『たとえ天が墜ちようとも』創元推理文庫-2020/9/24
”The Heavens May Fall”
アレン・エスケンス(著)、務台夏子(翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
高級住宅街で女性が殺害された。刑事マックスは、被害者の夫である弁護士プルイットに疑いを
かける。プルイットは、かつて弁護士としてともに働いたボーディに潔白を証明してくれと依頼
した。ボーディは引き受けるが、それは親友のマックスとの敵対を意味していた。マックスと
ボーディは、互いの正義を為すべく陪審裁判に臨む。『償いの雪が降る』の著者が放つ激動の
法廷ミステリ!
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
『償いの雪が降る』の著者による次作。
前作が本当に心に染みる 印象に残る作品でしたので、楽しみにしておりました。
ミネソタ州ミネアポリスのケンウッド地区と呼ばれる高級住宅地の路地で女性の遺体が発見されます。
捜査の担当刑事マックス・ルパートは女性が敏腕弁護士であるベン・プルイットの妻であるジュネ
ヴィエヴである事を突き止め、目撃者等の証言から夫であるプルイットに疑いを持ち 彼のアリバ
イを調査し始めます。
マックスとプルイットはかつて他の事件の裁判での確執もあった因縁の相手でもあった。
追い詰められたプルイットはかつて一緒の事務所で働いていたボーディー・サンデンに潔白を証明
して欲しいと弁護を頼みます。
ボーディーは過去のある事件での弁護で心身共に傷つき、弁護士を引退。現在はロースクールの
教授を勤めていますが、かつての仲間の必死の依頼を受け、数年ぶりに法廷へ復帰します。
一方ボーディーと刑事マックスとは前作『償いの雪が降る』で出会い、固い絆を結ぶようになった
友人どうしの間柄だったのです。
しかし、プルイットの弁護をするボーディーと刑事のマックスは裁判で相対する立場に立たされる
ことになるのですが、どちらが勝つのか、どちらにも負けて欲しくない、どちらも応援したい…と
いう複雑な気持ちでハラハラしながら読み進める事になります。
以前も解説にありました様に、著者はベテランの刑事弁護士でもあったとの事で、法廷での駆け
引き、戦略、法律用語、等のリアリティーが凄いのですが、少々難解な用語も多く 一瞬挫けそう
にもなります。
しかし、意外性や驚きに満ちて 最後迄息もつかせぬ展開で 全く予想外な結末を迎えます。
プルイットの裁判のパートと同時に、1人密かにひき逃げ事件の犠牲者となった妻の事件を追う
マックスの思いが胸を打ちます。
殺人事件捜査と法廷ミステリが見事に融合し、後書きにもある様に 『人は果たされなかった
正義に対してどの様に向き合い、決着を付けるべきなのか』というテーマが浮かび上がり、
『たとえ天が墜ちようとも(たとえ自分に不利益であろうとも)正義を為せ』というタイトル
が、深まる謎と真実の行方、過去との決着、等と共に哀しみを帯びて胸に迫ります。
今作では、東洋系(モン族と言われています)の女性刑事ニキが非常に魅力的で、周囲の人種
偏見、女性蔑視にもめげず非常に有能でマックスにとっても頼りになる相棒となっています。
エスケンスは本作の後4作刊行しており、いずれもジョー、マックス、ボーディーの3人と周囲
の人々を中心に物語を紡いでいるとの事。 ただし、著者自身シリーズものとは捉えていない
とのことなので、どの作品から読んでも大丈夫の様です。
新作の翻訳も楽しみに待ちたいと思います。
”The Heavens May Fall”
アレン・エスケンス(著)、務台夏子(翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
高級住宅街で女性が殺害された。刑事マックスは、被害者の夫である弁護士プルイットに疑いを
かける。プルイットは、かつて弁護士としてともに働いたボーディに潔白を証明してくれと依頼
した。ボーディは引き受けるが、それは親友のマックスとの敵対を意味していた。マックスと
ボーディは、互いの正義を為すべく陪審裁判に臨む。『償いの雪が降る』の著者が放つ激動の
法廷ミステリ!
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
『償いの雪が降る』の著者による次作。
前作が本当に心に染みる 印象に残る作品でしたので、楽しみにしておりました。
ミネソタ州ミネアポリスのケンウッド地区と呼ばれる高級住宅地の路地で女性の遺体が発見されます。
捜査の担当刑事マックス・ルパートは女性が敏腕弁護士であるベン・プルイットの妻であるジュネ
ヴィエヴである事を突き止め、目撃者等の証言から夫であるプルイットに疑いを持ち 彼のアリバ
イを調査し始めます。
マックスとプルイットはかつて他の事件の裁判での確執もあった因縁の相手でもあった。
追い詰められたプルイットはかつて一緒の事務所で働いていたボーディー・サンデンに潔白を証明
して欲しいと弁護を頼みます。
ボーディーは過去のある事件での弁護で心身共に傷つき、弁護士を引退。現在はロースクールの
教授を勤めていますが、かつての仲間の必死の依頼を受け、数年ぶりに法廷へ復帰します。
一方ボーディーと刑事マックスとは前作『償いの雪が降る』で出会い、固い絆を結ぶようになった
友人どうしの間柄だったのです。
しかし、プルイットの弁護をするボーディーと刑事のマックスは裁判で相対する立場に立たされる
ことになるのですが、どちらが勝つのか、どちらにも負けて欲しくない、どちらも応援したい…と
いう複雑な気持ちでハラハラしながら読み進める事になります。
以前も解説にありました様に、著者はベテランの刑事弁護士でもあったとの事で、法廷での駆け
引き、戦略、法律用語、等のリアリティーが凄いのですが、少々難解な用語も多く 一瞬挫けそう
にもなります。
しかし、意外性や驚きに満ちて 最後迄息もつかせぬ展開で 全く予想外な結末を迎えます。
プルイットの裁判のパートと同時に、1人密かにひき逃げ事件の犠牲者となった妻の事件を追う
マックスの思いが胸を打ちます。
殺人事件捜査と法廷ミステリが見事に融合し、後書きにもある様に 『人は果たされなかった
正義に対してどの様に向き合い、決着を付けるべきなのか』というテーマが浮かび上がり、
『たとえ天が墜ちようとも(たとえ自分に不利益であろうとも)正義を為せ』というタイトル
が、深まる謎と真実の行方、過去との決着、等と共に哀しみを帯びて胸に迫ります。
今作では、東洋系(モン族と言われています)の女性刑事ニキが非常に魅力的で、周囲の人種
偏見、女性蔑視にもめげず非常に有能でマックスにとっても頼りになる相棒となっています。
エスケンスは本作の後4作刊行しており、いずれもジョー、マックス、ボーディーの3人と周囲
の人々を中心に物語を紡いでいるとの事。 ただし、著者自身シリーズものとは捉えていない
とのことなので、どの作品から読んでも大丈夫の様です。
新作の翻訳も楽しみに待ちたいと思います。