ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

伊勢志摩サミットに見た安倍首相の鈍感力

2016-05-28 10:27:14 | 社会

厳重な警戒網の中で伊勢志摩サミットが行われ、終了した。たいした成果は無く、首相関係者の懇親会という色彩が強かったと思うが、色々な問題で意見交換して認識を共有した意味はあったと思う。大成功ではないが一応成功といえると思う。

私が注目したのは安倍首相が示した鈍感力である。それは「今はリーマンショック前と似ている」という発言のことである。この発言は国内向けで「消費増税を延期する」という意思表示であることは疑いないが、これをサミットで言うのはなかなか勇気のいることだと私は思っている。普通の人は「外している」「経済が分かっていない」などと思われるのではないか、と発言をためらうような内容だと思う。経済が停滞しており、何らかの手を打つ必要がある、という点では認識が共有しているので、それを多少強く押し出して公式発言とし、プライベートに「国内向けだ」と説明したのだと思うが、それをやるにはそれだけ他の国のトップとの交流があり、相手がどう感じるかに対しての感触を持っていたからだろうと私は思っている。この安倍首相の鈍感力は評価できると思う。

サミット終了直後に、オバマ大統領が広島の原爆ドームを訪問した。日本は被災者を含めて特に「お詫び」を求めるようなことをせず、「一緒に核兵器をなくす方法を考えましょう」という態度だったのは好ましいと思う。しかし、オバマ大統領が広島を訪問したからといって北朝鮮が核開発を止めるわけはなく、この訪問が核廃絶に直接つながるものではないことは明らかである。テレビのレポーターたちは完全に外していたと思う。

重要なことは「70年前の核爆弾一発でもこれほどのことが起こるのか」ということを核爆弾発射の指令を出せる人が目に見て認識したことだと私は思っている。私自身、広島の原爆ドームを見た時には感じるものがあった。ケリー国務長官はそのその態度から何かを感じたことは間違いなく、だからオバマ大統領に広島訪問を勧めたのだと思う。オバマ大統領の態度から何を感じたのかは伺えなかった。クリントン氏が次期大統領になった時に「広島を見ておいたほうが良いよ」と勧めてくれるかどうかは不明だというのが私のテレビを見た印象である。「勧めてくれればよいが」と願っている。

要人の広島訪問は核兵器の行使に対しての抑止力となることは間違いないが、核廃絶には全く別の動き方が必要なことは疑いない。

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長寿命の動物は何か?

2016-05-27 08:52:43 | 生活

象の花子が息を引き取った、というのがニュースで流れている。「伊勢志摩サミットが開催されている現在、象の死がニュースになるほどの話題か、よほどニュースがないのだな」と私は思っていたが、ふと「長寿命の動物は何だろう?」と気になった。「鶴は千年、亀は万年」と言われているが、亀が長生きするのは分かるが鶴が長生きするのは理解できない」と思ったからである。

私は長生きするのは動きがゆっくりしたナマケモノのような動物であると思っているのだが鶴は空を飛ぶし、しかも渡り鳥である。激しい運動をするので、とてもそんなに長生きするとは思われなかった。

調べてみると哺乳類で長生きするのは体が大きい草食動物の象やサイ、カバなどで50から70年、次いでゴリラやオランウータン、等のサル類で30-50年だそうである。クジラもかなりの長寿命である。ゆったりした動きで体が大きい動物の寿命が長いようである。クジラの中には200歳以上のものがいるそうである。

鳥類は意外に長く、鷲、鷹、鶴のような大型の鳥類は30年くらい、インコやオームの類も同じくらい生きるらしい。肉食の哺乳類よりは寿命が長い感じである。鳥にとって空を飛ぶというのは意外に楽なことなのかもしれない。

亀は脊椎動物では一番寿命が長く、250歳のカメが観測されたことがあるらしい。他にニュージーランドのオオトカゲは200年くらい生きるらしい。

更に長寿命なのは貝類でミル貝は160年以上、アイスランド貝というハマグリのような貝は500年以上生きたものが居たそうである。もっともこれは貝殻の年輪から推定しているもので誤差があるかもしれない。

極め付きは一部のクラゲで寿命という概念がない不老不死だそうである。これは、子供が自分の体内で生まれて大きくなり親と入れ替わる、新陳代謝をすっと繰り返すということらしい。もっとも若返りが観測されているというだけで若返りの回数に限界があるかどうかはまだわかっていない、ということだと私は考えている。竹は毎年筍ができて一つの個体から次々と若返っているように見えるが百年に一度花が咲くとその後は枯れるという。こういう感じの寿命はあるのではないだろうか?

