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飲食店禁煙、着地見えず 厚労省案に自民反発 「表層深層」受動喫煙対策

2017年02月27日 23時15分36秒 | タバコ
飲食店禁煙、着地見えず 厚労省案に自民反発 「表層深層」受動喫煙対策
2017年2月27日 (月)配信共同通信社

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け受動喫煙対策を強化するため、厚生労働省が全国の居酒屋や焼き鳥屋などの飲食店を原則禁煙とする方針を固めた。ただ厚労省の強化案にはこれまで、たばこ産業や飲食業界の危機感を背景とする自民党内から強い反対があり、着地点は見えていない。受動喫煙の影響による死者は国内で年間1万5千人と推計される中、専門家は「健康被害を防ぐ視点が置き去りになっている」と指摘する。
 ▽選挙危ない
 「分煙大国を目指すべきだ」「50年以上吸っているが元気だ」。自民党本部で2月に2回にわたって開かれた会合には愛煙家の議員らが集結。厚労省が目指す健康増進法の改正案への異論が噴出した。意見の9割が反対で、中には「法案が通ったら次の選挙が危ない」と本音を漏らす議員も。
 大きな焦点となっているのが、飲食店やホテルなどのサービス業への対応だ。厚労省の案は当初、多数の人が集まる建物内を原則禁煙と定め、喫煙室の設置は認めた上で違反には罰則を適用するという内容だった。
 ところが「商売が成り立たない」と業界が猛反発。厚労省は30平方メートル以下の小規模なスナックやバーは喫煙を認める修正案を検討したが、反対は収まらず、床面積などの条件を調整している。一方で、一時は例外も検討した居酒屋や焼き鳥屋などは禁煙とする方針だ。
 ▽最低レベル
 厚労省は昨年の「たばこ白書」で、受動喫煙によって肺がんや心筋梗塞、脳卒中、乳幼児突然死症候群などのリスクが「確実に高まる」とした。
 世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約は、法律で公共の場を禁煙とするよう求めているが、日本の対策には罰則規定がなく国際的に「最低レベル」と評価されたまま。五輪開催が決まった東京都も、受動喫煙防止の条例化を目指したが都議会や業界団体の反対で頓挫した。
 塩崎恭久厚労相のもとには、厚労省案の後退を恐れるがんの患者団体や医療関係者が連日のように訪れ、禁煙の徹底を訴える。塩崎氏も「吸わない人の健康をどう守るかということが大事だ」と懸命にアピールする。
 九州看護福祉大(熊本県)の川俣幹雄(かわまた・みきお)教授らは2月中旬、インターネットで約1万人を対象に受動喫煙対策に関する意識調査を実施。例外のない原則禁煙とする案を73%が支持する結果となった。
 飲食店が禁煙となった場合に「利用が減る」との回答は13%だったのに対し、むしろ「増える」と答えたのは42%、「変わらない」も39%だった。たばこ白書は、海外では飲食店の禁煙化で減収などの影響は認められなかったと結論付けているが、同じ傾向が裏付けられた。
 ▽献金
 たばこ規制を訴える医師らでつくる日本禁煙学会は、自民党議員への献金に着目。政治資金収支報告書を調べ、10~15年にたばこ業界から献金を受けた同党の国会議員が計約140人いるとホームページで公開した。
 たばこ対策に詳しい産業医大の大和浩(やまと・ひろし)教授は「受動喫煙の被害は明らかなのに、反対する議員は献金を受けているか愛煙家のどちらかだろう」と指摘。「飲食店従業員の健康を守るためにも、例外や分煙は認められない」と強調する。
 塩崎厚労相は「近年の五輪開催国には、全て罰則付きの受動喫煙対策がある。改正法案を今国会に提出する準備を進めたい」と話すが、見通しは不透明だ。

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