『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

2006年03月31日 14時52分12秒 | 日々の出来事
いったい、何人の人達を送らなければならないのだろう・・・。

命を与えられたのだから、奪われてしまうのは当たり前。それが命ある物全ての理なのだとしても、せめてその順番だけは間違わないで欲しいと思うのも虚しい。
何度も何度も思うのに。今日の、今の、全ては必ずしも続かないっていつも思うのに、本当の意味で、まだまだそれは全く理解できていない。もしかしたら私は生きている間には理解できないのかもしれない。

深く深く、何度もため息をつきながら・・・。
けれどどんなに、虚しくても、どれだけの涙を流しても、いつしかお腹もすくし眠くもなるという事は、生きている証でもあるし健康だという事なのだろう、まだ。


私は他人様と食事をするのが、余り得意ではない。レストランや茶店に入ると必ず出てくる氷入りの水。あれでまず緊張する。・・・水が怖いのではない。実は氷をかじるのが癖で、氷を見ているとかじりたくなってしまう。他人様の前ではその誘惑に負けないようにするのが困難で意識がそちらに集中してしまってよろしくない。緊張している間はまだ良いのだが、つい無意識に水と一緒に口に放り込んでガリガリと・・・。また、それをやらないと欲求不満にもなる(苦笑)・・・背の君がいつも「俺を威嚇してるのか?」と言うけれど、確かにこれって行儀がよろしくない。随分前にカナリア姫の前でついやってしまって「あんた、ミネラルが足りないんだよ。」って言われたけれど、え?そうなの?人によってはカルシウムが足りないって言う人もいるけれど、確かに精神的に落ち着かない時には尚の事その傾向が強いような気がする。ここ数日いつにも増してガリガリとやっていると、季節外れの寒さも手伝って体の中から冷え切ってしまった。何やってるんだ?私は。

気が付けば明日から四月。数ヶ月前から愚息が就活を始めてスーツ姿で家を出て行く事が多くなった。お陰でアイロンがけが増えて面倒だなぁと思っていたら、父親と息子のを間違えて洋服掛けにかけてしまい、今朝は背の君の目が点になっていた。以前なら文句の一つも言ってただろうに今日は黙って着替えてた・・・わぁ、ごめんなさ~い。・・・こんな風に毎日が流れて行く。

一年以上不調だったもう一人の愚息の目つきが変わった。元の光を取り戻したようで姪っ子のお通夜から帰って来た日は徹夜でエントリーシートを書き込んでいた。・・・そうだよ、彼らは行動し始めているじゃないか。良いことばかりは続かないけれど、悪い事ばかりも続いてなるものか!!

今日からかぁちゃん、ぺこちゃんが二人揃ってショートステイ。今から我が家の大掃除を始める事にしよう。どうにも歌う気持ちになれなくてゴスペルの練習も休んでしまったし・・・気持ちがついていかなくて休んだのは初めてだ・・・鼻歌すらも出てこない日が続いていたけれど、悲しみは悲しみとして覚え続けていなきゃいけないけれど、いつ何時何が起きても良いように、めいっぱい今を頑張らなくっちゃって気になった所で、さて、久しぶりに何を聴こうか?

聴きながら頑張れる曲を選んで活動開始!!
その前に、やっぱり一欠けらの氷を口に放り込んでからね。
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命の重さ

2006年03月27日 03時52分25秒 | 日々の出来事
妹達がやって来て、私に「睡眠時間」のプレゼントをくれた。
中学生になった自閉症の甥っ子が「おばちゃん、ハッピバースデイしよう!」とケーキの蝋燭に火が灯るのを待ちきれないようにあちこちの照明を消してまわり、私の腕をひしっと掴んで、たどたどしいが大きな声で歌ってくれる。彼の濡れた瞳の中に蝋燭の灯りがキラキラと輝いて、おばちゃんはそちらの方が嬉しかったよ。
家が広くなって、妹達親子がちゃんと人数分の布団を敷いて眠る事が出来るようになったのが姉としてはとても嬉しい。

