COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック (Cobain – Montage of Heck)
2015年 イギリス
監督・脚本・製作:ブレット・モーゲン
製作総指揮:フランシス・ビーン・コバーン
90年代を代表するロックアイコンであり、ロック史に革命をあたえ、
「It's better to burn out than to fade away(錆びつくより今燃え尽きる方がいい)」と
拳銃自殺をした“Nirvana”のカート・コバーン。ドキュメンタリーの名手ブレット・モーゲン
監督が、遺された日記やアート作品、幼少の頃のホームビデオ・写真、未発表楽曲にプライベ
ートな未公開映像など膨大な資料をもとに、カート・コバーンの素顔に迫る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/51/6914ef7bc8a341780a0d9f927e738254.jpg)
小さい頃のカートがたまらなくキュート!! 何これ、連れ去りたい。
金髪碧眼、やんちゃで、いつもニコニコ笑顔をふりまきーああ、もう鼻血が止まりませんー、
周りのことを気づかう優しい子だったという。しかし、ほのぼの映像満載で綴られる幼児期とは
打って変わり、両親の離婚によりショックを受け、落ち着きがなく扱いづらい子どもと見なされ
るように。その頃の様子をどこか淡々と語るカートの母親、父親、義母、妹・・・。家族親類の
間を泊まり歩き、どこにも居つくことができなかったカート。ドラッグにはまって憂さを晴らし、
頭の中に次から次に浮かぶイメージやアイデアをノートに書き連ねる日々。
友人クリス・ノヴォゼリックと出会い、はじめたバンド“Nirvana”のメジャー1作目「ネヴァー
マインド」は大成功を収め、全世界で注目を浴びる存在となった。一気に生活が変わり、
メディアが打ち出す虚像やメジャー市場に戸惑うカートたち。
ここで臨場感あふれるライブ映像が続き、しっかりとNirvanaの世界に引き込んでくれる。
インタビューでは言葉を選ぶあまり、詰まって下を向きがちなカートに対し、「音楽っていう
のは個人的な体験なんだよ」と既にマスコミやファンとの距離感をつかんでいるデイブ・
グロールが興味深い。
そして、ロックバンド“Hole”のギターボーカルであり、当時からゴシップクィーンだった
コートニー・ラヴとの熱愛、結婚。カメラを気にする様子もなく、家庭生活の中で撮られた
映像には、くつろいだ表情で愛を語る二人の姿が満載されている。赤ちゃんが産まれてからは、
臆面なく子煩悩な父親っぷりを見せるカート。家族に向けるその笑顔は、幼い頃のカートの
天使的なニコニコ顔と同じ。とてもとても幸せな気持ちになる。ただ、ヘロイン漬けのまま
出産をしたコートニーは世間から相当のバッシングを受け、親権をめぐっての裁判も。
悪女の評判名高いコートニー・ラヴのインタビューはブレてなくていいよなあ。飾らなくて、
素直な人だと思う。
インタビューをごく身近な人だけに絞り、プライベート映像をたっぷりと使用した、この映画は
今まで知らなかったカート・コバーンの実像を見せつけるものだろう。死して尚、時代のヒーローに
祭り上げられた彼の素顔に肉薄するドキュメンタリー決定版☆ってゆーのは、間違いないけれど、、、
けどさあ一方で、わかられてたまるかよ!! とも思う。
親がそうだったから、とか、妻がこうだから、とか、マスコミのせい、とか理詰めすんな!
万人が納得できるための理由なんて欲しくない。そんな怒りがもうもうと湧いてくるのは、やはり、
わたしの中にもカート・コバーンがいるからなんだろうな、と思う。