The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

グラナダ版『シャーロック・ホームズの冒険』BSプレミアムで再放送開始

2021-06-26 |  ∟グラナダ版SH


これ迄も何度となく色々なチャネルで再放送が繰返されていました『シャーロック・ホームズの
冒険』が再び再放送されるとの事。

今回は、BSプレミアムとBS4Kで同時スタートとのことで、
8月11日(水) 夜9時からの放送

全41エピソード放送されるそうですが、吹き替え版です。

個人的にも随分昔最初に観て以来 何度も繰り返し観直している大好きな作品ですが、昔最初に
観た時が吹き替え版でしたので(当時は海外ドラマは殆ど吹き替え版でした)、余り違和感なく
慣れ親しんできました。

BBC版を観てから、再度改めてグラナダ版 そして正典の再読に取り掛かったのですが、放送に
関してはAXNミステリーで何度となく再放送をして下さったので その都度観直すという状況で
した。
又、AXNミステリーでは 字幕版での放送もありましたので、これは感動ものでしたね。
何と言っても エレガントなジェレミーの声での放送は別格です。
はやり字幕版で観たい作品ですねぇ。(今回は残念ですが・・・・)。

改めて言わずもがなですが、
グラナダ版シャーロック・ホームズは ジェレミー・ブレットのホームズ、ワトソンにはデヴィッド・
バーク(13話迄)、14話以降はエドワード・ハードウィックにより 1984年『ボヘミアの醜聞』を
第一話とし、以降全41話製作された作品です。



左;デヴィッド・バーク、右:エドワード・ハードウィック

シャーロック・ホームズ関連のドラマ、映画、小説は数え切れないほど製作されてきましたが、
グラナダ版は最も正典に忠実に作られており(何作かは独自の解釈で追加情報として描かれて
いる作品はありますが)又、ジェレミーも最高のホームズとして 今でも世界中で人気が高い作
品ですね。

全エピソードタイトルのリストは、以前書きました拙記事をご参照下さい
※ グラナダ版シャーロック・ホームズ : エピソードリスト

又、各エピソード概略あらすじは 16エピソードのみですが、下記ご参照下さい
※ 『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index

グラナダ版直接は関係ないのですが、以前書きましたシャーロック・ホームズ関連作品集に関する
拙記事もご参照頂ければ 如何にシャーロック・ホームズが愛され、人気の作品であるか改めて
お分かりいただけると思います。
※ ホームズとワトソンの100年(再掲)




グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (5)

2018-10-13 |  ∟グラナダ版SH
”The Solitary Cyclist” : (5)

The Adventure of Sherlock Holmes
1984年

・・・・・その(5)



バイオレットの身を心配するカラザースに、酷い目に遭ったがスミス嬢は大丈夫だ。ウッドリーも
命に別状は無いと言うホームズに、怒りに燃えながら「息の根を止めてやる」と逸るカラザースは、
バイオレットがこのまま一生ウッドリーの妻なのか心配します。
ホームズは、この結婚は無効だ。何故ならウィリアムソンに式を挙げる資格がない。これに対して
証明書を見せるウィリアムソンに、「どうせ偽物だ」と切り捨てるホームズ。

もう一つの理由は、強制結婚は無効で重罪だと言い切ります。
そして、ホームズは全容は解明済みであるので自分が説明すると言います。

カラザースとウッドリーは南アフリカでバイオレットの叔父スミス氏と出会った。 彼には死期が
迫っており莫大な財産をバイオレットが相続する事になっていた。彼は読み書きが出来なかった為
帰国して彼女を探し出し遺産を横取りしようと計画した。


ところが、思いがけずカラザースがバイオレットを愛するという過ちを犯してしまった。
涙を流しながら「生涯で初めて愛した人だ」というカラザースに、何故危険を知らせなかったのか
と問うワトソンに、「もし話せば私から離れて行った。それだけは絶えられなかった」、そして
私を愛してくれなくても構わなかった。彼女が家に居てその声を聞けるだけで満足だった」と云う
とワトソンは一言「それは愛とは呼べない。単なる身勝手と云うもんだ」(流石、その道の達人で
あるワトソンの深いお言葉)

そして、他の悪党から彼女を守る為気付かれない様に変装して尾行したのだと(あれで気付かれな
いと思うのか、カラザース。やり方が間違っているんじゃありませんか?)
そして、そんな時南アフリカから電報でスミス氏の死が伝えられると仲たがいしていたウッドリー
がカラザースと脅したのだと云います。

無事悪党は捕えられ、

221Bに裁判の判決が出た新聞を持ってとホームズに知らせにやって来ます。




その時腕まくりをしていたホームズはそっと注射器を引き出しにしまうところを見てしまったワト
ソン。(又ヤクをやっていたんですか、ホームズさん)

