ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

札幌で学会に参加してきた

2016-09-23 07:53:51 | 生活

北大で行われた学に参加するために2泊で札幌に行ってきた。

2日の夕方の便で札幌に入り、昨夜帰ってきた。行きは台風で羽田は大雨だったが、千歳空港は晴れていた。水、木ともに札幌は気持ちの良い晴れだった。

ホテルはユニゾインホテルという時計台の近くにある小さなホテルだったが清潔で気持ちが良かった。北大博物館を見てきたが、北大は北海道の中では特別な存在であることが強く感じられた。

学会は、発表は無くIoT関連を中心に聴講してきた。最も興味深かったのは内閣府の発表で、Society 5.0というコンセプトの発表だった。内閣府の科学技術・イノベーション会議でSociety 5.0というコンセプトを打ち出して、将来の情報通信技術を使った社会の革新を狙っている。ドイツのIndustry 4.0に対抗して、向こうが4.0ならこちらは5.0という感じのノリでつけた言葉のようである。コンセプトとしては単に産業振興を狙うだけでなく、未来社会構築に役立てよう、様々な社会問題をIT技術を使って解決しよう、という狙いである。

具体的にはまだ現在の世界のIoTの流れから大きく踏み出すものではなく、今のIoTの進展を日本としてどう取り組むか、という話に見えるが、総理大臣直轄組織でこういったことが議論されるのは好ましいことだと思っている。ただ、私が気になっているのはIoT関連に関する政府のこれまでの取り組みは「日本で何とかしよう」という色彩が強い点である。今の状況は日本だけで何とかできる実力は無く、世界の有力プレーヤーを巻き込むことが不可欠だと思っている。その点を質問すると、「そういう問題意識は持っている。但しまだ具体的な解決方法は見つかっていない。」という回答だったので、「これは期待ができる」と感じた。

今後、政府内でSociety 5.0を深堀していくのだろうが、内閣府が動けば縦割り行政の枠を超えて複数の省庁を動かすことができるので、これまでとは一味違う動きが出るのではないかと期待している。

札幌には私自身住んでいたこともあり、知人も何人かいるのだが、今回は時間がなく、そうした人達と会うことはできなかった。次の機会にゆっくりと行きたいものだと改めて感じた。

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豊洲市場のおかしな決定に見る組織の脆弱さ

2016-09-15 11:24:35 | 社会

築地市場の移転先である豊洲市場の環境対策がこれまでの発表と異なっている、と言って大騒ぎになっている。これを聞いてすぐに情報公開した小池新都知事は、良い仕事をしていると思う。就任2か月にならないうちに前任の舛添知事の2年以上の仕事に匹敵するくらいの存在感がある。なぜ豊洲市場の建物の下が空洞になっているのか、化学工場の跡地なので盛り土をしないと行けないということは良く知られていたことのはずであり、大部分の人がおかしいと感じている。東京都が勝手に決めたらしいが東京都の職員だってそれなりの良識は持っているはずである。誰が推進したのかはそのうち明らかになってくると思うが、ここで私が指摘したいのは「おかしな決定」がそのまま通ってしまう日本の組織の脆弱さである。上のほうからの指示だとしても、土壌汚染を議論する専門委員会に情報を入れればその時点で問題化されてストップがかかったと思うのだが、それさえも行われなかった。それは理屈上おかしな決定でも「理にかなわない」と言って声を上げる人が非常に少ない、という体制の弱さを意味している。

私が所属している電子情報通信学会でも「明らかにおかしい」と思える決定があった。それはI-Scoverという技術用語の辞書を学会で作ろうという動きである。今時技術用語辞典などはGoogle検索やGoogle ScholarというGoogleのサービスが広く使われており、日本の学界で作った辞書などはほとんど使う人が居ないと思う。ところが、ある時の会長がこれを強力に推し進めると、取り巻きが「すでに決まったことだ」という感じで周りにアナウンスをして具体的な用語集の作成作業を割り振る。それだけでは済まないのでシステム作成を外部に依頼して、学会の会計は赤字になる。仮に一時的にまともなものができたとしても継続的に更新していかないと使える状態は維持できるわけはなく、Googleに対抗できるものになるとはとても思えない。出来立ての今でも使っている人は少なく、数年たつと見向きもされないものになると私は思っている。学会は良識の府であり、大部分の教授たちが「うまくいくわけがない」と思ったはずである。しかし、実際には実行されて大学教授たちの多大な時間がこのために費やされた。これは学会がシステム構築のために支払った金額の100倍くらいのコストになると思うがボランティアのため、目に見えないコストになっている。

