ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

誰もいない夜に咲く/桜木紫乃

2018-12-06 | 読書
親から継いだ牧場で黙々と牛の世話をする秀一は、
三十歳になるまで女を抱いたことがない。
そんな彼が、嫁来い運動で中国から迎え入れた花海とかよわす、
言葉にならない想いとは―(「波に咲く」)。
寄せては返す波のような欲望にいっとき身を任せ、
どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。
安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂のありようを、
北海道の風景に託して叙情豊かに謳いあげる、傑作短篇集。
(「BOOK」データベースより)

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久しぶりに読んだ桜木さん。美しいお話でした…
暗く厚い雲に覆われた荒野を思わせるような、この人が描く独特の世界観、
大好きです。
ストーリーも文章も美しいけど、この雰囲気こそが美しさを支えていると
思う。うまく表現できないけど。

全七編の短編集。
どの作品も、暗く寂しく苦しい。
孤独を埋めるため束の間のぬくもりだけを求めるような刹那的な日々。
うーー。読んでて重かった

でも、表題作の「波に咲く」や、着付師の女性が暴力夫との訣別を決心する「絹日和」
シングルマザーになる私のもとに昔家族に暗い影を落とした男から思わぬ贈り物が届く
「根無草」、なんかは、最後に一条の光が刺し、救われるような気持ちになります。
よわーーい光だけけどね

「風の女」は、書道家の姉妹の話で「無垢の領域」の原石と思わせるストーリー。
桜木さんの世界観、ほんとシビれます・・・




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