毎度の大沢ワールド。「民族」の観点になるほど、と。
グローバル化に関する考察がいい。経済はオモテもウラも関係なく民族や国家よりも儲けの観点が優先される。が、その先にあるのは。CIAの元スパイやアメリカ麻薬取締局(DEA)、日本の麻取(厚生労働省管轄)、中国の警察官、日本在住台湾人の地下銀行屋、ロシアマフィア、日本のヤクザなどの登場人物が説得力を出している。
読んでみたら「黒の狩人」の前作だった。新宿署組織犯罪対策課の佐江以外は登場人物が重ならないが、警察庁の美人キャリアやヤクザ、中国裏社会の住人など道具立てが似ているので続けて読むとどっちの話だったかわからなくなる^^が、おもしろく一気に読めるところも同じ。
東方正教会の「イコン」に閉じ込められた魔物キリアンが4年に一度の2月29日にイコンから出て悪人に次々と憑りつく話。普段から考えていないようで考えている、もしくはその逆の「神とは何ぞや」を平たく語っていておもしろかった。