要するに、日本の組織では殆どの人が「おかしい」と思うようなことでも、一旦動き始めると実行に向けて突っ走ってしまうことが多いということである。自衛隊の海外での武力行使に関しても、仮に政府が突っ走ろうとしても「野党がいるから大丈夫」、「マスコミがいるから大丈夫」、と今の我々は2重3重の保険がかかっているように感じているが、この保険は案外脆弱で、走り始めると止められないという性格を日本の社会は内蔵しているということを今回の出来事で改めて感じた。

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ソフトバンクがIoTの無線方式としてLoRaを採用

2016-09-08 09:39:17 | 経済

今朝の日経新聞にソフトバンクがLPWAサービスを来春開始するというニュースがあった。方式はLoRa方式のようである。ここ1,2年でLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークと呼ばれる通信方式が台頭している。過去何十年も高速化を目指して進めてきた通信方式を、一転して低速化を目指し、乾電池一本で10年使えるような通信方式を開発し、IoT用に使おうという考えである。低消費電力の無線方式では、従来からZigbee、Bluetoothといった方式が使われていたのだが、これらの方式は1Mbps程度まで使える低電力方式である替わりに伝送距離はせいぜい数百mまでだった。それを徹底的に速度を落とし、低消費電力化を図ることによって、同じくらいの消費電力で10倍程度(数Km 程度)飛ばそうというのがLPWAの発想である。周波数帯は日本で言うと特定小電力(900MHz帯)という免許不要の周波数帯を使用する。主な用途としての狙いは電力やガスなどの検診の情報を自動で集めるスマートメータだと私は考えている。これは1時間に1回程度メータの情報を送れば良いのでトラヒック量としてはごく少ない。周波数も、電池もごく少量の消費で済む。LPWAはベンチャー企業が独自開発したようなものが多く、方式はLoRaと呼ばれる方式とSigfoxと呼ばれる方式が欧米で導入が進んでいる。

日本では電力のスマートメータ用のWiSunと呼ばれている方式が標準として採用されているが、東芝が東京電力のシステム構築を請け負って大失敗し、不正会計操作発覚の一因となっている。WiSunはやはり伝送距離数百メータなので、かなりの数の中継基地局を置く必要があり、LPWAと比較するとかなり高価なシステムとなる。スマートメータ出直しの際にはLPWAになるだろうと私は考えている。

モバイルオペレータにとっては無線通信によるIoTのデータ収集は将来ビジネスの大きな要因と考えているので、対抗してLTEをベースとした超低消費電力伝送NB-IoTという方式を3GPPで標準化している。おそらく数年もすればLTE基地局でNB-IoTにも対応した基地局が出てきて、これで置き換えていけば自然にIoTに対応できるようになると思うのだが、なぜ、ソフトバンクはLTEと互換性のないLoRaでのLPWAを始めることを決めたのだろうか?

おそらく、NB-IoT対応の機器が出てくるまでには2-3年かかるので、今すぐ使えるLoRa方式にしたというのが最大の理由だろう。ドコモとKDDIがNB-IoTにするなら時期的には明らかに先行できるので初期マーケットをつかむことができる。そこでブランドイメージを確立できることは間違いないだろう。ただ、この方式は特定小電力を使っているのでユーザ企業(例えば東京電力)が独自にネットワークを構築することもできる。東京電力は鉄塔などをたくさん持っているので、それを使って独自網を組んでしまえば、利用料金は払わなくて済む。ソフトバンク側からするとかなり料金を下げないと使ってもらえない、という薄利のビジネスになると思う。