いずれにしても生命はまだまだ神秘に満ちていると改めて思った。

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名局だった本因坊挑戦手合い第2局

2016-05-25 09:47:55 | 囲碁

5月23,24日と井山7冠に高尾九段が挑戦する本因坊戦の挑戦手合い第2局が行われた。第1局目は序盤で高尾九段が優位に立ち、そのまま押し切った感じだったが、この2局目は序盤から激しい戦いが続き大きな変化を繰り返しながらもどちらが優勢か分からないような状況が続いていた。後半、井山名人がやや有利の感じになったがその後も難しい戦いが続き、最後は井山名人が鮮やかに決めた、という印象だった。

私は23日はウィトラのオフィスでネット中継を見ながら仕事をしていた。囲碁は長考するときは30分以上局面が動かないときがあり、その間に仕事をして時々局面を見に行く。「自分だったらどう打つか」を考えながら見ていて、外れるとどうして外れたのかを考える、これが参考になる。1日目の序盤から激しい戦いで私の予想はなかなか当たらなかった。大きな石を捨てたりする大胆な戦い方を繰り返しながら、どちらが優勢か分からないような均衡状態が続いていた。

24日は一日外出していたのでネット中継を見ることはできなかったが夜、帰宅してから棋譜を見て、激しい戦いが最後までずっと継続していて、最後に井山名人が押し切った感じだった。囲碁では根を詰めて先を読まないと一気に負けになってしまう緊迫した局面と、大体このあたりが相場で、アマチュアが打ってもプロが打ってもあまり差が出ない局面がある。昔の碁はプロ同士の対局でも勝負どころは1回か2回くらいが普通だったのだが、この碁は勝負どころがずっと続いてきた感じだった。そうなると常に緊迫した状況で読み続けなくてはならず、体力が問題になってくる。若い井山名人が体力的に勝ったということではないかと思っている。

私は中国、韓国の碁をそれほど見ているわけではないが、中国や韓国ではこのような「疲れる」碁が多いので、若い人が勝つことが多いのだと思っている。戦いを仕掛けるには戦いを仕掛けるテクニックがあって、うまく仕掛けないとたちまち不利になってしまう。日本の歴代の第1人者はこの戦いを仕掛けるテクニックが優れている人が多く、形勢が不利な時は次々と戦いを仕掛けてチャンスをつかんでで逆転する、逆に自分が有利な時には戦いを仕掛けないでさらさらと打って終わらせてしまう。従って見るほうとしては、第1人者が負けた碁や負けそうになった碁が面白い、というのが従来のパタンだった。

今、中国では戦いを仕掛けるテクニックを身に着けた人が多く戦いの連続になって、日本のプロ棋士は勝てなくなっていると私は思っている。日本でも若い人で戦いを仕掛けるテクニックを身に着けた人が増えているので、今回のような面白い碁ができる。挑戦者の高尾九段は戦い続けて勝ちきるにはやや年齢が高い(39歳)が戦い続けているのは立派だと思った。

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IT最大手企業が掲げるAI First

2016-05-12 08:54:48 | 経済

最近、Microsoft、Google、Facebookの幹部がこぞって「AI First」という言葉を発している。私はこれを単純に「AIは今後発展していく重要な技術だから優先度を高く開発しサービスとして提供していく」程度の意味に解釈していたのだが、どうもそれ以上の具体的な狙いがあり、競争の段階に入っているらしい。それは「ユーザのプラットフォームを抑える」という狙いである。

