フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

2月12日(水) 晴れ

2020-02-14 15:18:48 | Weblog

6時半、起床。

クロワッサン、サラダ、紅茶の朝食。クロワッサンは昨日「BAKE MAN」で買ったもの。美味しいクロワッサンである。

7時半に家を出て、大学へ。

今日は文化構想学部の入試である。

入試当日、構内にいる間のことはとくに書くことはないし、書けることもないので、先日、「あんず文庫」で購入した室生犀星『動物詩集』の中から作品を1つ紹介しよう。題名は「かまきりのうた」。

 みんなさようなら

 せみも

 ばったも

 とんぼうも

 みんなさようなら。

 びっこをひいたかまきりが一ぴき、

 まだいきるつもりで、

 草の上で手をふってよんでいる。

 じぶんだけがまだたっしゃで

 あたたかい

 ひなたの土地を旅している。

 そして

 せみよ

 ばったよ

 とんぼうよ

 みんな来年までさようなら。

午後4時半過ぎ、仕事を終えて、地下鉄に乗る前に「カフェゴトー」に寄っていく。満席だったが、普段は店員さんたちが食事をする窓際の小さなテーブルに座らせてもらえた。「申し訳ありません」と店員さんが言う。「いえいえ、窓際の席は明るくて好きです。ここに座りたいなと常々思っていたのです」。

しかし、ほどなくして一般のテーブルが空いて、そこに移動する。そこはコーナーの6人くらいが座れる席で、満席の店内で、そこを一人で占拠しているのは少々居心地が悪かった。アイスココアを飲んでいると、ご婦人の一人客が入ってきた。同僚のK先生である。目が合ったので、会釈をした。向こうも会釈をしたが、ちょっと怪訝そうな表情だった。よく見ると人違いであった。店員さんがその女性に「相席でもよろしいですか」と聞いている。その女性はチラリと私の方を見て、店を出て行った。少しして若者の4人組が入ってきた。店員さんに「すみません、いま満席で」と言われて、店を出ようとしたので、私は手を挙げて、「ここ空きますから」と席を立った。彼らは「ありがとうございます」と私に礼を言い、店員さんは「申し訳ありません」と私に誤った。「いや、誤るのは私の方です。実は財布を忘れてしまいまして」と私は言った。店員さんは「あっ、今度で大丈夫です」と言ってくれたが、直接、マスターにお詫びをして、ツケにしてもらった。アイスココアの伝票は「オオクボ先生」とメモされてセロテープで壁に貼られた。同じようにして貼られている伝票が何枚かあった。お尋ね者の手配書のように見えた。

実は、大学に来てすぐに財布を鞄に入れてくるのを忘れたことに気づいたのだが、お昼に支給された弁当を食べているうちにそのことを忘れてしまったのである。財布を忘れ、さらにそのことを忘れるという二重の忘却である。やれやれ。「カフェゴトー」に来て、窓際の席に座って、アイスココアを注文してからそのことに気づいた。しかし、そのときはすでにマスターはアイスココアを作り始めていた。注文をキャンセルしたらそれが無駄になってしまう(マスターはきっと「飲んでいって下さい」というだろう)。ここは無銭飲食を決め込むしかあるまいと腹をくくったが、6人掛けのテーブルを一人で占拠して居心地が悪かったのはそういう心理的な背景があったのである。

6時過ぎに帰宅。

夕食にチキンの腿焼きが出た。

クリスマスの気分がした。

2時、就寝。

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