ソフトバンクはモバイルオペレータらしくない発想でIoTに取り組んでいる。この点がどうなるか、興味深く感じている。

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オリンピックの強化策を拡大解釈

2016-08-25 11:01:38 | 生活

リオ五輪で日本勢は史上最大のメダル獲得数で終わった。今回の特徴は銅メダルが多かったという点だろう。私はこれはとても価値のあることだと思っている。殆どの銅メダルは水泳のような大勢で一斉に競技して3位、ではなく、3位決定戦で勝って3位、という勝って終わるパタンだったからである。

全体を見るとイギリスがメダル獲得数2位だった。日本の人口の半分のイギリスが、スポーツ大国のロシアにかなり欠場があったとはいえ、アメリカに次ぐスポーツ大国になったということは立派なものである。これは21世紀に入ってからの宝くじの利益をスポーツ振興に充てる強化策が実ったものだと言われている。これから日本でも東京五輪に向けての強化策の議論が活発になるだろう。

今大会では良かった分野と悪かった分野がはっきり分かれた。良かったのは柔道、女子レスリング、体操、水泳、バドミントン、卓球で悪かったのは陸上だろう。最後のリレーでの銀メダルが無かったら陸上関係者は徹底的にたたかれていただろうと思う。おそらく成功した分野のやり方を研究したり、イギリスのやりかたを研究したりすることだろう。

スポーツ強化にはまず、予算を確保することが必要である。その予算をどう使うか、金額が少ない段階では、オリンピック候補選手のような有力選手の海外遠征や合宿費用をサポートしたり、メダルの報奨金を増やしたり、有力なコーチを海外から招聘したりするのだろう。ある程度予算が増えてくると、すそ野を広げることに予算を使う。インターハイ出場選手の内で有力な選手を強化選手として強化する体制を作る、などである。誰を強化選手にするかはスカウトの眼力の問題だが当然当たりはずれがあるので、最初は広めに強化選手を選んでその中で伸びてくる選手を集中的に強化し、伸びない選手には外れてもらう、というような仕組みを作ることが必要だと思う。

私はスポーツをこのようにして強化することに特に賛成でも反対でもない。やや賛成という程度であるが、本日の主題はこのような考え方を中小企業の育成に導入すべきではないか、という点にある。つまり予算規模によるが、最初は広く薄く支援して、次第に支援対象を成長を続ける企業に絞り込んでいく、このような考え方はスポーツ選手の強化策と類似性が高いと思っている。この考え方は今でもある程度は使われていると思う。

スポーツと違うのは、最後の代表選手を選ぶ段階である。この段階で産業界ではベテラン選手の意見が強く、若手選手の代表入りを阻止しようとする動きに出る。そこを客観的データで若手でも実力のある選手を選ぶということが産業界ではできていない。

一つには産業界ではオリンピックのような大きなイベントがなく、『代表選出』に相当する概念が無いことがある。しかし、私は政府の方針を議論する委員会などの委員選出はこのような代表選出に相当するのではないかと思っている。大企業でも利益を出していない企業は委員から外して、新しく伸びてきた企業の人を委員としてどんどん採用する。オリンピックの代表選出でもしばしば代表選出プロセスの透明性が問題となるが、政府の委員会でも委員選出プロセスの透明性を確保して、政策に若い企業の意見がより反映されるようにすれば、日本企業の新陳代謝も早まるのではないかと思っている。

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オリンピックの卓球を見て

2016-08-20 09:35:34 | 生活

リオ五輪も終盤に入ってきているが、日本選手の活躍が目立っている。私は中学、高校と卓球部だったので卓球の放送を良く見たのだが、卓球の放送枠がずいぶん多かった感じを持っている。卓球は「暗い」と言われたマイナーなスポーツだったのだが、最近はメジャーになってきたのだろうか。男子は水谷が個人で銅メダル、団体で銀メダルで、過去最高の成績である。女子も団体で銅メダルを取った。レスリングの吉田沙保里選手が銀メダルで「すみません」と大泣きしていたのに、卓球は銀メダルで大喜び、吉田選手に気の毒な気もするが、戦前の予想と比べて頑張った、ということで素直に祝福したい。