かぁちゃんが隣の住人になってから、我が家の者達の出入りが多くなった。
やっと、私一人じゃないと、少しばかり家族みんながアルツハイマーやパーキンソンという病と向き合う体制が出来つつあるのかもしれないと、希望の光が見えてきたような気がするが、それとは逆に日常起きる様々な出来事は、そんな事はおかまいなしに、ある時は緩やかに、ある時は突然にやって来て心を乱し、時にはしたたかに打ちのめしてくれる。何故?どうして?と繰り返す疑問には回答は準備されていない。きっと一生問い続けていかなければならないのだろう。

休日の朝、背の君がやって来て「おかぁさん、朝ごはんはちゃんとたべましたか?」とかぁちゃんに問いかけると、しばらく彼の顔をじっと見つめて、得意の「うふふ。」で笑っていたけれど、ふいに悲しそうに首を横に大きく振った・・・。きっと食べた事を忘れてしまったのだろう。やがて昼食をお盆に乗せて机に置くと、かぁちゃんは顔をくしゃくしゃにして涙をこぼした。箸を持つ手がふるふると震えている・・・そんなに嬉しかったんだね。きっと随分久しぶりの食事だと思ったに違いない。

これまで積み重ねてきた人としての尊厳を徐々に失ってしまっても、勿論、失っていく過程ではとても苦しんだのだろうけれど、今は穏やかに時の流れるままにただ生きている・・・そんなふうな人生もある。鶯姫のように痛みや苦しみと最期まで戦う人生もある。生きたいと願いながら生きる事が許されない人生もあり、ある日突然に奪われる人生もある。そしてそれぞれを見守り続ける役割の人生もある。

ひとそれぞれが持っている命の重さはどれも同じだと思っている。けれど、その命がこの世で経験する事の重さは・・・そんなの不公平だよ!と叫びたい衝動にかられる事もある。「何故?」と行き場のない思いに身を振るわせる事もある。それは怒りに近い。

10年前、義兄が逝ってしまった。病名を告げられてから半年。45歳だった。
義兄の下の娘、姪っ子が同じ病で昨日逝ってしまったという。
・・・まだたった20歳じゃないか。

義姉は、姉の姪っ子は、今この時、この夜をどれほどの思いで過ごしているのだろうと思うと、かける言葉もない。・・・・・悔しい。
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かぁさんからの宅急便

2006年03月25日 03時38分34秒 | 日々の出来事
またまた、ややこしい言い方を・・・(苦笑)
鶯姫が身近にいるような気がしていたら、カナリヤ姫から宅急便が届いた。

カナリヤ姫は私と鶯姫のお姉さん代わりで、私が行く道をふらふらしていたりすると時にはしっかり叱ってくれる、本人に言ったら「そんな年じゃないっ!」って怒られちゃうけど、やっぱりお母さん代わり。

先日、商店街で共通の知り合いにバッタリ出会った時に、どうも私がひどい顔をしていたらしく(自覚症状はなかったのだが)黙って私を見て「こんにちは。」も言わないうちに「どうしたの?目が半分になってるわよ。」と言われたのだけど、どうやらその事が耳に入ったらしい。
「ちゃんと眠れていますか?今度一緒に食事をしようね。」というメッセージと共にお菓子やレトルトのお赤飯やら、ブルーベリーの果実たっぷりのジャムやら・・・。まるで、故郷の母親からのようなプレゼントがぎっしりと詰まっていた。

ねぇ、だから涙腺が・・・。

お礼のメールを送ると「明日は誕生日だね。いくつになった?」と返事が来た。
そうだった!誕生日だった!!もう今日だ~!・・・すっかり忘れていた。
そうかぁ・・・。

「誕生日おめでとう。」と去年まで朝一番で届いていた鶯姫からのメールはもう来ないけど、ちゃんと覚えていてくれる人がいる事が心から嬉しい。

今日は“会えない”事を悲しむのではなく“出会えた”事を幸せに思おう。
私に出会ってくれた全ての人達に心から「ありがとう。」の投げキッスを送ろう。・・・誰かがバリアをはってる気がするのは気のせいか?(爆)


私はカナリヤ姫にありったけのありがとうと共にメールの返事を送った。
「は~い。26歳になったよ~!!。」・・・・・・・
・・・・・石を投げられそうだ。・・・。
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胸きゅん!

