７
それでも業を煮やさないで、突き放さないで、相手さんは丁寧に丁寧に空を染めて来る。わたしの見上げる空を美しく染めて来る。何度も何度も。何度も何度も駄目押しをして来る。見よ見よ見よ、と。けっして無理強いはしないけれど。
６
そういう低い段階に終始して生きて来たのだから、勿体ないと言えば勿体ない生き方をしてきたよなあ。感激もひどく薄っぺらだった。逢ったら、お詫びの一言を申し上げねばなるまい。逢う？ そう。逢うこともあると思う。
ばったり顔を合わせることも、あると思う。
５
これまでにも何度も何度もこうして特別待遇をしてもらって来たのに、それがちっとも飲み込めてないのだ。相手の意図をちっとも汲みとめていないのだ。相手がくどくどと言わないことをいいことにして。で、あっさりと投げやってしまって。
４
最高のもてなしじゃないか。これは、国賓級以上の特別待遇じゃないか。この地球にようこそようこそって。ようこそ生まれて来ることができた、それを祝ってあげよう。祝福して上げよう、というように。
３
では、こんなに美しくして見せたい理由は何だろう？ わたしに見せたい理由はなんだろう？ 推理したくもなる。推理したって答えが出るわけではないのだけど。夕空が静かに赤く染まっている。
２
生き返ってきた人が見たら、そこでいきなり泣き出すだろうなあ、この夕焼け空を見たら。それほどに荘厳だ。神々しい。こんなところに生きていたのか、って。
１
西の空が夕焼け。雲が幾層も層を成している。それが微妙な色の違いを出している。日の隈山のあたりだ。
寒いなあ。手袋をしていても寒い。手指が冷たい。気温４℃。でも、霜が下りているふうでもない。さ、お出掛けする。通称高齢者大学の社会交流実践発表会。今朝は幾分か出発が早い。集合時間のせいだ。我々のグループの発表が真っ先にある。
発表は午前も午後も続く。僕は飽き性。自己本位な人間。他のグループの発表を最後までじっと見ていられるかなあ。