歴史的にプラットフォームを抑える、という戦略はMicrosoftのOSを抑えるところから始まった。競合他社はOSではMicrosoftの牙城を崩せないのでブラウザを抑える戦略に出た。ブラウザは最近Google ChromeがMicrosoftを抜いたが他の企業はなかなか抑えられない。そこで次にアプリを抑える狙いに出た。SNSがその典型だが、これらはアプリの一つに過ぎないのだが、アプリの中で様々な作業ができるようにしてアプリかな抜けださなくても必要な作業を殆どできるようにした。ブラウザもアプリの一つで、その面ではGoogle Chromeが最も進んでいるが、こういった使われ方を狙っている企業は多い。

そして彼らが次に狙っているのがAIである。ユーザが端末の電源を入れると、まずAIを起動し、そこに要件を入力する。AIは他のアプリや他社のAIなどともネットで連携していて必要な作業は殆どやってくれる。そうすればユーザーは自社のAI常時使い続けをるので様々な形での収入につなげることができる、ということのようである。

なるほど、ありそうな話だと思う。OSもブラウザも、SNSも使われ続けるのでどれが真の覇者になるかという決着はなかなかつかないのだろうが、利便性が高く皆が使うという流れができればその方向に一気に流れていくのだろう。消費者向けには広告収入を狙って大手IT企業は無料でサービスを提供するだろうからAIの普及は一気に進むような気がする。

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日本の自動車業界の繁栄もあと10年か?

2016-05-09 09:33:39 | 経済

現在日本の産業界をけん引しているのはトヨタをはじめとする自動車業界であることには異論のある人は少ないだろう。様々な問題、新技術の開発による業界の変化などを経ながらも特にトヨタは世界の自動車業界で存在感を増してきている。これはトヨタの社風(カイゼン)という人材育成システムによるものでそう簡単に崩れるものではないだろう。

その一方で、日本の自動車業界に大きな危機が迫ってきていることも私は感じている。それは付加価値の源泉が製造現場ではなく、開発現場、それもソフトウェア開発現場に移りつつあると感じるからである。トヨタの強さはその工場にある。しかし、工場が付加価値の源泉で亡くなれば強さは失われる。その時期は着々と近づいている感じがする。

最近、日本の半導体企業ルネサスが車載半導体で世界シェア3位に転落したと報じられている。1位はNXP(フリップス系)、2位がInfineon(インテル系)だそうである。1位のNXPはモトローラ系の半導体企業Freescaleを買収したことによるものらしいが、トップに躍り出たらしいが、Infineonにも抜かれているのはルネサスの不調を示すと考えて良いだろう。

ルネサスは自動車メーカー毎に半導体(マイコン)をチューニングして製造し納品していたので世界シェアトップであったにもかかわらず利益が出ていないという状態だった。それが自動車業界も徐々に大手の規格に中小の自動車メーカが合わせる標準化が進み、ルネサスのシェアが落ちるという状況となって表れているらしい。

今の自動運転技術の急速な進歩を見るとこの状況は加速し、ルネサスのシェアはますます落ちていくだろう。自動車のCPUもスマホやタブレット端末のCPUが用いられるようになっていき、それにGPUによる人工知能エンジンが追加されるというような状態になっていくと思われる。そうなっていくと自動車の付加価値に占めるソフトウェアの比率が増える。つまり、自動車のコストに占める開発費の比率が増大することになる。

ソフトウェアの開発比率が大きくなると開発費を抑えることが極めて重要になる。そのポイントはハードウェアとのインターフェイスを標準化して、できるだけ共通ソフトを使えるようにしておいて、その共通ソフトに対して思い切った開発投資をすることである。そうなってくるとビジネスモデル自体が変わってくる。パソコンのマイクロソフトやスマートフォンのグーグルのようなソフトウェア専業の企業の存在感が大きくなってくることも考えられる。最近、グーグルとクライスラーが

