蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

栂池冬景色’14年その7、グッドな乗鞍とパッドな天狗原

2014-03-02 23:59:00 | 山とスキーでブラブラ

関東甲信の大雪でサンザンだった前週末とは異なり、この週末は天気もよく、お客サンにとってもスキー場にとっても“フツーの楽しい”冬、だったらしい。

Imgp0537 25日の積雪量は3.4mとの事。ゲレンデは何故か沢山の人、人、人。
どこかの大学のスキーサークルなのか、お揃いのウェアをまとったグループもいる。

Imgp0538 2月の初め、雨が降った後風が吹き、氷結して、その上に積もった雪が、ヘンな感じの大きなコブに成長した馬ノ背の斜面。
時々ここを真っ直ぐに滑り降りる猛者がいる。どないなっとンねン、アイツら。とてもマネ出来ません。

この日、ゴンドラはなかなかスッと乗れず、しかも全て若者グループとの同乗だった。やはり人は多い。

やっと来た空のゴンドラ、席に座ると直ぐ後にドヤドヤドヤと4人がボードを抱えて乗り込んできた。「スイマセンっ、失礼しますッ」

「最近、キミらの仲間、ボーダーとかする人、増えとン?、エライぎょうさん人、おるような気ィ、すンねンけど、スキーヤーやボーダー、増える傾向にあるンやろか」
「確かに人、多いですねェ、ナンデでしょう、ガイジンかなぁ、それともバックカントリー?」
「イヤ、ゲレンデに若いニホンジン、ヨオケおるような気ィすンねンけど」

彼らはシェアハウスの様な素泊まり専門の宿の、若いオーナーさんとお客さんらしい。
お客さんは自炊したり、栂池温泉のついでに外食するらしい。
スキー場で一日遊んだ後、外へ入浴と晩メシ、ワタクシはそんな元気、全くありません。

上から下まで4往復し、栂の森のパウダーゾーン3回往復してヤメることにした。

Imgp0539 確かに人は多い。しかし景気が良くなったから、とは思えない。先程のシェアハウスの若いオーナーも、そんな風には感じていなかったように思う。

Imgp0543 26日、乗鞍方面へ行けるトコまで行くことにする。

Imgp0544 9時半、林道にはバックカントリーの人で大賑わい。
10人程のスノーシューのグループもいる。よく見ると昔からある木ィのワカンを携えているノもいる。お嬢さんもいて、これは講習会?、先生と思しき、いかにも山のベテラン、と誰もが畏敬の念(?)を覚えそうなオジサンが、何やら指示をしている。

シールを貼って、さぁ行こう、とした時に登場したのはSさんだった。
「コンチワ、イイ天気なんで、来られたンですね、ボチボチ行っときますわ」

林道ショートカットで、スノーシューのトレースが急に曲がっている。スキーではそんな急に曲がれないので、そのまま真っ直ぐ登ろうとしたら、ズズズッ。クラストした斜面に新雪がウッスラ載っている状態で、それがズルズル滑り落ちてしまう。グッと硬い雪面に板を刻み込まないと登れない。アァしんど。

Imgp0545 10時20分、成城大小屋着。振り返るとSさんが追いついてきた。

「あの辺に雷鳥が棲息しているンですよ」と、自然園を眺めながら、いつも撮影されているエリアの解説を受ける。

ここから先はSさんに先行してもらう。ワタクシ、ヒイヒイ言いながら後に続く。

この先の斜面でもクラストした斜面にウッスラ新雪が載っていて、トレースが無い所を登ろうとするとズルズル、トップを登るのは大変だ。

Imgp0546 11時40分、天狗原着。

2時間ほど前、あれだけ沢山林道にいたのに、近くにいるのはアベック1組とスキーとボードの1組だけ。そして乗鞍へはトレースなし。

Sさんはここまで、後は撮影タイムとか。ワタクシ、仕方なく一人で行くことにする。

クラストした斜面にウッスラ新雪が載っていて、ズルズルズルと素直に登らせてくれない箇所がしばしば現れる。
ヒイヒイ、フウフウ言っていたらすぐ後ろにスキーとボードの若いノが迫って来た。
「キミら、遠慮せんと先ィ、行ってよ」
「ハ~イ」

