4月4日、予報は晴れ。しかし、スッキリしない空。ホンマに晴れるンやろか、まぁ行けるトコまで行きましょう。
4月になってゴンドラの始発は8時半になったそうだ。定宿でゆっくり朝食を摂り、ノンビリ出かける。
この時期、朝イチのゴンドラに乗るのは、冬山用のアウターに身を包みザックを担いだ山スキーヤー、山ボーダーばかり。皆さん、ツアービンディングを付けた山用の板を抱え、兼用靴を履いている。山ボーダーさんはスノーシューを担いでいる。
(今風に言うと、フリースキーモデルの板を抱え、アルバインツーリングブーツを履いたバックカントリーの人達ばかりです)
栂の森着、9時少し前。晴れていた。
ロープウェイの始発が9時、その後は30分毎。9時には乗れないかも知れないので林道を歩くことにする。
9:15、林道を一人静かに歩く。
9:50、成城大小屋着。小蓮華の稜線には激しい雪煙、上の方はかなりの風かも。
ロープウェイの駅から団体サンが、次から次、上がって来られます。
休憩している若いポーター3人組。うち一人の女の子が、ニコっと「コンニチワ」
「コンニチワ、どこまで行くン?」
「白馬乗鞍まで、ですッ」
「ほぅヤルねぇ、ボクもテッペンまでの予定やけど、シンドなったらヤメにすんねン」
するとリーダーらしき青年が、「ハハハ、そりゃボク達だっておなじですよ、今日は風、強そうだし」
「そうそう、かなりキツそうな雪煙上がっとったし、気ィつけんと吹き飛ばされるよぅ、ほなね」
「ハ~イ」
もう一人の女の子もニコニコしている。イイコ達です。
11時過ぎ天狗原着。スッカリ雪が消えた下界が見える。 乗鞍へ登る人達、ザッと見て20人。
白馬岳へ続く稜線がキレイだ。今シーズンは船越の頭へは登れなかったけど、まぁエエでしょ。
天狗原への斜面は人がイッパイだから、南側から自然園へ下る事にする。
風が避けられそうな窪みに腰を降ろし、シールを外し、サングラス内側の涙と汗を拭き、ゼリー飲料と水を飲んで、板と靴をスキーモードにして、さぁ出発。
南側へ廻り込もうとすると、人がいて手を振ってきた。滑る前に周りの写真を撮っている様に見えた。
この人がゴンドラの中で色々お喋りをした人だと、この時は気付かなかった。ただの挨拶だと思って、ワタクシも手を振った。
それより、上手く自然園へ滑り降りれるか、頭の中は不安でイッパイなのだ。
南側の斜面は毎年滑っているが、他に人がいた事がない。
いつも一人で、快適な事もあったが、モナカや深雪でシンドイ思いをした記憶の方が多い。
さて今回は???
約500m下に自然園が見える。しかし足元が見えない。ビビる。
ウォリャ~、と気合を入れて滑り出す。ン?イケルやん、最初はそうだったが、その後は湿った重い雪。飛び上がってターンしようとすると、踏み込んだだけ沈んでいく深い雪。
仕方なく板を開いて先を落して行くと、いきなりビュ~ンと滑り出して、オットットット、シリモチをつきそうになる。
連続で廻れない。シンドい。疲れる。
左右1回ずつターンしてはフウフウフウ、ハアハアハア。あぁナサケナイ。
自然園の平坦部を進んでいくと、先にはスノーシューのグループ。更に先にもう一人。
その人はスノーシューのグループと話しした後、まだそこに留まって、どうやら写真を撮っている様だ。と言う事は、ヒョットして松川のSさん?
近付いて行くとSさんだった。約1ヶ月振りです。
今日は金山沢が見える辺りまで登られたそうだ。Sさんもこの湿った重い雪に苦労された様子。「昨日の雨がこの辺りでは水分を含む雪になったンでしょうね」
30分程お喋りしたが、ナンセ暑い。ビールが呑みたい。Sさんはまだ暫らく写真を撮られるとの事。確かに眺めるに飽きないサイコーの天気、景色。
しかしワタクシ、「カフェテリアでビール呑んでボォ~ッとしてます」
栂池通いも今年はオシマイ。未練がましく素晴らしい景色を振り返る。
旧(?)栂池ヒュッテがもう1階まで露出している。ホントに今年の雪解けは急激だ。
林道から谷に下る。昨日、この辺りは雨だった様で、湿った重い雪はなく楽に滑れた。
14時過ぎゴンドラ駅の横に出て、カフェテリアに向かうと、また手を振る人がいた。今度はゴンドラで一緒だった人だと判った。そして、「アレっ、テッペンにいました?手ェ振りました?」
この人は金沢のFさん。テッペンでワタクシが下っていくのを見て、一度はついて行こうと思ったそうだが、どこへ着くのか判らないのでヤメたとの事。
カフェテリアから見える白馬乗鞍の裏斜面、そこを下ったニンゲンがゴンドラ駅の横から出て来たのが驚きらしい。
缶ビール呑みながら、要は自然園をグルっと廻って来ただけと、説明していたら、Sさんも下って来た。
3人で暫らくお喋りした後、Fさんは滑っていった。「またどこかで会いましょう」
そして、Sさんも滑っていった。「また来年会いましょう」
今年はこれでオシマイなので、最後にゲレンデのテッペンから滑る事にした。
季節は去った。これでオシマイにしましょう。