『あやかしの裏通り』(名探偵オーウェン・バーンズ):2018/9/10
”La Ruelle Fantôme” (The Phantom Passage) Paul Halter 2005年
ポール・アルテ(著、イラスト、写真)、平岡敦(翻訳)
出版社 行船文化
『内容紹介』
各年末ミステリランキングにランクインした傑作!
・『2019本格ミステリ・ベスト10』 第2位
・『このミステリーがすごい!2019年版』 第6位
・「週刊文春ミステリーベスト10 2018」 第8位
・カバーイラストはポール・アルテ氏自身の筆によるもの(日本語版だけ、日本の皆様だけのために)。
・作品に出た怪事件のもとになったのは、アルテ氏自身の実体験。氏本人が撮った、その体験をした
場所の写真をスケッチ風にした絵を本書の最後に収録。
・ミステリ作家・芦辺拓氏による解説を収録。
ロンドンのどこかに、霧の中から不意に現れ、そしてまた忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」
があるという。 そこでは時空が歪み、迷い込んだ者は過去や未来の幻影を目の当たりにし、時に
そのまま裏通りに呑み込まれ、行方知らずとなる――単なる噂話ではない。その晩、オーウェン・
バーンズのもとに駆け込んできた旧友の外交官ラルフ・ティアニーは、まさにたった今、自分は「あ
やかしの裏通り」から逃げ帰ってきたと主張したのだ! しかもラルフは、そこで「奇妙な殺人」を
目撃したと言い……。謎が謎を呼ぶ怪事件に、名探偵オーウェンが挑む!
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
ポール・アルテと言う作家の作品は初めて読みました。
同時に、この出版社も初めて聞く名前でして・・・。
ミステリ―・ランキングの順位等事前情報は調べず、何となく手に取った作品です。
フランス人ミステリ作家でありながら 舞台は20世紀初頭のロンドン。(シャーロック・ホームズは
19世紀後半~でしたので近い雰囲気が・・・。)
美術評論家にして名探偵のオーウェン・バーンズと相棒にして助手であるアキレス・ストック。
丁度シャーロック・ホームズとワトソンの様な関係で、又正典と同じようにアキレスの語りによって
物語が進行します。
霧に包まれた夜のロンドンで 逃走犯に間違われ警察に追われたアメリカの外交官ラルフ・ティ
アニーが逃げ込んだ裏通りの建物の窓越しに目撃した奇妙な出来事。 慌てて逃れた彼が振り
返ると通り(クラーケン・ストリート)は幻の様に消えていた。
ラルフは旧友であるオーウェンを訪ね自分が経験した奇妙な出来事を話して聞かせる。
実は同じような出来事が他にも発生して居り 行方不明になった者もいると。
クラーケン・ストリートに迷い込んだ者に過去や未来の出来事を幻視させるという。
事件に興味を持ったオーウェンはロンドン警視庁のウェデキンドとも協力しながら アキレスと共に
消えた裏通りの幻想的で不可思議な謎を追いながら、真相を究明することになる。
犯人は誰で何のためにクラーケン・ストリートの消失という状況を作り出したのか、というトリック
解明もさることながら、その謎と事件に隠されていた意図とその先にある真相が本筋と言えます。背
後にある事件の真相は巧妙に散りばめられた伏線が次第に形をなしていく。
犯人及びその犯行の動機は思いもよらぬ巧妙な構造となっています。
又、オーウェンがラルフの身代わりになってクラーケン・ストリートに向かったアキレスに仕掛けた
トリックは意外で えッ? それ良いの?と思わずニヤリとさせられます。
そして、最後にオーウェンが突き止めた犯行の真相は哀れを催す切ない結末でした。
バーンズとアキレスのやり取りは時にユーモラスでもあり2人の距離感の塩梅も好ましいし、キャラク
ターとしても2人ともなかなか興味深い。
何よりこの時代のロンドンの情景、雰囲気も十分に生かされている所も好みです。
久々に本格ミステリーに触れた思いがあります。
何しろ初読みの作家さんなので、芦辺拓氏の解説も大変参考になりました。
ただ一点だけチョッと気になったのがタイトルです。
原作は”Phantom”(フランス語では”Fantôme”)で、その意味は幻、幻影、見せかけの等と訳されます。
又日本語タイトルの”あやかし”(妖、怪)の元々の意味は海に出る妖怪で、それが転じて”妖怪”全般、
不思議な事の意味に使われている様です。(能面の怪士=あやかし でもあります)
で、昨今タイトルに この”あやかし”と付けるライトノベルが氾濫しているのに気付くのですが、そん
な点で便乗したのかしら?
しかし、この作品の場合は”あやかし”はどうなんでしょう? 原題の意味とはニュアンスが異なり、又
このタイトルだけみると勘違いしそうな気もします。
クラシックな雰囲気を持つ本格ミステリーなんですから・・・・。
と、まぁ余計な事でしたが。
この作品がオーウェン・バーンズ物のシリーズ第一作という事で、続編を期待・・・と思っていた所
嬉しい事にシリーズ第二弾の情報が出ました。ナイスタイミング!です。
『金字塔』(名探偵オーウェン・バーンズ)2019/5/25
ポール・アルテ(著、イラスト)、平岡敦(翻訳)
日本先行発売! ポール・アルテ五年ぶりの新作! だそうです。
さ~、読まなくちゃ! 楽しみです。
”La Ruelle Fantôme” (The Phantom Passage) Paul Halter 2005年
ポール・アルテ(著、イラスト、写真)、平岡敦(翻訳)
出版社 行船文化
『内容紹介』
各年末ミステリランキングにランクインした傑作!