実際、水谷選手は今回、伸びたような気がする。シングルスの準決勝で中国の馬龍と当たった時には簡単に負けるだろうと私は思っていた。春の世界選手権では手も足も出ずに負けていたからである。しかし、2ゲームを取って存在感を示した。実際、馬龍は肝を冷やしただろうと思う。3位決定戦では順当勝ちだったと思う。そして驚いたのは団体決勝で中国側が水谷と馬龍の対決を避けて、馬龍をトップに出してきたことである。卓球の団体はSSWSSと5試合で普通エースは2番目に出てシングルを2回戦う。他の二人はシングル1回、ダブルス1回という戦い方である。中国の2番手許キンにも過去に水谷は勝ったことがなかったので、これでも勝てると読んだのかもしれないが、実際水谷は許キンに勝った。水谷のシングルスの戦いぶりや団体のドイツ戦での戦いぶりを見て監督が「リスクが高い」と判断したのだと思う。これまでは中国との間にレベル差があった感じだったが、水谷は差を埋めて「中国にも勝つかもしれない」という感じを与えてくれたのは大きかった。

女子ではシングルスに出られなかった15歳の伊藤が鍵を握っていたと思う。シングルスの代表は国から二人なので石川、福原が代表になっていたが、私は内心、伊藤のほうが福原より上ではないかと思っていた。伊藤は「全然固くならない」とよく言われているが、今回のオリンピックでは精神面の影響が出たように思う。準決勝のドイツ戦で、伊藤はトップだった。監督は伊藤での「勝ち」を計算していたと思うが、ソルヤに負けた。そして、ダブルスも負けた。石川が2勝してエースの仕事をしたのだが、2-2で最後の福原戦に回れば、相手はドイツのエースなので苦しい、と監督は思っていたはずである。福原は善戦してぎりぎりのところだったが最後にエッジで決められてしまった。福原は「私のせい」と言っていたが伊藤をかばう気持ちがあったと思う。3位決定戦では4番目で出てシンガポールのエースで世界ランキング4位の選手に勝った。ダブルスで勝っており、自分が負けても、最後の石川が勝ってくれる、という安心感があったのだと思う。格上の選手に堂々と打ち勝った。伊藤は今回の大会では「勝たないといけない」と思ったときの苦しさを味わったと思うが、水谷と同様に中国の選手と対等に戦える可能性を秘めた選手だと思う。

福原は「苦しいオリンピックだった」と言って涙を浮かべた。シングルスと団体合わせて5敗しており、その気持ちは理解できる。しかし、卓球が大きく扱われるようになったのは福原の貢献が大きいと思う。次の東京オリンピックの時には引退していると思うが、「ありがとう」と言いたい気持である。

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土曜日のプチツアー

2016-08-14 16:05:31 | 生活

今年に入って、私は土曜日の午後に外出することにしている。始まりは「今年は囲碁を年間100局以上打とう」と心に決めて、学士会の囲碁部に入ったことである。

朝、いつものように1時間半くらいの散歩をしてウィトラのオフィスに行きテレビを見たりパソコンをやったりしながら11時頃から自作のサラダと焼き飯とワインの昼食を作って食べ、12時頃には出かける。桜の季節には千鳥ヶ淵などの桜の名所を通って1時半くらいに学士会館に行き、5時頃まで打つ。大体、4時半を過ぎると次を打とうという人はいなくなるので遅くとも6時には終わる。8段で登録して毎週土曜日に神保町にある学士会館に行って2-3局打つ。毎月10局以上打っているので目標は達成できそうだし、次第につまらない間違いで負けることもなくなってきた感じがする。会合は月、水、土と行われており、約2か月のリーグ戦で勝ち星の多い人が優勝となる。負け数はカウントされない。私は殆ど負けることは無いのだが、土曜日にしか行っていないので優勝などはできず昇段は難しい。