2006年03月23日 02時28分05秒 | 日々の出来事
今朝、ファックスが届いた。昨年天に召された鶯姫からだった。

勝手に鶯姫って呼んだら「私は球場の鶯嬢なわけ?」って笑いながら「三番、バッター・・・。」って本当にふざけている声が聞えそうだけど、彼女はアマチュアながら朗読で舞台にも立っていた事があるし歌声は軽やかで上品な素敵なソプラノだったっけ。
ずっと以前に私がまだ地声で歌わずに裏声で歌っていた頃、とある場所で私達二人が歌っているのを「金の鈴と銀の鈴」って言ってくれた人があったけど(ちょっとだけ自慢・笑)彼女の声は本当に金の鈴の音のようだった。あ~あ、今の私はひびの入った土鈴だなぁ・・・なんて思ってたらたまらなく会いたくなって、遺影に向って手を振って、ついでに“あっかんべ~”もしてきた。(こらっ!)

さて、そのファックス、舞台で役者をしている彼女の息子のエッセイが新聞に載ったという内容だった。
実は彼女が逝ってしまってしばらくしてから、彼女の名前で天国からファックスが届いた。彼女の愛した息子の近況を、やはり彼女が愛したご主人が、亡き妻の名前で私達に届けてくれた物だった。
彼女の息子の最新のエッセイはこの事について触れてあったので、朝からどうにも涙が止まらなくて、隣のかぁちゃんの家に行くのに、耳を澄ませて階段の上り下りをする人がいない事を確かめてからダッシュせねばならない始末で、どうにも困った。近頃涙腺の締りが悪くてどうにもこうにも(苦笑)

でも、それは悲しいばかりの涙じゃない。思いもよらず突然に、会いたくてたまらなかった人に出会えたような、そんな“胸きゅん”なちょっと幸せな涙。
会えない事は、それでその人の全てが終わった訳じゃなく、同じ面影を愛しむ人達によって今も現実に生き続けているものなのだ。時には優しい嘘から本当に息づかいが耳元で聞えるような幸せな錯覚を覚える事もできる。だから、残された者たちは笑顔を取り戻せるのかもしれない。
この世に生きているのに会えない人だっているのに「生きている」事を信じているだけで悲しくない。いつかもしかしたら会えるかもしれないって夢見れる、そんな思いに似ているかもしれない。・・・こんな、少し御伽噺のような現実がふわりとした彼女に似合っていて、悲しいけど嬉しい。

やがて必ず自分も“残して行く者”となる。

かぁちゃんの引越しをきっかけに、三年近くたまりにたまった書類や、小間物、手芸材料の整理を始めた。少しは身辺整理を始めないと収集がつかなくなっている事凄まじく・・・。このままでは何かあった時に白い目で見られそうだ(苦笑)ヤッバイよマジで!!・・・ん~、手芸材料なんて一生分ありそうだ。
その中には全くお洒落に感心のない私を憂いて(笑)元気な頃に鶯姫がくれた可愛い小物や生地類がいくつもある。その時々に話した事や笑顔を思い浮かべて、やっぱり涙が溢れてくる。・・・私は元気だよ。

そんな感傷に浸りながら、かぁちゃんの家の玄関を開けると、ほんの30分目を離していただけなのに、またしても一反もめんがひらひらといるではないか~っ!トイレからベッドの側まで延々と、出発点はぁかちゃんの右手。ぐるぐるぐるとトイレットペーパーを巻きつけて・・・いやぁ、それにしても、よくまぁ途中で破けずにいたものだと変な所で感心してしまった。

楽しい現実はここに有り!!


