑三つ時に嬉々としてうろうろし始めるかぁちゃんに懇々と説教してる自分がおかしくて仕方ない。
「ねぇ、夜は寝なきゃいけないんだよ、わかったぁ。」
「・・・わかった。」
「ほんとにわかってんの。うろうろしたら近所迷惑だよぉ。」
「ん、わかった・・・・・・。」

リセットボタンを押しても戻った所がここではどうしようもないなぁ。
愚痴はさて置き、さぁ、あと四日で今年が終わる。
未開封の年賀状と、掃除と、おせちの準備・・・どうしよう、時間がない。
背の君曰く「掃除をせずとも、おせちがなくとも正月は来るよ。」
そんなのは絶対に嫌だ。おせちがなけりゃ、正月は来ないんだよ~っ!!!
今年最後の悪あがき、始めさせていただきます。

まずは、黒豆を買って来た。しっかし二合で1400円は高いよなぁ・・・。
けど、ここのが一番おいしく炊けるんだもんなぁ・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リセット

2005年12月25日 03時07分23秒 | 日々の出来事
イヴの夜も更けた。
今年も何とかクリスマスが無事に過ごせそうだ。

クリスマスは私には特別な日。
心の中のリセットボタンを押す、年に一度の節目の日。
街の喧騒も少々煩いイルミネーションもこの日だけは愛しい。
どれ程疲れていても眠くても悲しくてもこの日だけはそれも愛しい。
クリスマスは私の中では「愛しい日」に設定してある。
もう随分若い頃から。時間が許される限り少しの間でも目を閉じて
様々な事を「想う日」にしてどのくらいの年月を重ねただろう。
悲しい思い出もこの日だけは愛しく塗り替える事にしてる。


愛しい家族にメリークリスマス。
愛しい友人達にメリークリスマス。
私に出会ってくれた全ての人達にメリークリスマス。
これから出会うだろう多くの人達にもメリークリスマス。
皆が笑顔で過ごせますように。

ずっと昔、ひどい人間不信に陥った時
「生きるってまんざら捨てたものじゃないよ。」と教えてくれた
優しいピエロさんに心からのメリークリスマス。
あなたが幸せでありますように。

本当に皆が幸せでありますように。
今悲しみの中にいる人たちが少しでも早く悲しみから逃れられますように。
今苦しみの中にいる人たちが少しでも早く苦しみから逃れられますように。
悲しみや苦しみの涙がいつしか優しい涙に変わりますように。
願っても願っても、想っても想っても届かぬ想いが
いつしか届くのではないかと夢見る時がクリスマス。

一年に一度くらいは「みんな大好きだよ。」って言ってもいいじゃない。
心から、全ての想いを込めて大声で叫びたい。
「みんな、出会ってくれてありがとう!!」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もうすぐです

2005年12月19日 03時15分29秒 | 日々の出来事
「今年の大晦日は新月だよ。」と友人からメールがあった。
月の始まりと同じに始まる新しい年なんてちょっと、いや、とっても素敵!!
それだけで何だかとっても良い事がありそうな気がする。
今年が終わるまで二週間かぁ・・・。

けど、その前に・・・。
アドベントクランツに四本目の蝋燭が灯りクリスマスが目の前になった。
ちょっと壁紙をクリスマス色にしてみる。

今年はホワイトクリスマスの所も多いのかもしれないなぁ。
おおきな被害が出ない程度に降ってくれるといいのになぁ。
この季節の悲しいニュースは心が痛い。

笑顔でクリスマスが迎えられますように。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

予測不能!パート2

2005年12月17日 03時00分58秒 | 日々の出来事
全く、世の中何が起きるか分からない。
突然うねりを上げた大きな流れに私達は飛び乗ろうとしている。
石橋を叩いて尚叩いて渡る慎重派の背の君が、突如人生最初の大冒険を試みた。
いや、最初の大冒険は私との結婚を決めた時だっただろうから、二度目かな。
かわいそうになぁ、おかげで未だに彼はジャングルの中を彷徨ってる。
今度はツンドラを彷徨う事になるやもしれず・・・。
まぁ、暑かったり寒かったりで丁度いいのかも。わはははは!

