The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 2/4

2016-05-31 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
― ”The Private Life of Sherlock Holmes”  ― 
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」 : 粗筋と検証 (2)




・・・・・2回目ですが 今回も盛大にネタバレ続きます。



ある晩馬車の御者が謎の美女を221B に運び込んで来ます。
彼女はテムズ川で溺れていた所を御者が見つけ、何故か221Bの住所を持っていたので
此処まで連れて来た。 馬車代を払って引き取って欲しいと言います。
彼女は頭を殴られた様子で記憶を失っているし、言葉も理解しない様子。 (英語では無
い訛りがある)



着けている衣類や指輪から ホームズは彼女がベルギー人で既婚者であるガブリエルで
ある事を導き出します。
(この美女が誠に妖艶で訳アリ風です)。
その晩は休ませるために自分のベッドを提供する優しいワトソン君(自分はカウチで寝ます)。



翌朝目覚めたガブリエルは混乱したまま ”一糸纏わず=全裸で” 現れ、ホームズを夫と
間違え抱きつきます。
ホームズ一瞬微妙な表情をするものの、少しも慌てず・・・

ガブリエルはベルギーで高価なmarabou feather付のピンクのネグリジェを買ったと言い、
ホームズは「そのネグリジェは何処にある ?」に「スーツケースの中よ」、
「そのスーツケースは何処だ?」と聞くと「分からない」とガブリエル。
 ところで、marabou =マラブーとは、アフリカハゲコウの事らしいですね。その羽
が婦人用の高級衣類に使われるらしいです。 つまり高価なネグリジェだって事ですよね。)

そのまま自分のベッドで休ませました。



一方カウチで眠った為体のあちこちが痛いとハドソンさんに背中を押してもらっていたワトソン
は ガブリエルの様子を見に行くと部屋に居ない。
慌てたワトソンはホームズが居ないと気付き部屋を探すと 何と彼女は裸でベッドで寝ています。
ワトソンとハドソンさんはビックリ。 「困っている依頼人に早速手を出したな」と勘違いした
ワトソンの元に 颯爽とホームズが帰宅。
「ホームズ、卑劣だぞ! 君には分別も道徳観念も無いのか」と食って掛かるワトソンに、「全く
無い」と涼しい顔のホームズ。
「もう少しで君がこの機会を利用して・・・」と食って掛かるワトソンに 「利用させてももらったよ。
 彼女の身体は感動的だったよ」← おい!
”You cad !”「悪党!」と怒るワトソンに、「特に右手のひらが」と云うホームズ。
ホームズが興味を持ったのは彼女の手のひらに書かれていた(転写していた)「301」という数字で、
この数字が駅に預けた荷物のラゲッジタグだと推理し、彼女のスーツケースを取って来たのでした。



中にはガブリエルが言っていた ”Pink" のネグリジェその他の日用品。手紙の束、夫のの物と
思われる写真等が入って居ます。
 この ”スーツケース”、”ピンク” と云うのも ”A Study in Pink"を連想します。やや強引
かな?)

この荷物を見せたガブリエルは自分の事を思い出した様で、経緯を話し出します。
(ちゃんと英語が話せるようになっている??)
入って居た手紙の束から、彼女の名前がガブリエル・バラドンだと判明します。



記憶を取り戻した彼女は二人に向かって、”Which one of you is Mr. Sherlock Holmes ?!”
「どちらがホームズさん?」と尋ねます。
 これも”The Sign of Three" に引用されています。
そう言えば、現代版でジョンがおでこに名札を付けたシャーロックを指さすシーンは好きだったわ~!)

 何より、”一糸まとわず”+”ホームズのベッドで眠る”+”ホームズのガウンを着ての登場”← 
これらは全て”A Scandal of Belgrevia" のアイリーンに踏襲されています)。

鉱山技師である夫が新型の空気ポンプを発明し、英国のヨナ社に雇われ英国に滞在中であったが
手紙をやり取りしているうちに音沙汰が無くなった。
心配になりロンドンにやって来てヨナ社を尋ねたが、そこは空き家でヨナ社も存在しなかった。
ベルギー大使館に相談したらホームズを紹介されたが、夫を探している所を何者かに襲われて
テムズ河で溺れかけたのだと言います。

ホームズはガブリエルに夫宛ての白紙の手紙を書かせます。
そして、「この手紙を誰が、何の目的でどうやって回収するのかが問題だ」と言い3人で手紙の
宛先とされていた場所に出掛けました。
屋根裏から侵入すると そこには沢山のカナリヤが飼われていた。



戸袋に隠れて様子を覗っていると車いすに乗った怪しい女性が入って来たと同時に 数人の男
たちがヨナに届けると24羽のカナリヤを引き取って行きます。
カナリヤの籠の下に敷かれていた新聞が「インヴァネス・クロニクル」スコットランドの物で
あることから事件はそこにありそうだと推理するホームズ。

車いすの女性はさり気なく一通の手紙を置いて行きます。
それは兄のマイクロフトからの手紙で 「ディオゲネスクラブで待って居る。私の計算が正
しければ今は11時40分の筈だ」、ワトソンの時計をみると11時43分でした。 「マイクロフト
の計算は間違いない筈だから、君の時計を直した方が良いね」と云うホームズ。
 この 「マイクロフトは計算を間違わない」という表現も ””His Last Vow"に引用され
ていたと思います)。




 ”The Abominable Bride" の感想にも書きましたが、BBC版でディオゲネスクラブの
コンシェルジェの名前を ”ワイルダー”にしていましたもん。)

