『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

もの想う

2006年02月27日 04時09分59秒 | 日々の出来事
さて、このブログを始めてからまだ四ヶ月。
こういう状況になるとはこれっぽっちも想像していなかった。
人生、全く先に何が起きるかなんてわからない。そういう事は度々経験してきた筈なのに、いつも今その時が全てで、それがあたかも永遠に続くような錯覚に惑わされ続けているし、きっとこの先も新しい何かが起きるまでは再びそう思っていくのだと思う。こんな所でも「学ぶ」事は苦手だ。

何をするにも、躊躇して前に進まない私が思い切ってブログを始めたのは、そろそろ心身ともに限界かなぁと感じたからで、そこから抜け出す一つの案として、かぁちゃんの「施設入所」を決心するって事だった。一年先か二年先かもしかしたら数ヶ月か・・・けれど、妹に言わせると「それはぺこちゃんの方が先だろう。何故おねぇが診なければならないのか。」と言うことらしい。これだけ聞くと冷たいようだが、彼女自身が障害児を抱えており、母親として、また障害を持った人と暮らす先輩として「ぺこちゃんにはまだ先の新しい人生を送る可能性があり、かぁちゃんの未来より、彼女の未来の方が選択肢が多い。」と言うことだ。
しかし、彼女が家に来てそろそろ四年。自分の居場所は既にここ以外の何処でもないと思っているようだし、情も移る。第一、ぺこちゃんには第三者として接する冷静さを持っているので、私自身はかぁちゃんと接するより楽なのだ。
・・・随分悩んだ。
色々考えて、今のままでもう少し頑張ってみよう。けど、いつかそのボーダーラインを越える事があるならば・・・私が自分で決めたラインがかぁちゃんが「あざみの歌」を忘れてしまった時だったので、このブログのタイトルにもした。

さて、今回の引越しでそのラインが無くなった。選択肢はもうない。どうしようもなくなるその時まで、私はかぁちゃんを診て行く事を決めたのだから。
確かに時間的ロスがなくなる分、体は楽だが本質的な部分では何も変わらない。
きっと楽になっても愚痴はつきる事がないし、それこそ今の状態がずっと続く訳でもなく、確実に痴呆は益々進んで行く。ぺこちゃんも例外ではない。
はっきり言って、会話の成立しない人達と日々の生活のほとんどを共にしていると自分自身の心が飢えてくる。私は本当に弱い人間だと思う。

こうして、自分の不平不満を並べ立て、しかもどこの誰だかわからないのをいい事に公開してしまう事に多少の後ろめたさはあるものの、自分のその時々の思いを吐き出すことで随分気持ちが楽になっている事は確かだ。なので、しばらくこのブログを続けて行こうと思う。
引越しの後片付けが終わったら、時間ができた分、切ったり貼ったり縫ったり描いたりする本来の自分を徐々に取り戻して行きたいのでそんな話も綴っていきたいなぁ・・・というのが今の希望。
あちらこちら、ちょこちょこ変えて行く事が出来ればいいなぁ・・・なんて事をダンボールをたたみながら考えてた。タイトルも変えちゃうかも(笑)

本当にそんな風に自分の時間が持てたら、とっても素敵だろうなぁ。
そんなに甘くはないよ・・・なんて今は考えたくないので、しっかり夢見れるうちに夢見て実行しよ~っと。勿論、唇にはいつも歌を忘れずに。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

手がドラえもん!

2006年02月25日 04時07分57秒 | どうでもいい話
一晩寝たら随分回復したけれど、確かに昨日は手が痛くて指が曲がらなかった。
財布の小銭入れを開くのにも難儀してもたついて情けないったらない。
手伝いがてらに帰って来た愚息がぽつり「おかん、手がまるい。」
もう一人がぽつり「腫れてるんか?前からか?」
背の君がぽつり「ドラえもんの手だな。」・・・おいっ、揃って無言で頷くな!

