ウィトラの眼

無線業界のニュースについての意見・感想を書きます

通信オペレータのグローバル化

2009-02-10 18:49:41 | Weblog
通信機器メーカーがこの30年で大きな変遷を遂げ、移動体通信に投資した会社が成功している、と書いた。今回は通信オペレータの動向について書いてみたいと思う。

通信オペレータは過去はどこの国でも公的組織が運営していた。これは通信インフラを構築するのに巨額の資金が必要なためである。しかし、どこの国でも公務員は労働効率が低いと見えて民営化を行っている。

民営化を行うと資本の論理なので国外からの投資が可能になる。こうして通信オペレータのグローバル化は開始された。通信は国家の基本的社会インフラであるとして参入障壁が残っている国は少なくない。しかし、自国の経済力が不足していて自力では通信ネットワークを構築できないような国では外資を受け入れている。

国営にせよ、民営にせよ通信ネットワークを構築するには巨額の資金が必要になる。これが参入障壁となるので通信事業者はメーカーのようにベンチャーが価格破壊を起こすようなことは少なく、一般的には健全な事業体質を維持しやすい。一部の固定ネットワーク事業者の業績が悪化しているのは前回書いたように光技術に引っ張られて需要を無視した投資と、回収のために料金を極端に下げた結果であると思っている。

通信オペレータのグローバル化を見るとアジア、アメリカ、ヨーロッパで明らかな取り組みの違いがみられる。

アメリカは1970年代には断然トップの市場であったが、AT&Tの分割に始まりそこから合併や買収を繰り返して現在の形に収束するまでに国内での戦いで殆どエネルギーを消費してきたと見られる。この間経営が目まぐるしく変化しているため、経営者の変化対応は身についていると思われる。これから海外投資を考える段階かと思うが、既にヨーロッパ勢が世界各地で足場を固めており容易ではないと思われる。

アジアは(日本、中国、韓国をイメージしているが)依然として政府の影響力が強く、民営化したとは言っても依然として過去の体質を引きずっているように思う。日本のオペレータが一番経営危機の経験などが少なく、古い体質を残しているように感じている。

ヨーロッパは戦略的にグローバル化を推進してきた。GSMの共通仕様作成に加えてそれぞれの国で複数のオペレータを認可し、イギリス資本のドイツ進出、ドイツ資本のイギリス進出などを奨励し、一国にとどまらず複数の国でのオペレーションを推進してきた。ヨーロッパのオペレータはこのノウハウをもとに東欧、アジア、アフリカ、中南米などに進出し自国での一定のシェアの上に国際オペレーションを実現している。

そしてこれらのオペレータはいずれも好業績である。 ウィトラのホームページに世界の移動通信オペレータの上位20社(加入者数)を示しているが、アメリカのVerizonと日本のドコモ以外はすべてGSMオペレータである。

またドコモは日本国内では超優良企業でNTTの国内トップの利益を殆ど下支えしているのだが世界ではやっと20位に顔を出す程度である。

最近、大航海時代のゲームをやった影響かもしれないが、このオペレータのグローバル化のプロセスは15-16世紀の新大陸発見、植民地時代を彷彿とさせるものがある。現代のルールで相手の納得を得つつこれを実現できるのは考え方が一歩進んでいる証拠ではないだろうか

ニュース (2/10)

2009-02-10 10:16:31 | Weblog

マイクロソフト、携帯電話ソフトウエアのオンライン店舗開設へ

米ソフトウエア大手、マイクロソフトは携帯電話端末向けの新たなプログラムとサービスの提供を予定している。計画には携帯電話ソフトウエアのオンライン店舗が含まれるという。

 

ソフトバンク、光回線代理販売でNTT東西と正式契約 

ソフトバンクは9日までに、NTT東日本・西日本と光ファイバー通信回線「フレッツ光」を代理販売する正式契約を結んだ。インターネット接続サービス「ヤフー!BB」で、現在のADSL(電話線を使ったデジタル高速通信)より高速な光回線を利用できるようにする。18日から東京、大阪、愛知など10都道府県の家電量販店などで販売を開始し、4月をメドに全国に広げる。

 

ACCESS、「NetFront Widgets」をサムスン電子のフルタッチスクリーン携帯電話に提供

株式会社ACCESSは、携帯端末および情報家電向けウィジェット・トータルソリューション「NetFront(R) Widgets」を、サムスン電子株式会社の800万画素カメラ付きフルタッチスクリーン携帯電話「Samsung Pixon」 に提供しました。

 

ニュジラ社、無線用パワー・アンプの高効率化技術を携帯電話機向け供給へ

英Nujira社の最高経営責任者(CEO)を務めるTim Haynes氏である。EE Times Japanが2008年9月に撮影。  英Nujira(ニュジラ)社は、携帯電話機用パワー・アンプに向けた高効率化技術「Coolteq-I」のライセンス供与を始める。2011年に市場に登場すると見込まれる、3GやLTE、WiMAXに対応する携帯電話機の高周波(RF)フロントエンドを対象にした高効率化技術である。

 ウィトラコメント: 従来の高効率アンプというと最大送信電力時の効率を高めるものでしたが、この技術は送信電力が下がった時に、消費電力も下がるようにする技術のようです。これまでも工夫はされていたのだが、このNujiraの技術は本格的なものに感じます。CDMAのように細かく送信電力制御を行うシステムには有力です。

グーグルは音楽業界の雄となるか--YouTubeやAndroidが生み出す可能性