ディオゲネスクラブに着くと マイクロフトは二人に貴重なワインを勧めながら 同じ街に
住んで居ながらめったに会わない。「ギリシャ語通訳」以来だなと言いつつ ベルギー人技師
を探している様だが この件から手を引く様に言い渡します。
「国家機密に係る事だから お前の手には負えない」と。
 このシチュエーションは ”His Last Vow" にも引用されていました)。



マイクロフトは「グレンナフリッヒに3箱、赤巻きは城へ」と謎の指示を部下に伝えています。

ホームズは帰る道すがら マイクロフトが口にしていた不可解な言葉を捉えていて、その中の
”グレンナリッヒ” はスコットランド語で”イチイの木の谷”と言う意味であるとワトソンに
知らせます。  

マイクロフトの指示に従う筈も無いホームズは 221Bに戻ると、2人にこれからスコットランドの
インヴァネスに向かう汽車に乗ると伝え、夫を探しに行ってくれるのだと喜ぶガブリエル。

そして、ホームズとガブリエルが ”アッシュダウン夫妻”、ワトソンは ”Valet" 従者と云う
設定です。
ここで、ホームズは 「ゲームの始まりだ」 ”The game is afoot” を言うのです。
 流石! ちゃんとこのフレーズは押さえています、ワイルダー監督)。

この後、ガブリエルが不審な行動を起こします。



窓から外に向かって日傘を開いたり、閉じたりを繰り返す。 そして外にはそれを見ている怪しい男が・・・・
(ここで、ガブリエルがただの依頼人ではなさそうだと示されるのです)。





・・・・to be continued です。



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ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 1/4

2016-05-27 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
― ”The Private Life of Sherlock Holmes”  ― 
ビリー・ワイルダー版 「シャーロック・ホームズの冒険」 : 粗筋と検証 (1)



今回から内容概略を書いてみようと思いますが、盛大にネタバレして居りますのでお含みおき下さい。

又、本編長いので余り細かく書かないつもりですが、長くなるかもしれません。
又BBC版に引用されている部分、オマージュと思われる部分等も併せて書いてみたいと思います。

プロローグはナレーションで始まります。
ワトソンの死期50年封印され銀行に保管さえていた彼の私物ボックスが開けられます。


ホームズに係る物語を多く書いたが 彼の私生活に係る微妙な内容で有った為公表を差し控えた冒険談が
あったというモノローグと共に明けられたブリキ箱の中にはホームズ所縁の品々、鹿討帽、パイプ、拡大鏡、
注射器、アイリーン・アドラー(と思われる?)の写真入り時計、221B のプレート、ホームズが作曲したと
思われる曲の楽譜・・等々 
そしてワトソンの書いた原稿・・・・



そこに書かれていた冒険談の始まりは・・・・





アヴァネッティ事件を解決して221Bに戻ったホームズとワトソンを迎えるハドソンさん。
 しょっぱなから 殆どそのまま ”The Abominable Bride” に踏襲されています)

自分が書いた冒険談が載ったストランドマガジンを嬉しそうに見せるワトソンに対してホームズは勝手に
虚像を作り出したとご機嫌斜め。

鹿討帽、インバネス等の服装、女嫌いだという嘘(嘘だと言ってます。女性が嫌いなんじゃなく、信用でき
ないんだと・・・)
そして、
留守中に届いた捜査依頼の中の1つ ”サーカスの軽業師6人が行方不明”にホームズは興味を示します。
が、退屈を持て余してコカインに手を出そうとするホームズにワトソンは、「医者として、友人として君の 
悪癖は絶対認められない」と反対します。
 この時、例のコカイン7%のセリフも出てきます)

ホームズは、「ワトソン、君が羨ましいよ、その図太い神経だ。 僕は平凡な毎日に耐えられない。まるで
スピードを抑制されたレーシングエンジンみたいだ」と言います。
 このシチュエーションとセリフは正典「ウィステリア荘」と同じ。 殆どそのまま ”The Hounds of
the Baskervilles" に引用されていました)。

ホームズは部屋中を煙でもうもうとさせながら煙草の灰の実験をしているのですが、「彼は140種のタバコの
灰を識別したんだよ」と話すワトソンに対して ハドソンさんは ”I'm sure there's a crying need for that”
「泣く程需要があるでしょうね」と皮肉ります。
 このセリフも ”The Empty Hearse” でハドソンさんが全く同じ台詞を使っていました。
タバコの灰の研究に関してBBC版では ”A Scancal of Belgravia ”でしたっけ?)




退屈しているホームズにロシアバレー団の公演切符が送られてきたので是非にと誘うワトソンですが、興味ない
とホームズ。



 入浴中のホームズと話すワトソンですが、この入浴シーンはグラナダ版「犯人は二人」に踏襲され
ています。
が、ジェレミーの入浴シーンとは ”no comparison” と言わせて頂きます。←勝手にしろ!
それにしても、このバスタブ小さすぎ!)