自信はあったんだけどなぁ・・・やっぱり無理だったかなぁ・・・。
平日の引越しだし、前もって荷造りしかけると、かぁちゃんが落ち着かなくて、朝玄関で立ち尽くすのが二日続いたので、前準備が全くできずに、前日一日で一人で準備する羽目に・・・。
だいたいさぁ、何で私の時には揃えなかったのに、自分だけ婚礼家具揃えてるんだよぉ。それに、半分以上はゴミだな・・・こっそり捨てるかな、どうしよう。
どうでもいいけど、携帯のメールが打ち辛いのは参ったなぁ。

引越しって酷だわぁ。詰めた荷物は開けねばならぬ。明日は手伝ってもらおう。
それにしても、夕食の準備が出来ないのでお惣菜を買って来て欲しいと愚息に頼んだら、何と材料買って来て作ってくれた。
息子の手料理・・・とっても有り難かったのだけれど、食べるのが恥ずかしような照れくさい様な、変な気分。
たまには「痛いの!辛いの!しんどいの~!」と言ってみるのは、ちょっと素敵な気分になれる事を発見。・・・うふふ、時には、ごろにゃ~ん。

なんて悠長な事は言ってられない。明日、新居に帰って来るまでに、かぁちゃんの生活スペースだけは元通りにしないとヤバイ。ひじょ~に、ヤバイ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やっぱり・・・。

2006年02月23日 03時19分10秒 | 日々の出来事
あは、最後のミッドナイトサイクリングはやっぱり一日ずれた。
今朝、かぁちゃんを送り出してすぐに荷造りを始めたけど、やっぱり甘くはなかったなぁ・・・。余力は皆無と言ったところか。
あ、けど暖かい夜だけど雨上がりの空気は気持ちが良かった。吉野家にお客さん二人めっけ。巡回中のお巡りさんに見られたけど職務質問されなくて良かった。

今日は人とほとんど喋っていない。
それにしても、疲れた。
お風呂に入って、少しでも寝なきゃ・・・。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラストラン・とどめの散財

2006年02月22日 03時52分48秒 | 日々の出来事
真夜中に自転車こぐのは今日で最後。ほんとにおしまい。
心底ほっとした反面、月の光と戯れながら夜風を楽しむ事はこれから先そうそうないだろうと思うと少し・・・いや、とても寂しい。

明日から、かぁちゃんはこの月二度目のショートステイ。一ヶ月に二度のショートは初めてなので何か変だと思っているかもしれないが、それよりもっと・・・。
今週末帰って来たその日からかぁちゃんは我が家の隣人になる。

昨年末、暮れも押し迫ったある日の夜、かぁちゃんちに向う準備をしてた時に偶然目にした中古物件のちらし。我が家のある中古集合住宅の同じ棟の一室だった。
「まさかね。」と背の君と目を合わせつつ、こんな時間にもう不動産屋も閉まってるだろうと言いながらも、ちょっと気になって電話すると担当者がいた。隣の家が売りに出ていた・・・それから先のめまぐるしい時の動きったらなかった。数か月が数日に凝縮されたようで、度々眩暈に襲われた。

その時、夫は妻に言ったのだ。
「今のままじゃ、もう駄目だろう。」確かにその通りかも・・・。
でもどう考えても無理だろう。愚息達はまだ学生やるつもりらしいし、この先何が起きるかわからないのにと結論を出せない妻に夫は言葉を続けたのだ。
「そろそろ上昇気流に乗ろうぜ!」
・・・ええっ?嘘~っ!!私達、空を飛んでたの?・・・知らなかった。
成る程。水底を這ってもいざってもと思ってたのは私だけだったのか。空だったのか~っ!!!で、妻はすかさず叫んだのだ。
「墜落したらどうするんだよ~!。」言い終わるや否やパカッと頭を叩かれた。
「せめて、低空飛行と言え!」・・・いてぇなぁ、でもそうだよね。

かくして怒涛のごとく時は流れ、お金は流れ、気付けば背の君は本領発揮と言わんばかりに、あちこちの電気周りのリフォームをし、私は時間の隙間に十数年ぶりに襖を張ったりクロスを敷いたり・・・業者に頼むお金なんて残ってないし。
へへ、こんな事になるなんて知らないからCDまとめ買いしてて良かったよ~。