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ささくれひとつ

2006年03月21日 02時20分27秒 | かぁちゃんにまつわる話
先週、かぁちゃんがいつもお世話になっているショートステイ先から電話があった。「明日お迎えにあがりますので。」・・・へっ?
お願いした記憶がなかったので、その旨を伝え、何となく気になって実際にお願いしている日が予定に入っているかどうか尋ねると入っていないという返事。
「そんなぁ!」冗談抜きでヤバイっす。こちらの予定が全て潰れてしまうし、泣くに泣けない事態も発生する。慌てて何とか予定を入れてもらって事なきを得た。あちらも「何か手違いがあったかもしれませんね。」と、快く対応してくれたので、それで何事もなく済む筈だったのだが・・・。

一応念のために(もしかしたら、他人様と入れ違っているかもしれず)ケアマネ(ケアマネージャー)に連絡を入れると「はいはい。」と二つ返事で流されたので、別に気にする必要もなかったのかな、また余計な事をしてしまったかなぁ、と、常日頃から心配性の性格をまたしても反省していたのだが、その週末のデイサービスのお迎えがいつになっても来ない!ぺこちゃんのお迎えが済んでいるのに、まだ来ない。外出の予定を遅らせて電話をしてみると、ショートステイの予定になっているとの事。・・・へっ?
まぁ、こちらもすぐに迎えに来てくれたので事なきを得たのだが、これまでなかったトラブルなので、ケアマネにすぐ連絡を入れた。

私達が恵まれているのは、かぁちゃんのかかりつけの病院の中に通所リハビリ施設(デイサービス)があって、初めから悩む事なく様々な手続きを早急にしてもらう事が出来た事だ。幸いかぁちゃんは主治医の先生のファンでもあったし、デイサービスでは心地良く、機嫌よく過ごさせてもらっているので、とても感謝している。
ショートステイ先もヘルパーさん派遣もケアマネがすぐに紹介してくれたので何も心配する事はなかったし、過去に大きなトラブルは一度もなかったのだが、あえて少しだけ愚痴る事が許されるならば・・・私達が人を選べない。ケアマネにしても、ヘルパーさんにしても・・・。けれど、そんな事は贅沢な事だと百も承知だし、不都合な事は何一つない。少しの不満はあっても感謝の気持ちと比べるとそれはゴミくずのような物だ。

・・・の筈だったのだが、今回ケアマネに慌てて再度連絡し確認してもらうとショートステイの希望が入っているとの事。私はその日はお願いしていない事を告げ、希望している日が入ってなかったのでお願いした旨を言い終わらないうちに、確かに私から聞いたと言われる。へっ・・・?私が言葉を途切れさせてしまうと「言った、言わないになるから。」って・・・へっ??加えて「今回はキャンセルしたの?」って、これって私の中では当たり前だったし、本心を言わせてもらうなら「こっちの勘違いかもしれないね。」と、一言詫びの言葉をもらえるとその時はまだ思っていたのだが、ケアマネが次に言った言葉は「あちらに迷惑をかけてしまった。」・・・何で?
「よろしくお願いします。」と言いながら、あぁ、私達はお世話になっている身分なんだな。人様に迷惑をかけないと生活できない身分なんだなと再確認した。・・・心が寒い。小さなささくれが痛い。

その直後かけなおされた電話はただ一言「あちらには話をつけておきました。」だった・・・。結局私は、自分が日を間違えてお願いして、勝手にキャンセルしたって事?言葉で伝えると間違いが起きる可能性があるのでいつも必ずFAXを入れており、その原稿は残っている。私が間違えたんじゃなかったと安心はしたけど、ささくれが治るにはあと二、三日はかかりそうだ。
・・・もしかしたら、再三施設入所を勧めてくれたのに、それに応じなかった事がいけなかったのかな?それとも介護保険制度が変わるので忙し過ぎるのかな?

・・・止めよう。次にお願いする時は、嘘でも笑顔でお願いできるようにしとかなきゃ・・・頼み事は嫌いだけれど、頼まないと・・・お世話にならないといけない身なのだから・・・。それより心のささくれを早く治さなきゃ。

かぁちゃんは、無邪気に遊び食べをしていた。器から器へ食べ物を移動させて、時々箸でお皿にくるくると丸を書いている。その小さな音が不思議に愛しく思えた。器と箸でかぁちゃんが作り出す音楽だ。自分で出来る残された数少ない事の一つだもの、がんばって奏でるといいよ。
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負けた・・・。

