女性が書く女性というのは、妙にリアルでグロテスクだ。一方で、男たちはイマイチ描けてないんじゃないかね。
昭和40年前後の雰囲気を彷彿とさせる。読みながら「当たり前田のクラッカー」などと、まるで三島とは無縁のフレーズが浮かんでしょうがなかった^^
新潮文庫で読んだんで解説が澁澤龍彦だが、これがまたイケてるというか、正しい解釈なのかもしれないがとにかくスノッブで、ひとつ言えることは、全然つまんない。と言っちゃあおしまいやもしれんがな。
合掌。
短編集。この中で「加納クレタ」というのは見覚えがあって、かすかに読んだ記憶もあったが、その他は記憶なし。ホントに読んでないのかもしれんが^^
「眠り」という短編があって、これはついこの前読んだ「ねむり」の20年位前のバージョンだが、どこが違うのか全然わからなかったけど、「眠り」には張りつめた緊迫感を感じたのに対して、「ねむり」の方は醒めた透明感みたいなものを感じた、気がする。気が向いたら2冊並べて見比べてみるのもおもしろいかもね。
結局この人はブレない人だったな。文章に全然年を感じないから死なない人だと思っていたが、んなわけない、と。高校の頃に読んだ「日本語のために」というのが印象に残っているが、この本でも「歴史的かなづかひ」について熱く語っていて、いいです。
おもしろくは読めるんだけど、終盤の種明かしのところが現実味ない。というか、もしかしたら自分はミステリーってあまり好きじゃないのかもね。
「海辺のカフカ」とか「1Q84」とかここんところのハルキの小説は相変わらず読ませるんだけど、なんか年を感じた印象ありだった。まあ、だからってどうこういうわけでもないんだけど、この小説は久々に30代のハルキワールドを感じてなにか懐かしかった。
と感じるのも、自分が年をくったってことなのかな。やれやれ。
あっ、この小説では「やれやれ」はたぶん出てこなかったと思う。
芥川賞を始めとして数々の文学賞の選考委員を務めた著者の書評集。古今東西の文学などに博識で、ついていけないところも多いが、それでもおもしろく読めた。「Mr.教養」だな、と。
この本を読んでふと思ってしまったのが、筋違いかもしれないが、この前観た宮崎駿の映画「風立ちぬ」や、高校の頃に読んだ三島由紀夫の小説「金閣寺」「春の雪」のようなとことん美しさを追求した作品を肯定したくなるということ。経済面でも健康面でも人間関係でも困難のない男(作中の登場人物であり、また作者自身)は、子供っぽく、自分勝手なことばかり考えているが、それはそれで別にいい。出来上がった作品がとことん美しければそれでいい、などと思ってしまう。疲れとるかな。。
バブルの頃に書かれた作品で若干賞味期限切れ気味か。ローン地獄に落ちた女性2人が類型化されていて、もう少し個性的に描かれていればまた違ったはずだが。
いい本だった。
「無縁社会」の背景には、無関心ではなく、人との係わり合いを避ける心境が働いているのではないか、という著者の仮説はたぶん正しいんじゃないか。カネと健康だけが頼りというんじゃあ心は豊かにはならないよね。
地下鉄サリン事件の被害者レポ。被害者や地下鉄職員の顔が見えるところはさすが筆力あり。でもあとがきはなんだか煮え切らない気が。。
この本、分厚すぎてなかなか手が出なかったけど、読み出すと止まらない。