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人体のタンパク質、がん増殖防ぐ?高知大准教授らが機能発見「抗がん剤開発役立つ」

2019年12月10日 22時53分53秒 | 大学
人体のタンパク質、がん増殖防ぐ?高知大准教授らが機能発見「抗がん剤開発役立つ」
2019年12月9日 (月)配信高知新聞

 がん細胞の増殖を人体のタンパク質「BAP31」が防いでいるメカニズムを、高知大学農林海洋科学部の難波卓司准教授=細胞生物学=と同大大学院修士1年の町原加代さんが発見し、スイスの専門誌に発表した。がん細胞は栄養不足などの状態でも自力で生き延びて増えていくが、「BAP31」には増殖の経路を断つ機能があり、「新たな抗がん剤の開発に役立つと考えられる」という。
 がん細胞の多くは、発生時や転移時には血管から比較的遠い場所にあるため、栄養や酸素が少ない状態にさらされる。過酷な環境で生き延びるため、がん細胞内では、不要になった物質を分解して栄養源に再利用する「オートファジー(自食作用)」が正常細胞よりも多く起こっていることが知られている。
 しかし、その理由はよく分かっていなかったという。そこで2人は、細胞内の器官の膜にある「BAP31」というタンパク質に着目。発現量の変化ががんの悪性度に関連していることが報告されている。
 BAP31の機能を失わせる実験をしたところ、そのがん細胞では通常のがん細胞よりも多くのオートファジーが起こることが確認できた。
 オートファジーは特定のタンパク質同士が結合して発生することが分かっているが、詳しく調べると、BAP31には結合を邪魔する機能があることが分かった。難波准教授は「がん細胞内のBAP31の機能を保つことができれば、オートファジーを防いで増殖を防げる可能性がある」と話す。
 研究結果をまとめた論文は10月にスイスの科学誌「セルズ」の電子版に掲載された。町原さんは「がんなどの病気にかからず、健康に長生きできるための研究を続けたい」と話している。
≪ズーム≫オートファジー 細胞が生存に必要な栄養素を確保するため、自分自身の古くなったタンパク質などを膜で包んで分解し、再利用する仕組み。東京工業大の大隅良典栄誉教授が解明し、2016年にノーベル医学生理学賞を受賞した。
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