The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : 最後です

2017-01-27 | A Game of Shadows
ガイ・リッチー版シャーロック・ホームズ『シャドウ・ゲーム』: 最後です


・・・続きです


部屋の中での騒動をバルコニーで聞いたホームズとモリアーティー教授。
チェスをしながらの会話は緊迫感が漂います。



(実際に版の上ではなく頭の中での駒の動きでプレイする2人ですが、駆け引きが凄くてドキドキ
してしまうのです。 この場面では実際のチェスチャンピオンが付きっきりで指導していた様ですね)
モリアーティーは数年以内に戦争は必ず起きる。自分の狙いは戦争時に一大産業となる銃弾と包帯の
供給である。 自分はそれを待つだけだ・・・と云い、”The game is over”「もう勝負はついた」と
自信満々です。
ホームズは「貴方の財産は穴が開いたかのように減っていると思う」(実は事前に色々画策していた
事を告げます)

モリアーティーといえども彼の帝国が余りに巨大である為記録が必要である。 それが「スマイソン
の手帳」(赤い手帳)である事を突き止めており、その手帳を変装して抜き取りそして工場で傷つき
ながら電報の宛先を白状させられていた時に又すり替えていた。

手帳に全て書かれている事。 その手帳は全て暗号で書かれていたが 大学を訪ねた時に見つけた
「家庭園芸読本」が暗号解読のカギである事(そんな本を読みながら窓辺に置かれた花が枯れてい
た事から)。 そして本物の手帳は既にロンドンのメアリーに届けられ彼女とレストレードで暗号
を解読したと・・・。

そしてヨーロッパの犯罪王がその全財産を盗まれている事を告げました。


慌てて手帳をだしてみるモリアーティが見た手帳の中身は魚の絵でパラパラ漫画(笑)が書かれて
おり、最後のページには”BE CAREFUL WHAT YOU FISH FOR”(字幕は「危険な魚に注意!」
となっていますが、直訳は”FISH”と”WISH”を掛けて「何かを欲しがるときは用心しろ」って感じですかね)
←以前の場面からモリアーティーがシューベルトの『漁夫の歌』やらモーツアルトの『鱒』などを好む事で
”魚”、”漁”に拘りがあるという事で”魚”モチーフになっているのではないかと想像します)
追記です
随分久し振りにSHERLOCK S3 ”The Empty Hearse”を見ていたら、地下鉄の中でシャーロックが言って
ましたね。
”Be careful what you wish for”って! すっかり忘れていた・・・ボケ


そして、モリアーティーの全財産は匿名で”戦争寡婦と遺児の基金”に寄付されている筈だ。 「チェック
メイト」と宣言するホームズにモリアーティーは、「ここで君との決着をつけたら次はワトソンとメアリーが
悲惨な最後を遂げる 」と言います。




ホームズの弱点であるワトソンの名前を出され遂にモリアーティーとの対決を決心します。
肩の傷が癒えていない為不利なホームズとモリアーティーそれぞれが「ヴィジョン」で戦いをシミュレー
ションしますが、勝ちを確信するモリアーティーに対して肩の傷で勝ち目が無いと見たホームズは自滅覚悟
でモリアーティーを抱え込み滝へ落下します。




丁度その時ワトソンがバルコニーにやって来て この瞬間を目にします。
唖然とした表情で悲嘆にくれるワトソン。

(このライヘンバッハでの滝落下シーンはどのホームズ作品でも辛いシーンで、この作品でも見ていて涙腺
が・・・・)

ホームズのお葬式には大勢の関係者が参列していますが、ワトソンは憔悴した様子で片隅に1人座っています
が、そこにシムが無言で隣に座ります。







伝記作家として経緯をタイプしているワトソンですが、ここで語り、記されている言葉は正典でも良く知られ
有名なフレーズが殆どそのまま引用されています。

”A few words may suffice to telll the little that remains.
Any attempt at finding the bodies was absolutely hopeless.  And so there deep down in the dreadful
caldon of swiring water and seething foam with lie for all time the most dangerous criminal and the
foremost champion of the law of their generation I shall ever regard him as the best and the wisest
man whom I have ever known”

THE END

「大袈裟な後日談は無い。2人の遺体の捜査は絶望的だった。 滝壺は水煙を挙げて激しく渦を巻いている。
そこに永遠に眠るのは最も危険な犯罪王 そしてこの時代最も優秀な法の番人 そして世界一の探偵である。
彼は私が知る限り最高で最も偉大な天才だった」

(この最後のフレーズ”・・・・the best and the wisest man whom I have ever known”は「The Final
Problem」を踏襲した他のどのバージョンでも必ず引用される感慨深い有名な言葉です。
BBC版でも”The Empty Hearse”で、そして最新S4の ”The Final Problem”にも引用されています←ちょっとアレ
なんですけど)