結局ワトソンに同行し、「白鳥の湖」を見に行くことになったのですが、感動してプリマのペトローバを褒めたた
えるワトソンに対して、「見事な土踏まずだ」とつぶやくホームズ。
 このセリフも ”The Abominable Bride"に引用されて “見事な甲高だ” になっていました)。

マダム・ペトローバの控室に案内されたホームズ。


ホームズを見たマダムは 「思ったより背が低い」。
 このセリフも ”A Scancal of Belgravia” にありましたね)

呼ばれた理由は マダムがバレーを引退して子育てをしようと思い、英国随一の知性を持つホームズに子供の父親に
なって欲しい・・・との事でした。
慌てたホームズはとっさにワトソンとの関係をほのめかし、同棲を告白しマダムの野望を諦めさせる。

 この時同席していたバレー団の団長が ”The Houd of the Baskervilles” のタイトルを ”Big Dog from Baskerville”
と言い間違えるネタは ”The Abominable Bride" でも踏襲されていたけど、この時はさらにひどくなって ”The Dog one”
なんて言われていました。)

一方若いバレリーナに囲まれて鼻の下を伸ばしながら踊り狂っているワトソン。


 最初に観た時からこのシーンが妙に記憶に残っていたのです。)
しかし、次第に会場に広がるホームズとワトソンのゲイ疑惑。

この顛末を知り怒り狂って221Bに戻ったワトソンはホームズにメチャメチャ当たってます。
「周囲に知られたらどうしよう」とか「年金が貰えなくなる」とかもう泣きが入っている。
「もう一緒に住んで居られない。同居を解消する」なんてね。
で、この噂を払拭する為に ホームズに結婚しろと迫るんです。
そして、彼の恋愛経験を追及する。
 この辺りも ”The Abominable Bride” でも踏襲されています)



ワトソンの「君は、何だ、その・・・恋愛の経験はあるのか?」の追及に「あるよ」と答えるホームズ。

ワトソンのモノローグで、
「彼と女性の関係は実際謎だった。 何か隠されていたのか? それとも彼には感情というものが無い
のだろうか?
その答えはある事件により明らかになった。 それは今までで最も奇妙な事件だった」と。

バレリーナに係る展開はここまでで、次のチャプターからいよいよ冒険談に入って行きます。






・・・・・to be continued です。



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ビリー・ワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 初めに

2016-05-24 | ビリー・ワイルダー版S・ホームズ
”The Private Life of Sherlock Holmes” by Billy Wilder



この作品は大分前にTV放映で観て以来、その後2度程観たのですが 最後に観てからも大分
年数が経ってしまいました。
最初は本当に何気なく見始め、ビリー・ワイルダー作品という事で ある程度先入観と固定
観念をもっていたし、軽いコメディータッチのパスティーシュと考えていました。

ところが・・・
これが面白いんですね。 嵌りました。
そしてBBC版「シャーロック」を見始めると あちらこちらで既視感を感じたり 似たカラーを
感じたりしたものですが、後日モファット氏もこの作品を敬愛していたと知りやはりオマージュ
を感じるのは当然だと改めて感じます。
ゲイティス御大も この作品を称して ”The film that changed my life" (私の人生を変えた作品)
と語っていました。
グラナダ版は当然なのですが、この作品もまさしく「シャーロック」の原点なのだと感じさせら
れます。
モファティス両氏の拘りを汲み取る為には 原点回帰してこの作品を検証する必要があると気が
付きました。

大分前の事ですので 忘れている点、見逃している点も多々あると思い、今回気合を入れてDVD
で観直しました。
と云うのも BBC版 ”The Abominable Bride”のtrailerを最初に見た時からビリー・ワイルダー版
のカラーを強く感じるとひつこく書いていたのですが、本編をみるとよりこの感を深めたもので
すから再度検証してみなくては・・・と思い立ちました。

改めてこの作品の詳細等を顧みますと、

先ず、
1970年のアメリカ映画です。(40年以上も前の作品です)
脚本・監督・製作がビリー・ワイルダー  
正典の短編集と同じ邦題になっていますが、内容はワイルダーによるオリジナル作品です。
当時としては桁外れの製作費1000万ドルを掛けた超大作でもあるそうです。
今回改めて確認しますと、当初この作品は4時間にも亘る大作だったようですが、諸事情により
約2時間にカットされ上映されたとのことです。 ノーカットで全作を見てみたかったですねぇ、
残念です。
又、初期の構想では、ホームズにピーター・オトゥール、ワトソンにピーター・セラーズの配役
が予定されていたとの事。 おーっ! 何と豪華版! これが実現していたら凄かったのに~と
この点も今更ながら残念です。

配役は、
シャーロック・ホームズ : ロバート・スティーブンス
ジョン・ワトソン ; コリン・ブレイクリー
マイクロフト・ホームズ : クリストファー・リー
ガブリエル・バラドン : ジュヌヴィエーヴ・パージェ
ハドソン夫人 : アイリーン・ハンドル
ヴィクトリア女王 :モリー・モーリン   等

 

 
↑ サー・クリストファー・リーですが、左がマイクロフト、右がホームズを演じた時

残念ながら サー・ ロバート・スティーブンスの他の作品は観た事がありません。
個人的な感想を言えば、ホームズがチョット残念なキャスティングの様な気がするのですが・・・
イメージがね。いや、良い役者さんだとは思うんですよ、でもね、チョット違うかなぁ・・・好み
の問題ですね。 
メークが濃過ぎとも感じるのですが、当時の風潮なのかしら? 等思いつつ。
ところが、今回ふと気がついたんですが、ベネディクト/シャーロックの特徴のあるクルクルヘアー
はこのホームズのヘアースタイルを踏襲した進化形ではないかと思うんです。何となく似ている気が
するのですよ。
個人的な感想かも知れませんが チョット感動!