かぁちゃん!我家に連れて帰ってと二言目には言うけれど隣で我慢してくれぃ。
先はどうなるか知った事か。私達は先々より今を選んだのだ。既に決まっている散財予定は勿論敢行する。その後は知らぬ。何とかなるって事にしておこう。
失速はしても、墜落だけはしないように希望したい。
最初の難問は引越し準備を明日一日でやり終える事が出来るかって事だなぁ。
明日、また夜中に自転車転がしてたりして・・・(笑)

・・・何だか物凄く行き当たりばったりの事をしでかしている気がしないでもないが、もうどうにでもなれぃ。お~っし、どんとこ~いっって感じ。
しっかし、物心付いてから携わった引越しの回数を指折り数えてみると両の手でも足りない。足の指を加えて・・・。なのに、引越しの準備にこんなに疲れるのは初めてだ。本番は明後日なのに、持つかな、大丈夫かな(苦笑)

今日はBGM無しでいつもの道をゆっくり走る。
暖かい夜だ。自転車のサドルはしっとりと夜露に濡れて心なしか空気が重い。
バーにも吉野家にも人は誰もいなかった。ファミレスは2時で閉店らしい。
いつも思うのだけど、タクシーの運転手さん、毎夜毎夜横断歩道を塞いで歩道に駐車するのって失礼じゃないかい?と不機嫌になるのもこれでおしまい。
あ~っ、月が見えないじゃないかぁ、また、雨かなぁ・・・。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

散財の続き

2006年02月18日 03時28分24秒 | 歌と私と私の祭り
かぁちゃん二割、私八割のCDまとめ買い!
ミッシェル・ポルナレフの甘い歌い歌声に、んふふ~と悩殺されつつ「へぇ、こ~んな歌い方もしてたんだ。」なんて意外な発見もし、かぁちゃんの為の二枚では、思いの他色々感じる事もあり、聴くだけの作業とは言え、やけに濃い時間を持つ事が出来た。うん、満足!・・・これって持続するから結構重い。
「CD一枚、軽んじるなかれ。」

で、実は「WOW GOSPEL」(THE YEAR'S 30 TOP GOSPEL ARTISTS AND SONGS)と言うアルバムを1998年から2005年盤まで買ってたのだった・・・。あはは~。
ゴスペルのアルバムって2枚くらいしか持ってなかった事もあるけれど、通常から少し頭をゴスペル色にしておかないと、ど~も私はリズム音痴だと気付いたからだ。例えば「ウン、タータタタータタタッター」のリズムはとれても「 ン、タータタタータタタッター」のリズムが取れないっちゅ~か、歌えないっちゅ~か、頭では解っていても音に出すと微妙にずれるっちゅ~か、とにかくめげまくる程音に出来ない。悔しいやら申し訳ないやら・・・そう言えば、新しい曲を覚えるのに精一杯で、常日頃から馴染んでないのが悪いだろ~って事で、耳コピ訓練用。とは言え気負ってはろくな事にならないので、BGMに流しているけど、いかんせん先に体が反応してしまって・・・つい体で表現する癖、人前で出ないようにする自信がない。・・・こんな事以前はなかったのに~・・・。

何もまとめて買わなくてもって思ったけど、おそらくゴスペルを歌いに行けるのも時間の問題なので、例え行けなくてもリズムを忘れないでいたいからって言うのが一番の理由。・・・かぁちゃんが遊び食べをしている時間が誤食や危険行動をしないので一番安心出来るので、その間に家に戻ったり、例え一時間でもと歌いに行ってるけど、近頃遊び食べも遊ぶばかりで口に入れるのが徐々に下手になって来た。そろそろ考えないといけない時期かもしれない。
仮にもう歌いに行けなくなっても、いつか復活できる時まで頭慣らし、耳慣らしは続けていたいので・・・いや、勿論ぎりぎりまでは粘るつもりだけれど。

