「ブロードチャーチ ~殺意の~町~」 S1(8エピソード)内容概略
なるべくネタバレしない様に勤めながら以下概略です。
海沿いの長閑な田舎町で11歳の少年ダニーの遺体が見つかります。
新しく赴任して来た警部補ハーディーと彼と共に捜査にあたる事になったエリーは息子が
ダニーと友達であった事、家族共親しかった事で私感を交えずに捜査を続ける事に困惑
しながら、又気難しいハーディーに戸惑い 時に対立しながらも事件解決のために捜査を
進めます。
ハーディーは以前携わっていた事件で致命的なミスを犯し(後にこの件は明らかになる
が)左遷に近い形でブロードチャーチにやってくるが 妻とは離婚、娘は妻の側に引き取
られ、自分も心臓に問題を抱えているという状態で 殆ど捨て鉢な態度、周囲には壁を作り
ぶっきら棒な態度でエリーの反感を買っているが 冷徹とも言える態度ながら事件を解決
しようとする彼と共にぶつかり合いながら捜査を進めて行くのです。
その中で 住民が次々に捜査の対象となり取り調べを受けるうちに それぞれが様々な過去、
隠された秘密を持って生きている事が判明していくのです。
海岸で遺体で見つかったダニーの行動は家族のだれも把握していなかった。 母のエリーは
自分を責め、前夜仕事の為に帰宅しなかったと云う父のマークのアリバイが無かった為疑わ
れる事になるが ホテルの経営者のベッカと浮気をしていた事が分かる。
野心的なカレン(大手新聞社ヘラルドの記者)はハーディーがダニーの事件の捜査をして
いる事を知り、彼の過去の失態を知っている為 上司には内緒でブロードチャーチに乗り
込み オリーを手なずけスクープを物にしようと画策し始める。
捜査が捗らないなか、死者の声が聞こえると言うスティーブが警察に名乗り出て来るが
ハーディーもエリーもペテン師だと取り合わない。 母親のベスに接触したスティーブは
「犯人を見つけようとしないで。見つけてもみんなが悲しむだけだから」とうダニーの
メッセージを伝える。
スティーブが呟く「ペンダント・・」という言葉に はっとして固まった様な表情を見せる
ハーディー。 実はこのペンダントが以前の事件の証拠品であったのですが 部下(元妻)
の失態でこのペンダントを無くしてしまった為に犯人を逮捕出来なかったと言う経緯が
あったのです。
この点で、もしかしたらスティーブは”本物”なのではないかと思わされます。
新聞配達のアルバイトをしていたダニーの雇い主であるジャックも実は前科があった。
15歳の少女を愛し 過ちを犯した為一年間服役していたという事が判明する。
服役後ジャックは彼女と結婚し息子も生まれたが 車の事故で妻も息子も亡くし傷心を
いやす為ブロードチャーチに移って来たのだった。彼がダニーを含む少年達にも関心を
持っていた事も疑惑の元になってしまったのですが、この件を知った住民の怒りが一気
にジャックに向かい その翌日ジャックは自殺し遺体が海岸で見つかる。 無実の罪で
ジャックを死に追いやってしまった事で自責の念に打ちひしがれる刑事達。
ぶつかり合いながら折り合いをつけながらハーディーと仕事を続けるエリーは ある日
彼を自宅の夕食に招く。
散々嫌がっていたが渋々エリーの家に訪れたハーディはワインと花とチョコレートを
手土産に持ってくるのですが、何にしたらいいか分からないから全部買って来た。って
こんな姿はチョット可愛いんです。
和気あいあいとは言えないながら夕食を終えホテルに戻ったハーディーは心臓発作で倒れ
病院に運び込まれました。 幸いホテルのオーナーのベッカが見つけたせいで命が助かった
状態だか 彼はこの事は人には云わないでくれ。 捜査から外されると直ぐに病院を出よう
とします。
病を隠してまで捜査にのめり込むハーディーにとっては、この事件を解決する事が以前の
失態を補う為の唯一の行動なのですね。
浮気された上、その結果証拠の品を失った妻の罪を被った冤罪に関しても 一言も言い訳も
せず心を閉ざしている彼にとって ダニーの事件を解決する事が唯一の贖罪なのかも知れません。
会う事の出来ない娘の写真を大切に財布の中に仕舞っているし 出て貰えない留守電に