2006年03月16日 03時36分34秒 | 日々の出来事
夕餉の支度を終えて、鍋を片手にかぁちゃんの家のドアを開けると目の前にぽっかり浮かんだお月様発見!!こうこうと夜空を照らす、まだ昇って程ない満月の綺麗なこと、しばし見とれて足が止まってしまった。
「久しぶりだな~っ、おっつきさん!」よよと泣き崩れ・・・はしなかったけど。

かぁちゃんは夕食中。食べている間だけは食べる事に集中してくれるので、一番目を離しても大丈夫な時間となって我が家の夕食に移るのだけれど、どうにもそわそわと落ち着かない。
わ~っ!夜風が恋しい!月が恋しい!外へ出た~いっ!!

誘惑に勝てなかった。その思いに負けてしまった。夕食のセッティングを済ませると心そこにあらず・・・で、夜遅くまで営業してる少し遠いスーパーまで買い物に出かけてしまった。あはは~っ!おっ月さん、おっ月さん!!
自転車こぎこぎ、月を見上げてにんまりするおばさんの図なんてあまり想像したくない物だろうが、そんな事はお構いなしで、お月様とランデブー(笑)
うん、満足!きっとこれからも、この誘惑には負けるだろうなぁ。

三週間程の間に季節が移って来ているのを実感した。寒い日に逆戻りだった筈なのに、頬を撫でる夜風は程よく心地良い。生垣が月明かりに濡れている様はやっぱり素敵!何より心が癒される。

昨夜寝付かなかったかぁちゃん。四時前まで側にいたけど、やっと寝入ったと思って家に戻って休んだのに、朝行って見ると床に足を放り出してペタリと座り込んでいる。覗き込むとその顔に・・・左の頬に傷が!あんたは丹下左膳か?無用之介かぁっ?目は大丈夫か?全く肝が冷える。流血していたせいで傷が大きく見えたけど
実際は2センチ程だったので一安心。おそらくあれから起き出して、立ちすくんで力尽きてこけたのだろう。サイドテーブルに顔を打ち付けたに違いない。少し深く切れているので血が流れたのだろうけど、かなり落ち込んだ。

以前、三日間程ほとんど寝ないのに付き合ったのだが、こちらも眠れずにいると、自分がどうしてもコントロールできなくなってしまう。声を荒げたり、掴んだ腕に力が入ったり・・・と、苛々は押さえきれなくなるので、せめて三時間は熟睡したいと、家に帰っているのだが、そのせいで傷を作ってしまったのだから、どうしても自責の念に苛まれる。今日は朝からずっとひっかっかっていたのだけど、月が心をなだめてくれたようだ。せめてこの誘惑には負けてもいいって事にしてよね。

さぁ、もう一度かぁちゃんを見てこよう。眠っていてくれたらいいのだけど・・・。

それにしても、かぐや姫は月を見て泣いていた事を考えると、どうもそちらの血は流れていないようだ。こ~んなに月を見て血が騒ぐと言う事は、きっとかぐや姫を地球へ送り出した宇宙人の流れを汲んでいるのかも、もしくは、バンパイヤ?バンパネラの系統か?・・・遠吠えしたくなる気分だ。
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かぁちゃんとぺこちゃんと私

2006年03月14日 09時08分49秒 | 日々の出来事
かぁちゃんとぺこちゃん、ほとんど時を同じくして一人は近所に、一人は我が家に引越しをして来た二人。
私達家族四人の生活は、寝食の時間を始め徐々に、あるいは突然、随分と変わってしまった。幼い頃から少し変わった家族の中で育った私は、ごく普通の家族に憧れて、もちろん憧れどおりになんてならないけれど、でも「自分の家族」はとても大切で、その中には自分の親でさえ入れたくなかった。かなり意固地だけど。(あ、誤解を招くような言い方をしているかもしれないけれど、私の性格上、それぞれがかなり個人主義ではあるし、子供達が大きくなってからようやく形になったって感じ)幸い夕食は週の半分は共にする事ができていたので、その時間だけは時には考え方の相違から口喧嘩に発展する事はあっても、大いに食べ大いに喋り・・・そんな幸せな夕餉の時を持てていた。

