ウィトラの眼

無線業界のニュースについての意見・感想を書きます

ノキアが日本で通信事業者になる

2008-11-22 07:10:16 | Weblog
携帯電話メーカーのノキアが日本で通信事業に参入することを発表した。

来年3月からだそうである。自前のネットワークは持たず、他社(ドコモ)のネットワークを借りて事業をするMVNOとして参入する。 プレミアムサービスで、160~500万円の端末を販売するそうである。

日本におけるノキアの知名度、価格などを見て全然売れそうにないと思う。しかしノキアとしてもまったく採算の立たないところで事業に参入するわけはないので、彼らなりの計算があるのだろう。

おそらく顧客は海外の富裕層であろう。投入する端末はすでに世界50各国で販売されているそうだから、この種のサービスは海外では行われていて、世界的にはある程度顧客はつかんでいるのではないだろうか。

9月29日の記事で書いたがドコモのネットワークを借りると10Mbpsでひと月1500万円である。一人ひと月1万5千円にするとすれば1000人の顧客プラスアルファが損益分岐点である。何百万円もする端末を買うような人たちだからひと月三万円くらいとれるのかもしれない。これで日本に出張の多い海外の富裕層で大体採算ラインに近いところまでは期待できると踏んでいるのではないだろうか。

MVNOとして富裕層を狙うプレミアムサービスは理にかなっている。トラヒックは少ないが全国サービスが必要で、高い料金をとれるというのはMVNOの接続料金体系の特徴を最大限に生かしているといえるだろう。

ノキアは現在、サービス事業に力を入れているがこの動きもこの一環だろう

ドコモがグーグル携帯を出す

2008-11-19 20:01:00 | Weblog
今朝の、日経新聞の一面トップは「ドコモがグーグル携帯を出す」だった。

来春に韓国のKTFからアンドロイドと呼ばれるソフトウェアプラットフォームを使ったケータイ電話をドコモが出すというニュースである。発表したとは書いていなかったので、リークだろうと思う。

この話自体はそれほど驚く話ではない。ドコモはアンドロイドを開発するアライアンスに加入しているし、アンドロイドは知名度が高いのでドコモが海外メーカーにやらせてみるというのはありそうな話である。

私がこの話をブログに書こうと思った理由は日経新聞の一面トップに持ってきたという扱いである。昨日はニュースがなかったわけではなく、元厚生省幹部の連続襲撃事件が起こっているので話題に不足していたわけではない。このニュースを一面トップに持っていったということはそれだけ日経新聞としてグーグル携帯に注目しているということだろう。

私も携帯電話業界の一端に身を置いているのだが、自分ではそれほど大したニュースだとは思わない。グーグル携帯は携帯電話業界の人が思うよりはるかに高い注目を経済界全般から集めているということを再考してみる必要があるだろう

(続)ドコモがインドのオペレータに投資

2008-11-13 17:54:35 | Weblog
昨日の話の続きであるが、やはりタタ・グループはcdma2000のオペレータでこれからGSMを導入するところだそうである。

これではドコモがどのようにしてタタ・グループに事業に貢献していこうとしているのかが見えない。ドコモにはWCDMAのノウハウはあるがGSMのノウハウはない。これからGSMを導入するとなれば3Gはかなり先だろうから技術的にドコモのノウハウが役に立つとは思えない。

サービスも日本とインドでは大きく異なるだろう。 インドの3Gも近いようだから、そこで貢献しようとしているのかもしれないし、3Gをスキップしてその次に技術であるLTEに行く時に貢献しようとしているのかもしれない。

しかし、それにはずいぶん時間のかかる話で一気に2600億円の投資は無謀なように思う

ドコモがインドのオペレータに出資

2008-11-12 20:51:19 | Weblog
ドコモがインドのタタ・グループのオペレータTTSLに出資すると報じられている。インドは成長市場であり、ドコモが出資しても不思議はないのだが私が不思議に思うのはなぜタタ・グループなのかということである。

インドの携帯電話市場には私も注目してウィトラのホームページにもインドのオペレータの加入者数を定期的に調査した結果をアップしているが、タタグループが運営しているのは Tata Indicomという事業者でcdma2000のオペレータである。ドコモの採用しているWCDMAとは違ってAUと同じ方式である。

Tata IndicomがWCDMAへの変更を検討しているのだろうか、あるいは新技術であるLTEでドコモと合わせようとしているのだろうか?少し調べてみたいと思っている