ん~、何だか今回、通常の意に反して洋楽ばかりだ。
という事で、いつもお世話になっているサイトに随分以前に紹介されていた、ANIMEX1200シリーズの「羽根くん」!前から聴いてみたいと思いつつつい先延ばしになってたのをようやくゲット。
やっぱり耳に馴染んだ歌声は落ち着くし、このアルバムの歌い手さん達は凄いメンバーだし。けど、これって少し趣が違う。気に入っちゃったんだけど・・・歌詞が何となくヤバイ?え?いや~、原作は知らないけれど、そういうお話なのね(笑)そう言えば昔、風と木は結局買わなかったんだっけなぁ・・・魔界水滸伝の外伝は刺激的だったなぁ・・・あ、どんどんトリップしてしまった。
いや、楽曲の方はとても爽やか。微笑んで見守りたくなるような、そんな感じ。

さぁて、しばらくは聴く物に困らないぞ~っ!って思ってたけど、ちょっと新たな誘惑が・・・駄目だ駄目だ。きりがないし先立つ物もない。けど、明日あたりレンタル屋を覗くだけ覗いてみようっかなぁ・・・。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やぶへび

2006年02月17日 04時06分31秒 | 歌と私と私の祭り
ブルーカナリアへの反応に気を良くして、アンディ・ウィリアムスを聴かせたのが冷や汗の素だった。参ったよ~かぁちゃん・・・。
先の「S盤アワー」を聴かせると目を閉じていても手や足でリズムを取り出すのを見るのが楽しくて「ほらほら~。」とCDをチェンジすると、閉じていた目をパチリと開けて、長い沈黙の後にかぁちゃんは呟いた。
「これ、あなたが高校の時よ。」・・・はっきりと喋った。ギクリとして私の心臓は急に激しく動き出した・・・動悸、息切れ、眩暈・・・いやいや。
私は少なからずうろたえて、すぐに元のCDに戻した。

思い出して欲しくないし、思い出させたくない記憶もある。
うっかりしていた。私達親子にとっては一番思い出したくない時代だった。
同時に私にとっては一番大切な思い出のある頃でもある。それはむやみに口にして欲しくない。かぁちゃんがその事を口にするだけでも私の思い出が汚されると以前は本気で思っていたし、今もその名残がある。

え~?かぁちゃんがアンディ・ウィリアムスを好んで聴いていたのは1970年代半ばって事か・・・。曲そのものは60年代が多いのでもう少し前だと勘違いしていた。しかし、はっきり文章を喋る程に記憶が鮮明に蘇るなんて・・・。
かぁちゃんは、もうほとんど単語でしか話さないし、それもこちらの言葉の反復が多くなっていると言うのに、不意打ちを食らって驚きすぎた。
そりゃぁ刺激を与えるという意味ではこちらの歌が良いのかもしれないけれど、どうせなら輝いていた時代を思い出して欲しいので、やっぱり50年代だなぁ。

・・・と言うのは建て前。私がヤバイ。
全く、とんだやぶへびだった。余計な記憶が蘇る。
何なんだよ・・・要は逃げるなって事か。過去の積み重ねで今があるのだから、知らないふりを決め込むなんて出来ないって事か。
かぁちゃんが思い出すのだから、記憶と言うものは綺麗さっぱり忘れ去るなんて事は出来ないのだな・・・。まぁ一方で色褪せさせたくない記憶もある訳だから、そんなに都合良くは出来ないって事か・・・。

そうだね、もう少ししたら、また一緒に聴くとしようね、アンディ・ウィリアムス。今度は覚悟を決めて(苦笑)どこまで何を思い出すかを試してみるのも悪くないかなぁ、ねっ、かぁちゃん。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

癒し系

2006年02月16日 03時44分35秒 | かぁちゃんにまつわる話
目が点になるって事は本当にある。
かぁちゃんはデイサービスの職員さんに「癒し系」と言われているらしい。
・・・なにを~っ?
そればかりじゃない、診察の時に医者から「いつも見てもいい笑顔だねぇ。」
・・・それは、かぁちゃんが先生の大ファンだからだ。
ついでに「昔から穏やかな優しいお母さんだったんだろうねぇ。」
・・・殴るぞ!・・・私は目を見開いて医者の顔をまじまじと見てしまった。
「違うの?」と聞かれるので、思わず首を激しく縦に数回振ってしまった。