ところが、その夕食の時が徐々に持てなくなってしまった。私は給食のおばさんみたいに作る人で、食べる人の顔が見えなくなっていった。夕食のテーブルからは一人減り、二人減り。かぁちゃんにここまで手がかかるようになる前はぺこちゃんと二人っきり。かみ合わない会話とかみ合わない時間。その頃が多分、一番きつかったかな・・・。
ただ、人は慣れる。全ての事が徐々に当然になって行く。過去に当たり前だった事は上手い具合に忘れて行く。そして新しい当たり前が出来てゆく。

近年は午前四時過ぎに背の君が「おはよう!」と起きて来て、私が「おやすみ。」と寝室に入るという、ものの見事にすれ違い夫婦なのだが、そんな事もいつしか慣れてしまって、お互いに相手の欠点にむっとする暇もないのでかえって平穏無事なのかもな・・・と無理に納得する事も出来てしまう。

そうしないと、そんなふうに思うようにしていかないと自分自身が壊れてしまう。それは既に経験済みなので、ある意味逃げているのかもしれないけれど、それもいつしか当たり前になっている。・・・これって決して良い事じゃないなとは思うけれど、悩んだり思うようにいかなくて歯噛みするのにも疲れた。
今の一番の悩みは?と誰かに聞かれたら、かぁちゃんの事でもぺこちゃんの事でもなく、切りすぎてしまった前髪の事だって即座に答える。

・・・「前髪太郎」って言うな、背の君!父親にこっそり「おかんのあれはどうしたんだ?聞くと怒ると思って聞いてないけどさ。」って聞くな!私は今激しく落ち込んでいるのだ。眠い目で夜中に前髪を切ってしまったのがそもそも間違いだったんだ。あ~~・・・(涙)
少なくとも「その前髪どうしたんだ~?」って笑わないから、かぁちゃんやぺこちゃんがこの時ばかりは好きになる(苦笑)

かぁちゃんが隣人になって、また新しい当たり前が出来ていくのだろうが、そこに「家族」のエッセンスが少しだけど加わって行く予感がある。
毎日なんて贅沢は言わない。せめて数ヶ月に一度くらいは「家族」の夕食を取り戻したい。何より、私自身も取り戻したい。なるべく早く。
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手ごわいぞ!

2006年03月11日 03時47分33秒 | 日々の出来事
委任状続編とでもした方が良かったかもしれない・・・。
引越しの転入届け、住所変更等はかぁちゃんの拇印入りの私の手書きの委任状で全ての手続きが完了。ほっとしたのも束の間、なんと手ごわい敵が残っていたのだ!その名は郵便局!!ゆ~びんきょく~!!!

はっきり言って、窓口のおにいさんの対応はとても親切だったのだが・・・だがっ!委任状は本人の字でないと駄目だって?本人を連れてこないと駄目だって?あのね、本人が書けないから私が書いてるの。本人が来れないから私が来ているの。本人が来れるくらいなら委任状なんて持って来ない訳・・・どう?お分かりになって?ええ、ええ、私は良い子。い、いや、一応大人なので声を荒げたり、啖呵をきったりしませんがね・・・ちょっとあんた!おにいさんに指図してるあんた!上司かえ?経験豊富なんでしょ?窓口でかぁちゃんの病名まで言ってるのに、それがどういう事かわかんねぇのかよ?てめぇが顔出して説明しろい!・・・胸の内ではこう叫びながらひきつり笑いを浮かべて一応お断りすると、それでは案内等が送れないとおっしゃる。ふ~ん、だったらどうしろと?

苛々も頂点に達して「来て頂くかどうかしないと無理ですわぁ、おほほほ。」とやると、「行かせていただいてよろしいですか?」だって。
・・・・はぁ?ちょいとおにいさん、来てくれるの?何でそれを早く言ってくれないのかな?無駄に使った時間を返せ~っ!