HuaweiがソフトバンクのLTEトライアルベンダーとして選定される

2008-11-10 22:54:31 | Weblog
中国のHuaweiがソフトバンクのLTEトライアルシステムを供給するベンダーとして選択されたと報告されている。

Huaweiは低価格で世界中インフラの市場でシェアを拡大している。「中国製は安かろう悪かろうだ」、とか「あんなに安売りができるわけがない。どこかに資金源があるのではないか」とか色々言われているが、品質、価格ともにきちんと評価してみる必要があるだろう。Huaweiは株式を公開していないので財務状況を公開する必要がなく、財務状況を知る手段はないのだが、少なくとも製品の品質に関しては評価ができるはずで、それほど悪くないのではないかと思っている。

日本市場でも、E-Mobileからまず入り、今回、ソフトバンクにとっかかりをつけた。E-Mobileは私も使っているが悪くないし、先月の新規加入者ではソフトバンクに続いて2位になっている。日本の会社は謙虚にHuaweiの実力を評価してみるべきだと思う。

携帯電話の大量盗難

2008-11-02 10:26:31 | Weblog
最近、携帯電話が大量に盗まれる問題が時々ニュースで流れている。
これはどこかで聞いた話である。

この問題は5-6年前にイギリスで大きな問題となっていた。携帯電話機は基本的にSIMカードというICカードに加入者情報が入っていて、このカードを挿せばどの端末でも使えるようになっている。従って当時のイギリスでは携帯電話を輸送中に国際ギャング団が携帯電話機を強奪し、ほかの国で売りさばく、ということが社会問題化していた。これはGSM方式が世界標準であることによるリスクと言える。

そこで、世界のGSMオペレータ集まりでは対応を協議し、盗難にあった携帯電話は使えなくする、という対応を取った。具体的には、一つ一つの携帯電話機には端末製造番号があり、ネットワークで接続するときにこの端末製造番号をチェックして盗難届が出ているものに対しては接続拒否をする対応を取ったのである。

ところがギャング団はさらに進んで端末の中の端末製造番号を伝送するソフトウェアを改ざんして異なる製造番号の端末であるかのように見せかけるようにしたのである。 そこでメーカーはこの端末製造番号を送信するソフトウェアが書き換えられないようにソフトウェアの改ざん保護対策を講じた。

日本では最近までSIMロックといって、SIMカードと端末が括りつけになっていて、異なるSIMカードを挿入しても動作しないような作りになっていた。しかし、最近になってSIMロックはおかしいという議論が出てきて、SIMロックを外す方向にきている。こうすると、他人の端末でも使うことができるようになる。さらに最新のドコモの端末などでは世界で広く普及しているGSMの機能を搭載しているので、昔と同じく海外で転売されているのかもしれないと思う。

販売ルートは分かっていないようだが海外での売却の可能性があると思う。ソフトウェアの改ざん対策も、ギャング団が新たな改ざん方法を見つけたのかもしれないと思う。あるいは日本ではこれまで問題となっていなかったので対策がまだ不十分なのかもしれないと思う

ユビキタス社会をにらんだワイヤレスブロードバンド

2008-11-01 13:53:19 | Weblog
昨日は電気通信大学で掲題のセミナーを行った。

日本は世界で唯一、高速移動通信に対して広い周波数を割り当てる計画を政府が発表している国である。これを使ってどのようにして日本の無線事業の将来を実現できるか、というパネルを行った。

アプリは何にするか、課題は何か、に関して様々な意見が出た。私としては、サービスエリアを広げるための投資の仕組みについて踏み込んだ議論をしたかったのだが投資の仕組みには踏み込めなかった。それでも、政府関係者を含めて様々な人の意見が聞けて、私個人としても楽しめたパネルだった。

現時点では広い周波数帯を与えられても、それで質の違うサービスを提供する方法は見つかっていない。せっかくのチャンスをどうやって活かすか、まだまだ知恵を絞る必要がありそうである。

話は少し変わるが、今日新幹線で大阪に来た。新幹線の中でHSDPAを使ってみた。名古屋を出て、米原を過ぎる辺りまで使っていたが、多少遅いとは思ったが、ストレスを感じるほどではなく、十分に使える感じだった。普通にメールをしたり、ホームページを見たりする分には200Kbpsも出ていれば十分なのではないだろうか