溜息をつきながら「ホームズ・・・」とお小言を言いかけると、話を逸らせるように、その判決を
予想させろと言いながら「ウッドリーは10年の刑、ウィリアムスン7年。そしてカラザースは私の見
事な弁論のお蔭で半年の刑」。 それを聞いたワトソンはビックリして「お見事。全て当たっている」。
実は早刷りの夕刊を読んで知っていたのだと白状するホームズは、バイオレットから結婚式のケーキ
が届き叔父の遺産を相続したと聞かせます。


そして、新婚夫妻は服役中のカラザースに代わり娘のセーラの面倒を見ていると聞かされ、「良い
ニュースばかりだな」と云うワトソンに、嬉しそうに「もっと言いニュースがあるぞ」ともみ手を
しながら実験台に向かうホームズ。


ハーデン事件を科学反応で解き明かす。一週間科学博物館に通い詰めて調べたのだと実験を始め
ると 興味深そうに見つめるワトソン。


「これが答えだ」、ビーカーから物凄い煙が立ち上ると、ワトソンが「これが答えか?」
部屋中に煙が立ち込め、部屋の外まで煙が漏れ出て来ると、ハドソンさんが怪訝な顔。


ん?この煙は?のハドソンさん。叱られるぞボーイズ


煙たくて咽ながら窓から顔を出すホームズとワトソン・・・・



早々に消防馬車迄駆けつける事に。


といった正典には無いオリジナルの珍しいエンディングとなっています。



この作品は冒頭にも書きました様に グラナダ版として撮影された最初の作品でもあり 何より
ジェレミーが若々しく麗しいです。
ホームズのキャラクターとしても未だ確立されていない様で、後のイメージとは少し異なって
傲慢さもあまり見えず 未だ普通の人っぽいですね。
兎に角溌剌と若々しく ボクシングを披露するわ、走る、走る・・・・兎に角アクティブで、しか
もおちゃめだったり 可愛いホームズです。
物語り自体はユニークではあるけど特に陰惨な事件でもなく、謎解きとしては物足りない内容では
あるものの、ボーイズたちの仲良しっぷり、やカラザースさんの情けないヘタレ振り、絵にかいた
ようなウッドリーの悪人振り、等々がドラマとして面白い作品で楽しめると思えました。

そして、何よりも正典にあるS.パジェット版の挿し絵に忠実な場面を作り出しているのも興味深い
点です。





余談ですが、正典ではこの事件があったのは1895年の設定となっています。当時日本では日清戦争
が終ったばかり。 ドイツで自転車が発明されたのが19世紀、現代の様な形になったのが19世紀後
半ということなので、このドラマで女性が自転車に乗っていたという事は時代の先端を行っていた
という事で、バイオレット嬢は当時としても珍しい、ナウい(死語)女性だったんですね。



このエピソードは今回で終わります。
お付き合い頂き有難うございました。





← グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (4)





グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (4)

2018-09-16 |  ∟グラナダ版SH

グラナダ版 ”The Solitary Cyclist” : (4)


The Adventure of Sherlock Holmes
1984年


・・・・・その(4)


ファーナムを訪れバイオレットが通るのを待つホームズとワトソン。
ワトソンが、「こんな気持ちのいい朝に誰があのお嬢さんを傷つけようとするんだ」、にホームズは
「そんな事が無い事を願いたい」等と話している時バイオレットを乗せた馬車が通りかかります。


(馬車ってったって荷馬車ですよ。でも、自転車を乗せる為なら仕方ないのかも)


持参した双眼鏡で確認したホームズは「時間を早めたらしい。馬車の方が例の場所に先についてしまう」
と云い、慌ててワトソンと走り出します。

走りながら「不覚だった」と後悔するホームズですが、やっと道にたどり着くと馬車が空のまま戻って
来ます。
誘拐か殺人か・・・と心配するホームズは、ワトソンに馬車を止める様指示します。

必死で馬車の前に飛び出し馬を止めようとするワトソン。
ようやく馬車を止めたワトソンに、”Good man !”「良くやった!」と後ろで指図するだけで見ていたズル
のホームズ(笑)


2人は馬車に飛び乗りホームズ自ら手綱を取り急ぎチャリントン館のある森に向かいます。


目的の場所で馬車を飛び降り走る2人。 そこへ例の謎の男が自転車で現れバイオレットの居場所を言う様
に2人に銃を向けますが、そんな場合じゃあ無いって事で 今度は3人で森の中を走りだします。
途中馬車の御者が傷を負って失神しているのを見て益々心配になる3人。 そんな時バイオレットの叫び声
が聞こえ焦った3人は再び森の中を走ります。

森の中の東屋では猿ぐつわをかまされ気を失ったバイオレットを抱きかかえるウッドリーが神父の前で結婚
の儀式を行っていました。





それを見た謎の男が止めようと前に出た途端ホームズが「カラザース よせ」、それを聞いたワトソンが
「カラザースだって?」とビックリ。 (ホームズはとっくにカラザースだと気づいていたのに 又知らされ
ていなかったワトソン君)