ワトソン夫妻はブライトンに新婚旅行に出かけるところでしたが、メアリーが届いた小包を持ってやって
きます。

メアリーは「彼が居なくて私も寂しいわ」と言います(第一印象が良くなく ホームズに対して余り良い
感情を持っていなかった様なのに この言葉で救いがありますよ)
ワトソンが「旅行を喜んでくれるさ」というと、メアリーが「”一緒に行く”って言うわ」←確か一作目
で当然の様に一緒に行くつもりでしたね、ホームズは。

その小包を開けると 中にあの酸素吸入器が入っていたのです。

それを見たワトソンはハッと何かに気付いた様に小包を届けたのは誰か確かめにメアリーを追って
席を立ちました。

すると・・・・・

迷彩服に身を包みソファーになりきっていたホームズが現れ ワトソンの手記を読みます。
(ホームズ得意の迷彩服!)

そして、ワトソンが文章を締めくくった ”THE END”の後にクエスチョンマーク ”?”を打ち
込みます。
↓このシーン凄くオシャレで大好きです!




本編はここで終わります。
あと少し感想を追加させて頂きます。

この作品は第一作を色々な面で大きく上回るプロット、カメラワーク、正典引用も多く格段にバージョン
アップしています。

コミカルなシーン、台詞を織り込みながらしっかりした メリハリの利いたプロットで兎に角観客を楽しま
せるという点で流石にガイ・リッチー版だと感心させられます。
そして、無駄なシーンが全く無く 後から見るとあちこちに布石が散りばめられている事に気付き丁寧な
作りである事にも驚かされますね。
キャラクター設定もホームズとワトソンの距離感と信頼感が何とも言えず嬉しいし、モリアーティー、
マイクロフトも要点は押さえながら丁度良い表現だし、メアリーの立ち位置も適度でこの程度なら某ドラマ
のメアリーの様に嫌がられたリ嫌われたリしないのにね~(わッ 言っちゃった!)

数年前にモファティスがガイ・リッチー版は意識していないと語っていたのですが、何度か見直してみると
かなりの部分がインスパイアされている様に感じます。
例えば、ワトソンの結婚式(ホームズのベストマンを含め)、ワトソンのミドルネーム”ヘイミッシュ”引用、
最後のシーンで死亡したと思われていたホームズが姿を見せ次につなげる設定 等々。

そして、最初にも書きましたが、最後のシーン(THE ENDの後のクエスチョンマーク”?”)で見られるよう
に現在撮影中の次の作品は”The Empty House”「空き家の冒険」であるのは明らかですので どの様に
ホームズが生還して姿を現すのかが興味深いし凄く楽しみです。
そして、メアリーの扱い方も・・・(この点も某ドラマの様にならない事を祈ります←未だ言ってる)

おまけ:
本作品中のホームズの変装姿あれこれ

 
 
 


最後は長々なってしまいましたが お付き合い頂き有難うございました。



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Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : (4)

2017-01-22 | A Game of Shadows
ガイ・リッチー版シャーロック・ホームズ『シャドウ・ゲーム』: (4)


・・・続きです


ホームズとワトソンは 途中武器を調達して追って来た手下と銃撃戦(このコンビネーション
が阿吽の呼吸で素晴らしい動きなんです)


探しに来たシムと共に森に逃げ込む一行をモラン大佐率いる追ってが大砲や山ほどの武器で狙う
銃撃戦は高速度カメラでのストップモーション等で迫力あるシーンになっています。





モラン大佐の狙撃を逃れながら 丁度走って来た汽車にほうほうの体で乗り込みました。

汽車の中でワトソンは自分の傷を自分で縫って治療しています(さすが元軍医)
ジプシーもタスマを除いて他は犠牲になってしまう。

ホームズは肩に受けた傷の上銃撃戦でも傷を負いシムの膝を枕に横たわっていましたが、シムが
「息をしていない」と言い慌ててワトソンが調べるのですが やはり息をしていない様子。
「死なせるものか。 私が許可しないぞ。息をしろ」と言いながら必死で心臓マッサージをする
のですが息を吹き返さないホームズ。「馬鹿野郎!」と言いながら悲痛な表情で取り乱すワトソン
をシムが抱きしめてなだめます。(ホームズここで一度死んでしまうのです)


その時フト気付いたワトソン「結婚祝いだ!」とホームズが結婚祝いに渡した薬を
(グラッドストーンを実験台にした薬)思い出しホームズに注射したのです。
薬の効き目は凄くて、ホームズは叫びながら飛び起き生還しました。

