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酒の「ほどほど」厚労省が指針作りへ 性別や年齢に応じ…アルコール性肝疾患で死亡 96年の2・5倍

2022年11月11日 18時29分24秒 | 健康の保持増進
酒の「ほどほど」厚労省が指針作りへ 性別や年齢に応じ…アルコール性肝疾患で死亡 96年の2・5倍
 2022年11月10日 (木)配信読売新聞

 2021年に過度の飲酒によるアルコール性肝疾患で死亡した人は6016人で、1996年の2・5倍に増えたことが厚生労働省の調査でわかった。コロナ禍で酒量が増えた人もおり、健康リスクは高まっている。厚労省は、過度な飲酒を防ぐため、性別や年齢、体質に応じた飲酒ガイドライン(指針)作りに乗り出した。(都梅真梨子)
コロナ禍で孤独感
 「嫌なことを忘れるため毎日、酒に頼っていた」。6日早朝、アルコール依存症の患者らのオンライン交流会「回復の架け橋」で、中国地方に住む50歳代の会社員女性はこう打ち明けた。
 女性は、子どもの進学で悩み、台所で飲酒を繰り返す「キッチンドリンカー」になった。コロナ禍でリモート勤務になると、酒量の歯止めが利かなくなり、入退院を3回繰り返した。ただ、今年初めに交流会に参加して以降は、断酒を続けられているという。女性は「こうして誰かに悩みを聞いてもらうことが何より重要なのです」と語った。
 主宰する東京都大田区の団体職員山本年哉(としや)さん(62)は「コロナ禍で行動制限やテレワークが続き、人の目が届かず、孤独感から酒量が増える人が多かった」と話す。
女性の増加
 国内の酒類の消費量は右肩下がりだ。国税庁によると、2020年度の成人1人あたりの消費量は年間75リットルで、ピークだった1992年度と比べて3割弱減少した。高齢化や若者の「酒離れ」が背景にあるとみられる。
 一方で、アルコール性肝疾患で死亡する人は増加傾向にある。厚労省の調査では、96年の死者は2403人だったのに対し、2019年は5480人、コロナ禍の21年は6016人に増加した。男女別では男性5215人、女性801人で、男性の6割強が60歳以上だった。
 厚労省によると、アルコール性の肝硬変は、一度症状が出ると肝移植以外に効果的な治療法がなく、過剰な飲酒習慣のある高齢の依存患者が特に重篤になりやすいとされる。様々な疾患の治療法が進歩する中、最終的にアルコール性肝硬変で亡くなるケースが目立つという。
 過度の飲酒をする女性が増えているのも懸念材料だ。健康リスクが高まるアルコール量の飲酒習慣がある女性の割合は、10年の7・5%から19年は9・1%に上昇。特に50歳代女性の割合は16・8%と高かった。働く女性が増えているほか、酒類メーカーや飲食店が女性向けの商品開発と集客に力を入れていることが背景にあるとみられる。
有識者検討会
 政府は12年、健康リスクが高まるアルコール摂取量を男性は1日あたり40グラム(ビール500ミリ・リットル缶2本分)以上、女性20グラム以上と規定した。ただ、アルコールの処理能力は年齢や性別、体質、筋肉量などによって異なる。
 アルコール依存症に詳しい昭和大付属烏山病院(東京都世田谷区)の常岡俊昭医師は「女性は男性に比べてアルコールの分解能力が低く、男性と同じ飲み方をすると肝障害を起こしやすい。女性の社会進出や『家飲み』の浸透など社会の変化に対応した予防策が必要だ」と指摘する。
 欧米など多くの国では、それぞれの体質や文化などを踏まえて健康を害さない飲み方を具体的に示した指針を作っている。このため厚労省は、国内でもきめ細かい酒量の目安やリスクを盛り込んだ指針を作成する必要があると判断し、10月に有識者検討会を設置した。
 検討会では、委員から「飲酒ですぐに顔が赤くなる人はアルコール分解能力が低く、注意喚起が必要」「一気飲みなど日本の古い慣習についても警鐘を鳴らすべきだ」などの意見が上がった。厚労省は今後、依存患者の支援団体や酒類メーカーなどの関係者からもヒアリングを行い、来年3月をめどに指針を作成する方針だ。

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