蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

栂池冬景色’14年その9、暴風の白馬乗鞍

2014-03-16 16:03:42 | 山とスキーでブラブラ

11日、名神は滋賀に入ると、周りがウッスラとした雪景色になり、多賀SAのあちこちには雪の小山、多くの車が雑然と停められていた。
安曇野ICから先の、道の周囲の雪も、前週より大分増えた様子。大町辺りから路上もワダチ以外は白くなり、やっと冬らしい信州までの道とその景色になった。

Imgp0616 前週末、栂池は吹雪続きだったそうで、この日の積雪量は3.2mとか。

Imgp0617 動いているのをほとんど見たことがないリフト。跳ねあげられた座面のウラに、吹雪いた雪が付着している。今まではそれが成長して、背面の高さまで積み上がっていた。
これが今年は一度も積み上がっていない。やはり絶対的に積雪量が少ない為だろうか。今まではこの時期4m近く積もっていたし。
それとも、ワタクシがいない週末には動かしているんだろうか。

Imgp0619 ゲレンデ最上部から眺める鹿島槍、五竜、唐松が少し霞んでいる。

中間駅から乗ったゴンドラには年配紳士の先客が一人。
片方ずつ外のケースに、しかも斜めに差し込んだワタクシのファットの板を見て、「あれは深雪用のスキーですか」と訊ねられた。
深雪用ですけど、安定性もよいので、もうフツーの細い板でよう滑れませんねン、とお応えした後、色々とオシャベリした。
ワタクシより13歳先輩の、労山所属の百名山登頂者とか、しかも大阪の役所での下水道設備の設計が、長年のお仕事だったそうだ。
そして、ワタクシが7年前まで勤めていた特殊機械メーカーの製品も、下水道設備に沢山使われていた。
その商品名を言うと、「よく知っています」と、その特殊機械の一般名称を答えられた。工場へ製品完成検査にも来られたとの事。
7年前なら「いつもお世話になってます」と、ゴアイサツすべきお客サマ、世の中、狭いモンです。

この日も上から下まで5回往復してオシマイ。

Imgp0620 12日中は、なんとか晴れが続きそうなので、乗鞍方面へ行けるトコまで行くことにする。

しかし最上部のリフトはまだ動いていなかった。上の方で作業員がリフト下の除雪をしている。係りのオネエチャンに訊くと、後30分程かかるとの事。

30分あればシールで林道まで上がれる。
仕方ない、リフト小屋の横でスキーにシールを貼って、さぁ登ろ、としたら、「リフト運転します、どうぞお乗り下さい」、とのアナウンス。あ~ァ。
シールを仕舞ってリフトに乗る。「30分かかるて言うてたから、シール貼って登ろとしてたのにィ」と、係のオネエチャンに言ったが、彼女は「このオッサン、なに言ってんの?」と、言った感じだった。まぁカワイイオネエチャンだったから、イイですけど。

Imgp0621 9時30分、林道着。だれもいない。ロープウェイも動きだし、ヘリも飛んでいる。林道を歩くバカはワタクシ以外にはいないのか。
イヤ、よく見るとスノーシューの跡が2人分。更に栂の森からショートカットして林道に登り上がったスキー跡が一本。ヤリますなぁ。

Imgp0630 10時20分、成城大小屋着。ロープウェイの駅から大勢が登ってくる。自然園から駅へ向かって滑り下りてくる集団も見える。

天狗原の斜面には見事なサインカープのシュプール。そう言えば林道でパトロール一人と挨拶した。
ヘリスキーが営業できるかどうかの事前チェックの様だ。しきりに無線でナンヤカンヤ連絡を取っていた。

大きなトレースが、ナゼか尾根沿いではなく北方向に付いている。滑降コースを示す赤旗沿いに登っている為なのか、それとも親沢か山ノ神へ行く為のモノなのか。
ワタクシ、いつも通り尾根沿いに行く。トレースは無いが締まった雪なのでラッセルにもならない。

天狗原への斜面には、ボードの2人組とスキーの2人組が見える。

Imgp0624 11時30分、天狗原着。風はかなり強い。しかしこれは毎度の強さ。今年やっとこの強風になった。

乗鞍への先行者はスキーヤーが二人。別々の所を登っている。登り始めたボーダーが一組。

ワタクシ、いつも登っているルートに近いトレースを登らせてもらう。

しかし、風が強いのでそのトレースは直ぐ消えてしまう。そして度々シールが効かない箇所が現れる。ググッと踏みつけて板を刻みこまないと登れない。そして風はますます強くなり、時々ブォ~っと地吹雪いて来る。吹き飛ばされた去年の最悪の日を思い出す。

ズズ、ズズッと滑り落ちながら、なんとか斜面を登り切り、台地上へ到達。しかし強風が形成した溝が、前回より大きくなって歩きづらい。

Imgp0625 12時40分、頂上ケルンへ到着。風が強いので、板を立て掛けて記念写真が撮れない。

雪面が続く場所までまたシールで戻り、下る準備をするが、とにかく風が強いのでサッサとシールが畳めない。
ザックに無理やり押し込み、ゼリー飲料を飲み、鼻水と涙を拭いて、板と靴を滑降モードにして、長居は無用。風も「オマエ、早よ帰れ!」と叫んでいる。

風、益々強くなり、と言うか吹いている時間が益々長くなって、ブォ~ッと吹くと地吹雪でしばらくホワイトアウト状態になる。風が掘った凸凹にはまってコケない様、少しずつ斜め横滑りで下る。

風が止み、ふと下を見るとボーダーが二人、更に下にスキーヤーが一人。

Imgp0628 そこからはターンが出来た。

Imgp0629 天狗原を下って振り返る。天気は既に下り坂。

その後林道へ出て、直ぐ谷に下りて栂の森のカフェテリア着13時50分。ああシンド。ビール一缶呑んで1時間ほどボォ~っとした。

Imgp0631 13日は予報通り雨。しかし元気な若者は、朝からゲレンデに出ている。

Imgp0632 雨の中、ヒットパーク再造成中。

Imgp0633 栂の森ではミゾレ混じり。

Imgp0634 ミゾレ混じりのヘンな雪が積もった雪面は、急にブレーキがかかった様になったりして、滑りにくい。

Imgp0635 下の方ではヘンな雪が積もっていないので滑りやすいが、リフトに乗っている時はズッと雨をポツポツと受ける。

Imgp0639 鉛色の雲が途切れて八方尾根が見えた。

上から下まで2往復した後、滑りやすい斜面のリフトを10回乗って、ビショビショになり、もうヤメることにした。

最後に最上部まで行くと、リフトには誰も乗っていなかった。

Imgp0640 この林の中はスキー場管理外、滑りたいのなら自己責任でどうぞ、と言うエリアで、よくガイジンやボーダーが侵入しているが、当然この時は誰もいなかった。

冬を感じず、春も感じない、ヘンなゲレンデ、そしてビショビショ、ボトボトの一日だった。