意味不明の言葉を吐き取り乱したホームズを見ながら 心底安心した様子のワトソンと唖然と
した表情のシム。
「新婚旅行は悪かった」と謝るホームズに、「私こそ」とワトソン(素直な2人。)
ワトソンが「帰らないと」とと言うと「帰ろう。スイスに寄ってから」と言うホームズ。
ライヘンバッハの古城では和平会議が開かれる事になっており、マイクロフトもそこにいる。
という事で 3人はライヘンバッハへ向かいます。



ライヘンバッハの古城には各国の元首、大使らが集い 和平会議が開かれているが、和平
会議は表向きで裏では戦争に備えていると言う危機的状況になっている。
そこにはモリアーティが顧問になって訪れている。
ホームズの推理では、シムザの兄がホフマン医師による手術で顔を変えいずれかの国の大使
になり代わり他国の首相を暗殺し 戦争へ導くだろうとの事です。


マイクロフトを囲み検討中にも拘わらず ホームズはマイクロフトの酸素吸入器で遊んいる。
(ライヘンバッハは高地ですからね)

「シャーリー止めてくれ」というマイクロフト。
(この酸素吸入器が後に重要なアイテムになるんです)

「犯行を阻止すればレネイの命も救えるし 文明の崩壊も防げる」と言うホームズ達は
ドレスアップして舞踏会に臨みレネイを探します。
(皆ドレスアップ。 シムも何時もの野性味あふれる衣装からパーティー用ドレスで似合っています)
狙うとすれば皆が一か所に集まる公式写真を写す時だと考えたホームズは 38分後に予定され
ているというマイクロフトの言葉に従い、それまで踊ろうとシムを誘います。

踊りながら周囲を観察するホームズ。

・・・そして、ホームズが次に手を差し伸べたのはワトソン・・・

え?ワトソンと踊る? ホームズが手を差し伸べると「よろこんで」と当たり前の様に手を取り
合って踊る2人ってぇ・・・・
ホームズの「ダンスは誰に教わったんだ?」、に「君だよ」とワトソン。
(そう、そう言えばBBC版でもジョンにダンスを教えて居たんですよね、シャーロックが)

二人で踊りながら周囲の人達を窺います。

ホフマン医師の手術により顔に傷がある筈、武器工場に居た双子が整形手術の実験台になっていた
のだとホームズが思い出し、暗殺者は6人の大使の何れかになりすまし他国の首相を暗殺し大戦を
引き起こす筈だと考えますが ホームズはレネイ探しをワトソンとシムに任せてモリアーティーを
バルコニーに呼び出します。


バルコニーで待つホームズの所へモリアーティがやって来て 2人はチェスの早指し対決をする
事になります。

一方レネイを探すワトソンとシムは周囲の大使達の様子を探ります。
「レネイの目は青い」 → 「色ガラスのレンズで変えられる」(コンタクトレンズの事?既に
あったんですか? ビックリ!)「ただし目がかなり痛む」
「兄は左利き」 → 「ばれない様に振舞うから手は見せない」
中々見つけられないのでワトソンは、演ずることで頭が一杯だと不意を突かれた時に反応できず
ボロが出る・・・で、とっさにシャンペングラスをひっくり返して周囲を驚かせます。
その時シムが大使の1人に成りすましていたレネイらしき人を見つけ説き伏せようとするが銃を
構える兄。
それをワトソンとマイクロフトが取り押さえる事が出来ました。

しかし、暗殺は阻止されたものの 連行される途中レネイはモラン大佐による吹き矢で毒殺され
てしまいます。




佳境に入って見どころが多い為画像も多くなってしまいました。
次回でクライマックスを迎えます。


・・・・・ to be continued です。


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Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : (3)

2017-01-18 | A Game of Shadows
ガイ・リッチー版シャーロック・ホームズ『シャドウ・ゲーム』: (3)


・・・続きです


馬車でジプシーの集落へ到着した2人はシムザと会う事が出来 彼女の兄のレネイが危険
人物に係っている事を説明し 兄の行方を尋ねます。

その間振舞われた珍味「ハリネズミのスープ」等頂きながら(怖)レネイが残した絵から
手掛かりを探り”古い印刷機の傍にあるワインセラー”と推論したホームズに、シムザは
”緑のウサギ”というアナーキストのアジトだと言います。
兄はそのリーダーのクロード・ラバシュと言う爆弾魔と親しくしていたという事が判明します。
そしてシムザに誘われるままに民族ダンスを踊るワトソン。ホームズは「止めて置け。死ぬぞ」
と言いますが ノリノリでダンスに興じるワトソンの動きが~~~!!