このリーグ戦が8月は休みなので、8月に入って土曜日の午後は近場の観光地を歩いている。第1週は関内からフェリス学院のほうの丘を登って「港の見える丘公園」を通って根岸森林公園に行った。三渓園まで歩こうと思ったのだが疲れてきたので根岸駅から帰ってきた。中華街までは何度か行ったことがあるがその南のほうに行ったのは初めてで横浜の景勝地を堪能してきた。

昨日は、北鎌倉から鎌倉にかけて歩いた。北鎌倉で横須賀線を降りて、円覚寺、建長寺から天園ハイキングコースを少し歩いて鶴岡八幡宮に出た。円覚寺、建長寺はともに臨済宗のお寺で、私の父の墓がある京都の妙心寺も臨済宗なので若干似たところがある。但し、京都は繊細で美しく、鎌倉は壮大で静かという感じがする。庭園などははるかに京都のほうが良いが、全体の雰囲気は鎌倉も好きである。

鶴岡八幡宮に行くまでは観光客もちらほらで静かな感じだったのだが、鶴岡八幡宮はたくさんの観光客が居てお祭りのような感じだった。特に鎌倉駅までの小町通は、浴衣を着た若い女性や、デートの男女などでごった返していた。観光地だけでなく、おしゃれな店がたくさん沿道にできているところが人を集める魅力になっているのだろうと思う。若い女性は「見せる」ことを意識した服装で来ているので見ていて楽しかった。

そこから大仏、長谷寺と歩いた。こちらもかなり混んでいる。私の中では建長寺と大仏は同レベルの観光地、というイメージがあったのだが、観光客数は大仏のほうが10倍くらい多かった。長谷から江ノ電で藤沢に出て小田急で中央林間、そこから東急であざみ野に帰ってきた。鎌倉に行ったのも20年ぶりくらいで、楽しめた。

 

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天皇陛下のビデオメッセージについて

2016-08-12 09:59:38 | 社会

天皇が自らの気持ちをビデオメッセージとして広く国民に伝えた。天皇の在り方についてかなり踏み込んだ発信だったと思うが、私を含めて大部分の国民は好意的に受け止めたと思う。ニュースでもいろいろ解説されているし、多くの人が発言しているので今更私が何か言うことも無いのだが、あまり世の中で言われていないと思える点について書いてみようと思う。

気になったのはビデオ公開前のNHKの取り扱いである。ニュースの時間に盛んに「天皇は政治的発言を禁じられているので、自ら退位に関して積極的に発言はしないはずです」と繰り返した。明らかに天皇の発言に対する牽制球だと私は受け取った。「これがニュースで流す内容だろうか?」「世論操作ではないか?」と私は感じていた。私はNHK自らがアナウンサーにあれを言わせたというよりは自民党の一部からの圧力があったのではないかと想像している。

発言内容に関しては穏やかな表現ながら象徴天皇に対する陛下自身の考えがかなり明確に出ていたと思う。それは天皇という地位のあり方というよりも、天皇として国民に負うべき義務を考えている、という感覚である。そして義務を果たせなくなったら交代すべきだ、という考えがにじみ出ていた。「国民に義務を負う」というような感じの発言をした天皇は歴代初めてだと思う。

私は自分自身が天皇の臣下だと感じたことは無い。君が代の歌詞に違和感を持っていることも以前書いた。それでも今の象徴天皇制には賛成だし、象徴天皇の在り方を考え抜いた今の天皇はそれを体現していると思う。日本人の良さを自ら体現して、見識、人格、マナー等世界のどこの元首と対談しても日本人の良さを感じさせる存在になる、そのために常に国民に触れ、国民の心を知る、というのが私の受け止め方である。自民党の憲法草案では天皇を象徴天皇から日本の「元首」とするとある。各国の国王に相当する地位だと思う。元首になると実際的にどの程度象徴天皇から地位が変わるのかは不明だが、いま日本は十分にすばらしい象徴天皇を持っていて、それを変える必要は無いように思う。

