『猟犬』ハヤカワ・ポケット・ミステリ(2015/2/5
ヨルン・リーエル・ホルスト(著)、猪俣和夫(翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
17年前の誘拐殺人事件で容疑者有罪の決め手となった証拠は偽造されていた。捜査を指揮し
た刑事ヴィスティングは責任を問われて停職処分を受ける。自分の知らないところで何が行
なわれたのか?そして真犯人は誰なのか?世間から白眼視されるなか、新聞記者の娘リーネに
助けられながら、ヴィスティングはひとり真相を追う。しかしそのとき、新たな事件が起き
ていた…。北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞をはじめ、マルティン・ベック賞、ゴール
デン・リボルバー賞の三冠に輝いたノルウェーの傑作警察小説。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞
の3冠を達成した本です。ポケミスではノルウェー作家の作品は過去1960年にあり、本書が2
作目となるそうです。
北欧ミステリは好きで結構読んでいたのですが、ノルウェイの作品はあまりお目に掛かった事
がありませんでした。
実は、本書の前に『カタリーナ・コード』を読んだのですが、とても面白かったのですが、後
になってこのヴェスティングシリーズの2作目(翻訳されたものとして)であった事を知りまし
て、では、と遡って1作目の『猟犬』に取り掛かったという経緯がありました。 (本国では8作
目との事です)
主人公はラルヴィク警察のベテラン警部ヴィリアム・ヴィスティング。
17年前に捜査指揮をとった誘拐殺人事件の証拠であったDNA鑑定に関して証拠捏造疑惑が浮上
し 停職処分を受けたヴェスティング警部は自宅待機となるも 過去の膨大な資料を持ち帰り
独自に再検証を行います。
ノルウェイ最大のタブロイド紙で事件記者をしている娘リーネは、父親の件がスクープとして
報じられる事を知り、父親の汚名を返上するべく 記者としての視点で事件を追って奔走します。
リーネは新たに起きた男性殺害事件を取材しながら 父の係わった事件も追ううちに二つの事
件が重なっていきます。
停職処分を受けたヴェスティングも 新聞記者であるリーネも共に捜査の中心には係われない
立場である為制約を受け、困難を乗り越えて真相に辿り着こうという行動力には引き込まれます。
現在進行中の事件と過去の少女誘拐事件の真相が事後検証的な観点で展開されて行くのですが、
それぞれの事件を巧みにからめたしっかりしたプロットは圧巻です。
そして、警察の捜査方法、組織のしがらみ、科学捜査、警察捜査から裁判に至るまでの流れ等
子細に描かれていて、ストーリーの迫真性を強めているのを感じますが、それもその筈、この
作品を書いた時点では著者は現役の捜査官であったそうです。
派手さは無いけれど、静謐な語り口と 堅牢な構成の安定感のある本格ミステリと感じました。
キャラクタ-設定としても、何より父ヴィリアムと娘リーナの関係がとても柔らかく好ましい
のです。
ヴィスティング自身は妻に先立たれ、心の隙間を埋める様にカフェバーのスサンネと同居をす
る様になっているのですが、次第に2人の考え方の違いが大きくなり、距離が離れる様になって
来ます。
次作の「カタリーナ・コード」では、リーナが未婚の母になり(ビックリ)新聞社は産休中
で父親のす傍の家に住んでいる。 そしてリーナの双子の兄が登場していますが、軍に勤め
るこのお兄ちゃんもリーナの娘を可愛がり、それぞれ家族関係がとても微笑ましいのが又好
ましい点です。
他の登場人物もそれぞれ良い味を出しています。
とても安定感のある楽しみなシリーズになりました。
「カタリーナ・コード」の次の作品の翻訳を待ちたいと思います。
ヨルン・リーエル・ホルスト(著)、猪俣和夫(翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
17年前の誘拐殺人事件で容疑者有罪の決め手となった証拠は偽造されていた。捜査を指揮し
た刑事ヴィスティングは責任を問われて停職処分を受ける。自分の知らないところで何が行
なわれたのか?そして真犯人は誰なのか?世間から白眼視されるなか、新聞記者の娘リーネに
助けられながら、ヴィスティングはひとり真相を追う。しかしそのとき、新たな事件が起き
ていた…。北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞をはじめ、マルティン・ベック賞、ゴール
デン・リボルバー賞の三冠に輝いたノルウェーの傑作警察小説。
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北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞
の3冠を達成した本です。ポケミスではノルウェー作家の作品は過去1960年にあり、本書が2
作目となるそうです。
北欧ミステリは好きで結構読んでいたのですが、ノルウェイの作品はあまりお目に掛かった事
がありませんでした。
実は、本書の前に『カタリーナ・コード』を読んだのですが、とても面白かったのですが、後
になってこのヴェスティングシリーズの2作目(翻訳されたものとして)であった事を知りまし
て、では、と遡って1作目の『猟犬』に取り掛かったという経緯がありました。 (本国では8作
目との事です)
主人公はラルヴィク警察のベテラン警部ヴィリアム・ヴィスティング。
17年前に捜査指揮をとった誘拐殺人事件の証拠であったDNA鑑定に関して証拠捏造疑惑が浮上
し 停職処分を受けたヴェスティング警部は自宅待機となるも 過去の膨大な資料を持ち帰り
独自に再検証を行います。
ノルウェイ最大のタブロイド紙で事件記者をしている娘リーネは、父親の件がスクープとして
報じられる事を知り、父親の汚名を返上するべく 記者としての視点で事件を追って奔走します。
リーネは新たに起きた男性殺害事件を取材しながら 父の係わった事件も追ううちに二つの事
件が重なっていきます。
停職処分を受けたヴェスティングも 新聞記者であるリーネも共に捜査の中心には係われない
立場である為制約を受け、困難を乗り越えて真相に辿り着こうという行動力には引き込まれます。
現在進行中の事件と過去の少女誘拐事件の真相が事後検証的な観点で展開されて行くのですが、
それぞれの事件を巧みにからめたしっかりしたプロットは圧巻です。
そして、警察の捜査方法、組織のしがらみ、科学捜査、警察捜査から裁判に至るまでの流れ等
子細に描かれていて、ストーリーの迫真性を強めているのを感じますが、それもその筈、この
作品を書いた時点では著者は現役の捜査官であったそうです。
派手さは無いけれど、静謐な語り口と 堅牢な構成の安定感のある本格ミステリと感じました。
キャラクタ-設定としても、何より父ヴィリアムと娘リーナの関係がとても柔らかく好ましい
のです。
ヴィスティング自身は妻に先立たれ、心の隙間を埋める様にカフェバーのスサンネと同居をす
る様になっているのですが、次第に2人の考え方の違いが大きくなり、距離が離れる様になって
来ます。
次作の「カタリーナ・コード」では、リーナが未婚の母になり(ビックリ)新聞社は産休中
で父親のす傍の家に住んでいる。 そしてリーナの双子の兄が登場していますが、軍に勤め
るこのお兄ちゃんもリーナの娘を可愛がり、それぞれ家族関係がとても微笑ましいのが又好
ましい点です。
他の登場人物もそれぞれ良い味を出しています。
とても安定感のある楽しみなシリーズになりました。
「カタリーナ・コード」の次の作品の翻訳を待ちたいと思います。