自動運転技術で提携したが、この動きは注目に値すると思う。私の予想では、中国、韓国、インドの自動車メーカーや、テスラなどもグーグルと提携する可能性が高いと思う。これらの企業はグーグルが開発したソフトウェアプラットフォームを共用するので開発費負担が低くなりコスト競争力が高まる。この現象が目に見えて自動車の販売シェアに反映されてくるのは、今から5年から10年くらいの期間ではないかと思っている。

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メディアの取材力の変化

2016-05-07 11:20:31 | 生活

私の家では20年ほど前から日経新聞と毎日新聞の2誌を購読している。それまでは朝日新聞だったのだが自衛隊のPKOに関する報道で朝日が非常に偏った報道をしたと感じたので止めることにして日経に切り替えた。ところが「日経はチラシが入ってこない」と家内からクレームが出たので、日経と毎日の2誌購読をすることにしたものである。

2誌を読み比べていると、非常にゆっくりであるが取材力に差がついてきている感じがする。毎日の取材力が下がって、日経の取材力が上がっている感じである。変化はごくわずかで20年前は毎日100対して日経90という感じだったのが今は日経100に対して毎日90になった、という程度の感じである。熊本の地震などに関しても、毎日は被害の大きなところに他社と一緒に群れている感じだが、日経は部品供給網など独自の時点で取材している感じがある。日経は経済に関しては国内ダントツという意識があるので、独自視点で取材しているのだろうが、毎日は「他社に負けるな」という意識に感じられる。

近年、若者は独立して家から離れた時に新聞を購読しない人が多い。購読するとすれば日経という人が多いのではないかと思う。各社、テレビ局も持っているが、若者のテレビ離れも著しい。そしてネット対応も日経が進んでいる感じがする。日経はイギリスのFinancial Timesを買収するなどグローバルにも目が向いている。高齢者は惰性で読売、朝日、毎日などの大手新聞を購読していると思うが高齢者が亡くなって高齢世帯が減ってくると、読売、朝日、毎日の凋落はこれから加速するのではないかと思う。これまでは1年で1%程度のゆっくりした変化だったのがこれからは1年に2%程度に変化の量が上がるだろうと思う。

新聞各社のガバナンスもかなり怪しげである。現在は外国人が大手メディアの大株主となることに関しては規制がかかっている。この規制が新陳代謝を阻む機能を果たしているのではないかと思う。もっとも怪しげなのは読売で、渡辺恒雄という人物が好き勝手に動かしている感じがする。NHKのガバナンスは政府が監視しているはずだが、それもかなり怪しげである。メディア企業のガバナンスに関して国会で議論すべき時期に来ているのではないかと思う。

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安倍首相とメルケル首相の会談をどう見る?

2016-05-05 16:31:56 | 社会

訪欧中の安倍総理がドイルのメルケル首相と会談した。安倍総理の目的は伊勢志摩サミットで経済対策を共同で打ち出したいという考えから、ドイツにも一致して財政出動をお願いする、という趣旨で感触を探ったものだと言われている。安倍首相が「機動的な財政出動が求められている」と発言したのに対し、メルケル首相は「投資、構造改革、適切な金融政策の3つが必要だ」と応じたと言われている。一見方向性はあっているように聞こえるが現地の日経の記者は「ドイツに補正予算を組んで財政出動する意図はなく、ゼロ回答と解釈している。

安倍首相がどう受け止めたかは分からないが、この日経の記者の見方は正しいと思う。メルケル首相は日本が財政出動することに反対はしないが、ドイツは景気刺激策として財政出動はしない、という姿勢を伊勢志摩サミットでも貫くと思われる。会談前に安倍首相は「ドイツが世界で一番財政出動余力がある」と語っており、期待していたのだろうが、実現はしないだろう。ドイツはEUの危機やギリシャ問題に対しても一貫して「緊縮財政にして財政赤字を減らすべきだ」という態度を取っている。これは王道であり、王道を保つのは一つの見識だと思う。ドイツが王道を守れるのは少なくとも、通貨統合しているEUの中では突出した産業競争力を維持しているからだと思う。