さすがに郵便局なのである。ちゃんと次の日に自宅まで来てくれて何の問題も無く手続きできましたとさ。・・・全く・・・深い深いため息一つ。

私は、ちょっとついでにかぁちゃんの通帳の住所変更をお願いしただけなのに。
そこまで徹底していただくのはとても素晴らしいと思うけど、高齢化社会なのである。代理人が手続きをしなければならない事はもっと増えてくると思う。何か良い方法を郵便局のみならず、考えられないかなぁ。
だって、パスポートによる代理人の身分証明や、健康保険証による委任者本人確認すら役に立たないのに、自宅に来るといとも簡単に事が運ぶのはな何だか納得できない。悪さをしようと思えば他人を連れて来て一芝居うつ事だってできるじゃないのかな?考えすぎかなぁ?・・・なんとなく腑に落ちない。

まぁ、愚痴っても仕方がないのだけれど、ただ、疲れた(苦笑)
































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ベッドと靴下とぺこちゃん

2006年03月09日 03時58分23秒 | ぺこちゃんにまつわる話
かぁちゃんの引越しで、またもやぺこちゃんを放りっぱなしにしがちな今日この頃。もちろん、かぁちゃんが引越しして来る事は伝えたし、ちゃんと新居の中も案内したのだけれど、も一つ反応が鈍い。あまり興味がないのかな・・・まぁ、それも仕方がないとは言え、かぁちゃんばかりに気を取られていては、少々ご機嫌斜めになるのは止むを得ない。

なので先日の腰痛ドタバタに懲りて、こちらも一大決心。二人がデイサービスの日を一日、ぺこちゃんの部屋の模様替えにあて、和室に絨毯を敷いてベッドを入れた。和室に絨毯って好きじゃないけど、先日より小さなテーブルと椅子で生活し始めたのでそうは言ってられない。既に畳には椅子の型がくっきりあちらこちらに付いてしまっているし破れるのも時間の問題となりそうなので、まぁ仕方がない。
以前住んでいた工場の寮も和室だったので、深く考えないで和室の生活をさせていたけれど、先々足腰がもっと弱る事を考えれば、椅子に座る生活の方が楽だろうし、はっきり言って多少腰が痛くてもトイレには行き易い筈だ。行って欲しい!

しかし、二人がいない日というのは平日だった~っ!
という訳でまたもや力仕事を一人でする羽目になったがこれもまたいたしかたない。が、しかし彼女が引越しの時に持って来た32インチのワイドテレビは重いよ~。大抵の物は息を詰めて集中すれば持ち上がるが、これはちょっと無理。引きずりながら空間を作って絨毯を敷くという、自分の中のこだわりを捨てての暴挙で何とか成功!ん~、わはは!まだまだやれる。
かくして、ぺこちゃんの部屋は彼女の大好きなピンク色にへんし~んっ!
ぺこちゃんは「うわぁ!」と言って喜んでいた。良かった良かった。・・・しかし、擦りガラスの入った引き戸越しに見るとあちら側はピンク色に萌えて・・・いや燃えている。何となく場違いな気もするが、まぁいいかぁ。

ところで、毎週火曜日の「ぺこちゃんデイ」に一緒に買い物をすると、彼女は洋服屋や下着屋の前で止まって手にとってあれやこれやと眺める。必要かどうかを確認して一緒に買うのだけれど、洋服ダンスを移動する時に気付いた。引き出しを抜こうとしても容易に抜けない。力任せに引くと中の物が飛び出した・・・服や下着の山・・・なるほど、それでいつも洗濯したての物ばかり着ていたのかぁ、同じ物ばかり着てるから、お気に入りなのかなと思ってた。それにしても、靴下は新しい物が別にスーパーの袋いっぱいに詰めてあった。下着はずっと以前に買った物らしい未開封のサイズの合わない物が沢山・・・だってぺこちゃん、昔はスマートで、我が家に来た頃はMサイズしか買おうとしなかったっけ。聞くと「Lでは恥ずかしい。」・・・きっと以前に誰かに言われたのだろうが、そんな事言ったって~、入らないよ~。

