・・・一昨日の朝日新聞の夕刊に「世界遺産へ陵墓の改革」という見出しで連載記事が出ていた。
・・・日本の考古学において陵墓と云うのは非常に大きなウェイトを占める考古学の対象物である。
三世紀ごろから四世紀にかけての文献が少なく考古学の対象として古墳が重要な発生期の古墳の大部分は宮内庁の陵墓・陵墓参考地ということで現在は研究目的でも、全て立ち入り禁止になっている。
・・・古墳が消えていく時期の記・紀が成立する頃からの時代は陵墓の考古学的重要性はそれほど重要でなくなります。
しかしながら、それ以前の時代については、陵墓の立ち入り禁止によって考古学の重要な部分が欠けてしまっているのは考古学上の大きな問題として言われてきた。
・・・新聞記事によると仁徳天皇陵がある堺市を中心に百舌鳥古墳群と古市古墳群をユネスコへの世界遺産登録を目指して文化庁に申請がなされた。
・・・文化庁への申請で最大のネックは主要な遺跡の古墳はほとんどが文化財保護法の対象外の宮内庁の管轄と云うことで維持管理のみである。
・・・ユネスコの世界遺産登録のためには「普遍的価値の証明」としての国の史跡指定を受けて、国民に広く公開・活用することが重要であるらしい。
・・・当たり前のことであるが、歴史遺産は保護法を適用のうえの公開活用してこそその価値のあるものである。
今の陵墓のように古い幕末の頃の考え方で決まった被葬者をもとに「被葬者の静安と尊厳の保持」のために宮内庁が立ち入り禁止にしておくのは問題である。