・『2019本格ミステリ・ベスト10』 第2位
・『このミステリーがすごい!2019年版』 第6位
・「週刊文春ミステリーベスト10 2018」 第8位
・カバーイラストはポール・アルテ氏自身の筆によるもの(日本語版だけ、日本の皆様だけのために)。
・作品に出た怪事件のもとになったのは、アルテ氏自身の実体験。氏本人が撮った、その体験をした
場所の写真をスケッチ風にした絵を本書の最後に収録。
・ミステリ作家・芦辺拓氏による解説を収録。
ロンドンのどこかに、霧の中から不意に現れ、そしてまた忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」
があるという。 そこでは時空が歪み、迷い込んだ者は過去や未来の幻影を目の当たりにし、時に
そのまま裏通りに呑み込まれ、行方知らずとなる――単なる噂話ではない。その晩、オーウェン・
バーンズのもとに駆け込んできた旧友の外交官ラルフ・ティアニーは、まさにたった今、自分は「あ
やかしの裏通り」から逃げ帰ってきたと主張したのだ! しかもラルフは、そこで「奇妙な殺人」を
目撃したと言い……。謎が謎を呼ぶ怪事件に、名探偵オーウェンが挑む!
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
ポール・アルテと言う作家の作品は初めて読みました。
同時に、この出版社も初めて聞く名前でして・・・。
ミステリ―・ランキングの順位等事前情報は調べず、何となく手に取った作品です。
フランス人ミステリ作家でありながら 舞台は20世紀初頭のロンドン。(シャーロック・ホームズは
19世紀後半~でしたので近い雰囲気が・・・。)
美術評論家にして名探偵のオーウェン・バーンズと相棒にして助手であるアキレス・ストック。
丁度シャーロック・ホームズとワトソンの様な関係で、又正典と同じようにアキレスの語りによって
物語が進行します。
霧に包まれた夜のロンドンで 逃走犯に間違われ警察に追われたアメリカの外交官ラルフ・ティ
アニーが逃げ込んだ裏通りの建物の窓越しに目撃した奇妙な出来事。 慌てて逃れた彼が振り
返ると通り(クラーケン・ストリート)は幻の様に消えていた。
ラルフは旧友であるオーウェンを訪ね自分が経験した奇妙な出来事を話して聞かせる。
実は同じような出来事が他にも発生して居り 行方不明になった者もいると。
クラーケン・ストリートに迷い込んだ者に過去や未来の出来事を幻視させるという。
事件に興味を持ったオーウェンはロンドン警視庁のウェデキンドとも協力しながら アキレスと共に
消えた裏通りの幻想的で不可思議な謎を追いながら、真相を究明することになる。
犯人は誰で何のためにクラーケン・ストリートの消失という状況を作り出したのか、というトリック
解明もさることながら、その謎と事件に隠されていた意図とその先にある真相が本筋と言えます。背
後にある事件の真相は巧妙に散りばめられた伏線が次第に形をなしていく。
犯人及びその犯行の動機は思いもよらぬ巧妙な構造となっています。
又、オーウェンがラルフの身代わりになってクラーケン・ストリートに向かったアキレスに仕掛けた
トリックは意外で えッ? それ良いの?と思わずニヤリとさせられます。
そして、最後にオーウェンが突き止めた犯行の真相は哀れを催す切ない結末でした。
バーンズとアキレスのやり取りは時にユーモラスでもあり2人の距離感の塩梅も好ましいし、キャラク
ターとしても2人ともなかなか興味深い。
何よりこの時代のロンドンの情景、雰囲気も十分に生かされている所も好みです。
久々に本格ミステリーに触れた思いがあります。
何しろ初読みの作家さんなので、芦辺拓氏の解説も大変参考になりました。
ただ一点だけチョッと気になったのがタイトルです。
原作は”Phantom”(フランス語では”Fantôme”)で、その意味は幻、幻影、見せかけの等と訳されます。
又日本語タイトルの”あやかし”(妖、怪)の元々の意味は海に出る妖怪で、それが転じて”妖怪”全般、
不思議な事の意味に使われている様です。(能面の怪士=あやかし でもあります)
で、昨今タイトルに この”あやかし”と付けるライトノベルが氾濫しているのに気付くのですが、そん
な点で便乗したのかしら?
しかし、この作品の場合は”あやかし”はどうなんでしょう? 原題の意味とはニュアンスが異なり、又
このタイトルだけみると勘違いしそうな気もします。
クラシックな雰囲気を持つ本格ミステリーなんですから・・・・。
と、まぁ余計な事でしたが。
この作品がオーウェン・バーンズ物のシリーズ第一作という事で、続編を期待・・・と思っていた所
嬉しい事にシリーズ第二弾の情報が出ました。ナイスタイミング!です。
『金字塔』(名探偵オーウェン・バーンズ)2019/5/25
ポール・アルテ(著、イラスト)、平岡敦(翻訳)
日本先行発売! ポール・アルテ五年ぶりの新作! だそうです。
さ~、読まなくちゃ! 楽しみです。