メッセージを残すハーディーの孤独を感じます。
所で、このハーディーは時々メガネを掛けるんです(老眼?)、で、それを見て”ドクター”
を思い出しました。 ドクターも時々メガネを掛けてたんですよ(全く余談)
一番怪しげな行動をしていたのは海辺のトレーラーに犬と共に暮らすスーザンという女性で
彼女もある秘密を抱えていたのですが新聞社にそれを暴かれてしますのです。
彼女は自分の犬を本当に大切にしており その犬が唯一の家族だった訳なのですが 秘密
めいた生活をしているなかダニーの友達であったトムには大変優しく接していたのです。
親身に住民の相談に乗っていた代理牧師のポールも秘密を抱えていました。
外出するポールの後を付けたハーディーがその秘密を探り出しますが、事件には直接かかわって
いない様です。
事件現場でナイジェらしき姿を見かけたと言う情報もあり、ナイジェも取り調べを受ける事に
なるし、はてはエリーの息子トムまでも取り調べを受ける事になる・・・
トムはダニーとのメール履歴をPCから消去するやら、 ダニーの姉の部屋から麻薬が見つかる、
等々。 又直前までダニーが乘っていたスケートボードと携帯が見つからない等不信な事が
次々明らかにされ、 住民一人一人が次々に捜査、取り調べを受けそれぞれの秘密が明らか
になって行くうちに 全員が疑心暗鬼に陥ってくるのですね。
回を追うごとに犯人は誰なのかとのめり込んで見てしまいます。
クライムサスペンスではありますが、人間ドラマとしてそれぞれに心理状態を丁寧に描いています。
ビーチで自分がこの町の出身である事、「よくやってくれた」とエリーを労うハーディーは
この時点で犯人に気付いていたのだろうと思われるし この場のやり取りは切ないです。
最後に意外な犯人が判明するのですが、犯人が分かったと言って事件解決、めでたしめでたし では
なく その後の人々の感情をを丁寧に描いているのが素晴らしい作りだと思います。
事件解決しても元の長閑な平和な町には決して戻らない。 人々の生活、感情も変わってしまう。
デヴィッド・テナントはカッコいいドクターとは正反対にうらぶれ感を漂わせた孤独な刑事役ですが、
流石に上手いな~! 目力が強いし、ハーディーの心理状態が素晴らしく表現されていて実に魅力的な
キャラクターを演じているので 次第にハーディーに感情移入してしまいます。
反発をしながらも次第にハーディーに協力して共に捜査に携わるエリーが良いですね。
普通のオバサン風(暴言)でありながら 実に良い味を出しています。
非常に微妙で難しい立場にたっての警官として捜査に向かう複雑な役柄、心理状態を見事に演じて
います。
反発し合いながら次第にお互いに少しずつ受け入れ始める。 ハーディーのあしらい方を理解し
始め 彼とのやり取りは絶妙です。流石に主演女優賞受賞役者だと実感します。
英国ドラマは派手さは無いけれど どのドラマも丁寧に作られているし、兎に角出演者の演技力が
素晴らしいと何時もながら感じさせられます。
色々考えさせられ余韻を感じさせられる素晴らしいドラマだと思います。
見終って犯人が分かってから思い直すとあちこちに布石が散りばめられていた事に気付きます。
なので、この点を頭に入れながらもう一度ジックリ見直してみたいと思っています。
ところで、この作品は既にS2も制作されており、2017年にはS3も放送予定とされています。
(一応S3で終了と云われていますが・・・)
S2も何時観られるのか気が揉めます。
尚余談ですが、制作総指揮のクリス・チナブルはスティーブン・モファットに代わり S11からの
ドクター・フーの制作総指揮を務める事になっています。
モファット御大はドクター・フーのヤング向けスピンオフ ”Class” を制作担当になったとの事です。
スピンオフも興味ありますね。 ”ヤング向け”って言われちゃってるけど・・・(又話が逸れ
ました)
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『ブロードチャーチ ~ 殺意の町~』 : 1/2