正体を知られたカラザースは付け髭とサングラスを取り、死刑になってもいいから彼女を救うと意気込む
のを聞いたウッドリーは、「もう遅い、彼女は俺の妻だ」とせせら笑うのを見たカラザースはもう我慢
出来ずウッドリーを銃で撃ちます。
これを見ていた牧師も慌てて「この仕事を受けた時 こんな面倒な仕事とは聞いていない。話が違うぞ」と
云いながら銃をかまえます。

と、いつの間にやら彼の後ろに回っていたホームズが牧師に銃を突きつけ「銃を置け」と。


それを見ていたカラザースは、「君は何者だ?」に「シャーロック・ホームズ」と聞いた途端 ”Good Lord”
(何てことだ)

息を吹き返してやって来た御者 にメモを書いて警察署長に届けるように指示しながら、「警察が来るまで、
君たちの身柄は僕が預からせてもらう」というホームズ。


(何時も通り女性担当、ワトソン)

そして、傷ついたウッドリーを運びながら全員がウィリアムソンの屋敷に戻ります。





..... to be continued です




← グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (3)
→ グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (5)



グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (3)

2018-08-13 |  ∟グラナダ版SH

グラナダ版 ”The Solitary Cyclist” : (3)


The Adventure of Sherlock Holmes
1984年

・・・・・その(3)

221Bのホームズの元にバイオレットから手紙が届き、カラザースから求婚されたと伝えてきました。
調べたい事があるからファーナムへ行くと言うホームズに、同行しようか尋ねるワトソン。
「私が行けば十分だろう」と答えるホームズに、小さな声で『近くのパブで話を聞くべきだ』とホーム
ズに言われた言葉を根に持って憎まれ口を呟くワトソン。 もう出かけたと思っていたのに背後から
「有難う。とても貴重な意見だ」と(嫌味に?)声を掛けられ、ビックリ(聞かれちゃったか。参った
な・・・のワトソン)


ファーナムのパブを訪れたホームズは亭主から聞き込みを始める。
先ずチャリントン館のウィリアムソン氏に関しては、ほんの先程迄ここに居た事。昔は牧師だったが何
か問題を起して資格を取り上げられたらしいと。
等噂話は言いたくないと渋っていた亭主も、ボツボツと話し始める。
週末には危険な客が来る。 特に1人には迷惑をしている事。あの男は最悪だ。と聞き、「赤毛の口髭の
男か?」と確かめるホームズ。

 
そこに噂の当人ウッドリーが現れ、何を嗅ぎまわっているのかホームズに詰め寄り、いきなりなぐりか
かる。

ホームズも急な攻撃に部屋の隅に倒れ掛かるが、おもむろに上着を脱ぎ、周囲の客たちに「正当防衛で
ある事は皆さんが証人」とやる気満々のホームズは、ボクシングの構えをします。

って、このシーンが噂の乱闘シーン。
拳を握り腕をグルグル回す。さながらダンスのステップを踏む様な軽やかな動きのホームズ(古式ボク
シングのスタイルなんでしょうね)
もう軽やかな動きのホームズは何ともカッコよいです。


で、あの有名なセリフ、「紳士は手の甲で人を殴ったりしない。紳士は左のストレートで勝負」(出た~ッ!)
と言いながらウッドリーにパンチを食らわせダウンさせ、再び上着に手を通していると周囲に居た客たち
から拍手が起こります。 すると、ちょっと戸惑った様子で観客たちに微かに頷いて”どうも”のホームズ。


その後、221Bでは、ワトソンから傷の手当てをして貰いながら、ご機嫌で「実にスッキリした気分だ」の
ホームズに、「だろうな」のワトソン。

「左のストレートで悪党を倒した。 その結果がこれだ」(額に傷を負ってます)
ホームズにウィスキーを手渡すワトソン。 その後ウッドリーが馬車で帰還したと話しながら、嬉しそうに
ムフフと笑う2人(子供か)
このシーン、ヤンチャな子供達のボーイズは、ほのぼので実に良いです。

一方、カラザースの屋敷には又ウッドリーがウロチョロ現れます。


そしてバイオレットは再びホームズに手紙で 次の土曜日にこの屋敷を去るつもりである事を知らせてきます。
遂にカラザースは馬車 “horse and trap” を買ったのでもう自転車には乗らなくてすむ。
土曜日からは安心して暮らせると。
しかしホームズは気になる事があると云います。
「何だ?」と訊ねるワトソンに、「馬車 ”trap” だ」 とホームズ。
(”Trap”は2輪の軽装馬車と云う意味と、”罠”と云う二つの意味をもっています)




・・・・・to be continued です。


← グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (2)
→ グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (4)




グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (2)

2018-07-24 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 ”The Solitary Cyclist” : (2)

The Adventure of Sherlock Holmes
1984年

・・・・・その(2)