財政出動すれば一時的に景気は良くなるが、結局は負担を先送りしているだけである。政府がお金を使って何をするかが問題で、役に立つことに使うのであれば意義はあるが、役に立たないことに使う、いわゆるヘリコプターマネーのような感覚で使うのは問題の先送りにしかならない。使われないような公共設備を作る公共投資は後で維持費がかさみ、マイナスになる可能性も十分にある。政府は国の将来に必要な投資をする、という基本姿勢以上のことはあまりやらないほうが良いだろう。

それでは、日本もドイツのように緊縮財政にするべきだろうか? 安倍総理が日銀と一緒になって金融緩和と財政出動を行ってきたアベノミクスは一定の効果を生んだことは間違いない。やっていなかったら今頃はもっと不況感が強かっただろうと思う。しかし、総理が言うように「インフレ期待が高まり、国民がため込んでいたお金を投資に回すようになって経済全体が良い方向に回りだす」ということは起こっていない。円安になったので一時的に景気が良くなったが、為替の揺り戻しが来るとまた不況感が高まってくる。これは日本企業の国際競争力が全体として低下傾向にあり、この傾向は止まっていないからだと私は考えている。この点に関して日本政府は有効な手立てを打てていない。手を打とうとしていることは感じるのだが有効打が出ていないという感じである。

ドイツは産業政策としてIndustry 4.0という方策を打ち出した。これは世界中に大きな影響を与え、世界各国がなにがしかの対抗策を出そうとしている。これに相当する、世界最先端を狙う産業育成の動きは日本では感じられず、むしろ農業や観光などの世界と比べて遅れていた分野を普通のレベルに上げる動きに注力している感じである。これはお手本があるのでやりやすいが、力強さにはつながらない。

Industry 4.0は大きな話題となったが成功するかどうかは不透明である。シリコンバレーに対抗するのは容易なことではなく、この1年間Industry 4.0はハイプサイクルの頂上を過ぎて熱が下がってきた感じを私は持っている。しかし、ドイツの狙いは中小企業のシステム化にあるので、ニュースリリースするような大きな話は無いが裏では進んでいるのかもしれないとは思う。今年のハノーバーメッセがあまり話題にならなかったことから停滞しているのかとも思う。

いずれにせよ、Industyr 4.0が話題になれば対応する組織を立ち上げる、人工知能が話題になれば対応する組織を立ち上げる、といった今の日本政府のやり方では、しょせん後追いが続くだけで、国際競争力低下を上に向かせることはできないのではないかと思う。

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ドイツの高校における政治教育

2016-04-30 09:58:09 | 社会

昨日の夜のNHKでドイツの高校における政治教育の状況を紹介していた。これは今年から選挙権を18歳以下に引き下げたことに対応する特集である。ドイツでは既に18歳以上に選挙権を与えているが若者の投票率は高いという。その秘密が高校教育にあるという。テレビで紹介された場面では、移民問題を扱っていた。移民受け入れの良いところ、問題点を教師が説明し、高校生が様々な意見を述べる。そして教師が政党Aはこっち寄りの意見、政党Bはこっち寄りの意見、といった説明を最後に行う。

この番組を見て、「日本とドイツの差は今後開くだろう」と私は感じた。あのレベルの授業は日本では10年は無理だろうし、下手をするといつまでたっても到達しないかもしれないと思う。まず、教師が教えることができない。まず、日本人の教師はそのような政治的問題に対して教育しないように言われている。そこを変えることが出発点である。こういう政治的に微妙な問題を取り上げて良い、あるいは取り上げるべきだ、となったとしても教師に教育する能力がないと思う。教師に限らず、日本人の大人で、あのような意見が割れている問題に対して、きちんと問題点を把握して分析できている人はごく稀である。自分が分かっていないことを教育テーマとして取り上げることは非常に難しい。

更に日本では「教師は生徒に教えるもの」という上下関係の意識がこういった授業では大きな障害になると思う。このような問題では生徒のほうが教師の視点になかったポイントを指摘することもあり、それは受け入れなくてはならない。一方、生徒が誤解して発言しているときもあり、それは正さなくてはならない。このためには教師の側にかなりに知識と度量が必要である。今から政府が教師を教育したとしても10年はかかると思う。