踊っている場合ですか?(笑)
(この時のBGMが ”Romania Wind”という曲でとてもテンポが良い雰囲気のある曲ですね)

一方助けられたメアリはマイクロフトの家にかくまわれていました。 が・・・
全裸兄(!!)← 変人兄弟は困ったモンだ・・・です(汗)(画像は自主規制しますね)
暗号になっている電報がワトソンから届くのです。
「大嫌いなメアリ、君には二度と会いたくない・・・」とか何とか。 ショックを受ける
メアリに全裸兄(!)は全部反対の意味なのだと説明します。 けど、困ったお方です、
お兄様。

シムに案内されホームズとワトソンはラバシュに会いに行きます。
レネイは英国人支配者(モリアーティー)の言いなりになっており 恐ろしい計画の実行
を依頼されている。

爆弾を仕掛けているが爆発まであと10分だと言うラバシュに場所を聞き出そうとした時
眼の前で自殺してしまいました。
手下たちに追われながら 「ホームズビジョン」で抜け穴を推察し、爆弾が仕掛けられた
場所はオペラ座であろうと推論したホームズが急ぎ向かったオペラ座では「ドン・ジョバ
ンニ」の公演中。

物陰からモリアーティーが観劇中である事を見つけたホームズは間違いに気付き慌てて
向かいのホテルに向かいます。

 
そこでは商人のマインハルトの通商会議が行われており 一行が駆け付けたものの間に
合わず目の前で爆破されてしまうのです。

現場を検証したホームズは、マインハルトは爆破の前に射殺されている事を突き止め
爆破が隠蔽工作であり セバスチャン・モラン大佐が狙撃したのだと推測しました。
マインハルトは”大きな銃”を製造していたが 数日前に彼の会社の株がが何者かに
より買い占められていた事を知ったホームズは変装してモリアーティの行動を探り 
彼等がマインハルトの工場があるヘイルブロンに向かう事を突き止めたのです。

爆破事件のせいで国境が閉鎖されている為 抜け道を良く知るシムザ率いるジプシー
一行に導かれてドイツ国境を抜けることになりました。
馬に乗っての旅になるのですが、ホームズがぐずって馬に乗りたがらない。



ワトソンが「扱いやすい馬を」と頼み、結局 ”ポニー” に乗るホームズ。
ポニーですよ、ポニー、もう・・・・(笑)
一行がとっくにとっくに先を行くのに ず~~っと遅れてパカパカとポニーに乗る
ホームズが何とも可愛いんです(笑)
天才で無敵の格闘家でありながら馬に乗れないって落差が良いですね。

辛くも国境を越え マインハルトの物であった工場にたどり着き様子を覗い侵入しよう
とするホームズとワトソン。
そんな緊迫感のある時に ホームズはワトソンに何度も「幸せか?」と尋ねるんですね。
(又2人で冒険をする事が幸せか?と聞いている訳なんですが・・・。やっぱり戻って来て
よって言いたいんでしょうね)

ワトソンに電報局でマイクロフトに電報を打ち4時までに戻って来いと指示し 自分は一人
で工場に忍び込みます。
工場の中は膨大な数の兵器で埋め尽くされてる 兵器工場でした。
様子を覗っていたホームズはモラン大佐に見つかってしまい捕えられてしまいます。


一方人目を避けて電報を打ち終わったワトソンが戻って来るとホームズからのメモが残っています。

”Watson, come at once if convenient, if inconvenient, come all the same”
「都合がよければすぐ来い、都合が悪くてもすぐ来てくれ」← (字幕は 『・・・都合が
悪くてもするべき事ことをしてくれ』って感じだったのですが、これはどうなんだろう?
チョット微妙な感じがするのは私だけかしら?)
(これは正典”The Creeping Man” 『這う男』でホームズがワトソンに送った電報にある
文章で良く知られたホームズ語録の1つです。
BBC版の”A Study in Pink”ではテクストで、”The Abominable Bride”では電報で、と共
に引用されています)
そのメモには場所を示す絵も描かれていました。


モラン大佐に捕えられたホームズ、勿論モリアーティーが居りました。
誰に電報を打ったのかを問い詰めますが白状しないホームズの肩にカギフックの様な物を打ち
込み天井から吊り下げ拷問します(痛そう!)