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政府の作る人工知能研究拠点

2016-08-01 10:29:26 | 経済

東京都知事選挙は小池百合子氏の圧勝に終わった。私は増田氏や鳥越氏のような不自然な出馬をした人が当選しなくてよかったと思っている。今日のテーマは都知事選挙ではなく、今朝の日経に出ていた経産省、文科省、総務省が共同してスマートシティ「柏の葉」の設立する人工知能の研究拠点に関してである。

今朝の日経新聞には3人の大臣が握手をする写真と一緒に結構詳しく出ていたのだが、ウィトラのオフィスに来てネットで確認しようとしたらその記事が見当たらない。多少うる覚えの情報になるが、ご容赦願いたい。おそらく経産省が主導していると思うが、人工知能は今後社会に与える影響が非常に大きいと判断して、国としても力を入れて研究開発を行うということで、この方向性は正しいと思っている、人工知能は既にビジネスになり始めているので、この研究機関は今話題の「ディープ・ラーニング」のさらに先を研究するという。具体的にはディープ・ラーニングのように大量のデータを学習させなくても学習ができる仕組みを研究するということである。日本人は実物のキリンを見ることは殆どないが、キリンを認識することができる。この点には現在のアルゴリズムとは異なる論理があるだろうという推測はおそらく正しく、狙いも悪くない。しかし、私には二つの点で気がかりに思うことがある。

一つ目は国の研究所(私の良く知る総務省関係で言えばNICT)がそれぞれの省庁の研究組織から人を出し合って研究母体を作るという点である。省庁の横ぐしを通すことは大変結構なことなのだが、「オールジャパン」で果たして世界と戦えるのか、という疑問が残る。今の日本の研究レベルは世界トップとは言い難い。研究ツールも「柏の葉」にスーパーコンピュータを導入するなどを考えているようだが、果たして世界のクラウドを戦えるレベルになるのかが疑問である。私はこのような日本の得意分野ではないが今後の世界の主流になっていきそうな研究分野の研究はアールジャパンではなく、グローバルR&Dとして世界の知恵を集められるような体制づくりが不可欠だと考えている。この点のビジョンが今のところ見えていない。

二つ目の懸念は成果の実用化プロセスである。研究所を設立する目的は日本の産業競争力を高めることのはずである。しかし、日本の国の研究所は成果の実用化に関して成功例が少ないと私は思っている。産総研のような経産省系の研究所は良く知らないが、NICTという総務省系の研究での実用化の成功例はほとんど知らない。これまでのハードウェア中心の研究でもあまりうまくいっていない上に、人工知能の研究成果はソフトウェアになるはずであり、一層難しい。仮に日本の研究所が画期的なアルゴリズムを発明したとしても、実用化までには実際の課題に適用してみて何度もフィードバックをかけることが不可欠のはずであるが、このような仕組みはこれまでの国の研究所ではできていなかった。ソフトウェアは特許で抑えることは極めて難しく、アルゴリズムの提唱者が実ビジネスの勝者になるとは限らない。今話題のディープ・ラーニングもカナダの大学がアルゴリズムの提唱者だが、カナダが人工知能の分野で存在感を示している感じは無い。新しい研究所がどのような出口戦略を描いているのか、ここの図を描かずに始めてしまうと、国としての投資は失敗に終わる可能性が高いと思う。

人工知能は極めて重要なテーマだけに、うまく進めてほしいと思う。

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メディアの世論操作

2016-07-29 09:56:52 | 社会

私は朝、1時間半程度歩いてウィトラのオフィスに出勤する。歩きながらラジオを聴いているのだが、NHK-FMの7時のニュースを聞いていてどうも気になる点がある。

それは、G20財務大臣会議にニュースなどで「~の狙いがあると思われます」という表現が頻繁に使われる点である。この思っている主体は明らかにNHKである。狙っているのは中国に大臣などのニュースになるアクションをした主体者である。つまり、NHKが主体者の意思を推測して語っているのである。これが、ニュースで使う表現として適切だろうか?