更に政党の意見もあいまいである。日本で言うとTPP問題や憲法改正問題が大きな問題だと思うが、それぞれに対する政党の意見はあいまいで、同じ政党の中にも色々な意見の人が居て割れている。自民党は安倍総理が全体をまとめているが、民進党は政党の意見そのものがあいまいであり、選挙に勝てそうな意見に流れる、という雰囲気がある。このあたりをきちんと説明するのはよほど政治を深く勉強している人でないと無理だろう。要するに政党に政策の軸がないので、仮に政治問題に対する意見を議論できて高校生が意見を持てたとしても、投票とどうつながるかは不透明である。

更に、私が感心したのはドイツにおける教師の説明仕方が問題の本質を説明し議論している点である。つまり、移民を受け入れるとこういう良いことがある一方で、こういう問題点がある、ということを多面的に説明し、政党の意見はこちらの側面を重視している、という言い方をしていた点である。日本なら池上彰さんのような高いレベルの人でも「こっちの政党がこういう意見、あっちの政党はこういう意見」という紹介の仕方をするように思う。一般的に、日本人で政治的にはっきりした意見を持っている人は大部分が自分で考えた人ではなく、共産党のように集会などで教育されている人だと私は思っている。従って勉強してきた意見を言っているのであって、自分で考えて意見を言っている人はごくまれだという感触を持っている。

私が出ていた技術の国際標準を作る会議などでも、日本人が頑張るのは上司から「この意見を通してこい」と指示された場合で、自分の頭で全体のために何が良いか」、それと自分の企業には何が良いかを自分で考えて調整しているような人はごく稀だったと思っている。人工知能の発展で言うべきことが決まっているような発言にはどんどん人工知能が入ってくるだろう。全体として日本人の地位は下がっていく感じがしている。

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セブンイレブンの今後

2016-04-25 09:17:29 | 経済

少し前の話であるが、セブンイレブンの鈴木敏文会長が引退することになった。社長を交代させようとして取締役会で否決されて、引退を決意したものである。裏にはどうも内部の勢力争いがあるらしい。

鈴木会長の引退の弁では現在の社長は事業執行は順調にこなしているものの、CEOとしては物足りない、ということで社長を交代させる、ということだった。これはいかにもありそうなことに思うし、多分鈴木会長の見方が正しいのではないかと私は考えている。その一方で交代して新社長案として出されていた古屋氏は66歳で現社長の井坂氏よりも8歳も年上で、鈴木氏退任報道以後、多くの報道がセブンイレブンに関して出された中にあって影は薄いと感じる。鈴木氏退任の意向を受けて井坂氏がセブン&アイホールディングの社長、古屋氏がセブンイレブンの社長になったことから見て、それなりに力のある人ではあるのだろうが、ぐいぐい引っ張る人という感じはしない。つまり、反対派の「社長交代案はおかしい」という意見も理屈に合っている感じがする。

どちらの意見にも良い点もあれば悪い点もあって決め難い状況ならば、結論を先延ばしにして、議論を継続するのが常道である。それをやらずに強行しようとしたのが鈴木会長で、反対派は創業家まで担ぎ出して阻止に回った結果、否決され、鈴木敏文氏が引退することになった。なぜ鈴木氏はこんなに急いだのだろう? 体調でも悪いのだろうか?と勘ぐってしまう。

今後、セブンイレブンがどうなっていくかであるが、私は次第に落ち目になっていくだろうと予想している。それは鈴木氏の手法がマイクロマネージメントだからだというのが私の考える理由である。報道などを見ると鈴木氏自身がお惣菜の味見をしてOKを出していたのだという。これがセブンイレブンのマイクロマネージメント体質を表していると思う。井坂氏や古屋氏も、味見をして判断する。売れ行きが良くなければ早めに切り替える、といった判断はできる人なのだろう。