2006年に向けて怒涛の如く流れ出すだろう我が家の新しい頁に夢を託そう。
選択が間違いではない事を、間違っていたとしても後悔しない事を!
流れに呑み込まれないよう泳ぎきらねば。
・・・あ、背の君はかなづちであった。
まあ良い、共に水底をはいずってでも前進するのだ。

何て、ちょっと大袈裟に書いてみちゃった。

いやぁん・・・内容は書きたいけどまだ書けない。
だったら書くな!って話なんだけど、落ち着かないので記録する事に・・・。

かぁちゃん、待ってろよ~!一世一代の散財物語が多分始まるよ~。




コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

くちぐせ

2005年12月16日 03時01分33秒 | 日々の出来事
いわゆるその、自殺願望的発言が、かぁちゃんの口癖だった。
これは私が幼い時から変わる事無く、それを本気にするほどまだ小さかった私の方が死にそうなくらい泣いてたのを今でも覚えている。
そうだ。「あんた、心臓が悪いんだから泣かないの。」って言われてたっけ。
・・・んな、あほな・・・。

すっかりそんな事に慣れっこになってからは、「どうぞ~、場所選んでよ~、お金がかかるから。」ってまぁ、この冷たい対応は私。
かぁちゃんはそんな時「あら、お金がかかるの。」とご納得。
・・・だから、そんな、あほな・・・。

いつもの様に、今日も夜中に用もないのにトイレに座るかぁちゃん。
勿論座らせるのだが、じ~っとリハパンを眺めていて、やがて穿き口のゴムをビヨ~ンビヨ~ンと両手でもどかしげに伸ばしながら、たどたどしくつぶやいた。
「これ、これで首くくるわ、うふふふ。」
・・・それって無理だと思うけど。

何故なんだろう、どうして覚えていて欲しい事はどんどん忘れて行くのに
覚えていなくていい事ばかりを突然思い出したように口にするんだろう。
脳細胞とやらはいったいどんな風になっているのやら、思わず振って確かめたい衝動に駆られながら、かぁちゃんがリハパンの足の所から頭を出して、うふふふっと笑っている妄想から逃れられない・・・困ったなぁ。

夕刻より雷雨。ひとしきり冷たい雨が降った。
帰り際の空気は澄み渡り、つついたら割れそうに張り詰めている。
なんと、まぁ、辺りが明るいほど白く輝く月。
南西に一際輝く白い星。あ~っ!シリウス発見!!
月明かりに負けて微かに見えるのは、あ~っ!オリオン発見!!
冬の夜空だ。いやぁ、見とれてしまうなぁ。
今日の締めくくりに、思いっきり笑顔炸裂。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

はんぶんこ

2005年12月15日 02時54分30秒 | どうでもいい話
     嬉しかったり悲しかったり
     楽しかったり苦しかったり
     舞い上がったり落ち込んだり
     満たされたり虚しかったり
     安心したり怖かったり
     愛しんだり疎んじたり
     傷つけたり癒したり
     ・・・・・・・・・・・・・
     幸せだったり不幸せだったり 
     自由だったり不自由だったり

どちらも半分ずつなら丁度いいのかもしれない。
どちらかが欠ければどちらも気付かないから。
どちらもがゆっくりやって来れば穏やかに過ごせるのかもしれない。
どちらも突然やってくるとうろたえるから。

なかなかどうしてこのバランスが難しい。
シーソーゲームを繰り返しながら生きているみたいだ。
時にそのバランスが著しく崩れてゲームの続行不可能となる。
さてそこから立ち直るのがまた難しい。
けど、ジ・エンドにはするものか。
さて、力強く地面を蹴ってゲーム続行!!

でも、時には休んでもいいって事にしよう。
休めば続けられるから。続けるには休まなきゃ。
うん!これもやっぱりはんぶんこ。
上手にはんぶんこ出来るといいね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

しあわせ

2005年12月14日 02時48分49秒 | 日々の出来事
「しあわせ」という小冊子がある。
文字を書く事に凝っているかぁちゃんに、ヘルパーさんが本棚から見つけて側に置いてくれたものだ。
小さな冊子は落書きだらけで、元の文字がもうすぐ見えない。
その中にかぁちゃんのお気に入りがあって、いつも同じ場所をあけてある。

     楽観主義者とは
     いつもひどいことだらけだが
     ここはまだいい
     わたしは運がよかった
     と言う人のことだ
     現状にまんぞくしいたずらに嘆かぬ人のことだ  
                
                       ソルジェニーツイン

かぁちゃんの手元を見ると、しあわせしあわせ・・・と延々と書き連ねてある。
かぁちゃん、本当にしあわせなのかな。
アルツハイマーになって運がよかったのかな。
認知症と呼ばれても満足できてるのかな。

一つだけ本当だね。
あれ程悩むのが趣味だったのに、今はもういたずらに嘆いていない。
悩まなくても良くなったって事は「しあわせ」なのかもしれないね。
そうね・・・愚痴ばっかりのかぁちゃんを冷たく咎める事はもうなくなった。
それは「しあわせ」って事なんだね、私にとっても。

満月が帰って来た。益々冴えて白く輝いている。
噴水の表には薄氷。微かに月明かりを反射している。
・・・あぁ、本当にしあわせかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おっとっと~。