そして余談ですが、前妻はあのデイム・マギー・スミスだそうです。ちょっと ビックリです←意味
不明。
そしてお2人の間に出来た息子さん達がトビー・スティーブンスとクリス・ラーキン。DNAですなぁ。
そして父親より息子達の方がキリッとしていてカッコ良い(暴言)

又、ワトソンを演じたコリン・ブレイクリーはアガサ・クリスティーの「地中海殺人事件」や「オリ
エント急行殺人事件」で記憶に残っています。

マイクロフトを演じたサー・クリストファー・リーは言わずもがなですが、元々ドラキュラで良く知
られていましたが、「ロード・オブ・ザ・リングス」、「スターウォーズ」でも記憶に残っていました。
惜しくも一年前に亡くなりましたね。
で、サー・クリストファー自身もシャーロック・ホームズを演じたこともあり、兄弟二人を演じた俳優
でもあります。
正典で描かれているマイクロフト像とは体形的には異なりますが、さすが存在感、威厳、貫禄のある
カッコいいマイクロフトですねぇ。

感情を余り表に出さない チョット気だるげなホームズと絶妙なボケをが見事なワトソンの組み合わせ
が面白く、ホームズのゲイ疑惑、麻薬を使うホームズを気遣うワトソン等人間ドラマとしても楽しめる
と思いました。
このワトソンが良い味出してますね。
時にドタバタコメディアン風の演技をしてはいますが、きちんと押さえるところは押さえていて存在感
を出しています。
ホームズ作品を色々観るにつけ、ワトソン役が如何に重要なポイントになっているか分かります。
時にホームズを食ってしまう場合もありますが、ワトソンの配役によりホームズがより輝くのだと感じ
ます。 

内容は一見ハチャメチャで奇想天外にも思える ネッシーが登場したり色々なエピソードが含まれていま
すが、原作タイトル「シャーロック・ホームズの私生活」にある様にホームズの人間性などもしっかり描
かれていてるのですが、”私生活”からは懸け離れた国家機密に触れる部分もあり、コメディータッチもあ
り哀愁漂う場面もあり、盛り沢山でありながら きめ細かく制作されている事が良く分かります。
又、正典ネタ、台詞などもしっかり取り入れられていて、さすが巨匠ワイルダーって感じます。

又、ベン・ハーを始めとして数々の名作で格調高い映画音楽を手掛けたミクロス・ローザがこの作品でも
雰囲気のある楽しい楽曲を提供しています。

これらの色々を見てみても 本当に贅沢に作られた作品なのだと改めて感じます。

この後感想を挟みながら内容概略をご紹介してみようと思います。




→ ビリーワイルダー版「シャーロック・ホームズの冒険」: 1/4





The Abominable Bride : Behind the Scenes

2016-05-22 | The Abominable Bride
― 「忌まわしき花嫁」 Behind the Scenes : ライヘンバッハ編 ―



大分自粛して居りましたので 久~~し振りのBehind the Scenesの画像ベタ貼りです。

一年余りアーカイブに保存しっぱなしだった為 カビが生えるといけないので 虫干
しを兼ねて たまには良いかしら?と思うと共に「自分眼福」(勝手に造語)の為にと
思い立ちました。

あれ?なんかブチブチ言い訳がましく弁解してます?


 



モリアーティーと決闘リハ

このシーンはセットだとは分かっていたのですが、滝はどうしたんだろう?と思って
いましたが 流石にグリーンバックの合成だったんですね。

なので、水滴は霧吹きで


そしていよいよジャンプ、というよりワイヤー釣り






霧吹きその2


こんなに暗い中でもマーティン新聞読んでる


今回のワイヤー釣りはバーツの時に比べたら楽勝だったでしょう。


で、懐かしいバーツでのワイヤー釣りとフォールの画像を







久々の画像集でした。
チョットしたインタールードと捉えて頂ければ幸いです。











グラナダ版 『ギリシャ語通訳』 : (3)

2016-05-19 |  ∟グラナダ版SH
― グラナダ版『ギリシャ語通訳』 ”The Greek Interpreter”  (3) ―



間が開きましたが 続き3回目です。

メラス氏は未だ息があるとの見たワトソンの見立てにより、ホームズは屋敷内を探した結果時刻表が
見つかり彼らが英国を脱出しようとしていると推察します。
急遽一行は駅に向かい 彼らが乘っていると思われる列車の出発間際に慌てて乗り込むことが出来ました。


↑ シャーロックがマイクロフトの背中を押して列車に乗り込ませる。何となく微笑ましい兄弟シーン、好きです。 

コンパートメントに収まった三人ですが、マイクロフトはいつの間にか居眠りのご様子。



タバコをふかす(パイプタバコでは無く、紙巻タバコ)ホームズを見るワトソンの複雑な表情。


理由は、窓の下に張られた注意書き。
”Smoking is strictly prohibited in this compartment”
(コンパートメント内の喫煙は堅く禁じます) 当時も車内禁煙だったのね。

車掌に男2人と女性1人のグループが乗車していないか問いただした結果、ソフィ―と若い男
(ラティーマー)は別のコンパートメントにいる事が分かりました。
一方首謀者と思われるメガネの小男(ケンプ)は1人食堂車で優雅に夕食中。
そしていつの間にかマイクロフトが同席しています。
(さり気なくギリシャ語の知識を確認中)

列車の揺れによろけてケンプに抱き着くマイクロフト。 理由がありました。


コンパートメントではホームズが2人を尋問しています。




ラティーマーと結婚するというソフィ―に、彼が兄を殺害した事を告げますが男は強硬に否定します。
いよいよ言い逃れが出来ないと知ると ソフィ―を盾にして列車の外に逃げ出そうとします。



しかし、開いたドアにぶら下がったものの 対向列車に巻き込まれ命を落としました。

一方、食事を終えたケンプはその間の出来事を知らないままコンパートメントに戻り直ぐに室内の状況を理解します。
直ぐに懐にある銃を探しますが無い! 突然マイクロフト登場し拳銃を押し付けました。
食堂車でよろけた拍子に拳銃をすり取っていたのです。
ヨッ!お兄ちゃん!のシーン。