しかし、「仮説と検証」をどれだけ幅広くやれるかが、CEOとしての力量だと私は思っている。特に鈴木氏が推進してきたオムニチャネル戦略による、ネット販売と宅配、店舗販売の一体化は今後の世の中の長期的トレンドとなるのは間違いないだろうが、ユーザがまだ十分になじんでいるとはいえず、一気に進むとは思えない。提供側が様々な成功と失敗を繰り返しながら、社会構造の変化に合わせて少しずつユーザの行動パタンを変えていくのをどううまくやるか、がセブン&アイホールディングのミッションだと思うのだが、鈴木会長抜きではこれをうまく進めるのは難しいだろうと私は思っている。

1年くらいは今の延長線上で殆ど影響は出ずに進むと思うが、2年目くらいから変調が見え始め、3年目には成長が止まるという感じになるのではないかと思っている。今後のセブンイレブンの業績に注目していきたい。

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囲碁、井山名人、全冠制覇

2016-04-24 15:55:27 | 囲碁

囲碁の十段戦で挑戦者の井山名人が勝ち、3勝1敗で十段位を獲得した。これでテレビ碁などの1手1分で打つ早碁を除く7大タイトルを全て制覇した。内容も圧倒的で他の棋士はちょっとかないそうにない感じがする。日本では圧倒的な強さを示す井山7冠だが、先日アルファ碁に負けた韓国のイ・セドル九段にはかなり負け越していると思う。韓国や中国にはこのクラスが何人もいるので、以前も書いたが井山名人は世界ではテニスの錦織圭レベルとみるのが妥当だろう。

日本のタイトル戦は持ち時間が長く、韓国・中国は短めなので長い勝負になるとどうなるをを見てみたい気はする。日本のタイトル戦には中国・韓国の棋士は出られないことになっているのだが、オープンにして世界戦にするべきだと思う。7大タイトルはそれぞれにスポンサー企業がついているので、どこか1社くらいはオープンな世界戦にしないのかな、といつも思う。どうも日本の囲碁界は閉鎖的な感じがしている。

30年ほど前まではプロ棋士として囲碁を職業として生活できる人は日本にしかいなかったので日本に強い人が集まってきていたのだが、中国や韓国でプロ棋士が成立するようになると勝てなくなってきた。以前も書いたが、日本のプロ棋士が勝てなくなってきたのは勉強方法に原因があると思っている。日本では名人のようなタイトル保持者になると一人で勉強するようになるのだが、中国や韓国では強い人でも頻繁に集まって意見交換をする。オープンイノベーションにはかなわないということだと思う。

私が学生だった40年くらい前は「30歳代以下の名人はあり得ない」などと言われていた。それはノウハウを蓄積するのに時間がかかっていたからである。しかし、今は逆に「40歳代以上の名人はあり得ない」という感じに変わってきている。インターネットの普及などで情報の展開が圧倒的に早まり、体力が重要になってきているからである。日本では中国・韓国と比べるとプロ棋士の平均年齢は高い。これも勉強方法に関係があると思っている。

日本の中にも中国、台湾、韓国人の人は参加している。30年くらい前までは日本のレベルが圧倒的に高く、囲碁が強くなりたい人は日本に来て修行をして、日本のプロ棋士制度でプロ棋士の認定を受けた人たちである。古くは中国の呉清源、私より少し上の世代で台湾の林海鋒、私より若干若い韓国の趙治勲、最近では台湾の張栩などの名棋士がいる。しかし、これらの人を囲碁ファンは外国人とは見ていない。日本で活躍しているので、生まれが日本でなかったとしても日本人棋士とみなしており、中国や韓国を活躍の場としている人たちとは別の眼で見ている。大相撲で北の富士などが「日本人力士に優勝してほしい」という発言を頻繁に行い、モンゴル出身力士を別の眼でみている感じがあるのとはかなり違うと思っている。呉清源は既に100歳を超えた中国出身の名棋士であり、ずいぶん前に引退しているが、今でも「最も尊敬する棋士は呉清源」という人が、プロ・アマを問わず多いと思う。こういった点では囲碁界のほうが相撲界よりも開かれた心を持っていると思う。

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