The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : (1)

2017-01-10 | A Game of Shadows
ガイ・リッチー版シャーロック・ホームズ『シャドウ・ゲーム』:(1)


ワトソンの語りで始まるプロローグは、1891年フランスとドイツが対立してヨーロッパでは
連続爆破事件が発生している。 アナキストの仕業だと言われているがわが友ホームズは
全く異なる考えを持っている。 とタイプライターで記録しています。

で、フト考えると、ワトソンはどの作品でも(現代版は除き)ノートに筆記していますが、タイ
プライターを使うワトソンはこの作品が初めてだと思います。


怪しげな行動をするアイリーン・アドラーを尾行するのは中国商人に変装したホームズで
す(この変装の方が怪しい)。 しかし、アイリーンは一枚上手でホームズの行動を察知し
彼女の護衛達との決闘シーンとなってしまいます。 
ここで、前作同様の戦闘シーンでは, ホームズの脳内シミュレーション(いわゆる”ホーム
ズヴィジョン”)で始まるコマ送りの様なシーンで早速楽しめますね。

↑ すべての動きを頭の中でシミュレーションして・・・

ホームズとアイリーンはお互いに特別の感情を持って居ながら、そしてそれをお互いに知り
ながらも相変わらず敵対しているし、そんなアイリーンはモリアーティの手先になっている
訳ですね。

アイリーンが競売所に持ち込みある手紙と引き換えにホフマン医師に謝礼として渡す小包に
は爆弾が仕掛けられていたが、すんでの所でホームズが爆破を回避します。
件の手紙はアイリーンの手からホームズが奪い取ります。
(ここでホームズがモリアーティーを称して、”He is the Napoleon of the crime”(彼は
犯罪界のナポレオンだ)と言っています。 これは正典”The Final Problem”『最後の事件』
での良く知られたホームズのセリフですね。)
しかし、爆弾を渡されるはずの医師は結局外で吹き矢により殺されてしまい守ることは出来
なかったのです。
(この時モラン大佐の姿がチラつき、犯人がモラン大佐であろうと思われるんですね)

結果報告をする為モリアーティーと会うアイリーンですが、肝心の手紙をホームズに奪われ
た失態により用なしとみなされ 毒入り紅茶によりあっさり殺されてしまいます。
 
(え? ここでアイリーン殺されちゃうの? チョットがっかり!)
アイリーンとサヴォイでのディナーの約束をして到着を待ちわびるホームズは 何時までも
現れないアイリーンにすっぽかされたと思い1人寂しく食事を始める。(この時ホームズは
アイリーンの悲劇を知らないんです・・・)

メアリーとの結婚を明日に控えたワトソンがベーカー街のホームズを訪れます。
(既に221Bを離れていたんですね)

(この時のベーカー街のシーンにチョット注目。 地下鉄(Tube)の建設工事中なんです。
ちょっと気になり、この辺りのTube路線が何時出来上がったかを確認してみたところ、1863年
完成となっていました。 ん?とするとワトソンの語りにあった年と祖語がある様な気もする
が・・・確認間違いかも、だし、まぁ、細かい事はどうでも良いか・・・。
そう言えば前作はタワーブリッジ建設中でしたね。 さりげなく当時の時代背景を組み込む
細かい演出に唸らされます)

ワトソンがホームズの部屋に入ろうとすると部屋の中は熱帯ジャングルの様。
鳥やヤギまで・・・・


ホームズが「探してごらん」と囁いてね、で、ワトソンが興味無さそうにさり気なく椅子に
座り新聞を読み始めると吹き矢で気を引こうとするホームズ← 子供(笑)
「私は何処にいるかな?」と迷彩服に身を包んで周囲に溶け込んでいただホームズが現れると、
チラと見たワトソンはその時少しも騒がず、「恥ずかしいぞ、着替えろ」と一言。

それを聞いたホームズは反撃してワトソンの服装をけなす。特に婚約者が編んだダサい手編み
のマフラーは。(やっぱり焼いてる?)
ワトソンが新聞を読みながら顔も上げず「会えて嬉しいよ」と言うと、いきなり近寄り「嬉しい?
そうか?」とホームズ。(マジで聞いてる)

ハドソンさんが現れワトソンに訴える。 一人になってからコーヒーとタバコとコカの葉しか
口にせず 眠らず 役者みたいな声音で・・・療養所に入れてくれと・・・
そんなワトソンに「何の用だ」と尋ねるホームズですが、「明日結婚するんだ」と言うワトソン
に、「オー、そうか、おめでとう!」と幾分わざとらしく言いながら(しかも顔引きつってるし)
ハグする2人。

↑ ワトソンの背中には未だ吹き矢が刺さったまま・・・

すると、ワトソンは「痩せたか?」、ホームズは「君は太ったな。メアリーのマフィンの食べ
過ぎだ」って・・(何なんでしょう、抱き合ってお互いの身体の変化を確認する この2人の会話は(笑)

我々の最後の事件だ、とワトソンの元の診察室に入ると 壁一面に各地で起きた犯罪事件を示す
記事が張り巡らされており その全ての事件の中心にはモリアーティー教授が居るのだとホームズ
が示します。



「まるで蜘蛛の巣だ」と言うワトソンの評するモリアーティー教授とは、天才数学者、高名な作家
であり講師、ケンブリッジ大学の拳闘の王者で首相の学友であると。
(この”蜘蛛の巣”という表現も正典に示されています)
ホームズは、”It's a game, dear man, a shadowy game” (これは影の戦いなのだ)。「モリ
アーティーを倒す。奴の邪悪な陰謀を絶対阻止する」と言い乾杯しようとグラスに注いだのは
クロロホルム。 それを見たワトソンは「異常だ」って。

(ここでホームズは”dear man”という表現をしています。 聖典では大体”my dear Watson”
と言っていますが、この”dear man”も親しい人への呼びかけの感じですね)

そんな時、又してもワトソンの愛犬グラッドストーンに襲う悲劇! 又もやホームズの実験台
に・・・・ 瀕死状態のグラッドストーンにホームズがヤギの副腎から抽出したホルモン特効
薬を試しに使うと一瞬にして薬で息を吹き返すものの、何とも不憫なグラッドストーン!
ホームズはこの特効薬を結婚祝いとしてワトソンに渡しますが、「僕の犬を何度殺すんだ!」
とワトソン怒るのも無理ないしね~。

そして2人はワトソン独身最後の晩を過ごす”stag party” へ出かけます。
(”stag party”とは独身男性が結婚前の最後の晩を男性のみで楽しむパーティーです。
”stag night”とも表現されますね。)


・・・・・to be continued です


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