報道特別番組などで、ニュースの解説を加えるときにこのようなことを言うのは問題ない。背景も説明していて、違う意見の人も入っていたりする。しかし、朝のニュースでは殆どが事実を報道しているものである。その中で解説は無いままに「~の狙いがあると思われます」を使う。聞いているほうはそれも事実なのかと思ってしまう。これはメディアによる世論操作ではないだろうか? 民放もこういう表現を使うことがあるがNHKのほうがはるかに多い感じがしている。

選挙が終わると、街を歩いている人に対して「新しい議員に望むことは何ですか?」という質問をするテレビの場面が良く出てくる。先日の参院選の時もあった。私は、これは素直な街の声ではなく、メディアが自分の言いたいことを街の人を使って表現していると思ってみている。政治に要求することなどは実に様々で探せばたいていの意見が出てくる。その中で、メディアが気に入った意見を流しているのだと思っている。その点で日本のテレビでは自分に対する利益誘導を発言する人が多い。例えば「年金暮らしなので年金制度をしっかりやって欲しい」とか「小さい子供がいるので保育所を作ってほしい」とかいうことである。

これは、適切ではないと私は考えている。一方的な個人の要望を満たすには金がかかる。こういう意見を国民の声だと政治家が勘違いするから財政赤字がどんどん拡大する。「税収が増えない中で年金制度をどうやって維持するか?」に対する意見を言うような街の声を拾うのが本来の在り方だと思っている。欧米の街の声はこういった政治課題に対する個人の意見を「街の声」として取り上げていることが多く、日本のメディアとのレベル差を感じている。

東京都知事選挙が終わればまたこれが繰り返されるだろう。テレビ局のなかで単なる税金バラマキでない声を拾うところは出てこないものか、と思っている。

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任天堂の新しいビジネスモデル

2016-07-26 19:57:46 | 経済

任天堂のポケモンGo が世間で大きな話題を集めている。ゲーム機販売が伸びなくなって頭打ちになっていた任天堂の新たな展開を示すものとして注目している。このゲームには新しい特徴や従来の任天堂からのいくつかの路線変更がある。

1)拡張現実の初めてのヒット
拡張現実というのは実際のモノにコンピュータデータを重ねて付加価値を持たせるもので、ゲームだけでなく、様々な用途に使えると思って私も注目していたが、今までいまひとつヒットアプリが出ていなかった。今回のポケモンGoが拡張現実の初めてのヒットと言えるだろう。拡張現実のゲームはこれまでにもいくつか発売されていたのだが、今回なぜ大ヒットになったのかについては私は良くわかっていない。多分ポケモンという既に確立したキャラクターを活用した点が良かったのだろう。

2)任天堂の機器ではなくスマホを使った
ゲーム機の世界は任天堂、ソニー、マイクロソフトが3強で世界はほとんどこの3社で抑えられている。その中で任天堂は苦しんでいたとみられたのだが、今回は自社ハードではなくスマホを使ってソフトウェアビジネスに特化した。 

3)他社のプラットフォームとのコラボ
ポケモンGoを配信しているのは任天堂ではなくアメリカのナイアンティックという会社だそうで、Googleから分離した会社だそうである。拡張現実のプラットフォームはこの会社が作っているようである。こうしたいわばオープンイノベーションの姿勢も任天堂としては新しい動きである。

4)アメリカで先に配信
従来だと任天堂は日本でまず発売するか、世界同時発売か、という形だったが、今回はアメリカで先に発売して遅れて日本で発売となった。このパタンは正解であるように思う。任天堂の意志ではなくナイアンティックが配信したことが理由になっているのかもしれないが、日本で先に発売していたら、負の側面がより強調されていてうまくいかなかったかもしれないと思う。これからは、アメリカで先に発売して成功したら日本、というのが日本企業であっても成功のパタンになることは少なくないと思う。その方がはるかにグローバル化しやすいし、規制の問題などもクリアしやすいだろう。自動運転、ドローンなどIoTがらみのビジネスもこのパタンを積極的に取り入れるのが良いという気がする。

全体を通して任天堂は大きく変身したと思う。次にどういう手を打って成功を盤石にするかが興味深い。 

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