ぺこちゃんの事がまだ私には分かっていない。なまじ普通に会話出来ているので私の言う事が全て理解出来ていると思ってしまっている所がまず問題だ。けれど、言葉によっては彼女の自尊心を傷つける事になるので、言い方や指導の仕方には気をつけないといけないのだが、彼女のこれまでの事を聞く相手がどこにもいないのが辛い所。・・・繰り返して思う事は「私は母親にはなれない」って事。それだけの覚悟が出来ていなかったし、いまも接し方は手探り状態が続いている。四年かけて同居している事は当たり前なったけれど家族にはなかなかなれない。けれどそれは私自身の問題で、彼女は既に家族の一員という事に何の疑いも持っていないようだ。そのギャップが時に心に重くのしかかる。

ぺこちゃんは未だに私以外の誰とも喋らない。一番近くにいる私でさえこうなのだ。途中から家族になるという事は、想像以上に難しいのかもしれない。


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本とカセットテープとかぁちゃん

2006年03月06日 04時19分46秒 | かぁちゃんにまつわる話
引越し荷物はまだ片付かない。いったいどうしたらこんなに荷物があるんだっていう程、一人暮らしにしては物が多いと思う。
けど、それらはかぁちゃんのあまり平穏ではなかった71年の人生がつまっているのだから、あんまり無碍にはできないなぁと思いつつ、古びた大学ノートに綴られた文字を拾ってつい読んでしまう。セピア色に変色して閉じ糸もほつれてしまい、所々頁が破けた一番古いノートには「歎異抄」が書かれている。私は未読だが、かぁちゃんは随分若い頃に読んだらしく、本を買うお金が無くて先生から借りた物を自分で写し取っていたようだ・・・思えば、元気な頃から我儘の方が目に付いてしまっていたが、かぁちゃんもまた、そういう時代をひたすら生きて来た人だったのだ。ブルーのインクで書かれた文字は美しい。私と違ってとても綺麗な文字を綴っていたのだと思うと、名前さえ満足に綴れなくなってしまった事がやけに悲しい・・・こんな風に思いを過去へ飛ばしてしまうから、いつまでたっても片付かないんだよなぁ(苦笑)

それにしても、本とカセットテープの多さときたら・・・いや、こればかりは人の事は言ってられない。荷物を整理しながら、自分の物も処分していかなくっちゃな、なんて本気で考えてしまう。
このテープを一日一本ずつ聴いたとしても数ヶ月はもつだろなぁと、そのうちの一本、まずはいわゆる「青春歌謡」をかけながら後片付けをしていた。
かぁちゃんは、その傍らで机に座ってコーヒーのマグカップを横ちょに置いて、時折リズムに合わせて首を縦に小さく振りながら文庫本をめくったり、閉じたりしている。「出家とその弟子」・・・若い頃から好きだったようで、私も小学校の時に読まされたのだけれど、当時はあまりよく解らなかったように記憶している。表題はちゃんと読めたので、思わず「えらい!読めた、読めた。」と頭をなでなで、もうまるっきり子供扱いだなと苦笑しつつ、頁をめくるだけで内容は読めていない様子を横目で見ながら、それでも不思議に心が落ち着いた。

ゆるやかに、穏やかに時間が流れる。50年代の音楽のリズムは私にとっても心地よい。・・・しかし、なんだかおとなしすぎやしませんか?

かぁちゃん!!そのままだったら、本当に素敵なおばぁちゃまだったのに。
大きな粗相をしていては、そりゃいかんでしょう。私は一人血相を変えてありゃりゃこりゃりゃと駆けずり回る。「何で言わないんだよ~!」と大きな声で言うと、かぁちゃんは「うふふ。」と笑う・・・おいっ!

こんな風に、これからも時を過ごすのだろうな・・・。一瞬目の前の風景がセピア色に映る。自分自身の過去が一気に押し寄せる。ぎゅっと目を閉じてそれを追い払う。カセットテープは全て出したが、本は悪いけど、極一部にさせてもらおう。しばらくはダンボールの中に保存しておこう。・・・いつかその本を出して私は読む事があるのだろうか。
三日間ほとんど眠らなかったかぁちゃんは、さすがに今日は疲れてしまったようで随分大人しく、ようやく眠る事ができたようだ。どうか、しばらくはこのままで、と祈らずにはいられない。
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