次の駅でケンプとソフィ―は逮捕され、事件は解決したのでした。



兄を見捨てて逃げたソフィ―に対して ホームズは深い疑惑を垣間見せ、そして連行される彼女の身の上を心配する
ワトソンに対して 「冷血でも罪にはならない。 同情する欠片も無いね」と冷たい言葉を放ちます。
こんな所にホームズの女性観、女性を嫌う一面を表しているようです。
同時に、ソフィ―の描き方はドイル先生自身の女性観を表している様にも思えます。

ホームズは女性に関しては距離を置き、常に突き放したような見方をしている様に思えるのですが、正典「ギリシャ語
通訳」からの引用が多い「忌まわしき花嫁」でのシャーロックは感想でも書きました様に、虐げられていた女性の立場
に理解を示したり、突然フェミニズムを語り出したりする点が唐突な感があり、今でも引っかかっているのです。

今回は、何と言ってもマイクロフトが美味しい所をかっさらっています。
直ぐに居眠りをしたり(明らかにタヌキ寝入り)、一見愚鈍な様子を見せたりしながら やはりシャーロックを凌ぐ
と言われる知性を持って 必要な所をバッチリ押さえている。 人のよさそうな笑顔で警戒心を持たせず敵の懐に入り
込み、ケンプの銃を盗み取って、キワドイ場面で彼を仕留める場面等、もう真骨頂ですね~。
正典に描かれているマイクロフト像とは若干異なる描き方ですが、愛すべきキャラクターになっていて、時に可愛い。
そんな訳で、今回マイクロフトの印象が強く、流石のホームズ弟も形無しで少々影が薄いかも・・・・
まぁ、何と言ってもマイクロフトデビューの作品ですから・・・・


~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


グラナダ版はこの様な形で結末を描いていますが、正典では メラス氏を救出した所で終わっています。 
そして犯人2人とソフィーは国外逃亡をしたものの数カ月後 ホームズの元に彼らの逃亡先とみられるブダペストの新聞の
切り抜きが贈られてきて、彼らの結末を知ります。 
経緯は兄を殺害されたソフィ―がラティーマーとケンプを殺害し兄の敵を討ったようだとワトソンが語るところで終わって
います。



~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~



所で、7月17日(日)夜9時から AXNミステリーで ”The Abominable Bride" 「忌まわしき花嫁」の字幕版初放送決まった
そうです。
今度はちゃんと「初の字幕版」!!!と番宣しています。
その前に S1~S3も(又)7月3日から3週にわたって再放送される様です。

先日のBSでの放送も無理やり字幕版で見たワタクシですが、今度は安心して見られます(って、又見るつもり)。
BSでの字幕も映画版字幕と大分異なっていたのですが、今回はどうなんでしょう? 映画版と同じかしら?
一番気になっていた、ユースタス卿邸でのシャーロックの呟き ”Red Beard?” がどうなっているのか注目していたのですが、
流石NHKさん、しっかり「赤髭?」と出してくれました。安心しましたよ。これ大事ですもん(私見)。
マイクロフトのメモにもあったし、”Red Beard”はS4でのキーワードになるのではないかと・・・勝手に予想。





← グラナダ版 『ギリシャ語通訳』 : (2)

『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index







「ルイス警部」 : ハサウェイの歌

2016-05-15 |  ∟ルイス警部
― 「ルイス警部」 : ハサウェイの歌色んな場面 ―

ローレンス初のアルバム ”Holding Patterns" 発売記念のライブツアーもいよいよ近づいて来ています。
以前もお知らせしましたがスケジュールは下記の通りです(って現地には行けないけど・・・)



May 17 : Manchester
May 18 : Glasgow
May 19 : Nottingham
May 21 : Bristol
May 22 : Oxford
May 23 : London

先日の舞台 ”Patriotic Trator” でのヤジ騒動に加え、この数日記事を賑わしている様に、私生活にも
大きな変化があったようです。 私生活には関知しない方針なのですが、数か月前から噂も出ていたし、自身
のツイッターでも触れていたし あちこちに記事が溢れていたのでつい見えてしまいました。 何故この時期に?
とは思うものの人様の家庭の事情は分かりません。ましてご夫婦の問題は他人には計り知れない諸事情があった
事とは思いながら、ただ さぞ心に大きな傷を受けたであろうと推察されるので、このツアーにも影響が出ない
で成功裏に終わる事をはるか彼方から祈るばかりです。

そんな中 「ルイス警部」の再放映は続いているのですが、ハサウェイが歌うシーンが幾つかありまして興味
深かったのでここに載せて置きます。

先ず、これは以前も載せた画像ですが、「ルイス警部」S2E7 ”Life Born of Fire” でのシーン。



この時は歌うというより 口ずさむ程度でしたけど、最初にこのシーンを観るまで ローレンスがアーティスト
として歌に力を入れている事は知りませんでした(汗)

これは可愛かったので・・・



S6E3 の ”Fearful Symphony” でオチビちゃんを抱っこしてあやしながら口ずさんでいたシーン。
実生活では慣れているんでしょうけど、「ハサウェイ」と赤ちゃんの図が何とも新鮮でほのぼのと可愛かった
のです。
で、この時歌っていた(口ずさんでいた)のが、

Row row row your boat
Gently down the stream
Merrily merrily merrily merrily
Life is but a dream

漕げ、焦げ、ボートを漕ごう
そっと流れを下って行こう
楽しく、楽しく、楽しく、楽しく
人生はただの夢の様なものだから

これを聞いて懐かしかったですね~。
中学に入ってすぐだったかしら? 英語で覚えた人生初の歌だったと思います。
多分 ”R”と”L”の発音に注意しなさい、って事で覚えさせられたんだと思います。

そして、これは昨年8月25日付けでローレンスのfacebookにアップされた映像です。


↓ こちらからご覧下さい。
https://www.facebook.com/LaurenceFoxMusic/videos/945443752178612/

「ルイス警部」S9の打ち上げでしょうか。
ローレンスのコメントです。
”What a privilege and treat to work with each and everyone of the fantastic Lewis crew. With HUGE
apologies to John Denver. Thankyou for supporting us. See you on the other side. X”
(素晴らしいルイスのクルーのそれぞれ皆と仕事が出来るのは何て光栄で素晴らしいんだろう。ジョン・デンバー
には本当に申し訳ない。 ご支援頂いて有難う。又会おうね。)


ルイスのケヴィン父さんも一生懸命歌っている姿が可愛い(?)珍しい映像です。
この時全員で歌っているのが、ローレンスも書いている様に ジョン・デンバーの ”Leaving on a Jet Plane”、
古い歌ですが、懐かしいなぁ(知ってるんだ? 年バレる)
この歌の歌詞は、恋人と別れて飛行機で旅立とうとしている時に これまでの事を思い出し後悔し、又戻れるか
どうか分からないけど 本当は行きたくないよ~って感じの歌なので この歌で最後を飾ったのはS9の最後の
シーンにも関連しているのかも知れないし、ケヴィン父さんの表情が今ひとつ固いのも何だか寂しいし、灌漑無量
だったんだろうなぁ、と切なくなりました(涙)
(それにしてもケヴィン父さん歌詞見ないで歌ってる、さすが~!←何が?)




ローレンスの動向が気になりながら、次こそ「ギリシャ語通訳」の続きに戻るつもりです。



The Hollow Crown : S2 " The Wars of the Roses" 放映

2016-05-11 | The Hollow Crown
― The Hollow Crown : S2 ”The Wars of the Roses” 「薔薇戦争」 ―




ボーっと過ごしておりましたら(スッキリしない気候のせい・・・としておきます)
いつの間にか ”The Hollow Crown” 『嘆きの王冠』 のS2 ”The Wars of the Roses” 『薔薇戦争』の
Henry VI (ヘンリー6世)Part 1 が本国放映になったんですね。
撮影開始情報から2年近く待ちました。 長かったですね~。

という事で、『ギリシャ語通訳』の途中ではありますが、取りあえずこちらの情報を先に致します。

以前最初に書きましたが、S1は :
Richard II「リチャード2世」-3エピソード
Henry IV「ヘンリー4世」 - 5エピソード
Henry V 「ヘンリー5世」 - 3エピソード
以上は既に公開済で huluでも配信中です。
一気に観終わってしまいましたデス。

今回S2 The Wars of the Roses 「薔薇戦争」としては、
Henry VI 「ヘンリー6世」:part 1 & part 2
Richard III 「リチャード3世」
が三部作として制作放映されます。


ヘンリー6世パート1


ヘンリー6世パート2


リチャード3世



「薔薇戦争」Part 1の主な配役は、
ヘンリー6世 :トム・スターリッジ
マーガレット王妃 : ソフィ―・オコネド
グロースター公ハンフリー : ヒュー・ボネヴィル
ジャンヌ・ダルク : ローラ・モーガン 

(因みに、ヒュー・ボネヴィルは「ダウントン・アビー」ですっかり顔なじみになっています。)

Part 2 以降は、
セシリー : ディム・ジュディ・ディンチ
リチャード三世 :ベネディクト・カンバーバッチ
ソフィ―・オコネドは三部作を通してマーガレット女王を演じる様です。

又、
アンドリュー・スコットがルイ11世を演じています。



「薔薇戦争」パート1の放送後の評価としては、「ゲーム・オブ・スローンズ」をしのぐとか、
「ゲーム・オブ・スローンズ」よりもっと面白いとか興味ある論評が幾つか書かれています。
何ですって? 「ゲーム・オブ・スローンズ」より面白い!なんて・・・
(長いので以下GOTとします)
GOTも十分面白くて嵌りこみましたけど、それを上回るなんて、もう期待大ですね。
GOTのノリでシェークスピア史劇が楽しめるなんて、こんな素敵な事はありません。
因みにGOTも癖になり一気にS5迄観終わりまして、S6の配信待ちです。(スターチャンネルは今月
米国公開と同時に配信になる様です。huluさんもなるべく早くお願い致します)。
アッ又話が逸れました(汗)

その昔多分(忘却の彼方)本を読んだ様な気がするのですが 全く頭に入って居なかったのですが、
今回「ホロウ・クラウン」を観ると人物関係や名前がスッと頭に入って来ます。
やはり映像で視覚から入る方が分かりやすいんだとつくづく感じたのです。
それに加え S2がそんなに面白く作ってあるなら猶更期待大です。
以前からアチコチで ”セクシーなリチャード”と評されていたベネディクトがどんな悪王を演じて
いるのか 楽しみだけど観るのがチョット怖い気もするのですが。







一部情報に依れば、5月(日時不明)にhuluでS2の配信が決まったという噂(?)が出ています。ホント
でしょうか?
そんなに早く観られるなんて予想もしていなかったんですが、事実なら本当に嬉しいんですけど・・・
でも、そんな早い筈ないでしょうね(泣)
(あちこちチェックしてみましたが、今現在正確な情報が分っていません)。
DVD買おうかどうか迷っていたんですけど 日本語字幕付きは何より有難いので出来るだけ早く配信になる
事を期待しつつ・・・







グラナダ版 『ギリシャ語通訳』 : (2)

2016-05-09 |  ∟グラナダ版SH
―グラナダ版『ギリシャ語通訳』”The Greek Interpreter”  (2) ―



いよいよ今晩ですね!
BSプレミアムで夜9時から”The Abominable Bride”「忌まわしき花嫁」の初放送です。

“The stage is set, the curtain rises, we are ready to begin !” ですよ~!