勿論、子供の頃はよく痣になる程叩かれましたとか、時には裁ちばさみが飛んで来ましたとか、激情の余り振り下ろされた鉛筆の芯の後がまだ残ってますなんて言わないが(笑)「感情の起伏の激しい人でしたよ。」と、つい本当の事を言ってしまった。そっと笑って済ませておけば良いのに、それが出来なかった。我ながら自分の子供っぽさに呆れてしまう。

医者が冗談まじりに「今はいつも黙ってにこにこしてるのになぁ、じゃぁ、今の方がいい?」って言うから「そうですよ、今は天使みたいですよ。」って応えた。
・・・半分は本当で半分は嘘。

確かに手はかかるし、かぁちゃんの為に使っている時間が一番長いし、肉体的にはかなり辛い。けれど結構トラブルメーカーだった昔に比べれば、他人様を巻き込んでのいざこざがない分、精神的には随分楽になっているような気もする。これは同時に私の監視下でないと何も出来ない事に対する安心感なのだが、少なくとも以前ほどかぁちゃんの側にいる事が苦痛ではない。
笑顔にする為に、歌ったり踊ったり・・・これが正しいのかどうかなんて分からない。だけど、無表情だったり時に睨んで爪を立てたりする以外は、赤ん坊のようでもあり、守ってやらなくては、とつい思ってしまう。
夜、ちゃんと寝てくれさえすれば本当に天使のようだと思えるのかも。

アルツハイマーに限らず、認知症が引き起こす様々な症状は、ある程度は共通しているのかもしれないが、個人差は相当な物がある筈だ。
ふと私が思ったのは、元々の性格によっても随分違ってくるんじゃないのかなぁって事。元気な時に感情をむき出しにしてきたかぁちゃんタイプは案外穏やかに別世界で生きられるのかもしれない。加えて、元々人に頼る依存性の強いかぁちゃんタイプは、躊躇せずに素直に人に甘えられるのかもしれない。あくまでも私の想像でしかないけれど・・・。
いずれにせよ、かぁちゃんがその人生の中で「癒し系」だと言われるようになるなんて絶対信じられないのだけど、この一点に関してだけは、「アルツハイマー、ありがとう!」なんて冗談でも言ってみたくなる。
一瞬でもそう思える時がある事は、私は恵まれているんだろうと思う。
いつ何時「前言撤回!!」と叫ぶかもしれないが、今この瞬間はそれでいい。

う~、膝がまたヤバイ。自分が物理的に痛みを感じてると、絶対にこうは思えないので、こんな風に思った一瞬もあったという事を書き留めておこ~っと。
ちゃんと記憶に留めておかないと、近頃私自身の物事に対する反応があらゆるところで鈍くなっている。
昨日がバレンタインデーだって事もすっかり忘れてたしなぁ。
お~い、大丈夫かぁ?寝ぼけてるのかぁ?・・・はい、寝ぼけてます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ほっこり幸せ

2006年02月14日 03時39分45秒 | 日々の出来事
♪ゆびがわれるのよ~♪
今年の冬が例年より寒いせいか手荒れがいつもよりひどくて難儀だ。
だいたい他の所には脂肪がたっぷりなのに四肢の末端に足りないってどういう事よ!ってぐちぐち言っても仕方がないけど、今年は何故か指先だけでなく、指の腹が割れるのが気に入らない。
昨日から右手の親指の腹が割れた所が指先部の割れとくっついて「んぎゃ!」となってる。何かの拍子にぶつけると痛いのなんの・・・。
「たった、これだけの痛みにも耐えられないなんて軟弱な。」と自分でも思うけど痛いのは嫌いだ。何だかこの冬は痛いことが多すぎる。

自転車の荷台の紐をはずしている時、見事に傷を直撃。一人「うおぉぉ!」と心で叫んでしかめっ面してる所を友人に見られた。
「痛いんだよ~!」と言う相手が見つかったのでつい大袈裟に「いてぇいてぇ!」を連発してしまった・・・だって、黙ってるより叫んだ方が痛くなくなる・・・ような気がする。

私はそれからすぐに、かぁちゃんの家に取って返したのだけれど、留守中彼女から回転焼きの差し入れが届いていた。箱に入ったハンドクリームと一緒に。
その心遣いが嬉しくて目頭が熱くなった。
ここ二、三年メール以外では友人達との付き合いはほとんど出来ていない。日常的には随分と閉鎖された社会で生活をしているなぁ、と思っていた時期に出会えたのも嬉しかったけど、かわらぬ優しさに気持ちがスッと軽くなって、幸せ気分いっぱいになった。ありがとね~!ほんとにありがとう!