2005年12月13日 02時44分36秒 | かぁちゃんにまつわる話
かぁちゃんが自分だけで出来る事は少なくなってしまった。
けれど、「食べる」という事に関しては「食べられない物まで食べちゃう!」
って事は置いておいても、しっかり箸を上手に使って自分で出来る。
例えどんなに長い時間かかっても、ぽろぽろこぼしても、楽しそうに心底嬉しそうに食べている顔を見ていると、これだけは私の都合でかぁちゃんから奪ってはいけないと肝に銘じている。

食事の他にちょっとしたおやつも食べるのだが、訓練を兼ねて(私の思い込みに過ぎないのかもしれないが)指先でつまめるような小さな物を選ぶ事が多い。
かぁちゃんは合間に手をふるふるさせながら一生懸命つまんでいる。
左手は麻痺してしまっているので右手だけなのだが見事なものだ。

今日のおやつは「おっとっと」。スペシャルでコーヒー付き~!
私はその間に部屋の隣の台所で家族全員の夕食の準備をするのが日課だ。
なので、その間はかぁちゃんから目を離している事の方が多い。
・・・・・・。

かぁちゃ~ん、おっとっとがコーヒーの中で泳いでますけど~!?
いかんでしょう、これはもう食べれないでしょう!!
いや、気持ちはわかる。ものすごく、よぉっくわかる。
たいやきが海に逃げ込んだように、おっとっとも近場の水の中に・・・。
あ~あ、コーヒーじゃなくってお茶にすればよかったなぁ。
おっとっとが浮かぶ・・・いや、泳ぐ様がもう少し綺麗に見えただろうに。

・・・おっとっと、ごめん。次回からは却下だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おててつないで

2005年12月10日 02時45分36秒 | かぁちゃんにまつわる話
人と人とが分かり合う事って簡単なようで難しいなぁって時々思う。
それは自分自身にも大きな原因があるのだろうけれど、
同じ言葉を語る者同士でも余程努力をしないと分かり合えない事ってある。
ましてや、認知症で別世界で生きてるかぁちゃんと分かり合うのは・・・。
その別世界を、かぁちゃんが見てる世界を少しでも覗けたらってよく思う。

本当は、ちゃんと語り合えた頃には私たちは理解しあえていなかった。
分かり合えた筈なのに、私はそれを拒否し続けて来たのだと思う。
かぁちゃんが羽目を外さないように、他人様に寄りかかりすぎて迷惑をかけないように、自分が望むと望まないに関わらず物心付いてからはいつも冷たい目で彼女を監視する役割をしていたように思う。

かぁちゃんがアルツハイマーと診断されて自分の思うように歩けなくなった時も、私は手を繋ぐ事ができなかった。
腰の辺りを支えてはいたが、どうしても手を繋げなかった。
観念して手を繋いだのは彼女が初めて自力で立ち上がる事が出来なくなった時だ。

かぁちゃんとは母ちゃんではない。彼女の名前からとった呼び名だ。
あえて「かぁちゃん」という響きで呼ぼうと思ったのは、もう一度小さい頃の様に母を母として認めたいからだと近頃やっと気が付いた。

遅すぎたかな、かぁちゃん。
でもね近頃やっといろんな記憶を肯定的に見つめる事ができるようになったよ。
これまでの積み重ねがなかったら、今の私なんていない訳だし。
私が愛するかけがえのない者達も、私が愛した大切な者達も、貴女が生んでくれたからこそ出会えたのだものね。
いつの頃からか、貴女にありがとうと思うことをすっかり忘れていたよ。

小さな子供のようになってしまった貴女に接していて、切なくもあり、やり切れなくもあり、時には苛立ちもするけれど、
くったくのない笑顔で笑う貴女を見て、その笑顔だけはずっと忘れずにいてくれる事を心から願っている。

貴女の愛した薄紫の花達を、貴女の愛した歌達を私も愛し始めている。
同じ物を愛する事で、もしかしたら同じ物が少しは見えるかもしれない。
これからも多分、いや必ず、私は貴女に苛立ち、声を荒げる事もあるだろう。
その私に対して怒りの眼差しをきっと貴女は向けるのだろう。
けど、かぁちゃん、そんな時は一緒に「あざみの歌」を歌おうね。
貴女がたった一つ歌詞を覚えている大切な歌だから、両手を繋いで歌おうね。

かぁちゃんが元気だったら、きっと私は今でも手を繋ぐ事ができなかったと思う。
生きているうちにそれが出来たって言う事は、アルツハイマー症という厄介者は私達親子にとっては、案外大きなプレゼントだったのかもしれない。
心からそう思えたら・・・。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする