― ”The Private Life of Sherlock Holmes” ―
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」:感想追加とSpecial Featuresに関して少々
冒頭で書きました様に、この作品を初めて見たのは随分昔の事だったのですが妙に気に
入っておりました。
その後BBC版Sherlockに嵌りこみ、正典の読み直し、グラナダ版の観直し等繰り返して
いた後 改めてこの作品を見た時に又違った目で見る様になってきました。
そして今回の「忌まわしき花嫁」を観た時に 又新たに色々思い返す点、気付いた点が出
て来たので DVDで詳細に見直す事にした訳ですが、いや~予想以上でした。 今回初
めて気付いた点も多く 新鮮な目で見る事が出来ました。
何より、ワイルダー監督の正典に対する敬愛を感じ、単なるコメディータッチのパスティー
シュとは言えない細かい拘りを感じたと共に、BBC版でのモファティスがこの作品を如何
に愛しているかオマージュ感が只事では無いですね。
コミカルな部分を含み、ワイルダーらしいシャレたセリフも盛り込み、そしてタイトルにもあ
る様にホームズの私生活を描いている盛り沢山の内容でした。
ただ・・・・ これも最初に書いたのですが、ホームズ役がねぇ~。 どうもイメージが違うん
ですよ。 キリッとしたシャープさに欠けるというかね。 これは好みの問題かもしれないし、
メイクのせいもあるかしらって感じもあるんですけど(厚塗り、アイシャドー濃い)これも当時
の傾向なのかも知れないと感じつつ、コミカルな役処をこなしたワトソンの方が印象が強くってね。
何かと邪険に扱われながらもホームズの事を気に掛けるワトソンが凄く良かったです。
そして、何と言ってもマイクロフトは素敵でした。決まってます。
何やかんや言っても40年以上前の作品ですから、グダグダ言っても仕方ないですね(笑)
粗筋の途中で気付いた点を少しずつ書き込んでは来ましたが、一番感じた事はBBC版 ”A Scandal
of Belgravia” 「ベルグレーヴィアの醜聞」のアイリーン・アドラーはキャラクター及び設定
を含めほとんどがこの作品のオマージュだと感じました。
この作品でのイルゼは多分正典のアイリーンをイメージしているのではないかと思いますが、
ワイルダー監督は正典アイリーンのキャラクターを膨らませ、よりドラマチックな展開にして
います。
2人の類まれな知性の競い合いと 、強い自信に満ちた女性に対す淡い恋心を伴った敬愛を持ち
ながら そんな女性に欺かれる、そして異国で処刑された事がマイクロフトによってホームズに
伝えられる、衝撃を受けたホームズが窓辺に佇む後姿・・・・これら全てBBC版に踏襲されて
います。 例の ”The Woman” と呟くシーンですね。
アイリーン・アドラーと云えば、以前から何度も載せた事があるのですが、あのホームズの
懐中時計に入れられている写真に関して、ず~っとアイリーンだと思い込んでいたんですよ。
でも、今回改めて観ていると、どうやらアイリーンではなさそうですね。
イルゼかとも思われるけど、チョット若い様な気もするので 若くして先立った婚約者なのかしら?
とも思われます。
それと、これも改めて良く観ていると、ワトソンの私物ボックスにあったホームズの遺品の中に
ある楽譜には、”For Ilse von H.” (Sherlock Holmes)「イルゼ・フォン・H.に捧ぐ」となって
います。 やはりホームズはイルゼに対しては心に秘めた想いがあったんだな、と改めて切ないし、
そう言えば BBC版でもシャーロックはアイリーンの曲を作曲してましたねぇ。
ヴィクトリア女王登場は 「新ロシア版名探偵シャーロック・ホームズ」にも踏襲されていました。
女王と云えば、チョット気になったのが マイクロフトが女王に対して ”Ma'am "と言っている
のですが、女王なら ”Her Magesty “ と云うべきなのではないかしら?