かぁちゃんは、ハイテンションの後二日ほどぼんやりして反応が鈍い。音楽をかけてもチラリと目線を動かすだけで、ほとんど笑わない。
気分の高揚している時と低迷している時の落差は、睡眠や食欲等全ての行動に影響を与えており、昨年暮れから何日周期かでこの状態を繰り返すようになって来たような気がする。
無表情なままでいるのは悔しいから「イヨマンテの夜」を聴きながら、両手を取って一緒に太鼓のリズムを机で取ると、やっと「うふふっ」と短く笑った。
・・・ん~、伊藤久男氏はいい!好きだなぁ、この歌声。

太鼓のリズムを頭で刻みながら自転車こぎこぎ夜風を切る。
今宵は見事な満月。ついでに踊りのステップでも踏み出しそうな幸せ気分。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いったんもめん!

2006年02月11日 04時13分10秒 | かぁちゃんにまつわる話
頼むから、食べるな、食うな、噛み砕くな~っ!!
また歯が取れた。次の治療でようやく終わる筈だったのに、一気に力が抜ける。
暮れはゼムクリップをガムみたいに噛んで、被せた歯と元気な歯を欠いてしまい、只今その治療の真っ只中。
型を取るときに苦しかったのか、膝蹴りくらわされておもいっきり噛まれた・・・過去最高の抵抗。噛まれた指が腫れてうずくし参った参った。・・・なのに何で、今度は口紅の蓋を食べてるんだよ~!!何で硬質のプラスティックがそこまで変形するんだよ~・・・いや、ある意味では感動。
すっごいよ、かぁちゃん歯が丈夫。食人かぁちゃん歯が命!

アルツハイマーの症状、いや、「認知症」の症状の一つに「誤食」というのがあるらしい。かぁちゃんは随分早い時期から始まったので、まわりに置くものは常日頃から気をつけているのだが、どっからどうやって見つけ出すのか信じられない物を口にしている事が度々ある。
以前、ずっと口を動かしているので覗いてみたらティッシュペーパーを食べていた。口に指を突っ込んで出させたら一言。
「たくさん、いただきました。ごちそうさま。」・・・・・・満足いくほど噛んでいたようだ。でもまぁこれくらいなら笑い話で済むのだが、笑えない事もある。
特に歯を欠いてしまうと・・・。

入れ歯じゃない事がかぁちゃんも、私も、医者や助手さんも、とても大変。口を開けていられないし、舌で押し出してしまうし、ガーゼなど入れようものなら食べてしまうし・・・普通の治療が著しく困難だけど放って置く訳にもいかないのが辛い所。開口機が使えない場所はどうしても指で口を開けさせなければならないので、助手さんの指より私の指の方が明らかに太いし、他人様の指を直に噛むよりはクッション代わりに私の指を噛めば良いと思ってやってるけど、こう繰り返すと、いたちごっこみたいでやってらんない・・・でもやんなきゃどうしようもない。

ぺこちゃんの事で私の心に波風が立っていたのを察してか偶然か、かぁちゃんが異様にハイテンションで危なっかしくて目が離せない。
ぺこちゃんが帰ってくるので一旦帰宅してから大急ぎでかぁちゃんちに行く戻ると、目の前をトイレットペーパーがひらりひらり。
トイレのペーパーホルダーから、かぁちゃんのズボンまで数メーター繋がって動いている。きゃぁ、何だこれ~?
それはまるで、まるで「いったんもめん!」いっそ目を描いてやろうかぁ(笑)
すぐに片付けるのがもったいなくて、しばらくそれを見て大爆笑。
かぁちゃん、ごめん。遊ぶつもりはないのだけれど、一時間も目を離せないなんて事がこれからも続くなら、せめて笑える時には笑わせてもらうよ。