大分間が開いてしまいましたが、続きです。

バイオレット嬢によれば、ウッドリーは1週間滞在したが、3週間にも思えたと。
何より、「あの下品な赤毛の口髭」←全く大げさなほどの口髭ですもん(笑)


そして、ある日の晩餐の時カラザースが席を外した途端バイオレット嬢に強引に結婚を迫り、嫌
がり抵抗をして助けを求めている時戻って来たカラザースが止めに入るとウッドリーに殴られて
しまう。、「この家から出ていけ」と云うカラザースに捨て台詞を残して去るウッドリー。

カラザースはバイオレットに謝り、2度とこの様な事が起きないようにするので屋敷に留まって欲
しいと頼みます。

カラザース氏の態度に変化はなく、相変わらず礼儀正しく思いやりのある方ではあるけど気になる
事があると云うバイオレットは、話を促されて、「私の想い過ごしかも知れませんが、カラザース
氏は私に好意をお持ちの様で。勿論紳士ですから口には出されません。でも女性なら誰でも気付き
ます」と云うのを聞いたワトソンは、「でしょうな」←名うてのプレイボーイのセリフだ!

でも、バイオレットには婚約者がおり、 シリル・モートンと云う名の電気技師で夏の終わりに結婚
式をする事になっているという。

そんなバイオレットに、怯えている様には見えるが何故自分に相談に来たのか尋ねるホームズに、
”Please, help me, Mr. Holmes” とバイオレット。 理由を聞くホームズに、誰かに尾行されて
いる様だ。自転車の男に。と怯えた様に話すバイオレット。




土曜の朝自転車で駅に向かう途中、人気のない長い一本道を通る。片側には荒涼とした野原が広が
り、片側にはチャリントン館の森がある。 2週間前に通った時振り返ると自転車に乗った男が見
えた。それ以来先週の土曜日と月曜日にも見たと説明するバイオレットに、カラザース氏に相談
したのか尋ねるホームズに、心配して危ないから馬車を注文してくれたという。

今朝も同じ状況で尾行されたので待伏せしようと思ったが男は姿を消してしまった。
男の特徴は?と聞かれ、「黒いスーツに、黒い眼鏡、顎髭を生やしていた。中年に見えた」(メチャ
メチャ怪しい分かりやすい変装)

話を聞きながら黒板にチョークで道を確認するホームズは、怪しい男が消えたのはチャリントン館
の森しかないと推理します。

そして、再度カラザース氏の職業を尋ねると、お金持ちで集2,3回ロンドンに出掛け金取引などを
している様だと聞き、「だが、馬車も持っていない」と鋭いツッコミをするホームズ。

ホームズは、今は忙しいが時間を見つけて調べてみる事を約束してヴァイオレットには単独で行動し
ない様に注意します。
 
優しく送り出したワトソンは、「素敵な女性だ」←ワトソン又(笑)

「彼女の身に危険が?」と訊ねるワトソンに、”Oh, yes.” とホームズ。
そしてワトソンは忙しいホームズに代わり、次の月曜日にファーナムに向かいます。


バイオレットの話に合った場所で茂みに身を隠しバイオレットが通り過ぎるのを待っていると彼女が
話していた通りの怪しい男が現れ、バイオレットが通りかかるのを隠れて待っています。
次にバイオレットがやって来ると、男はすかさず彼女の後をつけ始めます。

(つけるって言っても、直ぐ後ろに居る。マルわかり) 気付いたバイオレットは自転車の向きを変え
男の方に走り出すと、男も向きを変え反対に追われる様な形になるが、途中で男の姿を見失ってしまう。
諦めたバイオレットが走り去ると、隠れていた男が姿をあらわしたのがチャリントン館の森だった。
ワトソンも森の中に入るが誰も居らず、代わりに落ちている「ジャービス不動産」の看板を見つけた
のでした。


理髪店で髭を剃って貰っていたホームズのところに報告に来たワトソンですが、ホームズは「ワトソン、
時間の無駄だったな」と一言。
「ジャービス不動産」で館の借主がウィリアムソンだという事は分ったと云うワトソンに、「パブに行
くべきだった」と言うホームズ。

↑ お隣に髭を剃りに行くだけなのにシルクハットとフロックコート。エレガントなホームズ。

明日早速パブに行ってみようと言うワトソンに、ホームズは、今行っても無駄になるだけだから土曜日迄
待とうと言います。


「調査は無駄だったと?」と訊ねるワトソンに、

↓ ”Yes”と残念なお知らせをするホームズに

↓ えぇ~!そうなの?のガックリきたワトソン






・・・・・to be continued です


 
← グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (1)
→ グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (3) 



グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (1)

2018-06-10 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 ”The Solitary Cyclist” : (1)

The Adventure of Sherlock Holmes
1984年

この作品は放送順で云うと4作目に当りますが、撮影された順序で云うと最初の作品です。
正真正銘、グラナダ版”最初”の作品ですね。
(因みに、タイトルは原作通り「”孤独な”とか”一人ぼっちの”自転車乗り」とされている場合も
ある様です)