と些細な事ですが・・・ただ、この敬称は ジョージ5世が定めた勅許状が基本的な指針となるとの
事(らしい)ので、時代設定的には問題ないのかとも思いましたが、本当はどうなのか良く分かり
ません(スミマセン)
他にもまだまだ書き洩らしている点もあるかも知れませんが、 取りあえずこの辺にして・・・・
DVDにはSpecial Featuresが収録されていて、これは今回初めて観る機会を得ました。
サー・クリストファーのインタビュ-等幾つか収録されている中で 一番興味深かったのは
カットされた部分が一部紹介されていた点でしたね。
実際に撮影されたのは4時間近かったのに殆ど半分になってしまった訳で、その削除さ
れた部分がこれまた面白そうなのです。
カットされたエピソードは、
※ ”The Curious Case of the Upside Down Room” 「逆さまの部屋の珍事件」
※ ”Holmes Recounts an Affairs of the Past”「私生活の秘密 :学生時代を語るホームズ」
※ ”The Dreadful Business of the Naked honeymoners”「裸のハネムーンカップルにご用心」
どれもコメディー色が強く出ているエピソードだそうですが、いずれにしても勿体無いと思います。
観てみたかったです!
モファット氏は 「まるでシャーロッキアンへのヴァレンタインギフトだよ!!」と語っていた様
ですが、自身が筋金入りのシャーロッキアンであったワイルダー監督だからこそこんなに素敵な
パスティーシュを作ったんですね。 凄いです!!
↑ ワトソンのトルコ帽はグラナダ版「空き家の冒険」でも引用されていたのですが、正典の何処かに
書かれていたのか全く記憶にないのです・・・・
↑ 何といっても感動したのはこのシーン。 ワイルダー監督ちゃんとこのシーン撮影していたんです。
これは以前何度も載せた事があるのですが、正典「白銀号事件」のパジェット版挿絵にある場面で
グラナダ版も同じ場面を使っていました。
そして、BBC版「忌まわしき花嫁でも」(何度も同じ画像ばかり載せてスミマセン!)
参考までに、この作品のノベライズも出ています。
「シャーロック・ホームズの優雅な生活」 創元推理(東京創元社)刊
かなり良く書かれているとの事ですが、未読です。
改めてSharlock のこれまでのシーズンを又観直してみようかな? 多分又違った視点で見られる
のではないかと思います。
最後にワイルダー監督を含む撮影中の画像です。
今度こそ、これで終わります。
思い入れが多く随分長くなってしまいましたが、お付き合い頂き有難うございました。
← ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」 : 4/4
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」:感想追加とSpecial Featuresに関して少々
冒頭で書きました様に、この作品を初めて見たのは随分昔の事だったのですが妙に気に
入っておりました。
その後BBC版Sherlockに嵌りこみ、正典の読み直し、グラナダ版の観直し等繰り返して
いた後 改めてこの作品を見た時に又違った目で見る様になってきました。
そして今回の「忌まわしき花嫁」を観た時に 又新たに色々思い返す点、気付いた点が出
て来たので DVDで詳細に見直す事にした訳ですが、いや~予想以上でした。 今回初
めて気付いた点も多く 新鮮な目で見る事が出来ました。
何より、ワイルダー監督の正典に対する敬愛を感じ、単なるコメディータッチのパスティー
シュとは言えない細かい拘りを感じたと共に、BBC版でのモファティスがこの作品を如何
に愛しているかオマージュ感が只事では無いですね。
コミカルな部分を含み、ワイルダーらしいシャレたセリフも盛り込み、そしてタイトルにもあ
る様にホームズの私生活を描いている盛り沢山の内容でした。
ただ・・・・ これも最初に書いたのですが、ホームズ役がねぇ~。 どうもイメージが違うん
ですよ。 キリッとしたシャープさに欠けるというかね。 これは好みの問題かもしれないし、
メイクのせいもあるかしらって感じもあるんですけど(厚塗り、アイシャドー濃い)これも当時
の傾向なのかも知れないと感じつつ、コミカルな役処をこなしたワトソンの方が印象が強くってね。
何かと邪険に扱われながらもホームズの事を気に掛けるワトソンが凄く良かったです。
そして、何と言ってもマイクロフトは素敵でした。決まってます。
何やかんや言っても40年以上前の作品ですから、グダグダ言っても仕方ないですね(笑)
粗筋の途中で気付いた点を少しずつ書き込んでは来ましたが、一番感じた事はBBC版 ”A Scandal
of Belgravia” 「ベルグレーヴィアの醜聞」のアイリーン・アドラーはキャラクター及び設定
を含めほとんどがこの作品のオマージュだと感じました。
この作品でのイルゼは多分正典のアイリーンをイメージしているのではないかと思いますが、
ワイルダー監督は正典アイリーンのキャラクターを膨らませ、よりドラマチックな展開にして
います。
2人の類まれな知性の競い合いと 、強い自信に満ちた女性に対す淡い恋心を伴った敬愛を持ち
ながら そんな女性に欺かれる、そして異国で処刑された事がマイクロフトによってホームズに
伝えられる、衝撃を受けたホームズが窓辺に佇む後姿・・・・これら全てBBC版に踏襲されて
います。 例の ”The Woman” と呟くシーンですね。
アイリーン・アドラーと云えば、以前から何度も載せた事があるのですが、あのホームズの
懐中時計に入れられている写真に関して、ず~っとアイリーンだと思い込んでいたんですよ。
でも、今回改めて観ていると、どうやらアイリーンではなさそうですね。
イルゼかとも思われるけど、チョット若い様な気もするので 若くして先立った婚約者なのかしら?