二人がそれぞれに色々やらかしてくれるから、一つの事に捕われすぎなくていいのかもしれない。案外それぞれが気分転換になっているのかも。
・・・なんてね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

向かい風

2006年02月09日 03時28分35秒 | ぺこちゃんにまつわる話
冷たい風が真正面から挑んで来る。
坂道でもないのに自転車を立ちこぎして、やっとこさ前進。耳元でひゅうひゅうと風が唸りながら通り過ぎる。
普段なら結構好きなシチュエーションだ。「負っけてたまるかぁ!」と足に力が入って♪こ~や~をわたるかぜ ひょぉひょ~ぉと~♪なんて鼻歌も出てくる。
けど、今日は自分でも目が据わってるし眉間に皺が寄っているのが分かる。

ぺこちゃん、腰を痛めて痛いのはよく分かる。分かりすぎる程分かる。
横になったり、その姿勢から起き上がる時が一番辛いんだよね。私も寝るのが億劫だった。けどさ~、ちゃんと歩けるんだからトイレは早めに行こうよ。
風邪をひいた時もそうだけど、具合が悪い時にはどうしてもトイレに間に合わない。と言うより、起きるのが辛いのでギリギリまで我慢しすぎてしまう傾向は以前からあり、トイレのドアを開けるとそこは大洪水だった何て事も何度かある。

かぁちゃんをデイサービスに送り出して洗濯を済ませて帰宅すると、ぺこちゃんはまだ起きていない。かぁちゃんの診察の日だったので程なく出かけて、ついでにぺこちゃんの高血圧の薬をもらって帰って来たらまだ布団を頭から被っている。昼過ぎに「そろそろ起きれば。」と声をかけても知らんふり。
さては前日「自分で頑張って起きないと知らないよ。」と突き放した事にすねているのかと思ったのだが・・・う~。
布団を通り越して、マットレスまでびっちゃんこ。自分でもどうしていいのか分からずに狸寝入りを決め込んだらしい。
三日連続で少々失敗したばかりだったので、私も幾分頭に血が上ってしまって
「早く起きてシャワーに行っておいで。」と、明らかに冷たく言ってしまった。
「痛くて起きれない。」と言うので「頑張ってみて出来なかったら手伝ってあげるから。」と振り返らずに引き戸を閉めると。しばらくして自分で起きて部屋から出てきた。わわっ、めちゃくちゃ機嫌が悪い。

よく見ると、足元にボアシーツが丸めて置いてあったし脱いだ服も積んである。
ちゃんと夜中に自力で着替えているのだから、動けない訳でもないと思うのだが本当がわからない。どの程度痛いのか、本当はどこまで出来ないのか。本当は何をして欲しいのか・・・いつものお喋りはいつも通りに元気なのに、本当の気持ちがわからない。もどかしいし、正直言って腹立たしい。

いや、少しは分かってる・・・。手を貸せば全体重をかけてしまう辺り、ぺこちゃんが求めているのは小さな子供が母親に求めるような、そんな風に甘えられる相手だ。それは電車に乗っていても隣に座るなり頭を肩にずっしりと乗せてくるので気付いていた。接触拒否傾向の私にとっては苦痛以外の何者でもないが、邪険にはできない・・・。けど、私はそんな風に甘えるのも甘えさせるのも大の苦手。
冷たいと自覚しているがどうしようもない。

ぺこちゃんやかぁちゃんに接していると、自分の中の弱さや脆さ、冷酷さ、狡さや高慢さと嫌でも向き合う事になってしまう。
私ってこんなに嫌な奴だったかなって思う事も少なくはない。


一夜明けて今朝。ぺこちゃんは何事もなかったように自分でさっさと準備をしてディサービスへいそいそと出かけて行った。
おい!いったい昨日までのは何だったんだ?
ベランダの窓を開放してから、ぺこちゃんの部屋に息を詰めて入る。窓を開けると一気にカーテンが大きく後ろになびき、こもった空気が一瞬にして新しく生まれ変わる。頬打つ風が思いっきり冷たい。

風よ吹け!向かい風なら尚の事もっと強く吹け。ついでに私の心も洗い流せ。




















































コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする