Kimama Cinema

観た映画の気ままな覚え書き

にんじん

2014年07月05日 | 1930年代 欧州

にんじん (原題:POIL DE CAROTTE)

1932年 フランス
監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ
出演:ロベール・リナン、アリ・ボール、カトリーヌ・フォントネ、コレット・セガル

ジュール・ルナールの名作小説の映画化。
「にんじん」と呼ばれる赤紙の少年フランソワは、家族の愛情を感じれずに育った。
生まれてすぐ里子に出された後、生家に戻ったものの、兄姉は彼に冷たく、母はうるさがり
父は素っ気ない。
女中のアネットだけが「にんじん」の味方をしてくれるのだが、そのために母と揉め、
余計に嫌われてしまう。

この少年役が痩せっぽっちで、そばかすだらけで、まさに「にんじん」。
クヨクヨしたり、開き直ったり、わかってるようでわかってない感じをうまく演じているけれど
本当はもっともっとハツラツとした子なんだろうなあ。

愛情表現がうまくない親達と、自分を認められず悲観主義に陥っていく子ども。
現代からすると里子に出したり戻したりなんて、ひどい話だが昔は普通のことだっただろうし、
家族に見向きもされない末っ子なんてザラにいたと考えられる。

この作品に思い入れしているデュヴィヴィエ監督は(無名時代にも同作品を製作しており、2度目の映画化)
たぶん少年期に似たような気持ちの動きがあったのではと、思わなくもない。