とも思われます。
それと、これも改めて良く観ていると、ワトソンの私物ボックスにあったホームズの遺品の中に
ある楽譜には、”For Ilse von H.” (Sherlock Holmes)「イルゼ・フォン・H.に捧ぐ」となって
います。 やはりホームズはイルゼに対しては心に秘めた想いがあったんだな、と改めて切ないし、
そう言えば BBC版でもシャーロックはアイリーンの曲を作曲してましたねぇ。
ヴィクトリア女王登場は 「新ロシア版名探偵シャーロック・ホームズ」にも踏襲されていました。
女王と云えば、チョット気になったのが マイクロフトが女王に対して ”Ma'am "と言っている
のですが、女王なら ”Her Magesty “ と云うべきなのではないかしら?
と些細な事ですが・・・ただ、この敬称は ジョージ5世が定めた勅許状が基本的な指針となるとの
事(らしい)ので、時代設定的には問題ないのかとも思いましたが、本当はどうなのか良く分かり
ません(スミマセン)
他にもまだまだ書き洩らしている点もあるかも知れませんが、 取りあえずこの辺にして・・・・
DVDにはSpecial Featuresが収録されていて、これは今回初めて観る機会を得ました。
サー・クリストファーのインタビュ-等幾つか収録されている中で 一番興味深かったのは
カットされた部分が一部紹介されていた点でしたね。
実際に撮影されたのは4時間近かったのに殆ど半分になってしまった訳で、その削除さ
れた部分がこれまた面白そうなのです。
カットされたエピソードは、
※ ”The Curious Case of the Upside Down Room” 「逆さまの部屋の珍事件」
※ ”Holmes Recounts an Affairs of the Past”「私生活の秘密 :学生時代を語るホームズ」
※ ”The Dreadful Business of the Naked honeymoners”「裸のハネムーンカップルにご用心」
どれもコメディー色が強く出ているエピソードだそうですが、いずれにしても勿体無いと思います。
観てみたかったです!
モファット氏は 「まるでシャーロッキアンへのヴァレンタインギフトだよ!!」と語っていた様
ですが、自身が筋金入りのシャーロッキアンであったワイルダー監督だからこそこんなに素敵な
パスティーシュを作ったんですね。 凄いです!!
↑ ワトソンのトルコ帽はグラナダ版「空き家の冒険」でも引用されていたのですが、正典の何処かに
書かれていたのか全く記憶にないのです・・・・
↑ 何といっても感動したのはこのシーン。 ワイルダー監督ちゃんとこのシーン撮影していたんです。
これは以前何度も載せた事があるのですが、正典「白銀号事件」のパジェット版挿絵にある場面で
グラナダ版も同じ場面を使っていました。
そして、BBC版「忌まわしき花嫁でも」(何度も同じ画像ばかり載せてスミマセン!)
参考までに、この作品のノベライズも出ています。
「シャーロック・ホームズの優雅な生活」 創元推理(東京創元社)刊
かなり良く書かれているとの事ですが、未読です。
改めてSharlock のこれまでのシーズンを又観直してみようかな? 多分又違った視点で見られる
のではないかと思います。
最後にワイルダー監督を含む撮影中の画像です。
今度こそ、これで終わります。
思い入れが多く随分長くなってしまいましたが、お付き合い頂き有難うございました。
← ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」 : 4/4