モーツアルトの「鱒」のレコードを掛け 自ら歌いながらホームズを拷問するモリアーティー
はスピーカーでその音を外へ流し ホームズの苦悶の声もワトソンに聞かせると言う冷酷非情さ。
結果電報はマイクロフトに送ったのだと白状させられるホームズ。(実は白状したと見せかけ
ながらモリアーティーからある物をすり取っていたんですね)


一方ワトソンもドイツ兵に捕えられるのですが それをモラン大佐が銃撃しようと狙っていました。
銃撃を逃れながら大砲を見つけたワトソンが間一髪でホームズの絵にあった灯台を爆破します。

破壊された工場に入りホームズを探すワトソン。
瓦礫のなかでやっと見つけたホームズは、”Always good to see you, Watson”(会えて嬉しいよ)
←字幕は 「来てくれると思った」と・・・)


..... to be continued です。


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→ Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : (4)





Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : (2)

2017-01-14 | A Game of Shadows
ガイ・リッチー版シャーロック・ホームズ『シャドウ・ゲーム』: (2)


・・・続きです

Stag Party会場へ自動車で向かう2人ですが、やはり当時珍しい自動車を道行く人達が
珍しそうに眺めているシーンも時代背景を映し出しています。
その自動車の中で結婚について議論を交わす2人。
ああ言えばこう言う もう丁々発止です。
結婚して家族を築くことが如何に素晴らしい事か言い募るワトソンにことごとく反論する
ホームズは結局「結婚地獄で苦しむより孤独死の方がましだ」と言い切ります。


クラブに到着するとそこには兄のマイクロフトも来ていました。
お互いに”マイキー”、”シャーリー”と呼び合います(笑) 何となく可愛い。
(BBC版ではジャニーンがシャーロックを ”シャール”と呼んでいましてけどね~⤵ )

(この作品での兄弟はあまり反目していないようですね。
そして、ここでの天才2人の唐突に始まる会話は余人の立ち入る余地はない感じで言葉が
飛び交います)←「ギリシャ語通訳」、BBC版「忌まわしき花嫁」での会話に通じますね。
マイクロフトはフランス語を話す国とドイツ語を話す国で問題が起こり、今夜の話し合い
も決裂し、結局スイスのライヘンバッハで和平首脳会談が行われるのだと告げます。

クラブでのパーティーには他の友人は誰も誘われておらず ホームズとワトソンの二人
きりである事にワトソンはガッカリしムカついている。

そんなワトソンにシャンペンで祝辞を述べながらホームズは上の空で周囲を観察しています。
(この時ワトソンのフルネーム ”John Hemish Watson”と言っていますね。 これはBBC版
の”The Sighn of Three”でも取り上げられていました)
best manを務めるホームズに指環を託したワトソンは憂さ晴らしに賭博に興じます。

その間、ホームズはホフマン医師が持っていた手紙をジプシーの占い師であるマダム・シムザ
に届け この手紙がシムザの兄のレネイからである事を告げます。


その部屋には暗殺者が潜んでいて(天井にはっついている←忍者か!)それに気づいたホームズ
との戦いになります。
(この時も『ホームズビジョン』で脳内シミュレーション。ホームズの動きは切れがあります)
クラブ内でシムザと共に暗殺者との大立ち回り。
(ジプシーのシムザも野性的で男前、なかなかカッコ良いんです)
やっとの事で暗殺者を撃退しますが、その間ワトソンは酔いつぶれ、掛け金を巡って大立ち
回りでのびてしまうのです。

翌朝、未だ酔いが残り満身創痍のワトソンを自動車で結婚式場迄送り、甲斐甲斐しく身の回り
の世話をするホームズは何時もと役割逆転です。






無事式を終えた2人を庭の隅で見守リ立ち去るホームズが寂しげで・・・(涙)


帰ろうとするホームズの自動車の傍にはモラン大佐が待ち受けており、大学のモリアーティー
を訪ねるように伝えます。

大学内でホームズはモリアーティー教授と初めて直接会う事になりますね。

ここでの表裏一体の天才2人の会話は緊迫感があります。
(正典ではモリアーティーが221B のホームズを突然訪問することになっていましたけどね)


そして、モリアーティーは、アイリーンが最後に手にしていたイニシャル入りのハンカチを
見せ、彼女が死んだこと、新婚のワトソン夫妻にも危害が及ぶ事をほのめかすのです。
ホームズはアイリーンの形見になったハンカチを手にし、「もしあなたをこの手で破滅させら
れるなら 命など惜しくない」と言い対決を宣言します。

これは正典にもある言葉ですが、グラナダ版では、
「君を確実に破滅させることが出来るならば、公共の利益の為に僕は喜んで死を受け入れよう」
と語られています。

新婚旅行へ出発するワトソン夫妻が列車の乗り込みますが、その列車にはモリアーティーの配下
が同乗しており2人を狙っています。
そんな時に女装をしたホームズが現れ 事前に色々仕掛けて置いた罠や仕掛けで彼らと猛烈な
戦いになります。

(これが え、え、え~~?? のホームズの恐ろしい女装!! )
いやいや、「酷い変装だが時間が無かった」と言うホームズはワトソン夫妻を守るため必死なん
ですよ。

↑ 化粧をしたランボーか?


途中鉄橋でメアリーを列車から突き落とたホームズは「もう安心だ。完璧なタイミング」だと
言いますがワトソンは大激怒で「殺したのか!」と詰め寄りますが「彼女は無事だ。私の兄が
付いている」となだめるホームズ。


川に落ちたメアリーの傍へボートに乗ったマイクロフトが救出に来ていたのです。
「ご結婚おめでとう、ワトソン夫人。 もう一人のホームズです」と長閑なマイクロフト。

新婚旅行中なのに何故巻き込むのかと詰め寄るワトソンに、彼らの狙いはワトソンである事。
ただ自分が守ると言うホームズはカッコいいんですけど なんせあの扮装ですから・・・(悩)
そして敵と戦うために再び探偵と助手の関係を復活する事になります。

列車内の敵をやっつけた2人ですが、ホームズはシムザの兄がこの事件の鍵である事を語り、パリ
の郊外にジプシーの集落があるので そこに居るであろうシムザの荷物を返す事を口実に彼女に
会う為まずパリに向かう事になります。


パリに向かう船上で ワトソンはホームズのバッグの中にアイリーンのイニシャル入りのハンカチ
を見つけますが、ホームズは何とも言えない表情でそのハンカチを海に捨てます。その様子を複雑
な表情で無言で見つめるワトソン(なんか切ない)。



・・・・・to be continued です


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Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : (1)

2017-01-10 | A Game of Shadows
ガイ・リッチー版シャーロック・ホームズ『シャドウ・ゲーム』:(1)


ワトソンの語りで始まるプロローグは、1891年フランスとドイツが対立してヨーロッパでは
連続爆破事件が発生している。 アナキストの仕業だと言われているがわが友ホームズは
全く異なる考えを持っている。 とタイプライターで記録しています。

で、フト考えると、ワトソンはどの作品でも(現代版は除き)ノートに筆記していますが、タイ
プライターを使うワトソンはこの作品が初めてだと思います。


怪しげな行動をするアイリーン・アドラーを尾行するのは中国商人に変装したホームズで
す(この変装の方が怪しい)。 しかし、アイリーンは一枚上手でホームズの行動を察知し
彼女の護衛達との決闘シーンとなってしまいます。 
ここで、前作同様の戦闘シーンでは, ホームズの脳内シミュレーション(いわゆる”ホーム
ズヴィジョン”)で始まるコマ送りの様なシーンで早速楽しめますね。

↑ すべての動きを頭の中でシミュレーションして・・・

ホームズとアイリーンはお互いに特別の感情を持って居ながら、そしてそれをお互いに知り
ながらも相変わらず敵対しているし、そんなアイリーンはモリアーティの手先になっている
訳ですね。

アイリーンが競売所に持ち込みある手紙と引き換えにホフマン医師に謝礼として渡す小包に
は爆弾が仕掛けられていたが、すんでの所でホームズが爆破を回避します。
件の手紙はアイリーンの手からホームズが奪い取ります。
(ここでホームズがモリアーティーを称して、”He is the Napoleon of the crime”(彼は
犯罪界のナポレオンだ)と言っています。 これは正典”The Final Problem”『最後の事件』
での良く知られたホームズのセリフですね。)
しかし、爆弾を渡されるはずの医師は結局外で吹き矢により殺されてしまい守ることは出来
なかったのです。
(この時モラン大佐の姿がチラつき、犯人がモラン大佐であろうと思われるんですね)

結果報告をする為モリアーティーと会うアイリーンですが、肝心の手紙をホームズに奪われ
た失態により用なしとみなされ 毒入り紅茶によりあっさり殺されてしまいます。
 
(え? ここでアイリーン殺されちゃうの? チョットがっかり!)
アイリーンとサヴォイでのディナーの約束をして到着を待ちわびるホームズは 何時までも
現れないアイリーンにすっぽかされたと思い1人寂しく食事を始める。(この時ホームズは
アイリーンの悲劇を知らないんです・・・)

メアリーとの結婚を明日に控えたワトソンがベーカー街のホームズを訪れます。
(既に221Bを離れていたんですね)

(この時のベーカー街のシーンにチョット注目。 地下鉄(Tube)の建設工事中なんです。
ちょっと気になり、この辺りのTube路線が何時出来上がったかを確認してみたところ、1863年
完成となっていました。 ん?とするとワトソンの語りにあった年と祖語がある様な気もする
が・・・確認間違いかも、だし、まぁ、細かい事はどうでも良いか・・・。
そう言えば前作はタワーブリッジ建設中でしたね。 さりげなく当時の時代背景を組み込む
細かい演出に唸らされます)