余りスリリングでもなく、割と陰に隠れ勝ちながら色々な面で興味深いツボもあり(個人的な主観
ですが)やはり外す訳にはいきません。
で、遅ればせながら・・・という訳で。

監督:ポール・アネット
出演:
シャーロック・ホームズ:ジェレミー・ブレット
ジョン・ワトソン:デヴィッド・バーク
バイオレット・スミス:バーバラ・ウィルシャー
カラザース:ジョン・カッスル
ウッドリー:マイケル・シベリー
ミセス・ハドソン:ロザリー・ウィリアムズ


冒頭何やら実験中のホームズ。
ワトソンを呼び、ジョン・ヴィンセント・ハーデン事件を解明する実験だと説明するホームズに、
「ハッ!」と息を飲み(良いリアクションだ!)「記録しようか」と言うワトソン。(最初から息が
合っていて良いシーン)


そこへハドソンさんがやって来て「若いご夫人がお見えですよ。とても上品な本当のレディーです
よ」と言っても今は忙しいからと断るホームズ。


緊急の用事だったので、と部屋にやって来たレディーを見た優しいワトソンは「科学実験は延期し
ても構わないだろう」。 ホームズも取りあえず「そうだな」← やけに素直なホームズ。

レディーは、バイオレット・スミスと名乗り、ホームズとワトソンは話を聞くことになります。
立ち去り際に、再び「本物のレディーでしょ」とひつこいハドソンさん(笑)
バイオレットの話し方(綺麗なアクセントです)、物腰の上品さに感銘を受けたのか、実験を邪魔
されたホームズも文句も言わず・・・。

話を聞く前に、得意の推理を披露するホームズ。
曰く、「急ぎと言っても健康問題ではない。 自転車に乗るには体力が要る(バイオレットは
221B迄自転車を乗付けていますがホームズは知らない筈)。

ワトソンも「ペダルとの摩擦で靴底の片方がすれている」にホームズも ”Excellent,Watson”
そして、ボディータッチ開始(笑)。 「仕事なのでお許しを」と言いつつ彼女の手を取り観察する
ホームズ。


「タイピストの指にも見えるが音楽家の指だ。 ワトソン、見たまえ」と言えば、すかさずワトソン
も参戦。 両側からサンドイッチ状態で触られるバイオレット嬢、この時少しも騒がず(笑)

「感情豊かな表情をしている」とホームズさん、顎にまで手を掛けてます(こんな光景他では絶対見
られない)


↑ こちらは正典S.パジェット版挿絵 ”It is my business”と云いつつ手を取るホームズ

彼女は音楽の教師をしており、サリー州に住んでいる。 数年前に帝国劇場の指揮者をしていた
父を亡くした。
母親と自分にとって唯一の身内は15年前に南アフリカに渡ったきり音信不通の叔父のラルフだけで、
経済的に苦しい生活をしている。 「気高く、才能もあるのに・・・」というホームズ。(珍しく
素直に褒める)
(このバイオレットを演じるバーバラ・ウィルシャーがとてもキュートで魅力的なんです)

そんな時、4ヵ月前の2月にタイムズ紙に自分と母親の消息を尋ねる記事が載り、一時は遺産の話が
あるのかと期待をして連絡先の弁護士事務所を訪れたのだと言います。
そこに居たのが、南アフリカから来たというカラザース氏とウッドリー氏。

(一緒にいたウッドリー氏なる人物はまるで怪しげで粗野な風体。何故ここに一緒にいるのか?)
叔父は貧困の中亡くなった為遺産はないが その代りに役に立ちたいと申し出るカラザース氏。

施しではなく、自分の10歳になる娘に音楽を教えて欲しいのだと。
住まいはロンドン郊外のサリーにあるチルターン屋敷だというと、母親を独りに出来ないと渋る
バイオレットに年に100ポンド出すと言います。

「相場の2倍だ」と驚くホームズですが、週末にロンドンに帰ることを条件にこの仕事を受けたと
云うバイオレット。


カラザース氏の娘のセーラは可愛らしい少女で とても優秀だし、カラザース氏も音楽に理解があ
り暖かく迎えられたのだというバイオレットに、「理想的な職場だ」と云うホームズに、「あの時
までは」・・・。
「何があったんです?」と訊ねると、訪問者があったのだとバイオレット。
「ウッドリー氏?」と云うホームズに、「よく推測出来ますね」と云われたホームズは”I never
guess”「思い付きではない」。
 



・・・・・to be continued です。



→ グラナダ版『美しき自転車乗り』 : (2)





グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 : (5)

2018-04-09 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 ”A Scandal in Bohemia”Revision : (5) 

The Adventure of Sherlock Holmes
(1984年)


・・・・・ やり直し: その(5)