しかし彼らは、ワタクシを追い抜いて前を登ってくれず、左手の急斜面をドドドっと登って行った。

結局ワタクシ、相変わらずズルズル滑り落ちながら、そしてその都度、硬い雪面にググッと板を刻み込みながら登ることになった。

前回はケルンを見失いかけたが、この日は進行方向にちゃんとあった。

Imgp0547 ハイ松がむき出しになっている所もシールで進み、13時10分、ケルン着。

雪が続いている場所までシールで戻り、下る準備をする。

ハイ松の上に腰を下ろすと、そのままゴロンとひっくり返ってしまった。

Imgp0548 すると、ストックの上に飛行機雲。

鼻水と涙を拭いて、ゼリー飲料と水を呑んで、シールを剥がして、靴と板を滑りモードにして、さて上手く滑り降りれるでしょうか。

前回のそよ風はいつもの冬の強風に代わっていて、風が作る凹凸が大きく、凸部は庇状に発達している部分があって、それは簡単には崩せない。乗り越えられずコケてしまう。

コケない様、庇を避けながら滑って行くと、斜面に出た。アベックが滑りだそうとしている。

1ターンすると、クラストした斜面にウッスラ新雪が載っている状態は、案外滑り易かった。

斜面真下にはスキーとボード、2つのシュプール。ワタクシ、それを避け北寄りのマッサラな斜面に出る。

Imgp0549 振り返ると、アベックがキャーキャー叫びながら滑り降りてくる。

Imgp0560 13時50分、天狗原へ戻る。ワタクシのトレース、スキーとボード組のトレース、そして5人分の滑った跡が確認出来る。

Sさんと合流し、帰ることにする。

しかし、その下の天狗原の斜面は、ボタ~っとした重い雪。時々モナカ状も表れたりして、とても滑りにくい。
乗鞍の斜面は滑りやすいグッドな状態だったのに、少し離れると全く違ってバッドになる。女ゴコロと山スキー。

ヒイヒイ言いながら何とか林道へ降りて、栂の森カフェテリア、14時15分着。Sさん、お疲れさまでした。

Imgp0552 27日、予報通り朝から雨。

Imgp0555 ゲレンデの上半分は雪。

Imgp0556 栂の森は憂鬱な冬景色。ガスが益々濃くなって、馬ノ背のコブが見えない。急にデカイ凹凸が表れ、それに乗り上げ飛ばされ、コケてしまう。ああコワ、もうヤメ。

相変わらず人は多く、ゴンドラにはスッと乗れず、必ず相乗りとなる。

やっと空のゴンドラが来て乗ろうとすると、「スイマセン、イッショニノッテ、イイデスカ?」
ELANの板を抱えたハクジンのオニイチャンだった。

「はい、イイですよォ」

ゴンドラに乗っている15分間、日本語が堪能でフレンドリィな感じだったので色々お話しした。

ドイツ人で、以前は留学していて、今はワーキングホリディで、近くのレンタルショップで働いていて、春になるとホームスティしている神奈川へ戻り、夏は逗子のヨットハーバーで働くとか。

「冬はスキーで、夏はヨットかぁ、エエねぇ」
「ドチラモ、オカネ、カカル、アソビデス」
オランダに近い湖が多い地方の出身で、ヨットはよくやっていたとか。
ミュンヘンへ行った時、バケツの様な大きいジョッキで、ビール呑んでるのを見てオドロいた、と言う話ししたら、「アレワ、ミナミドイツノ、ノミカタデス、ボクラハ、フツウノコップデノミマス」

栂の森へ着いて、「それじゃ、これからもニホンで、楽しんでねぇ」と言って、上のリフトの方へ行こうとしたら、「アリガトウゴザイマシタァ~」
「さよならぁ~」

優しい、穏やかなドイツの若者だった。

多分、どこのクニでも、旧ナチスドイツでも、ほとんどは優しく、穏やかなのだろう。
一部の荒々しく、勇ましいノが、そう言う優しくて穏やかな人達の不安、恐怖、被害などの感覚を煽って、ヒステリックにさせ、近くの国や民族にヒドイ事をするのだと思う。
最近そう言う荒々しく勇ましいおバカが、色々騒ぎを起こしている。ユダヤの少女の日記も破られている。
荒々しく、勇ましいから、一部でも声が大きい。困ったモンです。

しかしいくら、前の戦争は侵略ではなかった、正しい戦争だったとか、従軍慰安婦はいなかった、イヤどこの国でもやっていた、とか叫んでも、世界には通用しないでしょう。
中・韓はおろか、アメリカだって奇襲攻撃されたンだし、戦勝国としてニホン軍前線に乗り込んで、従軍慰安婦の存在を知り、彼女達を性奴隷から解放したのもアメリカだったはず。

28日、定宿は週末の来客準備なのか、朝からバタバタしている。いつも通り、お一人様は来週の予約をして帰ることにする。

一昨日は晴れ、昨日は雨で、車の除雪をすることはなく、スッと出せた。

Imgp0563 松川河畔の酒屋駐車場からの眺め。八方尾根の対岸に位置するこのスキー場は、だいぶ前に閉鎖されたらしい。確か、リゾートホテル専用のスキー場だったはずだ。

そう言えば、青木湖の国道を隔てた、JRの駅も備えたスキー場も、今年は入口が除雪されておらず、リフトもイスが外されたままだ。

ガイジンが戻って来て、何となくニホンジンも増えている感じもするが、これらのスキー場が再開することはあるのだろうか。まぁどうでもエエけど。