字幕版でも観られるんでしょうね?(きちんとチェックしてない)字幕版であれば又観ますよ。
何度も観てるのに日本語字幕版は映画館で一回だけ(だけ?)ですもの。
さあ、今晩は早めに用事を済ませてスタンドバイ致しましょう。
初見の方どんな感想を持たれるかしら?


~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


さて、話を戻しまして ”The Greek Interpreter” 「ギリシャ語通訳」の2回目です。



ディオゲネスクラブマイのマイクロフトを尋ねて来たギリシャ人通訳メラス氏が巻き込まれた
事件について語りだしました。

2日前の夜中に急な仕事を依頼されたメラス氏は不審に思いながら 訪ねて来た男が用意した
馬車に乗り込みましたが 窓にはカーテンが下ろされ行先も知られたく無い様子で何となく
物騒な雰囲気に飲まれたまま同行する事になります。
2時間ほど走った後 気味の悪い屋敷に到着し 奥から現れた眼鏡を掛けた不審な男にある
部屋へと案内されます。



そこへ包帯と猿ぐつわを噛まされたギリシャ人の男が連れて来られ、メラス氏に通訳をする
よう指示されますが、会話は全て石板による筆談により行われました。



怪しい小男は書類にサインする事を要求しているのですが 包帯の男は断固拒否しています。 
メラス氏はギリシャ語を解さない依頼主の様子をみながら 包帯の男の素性を探り出そうとしました。
それによると 男はロンドンに来るのは初めてで 拉致されて以来監禁されて3週間経つ、アテネ
出身のクラティディスだという事が分かって来ました。



そんな時突然若い女性が部屋に入ってくるなり男を見て駆け寄りますが、”ソフィー”と呼び駆け
寄る男は依頼主に頭を殴られ倒れ、女性も引き離されました。
一方メラス氏も一切口止めを約束された上馬車で送り返され路上に放りだされました。
その後、この件が心配で忘れられないメラス氏がマイクロフトに相談に訪れたという事でした。
この件を聞いたマイクロフトは既に新聞の尋ね人欄に広告を出したものの反応がなかった為 この
件を弟に任せたという経緯でした。



メラス氏から話を聞くシャーロックとジョンですが、一方マイクロフトは椅子からズッコケて居眠り
のご様子。
シャーロックは 「マイクロフトっ!」と手を叩いて起こします。(このシーン好きですね。
マイクロフトは自由奔放、無邪気で可愛い)


↑ パジェット版挿絵とBBC版のマイクロフトです。

そしてシャーロックはメラス氏に行動を注意するよう忠告して彼を帰らせました。
ディオゲネスクラブを立ち去ろうとするメラス氏を見送る例の男(馬車で迎えに来た)。何で
ディオゲネスクラブに入り込めたのか・・・・

221Bに戻る道すがら メラス氏が遭遇した人々の関係を推理するホームズとワトソンですが、ホームズ
は、英国に遊びに来た女性が悪党に口説かれてしまった。兄のクラティディスがこの交際を阻止すべ
く英国にやってきたが 彼らに監禁されてしまい彼女の財産を譲る書類にサインする様に強要されて
いるのだと推理します。


221Bに戻ると部屋のドアの下から人影がよぎるのが見えた為一瞬警戒する2人でしたが、開けてみれば
そこにいたのは何とマイクロフトでした。


途中で2人を追い越して先回りしているマイクロフトはディオゲネスクラブに籠っているという割に
フットワークが良いのです。
マイクロフトは新聞広告に対して返事が来たので早速手紙の主に会いに行こうと言います。(自分も
行くんだ)



それに対してシャーロックは、今は娘より兄の方が重要だと言い早速現場に向かおうと途中でメラス氏
の部屋へ寄りますが、メラス氏は一足先に又もや悪党に拉致されてしまっていました。

悪人たちを逮捕する為にスコットランドヤードに寄り逮捕状を出すよう依頼します。

一方メラス氏は又もや通訳をやらされていますが、妹の命を盾に脅されるクラティディス氏は遂に書類に
サインをさせられてしまいました。

やっと捜査令状が出され 急ぎ屋敷に向かった一行が到着した時には既に一足早く彼らは立ち去った
後でした。
しかし2階に向かうとそこには倒れているメラス氏とクラティディスを発見しますが、既にギリシャ人
は死亡していました。








・・・・・to be continued です。




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『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index







グラナダ版 『ギリシャ語通訳』 : (1)

2016-05-04 |  ∟グラナダ版SH
―グラナダ版『ギリシャ語通訳』”The Greek Interpreter” (1) ―



BBC版 ”The Abominable Bride” 「忌まわしき花嫁」の初TV放送日が近づいてきました。
未だご覧になっていない方は首を長くして待っていらっしゃる事と思います。
私もDVD発売直後から視聴し、勿論劇場でも初の映画版を鑑賞してまいりました。
拙ブログにても3ケ月余り前から感想と検証を書かせて頂いていたのですが、その際も触れて
いたのですが、今回のSpecial ”The Abominable Bride”(以下TAB)は正典”The Greek
Interpreter”「ギリシャ語通訳」からの引用が予想以上に多く、グラナダ版へのオマージュも
多数見受けられました。