ワトソンがホームズの部屋に入ろうとすると部屋の中は熱帯ジャングルの様。
鳥やヤギまで・・・・


ホームズが「探してごらん」と囁いてね、で、ワトソンが興味無さそうにさり気なく椅子に
座り新聞を読み始めると吹き矢で気を引こうとするホームズ← 子供(笑)
「私は何処にいるかな?」と迷彩服に身を包んで周囲に溶け込んでいただホームズが現れると、
チラと見たワトソンはその時少しも騒がず、「恥ずかしいぞ、着替えろ」と一言。

それを聞いたホームズは反撃してワトソンの服装をけなす。特に婚約者が編んだダサい手編み
のマフラーは。(やっぱり焼いてる?)
ワトソンが新聞を読みながら顔も上げず「会えて嬉しいよ」と言うと、いきなり近寄り「嬉しい?
そうか?」とホームズ。(マジで聞いてる)

ハドソンさんが現れワトソンに訴える。 一人になってからコーヒーとタバコとコカの葉しか
口にせず 眠らず 役者みたいな声音で・・・療養所に入れてくれと・・・
そんなワトソンに「何の用だ」と尋ねるホームズですが、「明日結婚するんだ」と言うワトソン
に、「オー、そうか、おめでとう!」と幾分わざとらしく言いながら(しかも顔引きつってるし)
ハグする2人。

↑ ワトソンの背中には未だ吹き矢が刺さったまま・・・

すると、ワトソンは「痩せたか?」、ホームズは「君は太ったな。メアリーのマフィンの食べ
過ぎだ」って・・(何なんでしょう、抱き合ってお互いの身体の変化を確認する この2人の会話は(笑)

我々の最後の事件だ、とワトソンの元の診察室に入ると 壁一面に各地で起きた犯罪事件を示す
記事が張り巡らされており その全ての事件の中心にはモリアーティー教授が居るのだとホームズ
が示します。



「まるで蜘蛛の巣だ」と言うワトソンの評するモリアーティー教授とは、天才数学者、高名な作家
であり講師、ケンブリッジ大学の拳闘の王者で首相の学友であると。
(この”蜘蛛の巣”という表現も正典に示されています)
ホームズは、”It's a game, dear man, a shadowy game” (これは影の戦いなのだ)。「モリ
アーティーを倒す。奴の邪悪な陰謀を絶対阻止する」と言い乾杯しようとグラスに注いだのは
クロロホルム。 それを見たワトソンは「異常だ」って。

(ここでホームズは”dear man”という表現をしています。 聖典では大体”my dear Watson”
と言っていますが、この”dear man”も親しい人への呼びかけの感じですね)

そんな時、又してもワトソンの愛犬グラッドストーンに襲う悲劇! 又もやホームズの実験台
に・・・・ 瀕死状態のグラッドストーンにホームズがヤギの副腎から抽出したホルモン特効
薬を試しに使うと一瞬にして薬で息を吹き返すものの、何とも不憫なグラッドストーン!
ホームズはこの特効薬を結婚祝いとしてワトソンに渡しますが、「僕の犬を何度殺すんだ!」
とワトソン怒るのも無理ないしね~。

そして2人はワトソン独身最後の晩を過ごす”stag party” へ出かけます。
(”stag party”とは独身男性が結婚前の最後の晩を男性のみで楽しむパーティーです。
”stag night”とも表現されますね。)


・・・・・to be continued です


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Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : はじめに

2017-01-06 | A Game of Shadows
ガイ・リッチー版シャーロック・ホームズ『シャドウ・ゲーム』


遂にBBC版”SHERLOCK S4”の放送が始まり、UKでは視聴した方々の検証等がネット
上で嵐の様に盛り上がっています。
UK時間8日にはE2 ”The Lying Detective” が放送になりますので より大変な事に
なりそうですね。 で、私はそんな情報を横目でチラチラ見ながらも 取りあえずDVD
到着迄大人しく待つと我慢しながら、その間も前回ご紹介した様にAXNミステリーでは
シャーロック・ホームズ特集も放送されていて 兎に角「シャーロック・ホームズ」に
満ち溢れています(嬉)

それに関連して、ガイ・リッチー版ロバート・ダウニー・Jr.のシャーロック・ホームズ
3作目の製作が発表され既に撮影開始されているのではないかと思われます。
2作目の ”A Game of Shadows”以後随分時間が経ってしまいましたが、やっと!という
事で楽しみです。