翌朝ホームズは国王とワトソンと共にアイリーンの家を訪れます。
 ここで、これ以後ホームズの定番となる シルクハットと黒のフロックコート初お目見えとなり
ます。 ジェレミーのこの姿は本当にエレガントで他の誰も勝てない姿です←独断)
ホームズは、アイリーンが夫を愛していれば陛下を愛さない。そうすれば陛下の結婚も邪魔しない。と
言いながら家の扉をノックしようとすると待っていたかのようにメイドが現れ、「シャーロック・ホー
ムズ様ですね」と尋ねます。怪訝な顔をするホームズに、メイドはアイリーンからホームズが来ること
を聞いていたと。

そして夫妻は早朝ヨーロッパに向かった事、そして二度と戻らない事を告げます。
(この時のメイドは鬼の首を取った様にホームズをあざ笑う様な表情)


慌てて室内に入り、前夜確認しておいた隠し場所を明けると写真と手紙が入っていました。
王に手渡すと、「この写真ではない」と。 問題のツーショットではなくアイリーン1人のポートレート
でした。


手紙を読み始めるホームズ(ホームズ宛ての手紙でした)


アイリーンの手紙には、(少し長いですが全文書きました)
『シャーロック・ホームズ様、実にお見事でした。火事のところまでは疑いませんでした。でも隠し場
所が露見した時 私は数か月前に貴方に気を付ける様忠告されていた事に思い当たりました。王が探偵
を雇うならあなた以外には考えられない。貴方は噂通りの腕前をお示しになりました。大勢の人に囲ま
れた時気付くべきでしたが、まさか親切な老神父に下心があるとは思いもしませんでした。でも、ご存
知の通り、私は女優の経験があるので男装はお手の物です。貴方の家の前まで追ったのは私です。貴方
が本当にシャーロック・ホームズ様か確かめるために。 貴方におやすみの挨拶をしてそれから夫に会
いました。私達は王から逃れる為この国を離れる事を考え秘密裏に結婚しました。貴方の出現は脅威で
した。私の手におえない方ですから。明日いらしても私はいません。写真の事でしたら 王は安心な
さって結構です。王よりも素晴らしい男性と結ばれましたから。王は・・・・(ここでホームズは手紙
を王に渡し、王が読み始めます)。昔捨てた女の事等お構いなく。ただ、写真は護身用として持ってお
きます。今後も王の手から逃れ続けられる様に。
最後に、王の為に別の写真を残します。ご機嫌よう。親愛なるシャーロック・ホームズ様。
”アイリーン・ノートン 旧姓アドラー”』


(途中、英国を離れる船上で寄り添うアイリーンとノートンの映像が挿入されています。 アイリーン
は問題の写真を灌漑深げに眺めた後、海に投げ捨てます。これは正典にないグラナダ版オリジナルの
シーンです)




手紙を読み終わった王は、「何たる女性だ。女王に相応しい。階級の違いが残念だ」と云うとホームズ
は「全くです。確かに彼女は陛下とは人間的な値が違う様です」と冷ややかに言い放ちます。

(ホームズにしてみれば 彼女は貴方にはもったいないよッ!って事でしょうね)
そして率直に今回は期待に添えず申し訳なかったと王に詫びます。
しかし王は、アイリーンは約束を守る女性であるから もはやあの写真は火に投じたも同然であると
大満足を示します。


そして感謝のしるしとして、自分がつけていた指輪を授けようとするとホームズは「陛下はもっと価値の
あるものをお持ちです」、王が「云い給え」と云うと、「これです」とアイリーンの写真を示すホームズ。


「良いとも、君が望むなら」と云う王に、それではご機嫌ようと云うと握手をしようと手を差し伸べる王
を無視して構わずさっさと立ち去るホームズ。 その態度はアイリーンという素晴らしい女性を弄んだ国
王に対する嫉妬めいた非難の感情と共に、相手が国王であろうといっこうに臆することなく公然とした態
度が現れていて、ホームズの性格の一旦を如実に示していると言えます。そんなホームズをフォローして
慌てて代わりに握手をするワトソン(初対面の時握手を無視されたワトソン、今回はやった!ですわ。)


ここからワトソンのモノローグになります。
『これが如何にボヘミア王国を揺るがすスキャンダルになる恐れがあったか。 そして、優秀な頭脳を誇
るシャーロック・ホームズが1人の女性の機知に打ち負かされたか の顛末である。彼は以前は女性の浅
知恵を冷やかしたものだが、最近はそれを聞かなくなった。そして彼がアイリーン・アドラーの事を口に
する時は畏敬の念を込めて”The Woman”「あの人」と呼んだ。彼にとって彼女はただ1人の人であった。
しかし決して彼が彼女を愛していた訳ではない。冷静で論理的な感情は愛という感情を嫌う。
彼は女性を事件を構成する一要素としか見ていない。だがしかし、彼は彼女の写真を鍵を掛けて大切に保
管している。彼にとってそんな女性は・・美しく謎多きアイリーン・アドラーだけだ』 




