別に文芸春秋社の回しモノではありませんけど、今発売中の週刊文春がおもしろい。
とくに 「芥川賞77年【全舞台ウラ】」は、既知のエピソードをふくめて、相当おもしろいです。
そっちの記事のほうは、買うなりなんなりしてお読みいただくとして(笑)、自分的になるほどと思ったのは、
宮藤官九郎さん(脚本家・構成作家・俳優)のエッセイ。
内容は、<褒められて伸びる>かどうか・・・・というおハナシです。これまで官九郎さんは「自分は叩かれて伸びる人間、反骨精神で這い上がるタイプ」と思っておられたそうです。
以下、一部引用させてください。
「娘がバイオリンの練習をサボりたがる。・・・(中略)・・・・褒めるのがお父さんの役目。しかし、朝8時という、一番眠い時間なので褒めながらソファで寝てしまいます。・・・(中略)・・・それでも褒められたら悪い気はしないのか上達も早いです。
思春期を迎えると褒められる事が次へのプレッシャーになって来る。この前あんなに褒められたけど、次も同じように褒められるだろうか。次第に褒められるのが怖くなる。褒め言葉が重圧になって来る。だったら欠点を指摘された方が次の目標が具体的になりプレッシャーも軽減される。
やがて叩かれて立ち直るのに時間がかかるようになる。今の僕がまさにそう。41歳。2,3日ヘコむ。批判に対する体力が落ちてしまった。もはや褒め言葉はプレッシャーじゃない。いい思い出です。
要するにタイプではなく時期だと思う。人は褒められて伸びる時期を経て、叩かれて伸びる時期に突入する。やがて叩かれても褒められても1ミリも伸びない時期を迎える。どうせ伸びないなら褒められたい!
長い長い思春期が終わりました。宮藤官九郎、もう叩かれても伸びません。褒めてください!
そう言えば、やたらとダメ出しを要求する俳優が結構います。厄介なのは、そういう人に限って実は褒めてほしいと思っている。・・・・・・(中略)・・・・望み通りダメ出ししたら露骨に不機嫌になる。・・・・・(中略)・・・・素直に褒めて下さいって言えばいいのに。」
これまでも官九郎さんのエッセイは愛読してまして、
「この方はいったいどれだけの才能があるのだろうか、俳優さんとしてもすごいし、マルチな方というのはほんとに何をされてもすごい。(その<マルチタレント>についてもついこの間エッセイを書かれてました)」
と常々感服しておりましたけど、今回またまたグイグイくる文章。おみごとです。
「褒めてください」っていうか、褒めるしかないですよ、これ(笑)。