フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月28日(日) 晴れ

2024-01-29 11:55:04 | Weblog

9時、起床。

ネットTVで王将戦二日目を観る。先手菅井の封じ手は大方の予想通り「7三歩」だった。6二飛、5五歩と進む。この時点で藤井優勢(勝率70%)である。今シリーズは三局とも同じような展開だ。菅井も歯がゆいことだろう。

チーズトースト、パスタスープ、目玉焼き、ソーセージ、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。

先手が5六角と打った局面。コンピューターの予想外の一手で、悪手らしく、形勢がだいぶ傾いた。次に7五歩、6六飛、5六馬、同飛に9二角と打つ展開をAIを読んでいる。

「ものすごい切り合いで、一気に終盤じゃないですか」

藤井の午前のお菓子は、チーズタルト、カステラ、ブルーベリー甘酒スムージー。「甘酒」は「飲む点滴」といわれているそうだ。ホントか?

菅井のお菓子は縁むすびおはぎとオレンジジュース。甘々の組み合わせである。おはぎは私も食べてみたいが、飲み物はホットの緑茶がいいな。

藤井が次の一手(7五歩がAIの最善手)を指さないまま昼食休憩に入った。藤井は勝負所では惜しみなく時間を使う。

藤井の昼食は「かつべ牛ステーキ重」。美味しそうだ。

菅井は「わさび飯」。わさび飯だけでなく、天ぷらと蕎麦も付いている。

私は外出せず「マルちゃんのカレーうどん」を作って食べた(写真は撮り忘れた)。

昼食休憩後、藤井は7五歩と打った。

先手の飛車が6六に寄ったとき、5六馬と角を取る(同飛と取らせて9二角と打つ)のがAI推奨の手だが、藤井は角を取らず6五歩と突いた。とたんに藤井の勝率が下がった(84%→67%)。

「これは事件では?!」

AIの推奨する手順というのは一手の緩手も許さない一直線の攻め合いで、局面が終盤の場合は藤井もそういう手順を選ぶが、優勢な中盤では確実に優勢を拡大していく手順を選ぶのが藤井である。局面は5六歩と垂らしたところ。「と金を作りますよ」という手である。第1局でも同じような局面があり、そのとき菅井はと金作りを放置して寄せ合いを目指して負けた。さて、今度はどうする。

午後のおやつは二人とも冷たい緑茶。菓子は注文しなかった。

私はナボナと紅茶。

菅井は長考の末、5三歩成とした。

同金に5八歩と打った。と金を作らせない手だが、攻め味は乏しくなった。

藤井は6七飛と打った。すでに盤面は藤井の優勢から勝勢になっている。

以下、9六角、6六飛成、6三歩、同金、同銀成、同龍、5九金左寄、6七歩と進んだ。先手は歩切れなので、6九歩とと金作りを拒否する手がない。ここで菅井は8四歩と突く。唯一の勝負手だが、藤井は8五銀とがっちり受ける。

以下、先手の角と後手の飛車の取り合いになったが、後手は6八歩成として、7三の桂馬を6五に跳ねた。こうなるともう先手陣は後手からの攻めを支えきることはできない。

後手が6八成桂と指したところで、先手は投了した。

菅井は三連敗。接戦はなく、完敗の三連敗である。「手合い違い」という言葉があるが、昔の番将棋であれば、三連敗すると「香落ち」に追い込まれるところである。菅井にとってはきつい。

感想戦では7四銀と歩を取るところで、6六銀と引く変化が検討されていた。この辺りが勝敗の分かれ目だったようである。

現在、藤井名人への挑戦者を決めるA級順位戦では、菅井は5勝2敗で、トップを走る豊島(6勝1敗)にピタリと付けている。最終局が豊島との直接対局なので、挑戦者の目は十分にある。決して不調ではないのだ。「王将戦」という伝統ある二日制のタイトル戦の雰囲気に飲まれてしまって自分のリズムで将棋が指せていない印象を受ける。菅井はすでに一流棋士だが、タイトルを獲得するような超一流棋士の仲間入りをするための試練であろう。頑張ってほしい。

大学院の演習のシラバスを作成してから、散歩に出る。

夕食前なので「ルージュブランシュ」の前は素通りする。

駅ビル西館の「有隣堂」で本を三冊、いずれも電子書籍では出ていないことを確認した上で、購入する。「袋(10円かかる)はいりますか?」と聞かれ、いらないと答えたが、手に持って店を出るとき万引きしたように見えないだろうか。

購入した三冊は、

 益田ミリ『ミウラさんの友達』(マガジンハウス、2022)

 雨宮まみ『40歳がくる!』(大和書房、2023)

 東海林さだお『ジョージ君、85歳 老いてなお、ケシカランことばかり』(大和書房、2023)

三者三様、絶妙な組み合わせではないだろうか。

夕食は青椒肉絲、春巻、玉子とワカメのスープ、ごはん。

食事をしながら『不適切にもほどがある』初回(録画)を観る。宮藤官九郎の脚本である。1980年代と現在をタイムスリップする主人公たち。かつての常識はいまや非常識だが、一方、いまの常識はどうなんだという問題提起のドラマである。インド映画を思わせる演出(突然のミュージカル)は「説教臭さ」を消すための工夫であろう。

今日放送されたNHK将棋トーナメント3回戦第8局(古森六段対佐々木勇気八段戦)は藤井聡太が解説で登場した。初めてのことである。

将棋は佐々木が勝ったが、対局後の感想戦のとき、対局者が藤井に意見を求める場面が多かった。いまや棋士たちの間で藤井が一目置かれる存在であることを印象付ける場面だった。「藤井(さん)には勝てない」とほとんどの棋士は思っているのではないだろうか。トーナメントの一発勝負ならまだしも、番勝負(タイトル戦)で藤井に勝ち越せる棋士はいないと。そういうムードはすでにして大山康晴の全盛期を思わせるものがある。

レビューシートのチェック。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時半、就寝。

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