冒頭ベーカー街のシーンはグラナダ版そのものだし、イントロミュージックもグラナダ版の
物を使っているし 一瞬パクリかと思う程の拘り様で思わず感動しましたっけ。

↑ 左がグラナダ版、右がBBC版

前回も書きましたが、グラナダ版は正確に正典を引用しているので(今回のギリシャ語通訳は
若干の変更がみられますが)、正典を読んで居なくてもグラナダ版の「ギリシャ語通訳」を見る
事によってTABを観る楽しみが増える様な気がします。
「1粒で2度美味しい‼』

そんな訳で、久し振りにグラナダ版に触れてみようと思います。
TABに関してダラダラ書いた時は正典及びグラナダ版との類似点、オマージュ点について触れまし
たが、ダブりますが今回はグラナダ版からから見たTABへの引用部分に再度ふれました(クドイですね)。

尚、文中に記した正典の内容及び訳は 何時も重宝させて頂いている『原文で読むシャーロック・
ホームズ』から引用させて頂いております。

「ギリシャ語通訳」は兄のマイクロフトが初登場する記念すべき作品で マイクロフトの人物像、
又マイクロフトが所属するディオゲネスクラブとその情景、性格も初めて描かれています。


初放送は1985年
シャーロック・ホームズ : ジェレミー・ブレット
ジョン・ワトソン : デヴィッド・バーク
マイクロフト・ホームズ ; チャールス・グレイ

余談ですが、チャールス・グレイは「シャーロック・ホームズの素敵な冒険」”The Seven Percent
Solution”でもマイクロフトを演じていたそうです。(これずっと以前に観た記憶があるのですが 
良く覚えていません。)
又007シリーズ ”You Only Live Twice”(007は2度死ぬ)と”Diamonds are Forever”(ダイヤモンド
は永遠に)にも出演していた様ですが これも良く覚えていません。
色々忘れてばかりいるんです(汗)
 今回デジタルリマスター版ではないので画質が良くない事を含みおき下さいませ。




さて、概略ですが・・・
冒頭一人のギリシャ人が馬車に連れ込まれ何処ともなく運ばれるシーンから始まります。

正典と同様にワトソンの語りから始まりますが、ワトソンはこれまでホームズが一切自分の家族、係累に
関して語った事がなかったので てっきり親族がいないものだと思い込んでいた・・・・と。



一方、ベーカー街221B では、バタバタと書類の整理中(だか、散らかしているのか)のホームズが突然兄の
話を始めます。7歳年上のマイクロフトは観察力、洞察力、推理力はホームズをはるかにしのぐ優秀な人物で
あると言います。

「僕の血管を流れる才能はもしかすると僕の祖母から来たものかもしれない。フランスの芸術家のベルネの妹だ。
芸術家の血というものは奇妙な形態をとりがちだから」。
ここで、TABでマイクロフトのメモにあったVernetについて話しています。

ホームズの親族の事は全く知らずにいて兄が居る事も初めて聞いたワトソンは興味津々です。



「会ってみたいんじゃないかな?」といういたずらっぽい顔のホームズと「勿論だとも」と餌を前に尻尾を振る
犬の様なワトソンの表情が何とも言えません。

兄の依頼を受け彼が所属するディオゲネスクラブに会いに行くと聞き迷わず同行します。

ディオゲネスクラブはロンドンで最も人付き合いが悪く、最もクラブ嫌いの人間が入って居るクラブで マイクロフト
が中心となって設立されたと言われています。

(ところで、今回今更気が付いたのですが Diogeness Club -日本語ではディオゲネスクラブと表記していますが、
ホームズの発音は ”ダイオジェネス” なんですね)



ディオゲネスクラブ内の情景はBBC版の ”The Reichenbach Fall”のシーンと良く似ています。


2人が談話室に入ると窓際から外を見ていたマイクロフトがホームズを手招きし いきなり兄弟2人で窓から見える
外の人物像を推理し始めます。





如何にも この兄にしてこの弟ありって感じです。
ワトソンが呆れた様に固まって見ています。

マイクロフトの外観について正典にはこのように書かれています。
“Mycroft Holmes was a much larger and stouter man than Sherlock. His body was absolutely corpulent, but
face, though massive, had preserved something of the sharpness of expression which was so remarkable in
that of his brother”
- マイクロフト・ホームズはシャーロックよりもかなり背が高く恰幅が良い男だった。身体は完全に肥満体だった。
しかし顔は量感があったが 弟によって非常に際立っている鋭さを幾分残していた。-





又、初対面のワトソンに対して、
”I am glad to meet you, sir" said he, putting out a broad, fat hand like the flipper of a seal”
ー初めまして、と彼は言った。アザラシのヒレの様に大きな太った手を差し出しながらー
(この表現を見た時に、BBC版TABの巨大なマイクロフトの手が目に浮かびました。→ チョット過剰な程の肥満体
でしたけど、あの特殊メイクには驚きでした)。

変人振りは流石兄弟と思われるけど、お兄ちゃんの方が世慣れている風で愛想も良い感じ。


↑ BBC版TABのマイクロフトお兄ちゃん。 ”手”が・・・・



兎に角ワトソンの驚いたり、呆れたりの表情の変化を見るだけでも楽しくなります。
 

そんな時、ギリシャ人のメラス氏が訪れます。
(この”メラス氏”の名前もTABに引用されています)。

彼は英国でギリシャ語の通訳をしているのですが、二日前の夜突然男が訪れ急な仕事を依頼されたと言います。
ここからメラス氏の体験した奇妙な出来事を語り始めます。







・・・・to be continued です。




→ グラナダ版 『ギリシャ語通訳』 : (2)

『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index