追記です
3作目が撮影開始されているというのは、噂先行の誤報だった様です。
訂正させて頂きます。

そんな訳で、今更ですが前回2作目の『シャドウ・ゲーム』”A Game of Shadows”を
思い出したので久々にDVDを引っ張り出しまして見直しましたので、粗筋を書いてみよ
うかと思い立ちました。


1作目は : ”SHERLOCK HOLMES” (2009年)でした。


2作目の”A GAME OF SHADOWS” 『シャドウ・ゲーム』は2011年制作


監督、主要出演者は1作目と同じく、

監督 : ガイ・リッチー Guy Ritchie
脚本 : ミシェル・マロ―二―&キーラン・マロ―二― Michael Mulroney & Keiran Mulroney
出演者 :
 
シャーロック・ホームズ ”Sherlock Holmes”= ロバート・ダウニー・Jr. ” Robert Downey Jr.”
ジョン・ワトソン ”Dr.John Watson” = ジュード・ロウ ” Jude Law”

  
シムザ・ヘロン ”Madam Simza Heron” = ノオミ・ラパス ” Noomi Rapas”(この方最初
気付かなかったんですが、『ミレニアム : ドラゴンタトゥーの女』のリスベストだったんですね)
ジェームズ・モリアーティー ”Prof. James Moriarty” = ジャレッド・ハリス ”Jared Harris” 

 
マイクロフト・ホームズ ” Microft Holmes” = スティーヴン・フライ ” Stephen Fry”
アイリーン・アドラー ” Irene Adler” = レイチェル・マクアダムス ” Rachel McAdams”

 
メアリー・モースタン・ワトソン  ”Mary Watson” = ケリー・ライリー ” Kelly Reilly”
レストレード警部 ”Inspector Lestrade” = エディー・マーサン  ”Eddie Marsan”

(Warner Bros. Pictures)

1作目はオリジナルストーリーでありながら 各所に正典からの引用が用いられていてハチャメチャ
ホームズ、武闘派ホームズ、又史上初ホームズより背の高いカッコ良すぎのワトソンを登場させ、
ガイ・リッチー独特の演出、独特のカメラワーク等を駆使してハリウッド製らしいホームズ作品で
当初の不安を払拭する様な楽しめる作品になっていました。
最初にこの作品を見る前は、これまでのロバート・ダウニーJr.のイメージからホームズって全く
結びつかず、果たしてどうなんだろう?と怖々見たのですが、見ているうちに何となく馴染んで(笑)
きて次第に引き込まれた事を思い出します。

この2作目は正典「最後の事件」”The Final Problem”をベースにし、ワトソンの結婚等、又引き
続きアイリーン・アドラーがチョットだけ出演、兄のマイクロフト、宿敵モリアーティー教授登場等
登場人物に関しても盛り沢山で小難しい事は言わずに楽しめる作品になっています。
ホームズとワトソンの関係の描き方に関しては前作から色々な発言もあり物議を醸して居りましたが、
個人的にはあくまでも”強い信頼感に基づいた友情、或はその延長線(?)”であると思うし(微妙)
変な先入観を持たずに見ましょう(??!)

ロバート・ダウニーJr.のホームズは相変わらずのはじけっぷりで、正典のミステリアスな部分を残し
つつも 天才でありながら奇人っぷりは凄まじく 又大人になりきれない少年だったり、時には非常に
紳士っぷりを示したり、もあるし兎に角勇猛だし、ワトソンに対する思いやりも十分あり・・・等々
非常に興味深いキャラクターになっています。
一方、ジュード・ローのワトソンはメアリーとの結婚を控え221Bを離れルンルンの日々(古!)であり
ながら、ホームズとの絆も切りがたく、事件解決に奔走する事への未練等複雑な心境の時期に入って
いますね。

ホームズのアクションシーンは相変わらず健在で 超高速カメラ(高速ファントムカメラ)を使った
カメラワーク、ホームズヴィジョン、格闘シーン、戦闘シーン等1作目より益々進化しています。
兎に角派手なホームズ作品ではありますね。

又今回のホームズ変装シーンは何とも笑っちゃう姿やら、え、えええ・・・?!の姿やらを見せて
くれます。 大サービス!(笑)
それとは異なり チョット涙をそそられたリ、胸が痛くなる様なシーンもあり、『正統派グラナダ版』
とは全く異なるテーストでありますけど、これぞガイ・リッチー版 ハリウッド版ホームズとして肩の
力を抜いて結構楽しめるので これはこれで結構気に入っています。
『グラナダ版』と比較なんてしてはいけません!



前置きが長くなりましたが、次回から本編のあらすじ、感想等に移りたいと思います。

→ Sherlock Holmes 『A Game of Shadows』 : (1)