ホームズはアイリーンの写真を何とも言えない表情で見つめた後、引き出しに仕舞鍵を掛けます。
 正典にはこの記述はないと思いますが・・・。 余談ですが、この引き出しの中の写真は後の ”The
Blue Carbuncle”「青い紅玉」のシーンにも出てきます。その時にも書いたのですが、写真が微妙に違って
います。完全なバストショットで手が写っていません。余計な事ですけどね)

↑ こちらが「青い紅玉」にあったアイリーンの写真





そして、その後ホームズはヴァイオリンを奏で 暖炉の傍に腰を下ろし物思いに耽ります。
 今まで何度も観ていたのに全く気付いて居なかったんですが、今回初めて確認しました。この時ホー
ムズが奏でている曲は、アイリーンが歌っていた曲『あなたは不安なのですか?』でありました。コックス
監督がもう一度ラストでホームズにこの曲を弾かせる事でアイリーンへの追憶を込めたのです)


このエンディングでは、正典とは少し解釈を変えて グラナダ版ではアイリーンに対して感じている心情を
彼が軽蔑するロマンティックな想いをほんの少し奥底に生じさせながらも、それより少し恋愛感情に近い特
別な気持ちを抱いている様に描いています。何とも味わい深く印象に残るエンディングになっていると思います。

アイリーン・アドラーは正典の中でも最も人気のあるキャラクターの1人であり、他の多くのホームズ作品
でも取り上げられ それぞれ異なるタイプで映像化されています。
そして、BBC版を含めホームズのアイリーンに対する感情も色々異なる解釈で描かれています。(特に「新
ロシア版」では2人は恋愛状態にありました)
ただ、正典でもこのエピソード一回だけの登場でしたので、より印象に強く残るキャラクターになっている
のだと思います。
そんな中、何度も繰り返して書いていますが、グラナダ版のアイリーンを演じたゲイル・ハニカットは
本当に美しいです。ただ美しいだけでなく、凛とした佇まいや勇気のある態度を素晴らしく演じています。 
ホームズを打ち負かした唯一の女性に相応しい女優さんです。 
他のホームズ作品でも多くの女優さんがアイリーンを演じていますが、個人的にはこの作品のアイリーンが
一番イメージに合っていると思うし、一番気に入っています。



拙い内容ですが前回よりは少し丁寧に書いたつもりです。
お付き合い頂き有難うございました。




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グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 : (4)

2018-04-01 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 ”A Scandal in Bohemia ”Revision : (4)

The Adventure of Sherlock Holmes
(1984年)

この所飛び入りの情報が多く、後回しになってしまい随分間が開いてしまいましたが、

・・・・・ やり直し: その(4)


夜になり 牧師に変装したホームズとワトソンは馬車で出発します。
ワトソンは、ホームズの変装は見事だが 写真を探す為にどうするつもりなのか尋ねます。
JW : 二度も強盗が物色したのに 何処を探すつもりだ?
SH : 彼女は強盗より頭が良い。
JW : 強盗も家中探したはずだ。
SH : 探し方が悪い。
JW : じゃ君は?
SH : 探さない。
JW : では?
SH : 教えてもらう 
JW : だが断られるさ。
SH : 彼女は断れない。
と話ながらアイリーンの住まいの近くで馬車を降り歩きます。

そして、ホームズが手を挙げる合図でワトソンが動く。 そして10分後に例の場所で会う事を打ち
あわせます。

アイリーンの家の前にはホームズが手配していたゴロツキがたむろしていて アイリーンの帰宅
を待っています。
彼等はアイリーンの馬車が到着すると 馬車の御者を脅しアイリーンにも襲い掛かります。
その時、牧師に変装したホームズが仲裁に入ると逆に彼等から襲われて倒れてしまう。

ホームズの様子を見る紳士(これもホームズの仕掛けか)が、かすり傷だが早く手当をした方が
良いと云うのを聞いたアイリーンは、偽牧師を自宅に運び込むように指示します。





ソファーでアイリーンの手当てを受けたホームズは、頭に包帯を巻いてもらう。
(この包帯の巻き方が珍しい。帽子みたいに見えてしまいます)

窓の外には部屋の中の様子を窺がうワトソンが待機しています。

外の様子を窺がっていたアイリーンは、何時もは静かな家の前に何故この様に大勢の人たちが
集まったのか不審に思い始めています。
そんなアイリーンの気を逸らすように、ホームズは気が失いそうなので窓を開けて空気を入れ替
えて欲しいと頼みます。
そしてその隙にワトソンに合図を送り、ワトソンは発煙筒を部屋に投げ込みます。


部屋に煙が充満してくると、「大変だ。火事だ!」と大声で叫ぶホームズ。


それを聞いたアイリーンは、とっさに大切な写真を隠してある秘密の隠し扉のボタンを押そうとし、その行
動をしっかり見ていたホームズ。
(女性は家が火事だと思った時本能的にすぐ最も大切な物のところに駆け寄る。これは絶対に抗しがたい衝動な
のだというホームズの予想通りの行動をとったアイリーン。 それを予期したホームズが起こしたの火事騒ぎ
だったという事)

その直後、目的を達した「ホームズは、これは火事では無く悪戯に違いないと言うのですが、アイリーンは、
一体何のための悪戯なのかと呟きます。



SH : 復讐だ
IA : そんなに罪深い人が?
SH : この世には復讐を生きがいにしている者がいますからな。 
IA : そんな事は考えられないわ。
SH : 奥様にはご無理でしょうな
(このあたりの意味深な会話で、ホームズはさり気なくアイリーンが起こした行動を示唆している
様です。 そして、アイリーンも何となく偽牧師を怪しみ始めている表情になってきます。 微妙な
表情の変化が凄く上手いです)
そして、目的を達したホームズが、気分が良くなったからとそそくさと帰ろうとすると、馬車で送ると
アイリーン。 その申し出を断ると、お礼をしたいから せめて名前と住所を教えてくれと頼むアイ
リーンに慌てた様に丁重に断るホームズです。 (此処で、アイリーンは偽牧師の正体を確信した
ような表情になります)

(立ち去るホームズの後姿に、「さようなら」と呟くアイリーンの微妙な表情が印象的です。)

約束の場所でワトソンと落合い馬車に乗ったホームズは、「上出来だった」と上機嫌で大爆笑。

JW : 写真は手に入れたか?
SH : 場所は分った。
JW : どうやった?
SH : 彼女が教えてくれた。
JW : それなら何故置いて来たんだ?
SH : 明日の朝早くに行くさ。 王と一緒に。君もだ。証人になって貰わなければならない。

ベーカー街に戻ったホームズはまだ上機嫌のままで大笑いを続けています。

221Bの扉を開けようとしていた時、その横を若い紳士が通り過ぎながら ”Goodnight, Mr. Sherlock Holmes”
と声を掛けます。

その声を聴いたホームズは、訝し気げな顔をします。

正典では,「あの声は聞いた事がある。あ、あれはいったい誰だったんだろう?」と呟いています)
↓ こちらが正典パジェット版挿絵


( 今回書いた部分は、殆どそのままBBC版「ベルグレーヴィアの醜聞」にも踏襲されています。
牧師に変装してアイリーンの家に行く
ケガを装って家の中に入る
ワトソンの手助けで発煙筒で火事を装う
どさくさの中、アイリーンが秘密の隠し場所を示させる。
等々、全てそのまま忠実に引用されています。 ただし、BBC版ではアイリーンがヌードになって
シャーロックの意表を突く、なんてトンデモナイ展開になっていましたが、初めて観た時はビック
リしましたね~。これはアイリーンの”お仕事”の設定がアレでしたからねぇ。勿論正典とは懸け
離れた状況だった訳ですが、初回放送後BBCにはこの場面に対する苦情がかなり多く寄せられた様
です。 正典を重視し、尊重するファンにとってはとんでもない!って事だったんでしょう。
そして、「ベルグレーヴィアの醜聞」でも、麻酔薬で倒したシャーロックにアイリーンはこの有名
なセリフ ”Goodnight, Mr.Sherlock Holmes”もちゃんと入れていましたっけ。 
こんな風に、この当時の「シャーロック」はきちんと正典重視の内容だったのにねぇ(又繰り言)




・・・・・to be continued です。



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グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 :(3)

2018-03-10 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 ”A Scandal in Bohemia” Revision : (3)

The Adventure of Sherlock Holmes
(1984年)

・・・・・ やり直し: その(3)



翌日ホームズは失業した馬丁に変装してサーペンタイン通りにあるアイリーン・アドラーの住まい
ブライオニ―ロッジに現れます。( グラナダ版ホームズとして初めての”変装”です。アクセント、
しゃべり方は勿論、歩き方までまるで違う見事な変装です)
近くの馬車小屋で雇われる事になり 仕事をしながらアイリーンの家の様子を伺います。


(この後、221Bに戻り、変装と作ったメークを落としながらワトソンに状況を話すシーンと交互に
描き出されます。)

ホームズは「2時間ほどそこに居た。アイリーン・アドラーはあの辺りの男たちに大人気だ。”あん
な美人は世界中探してもいない”と皆が口を揃えて言う。」

 
 ホームズが屋敷の前に居ると、アイリーンがピアノを弾きながら歌う声が聞こえる。それを
聞いたホームズが感銘を受けた様な表情をするのです←これも正典には書かれていないグラナダ版
オリジナルの部分です) 

 アイリーンが歌うアリアは、コックス監督の選曲で、アルト歌手キャスリーン・フェリアが
得意であったヘンデルの歌劇『ロデリンダ』の”あなたは不安なのですか”という曲。 だそうです)
「彼女の歌声はまるで天使の様だった」と云うホームズ。
そしてアイリーンは静かに暮らしており、夕方5時に外出して7時には戻る。それ以外は教会に行く
だけだ。 そして、御者から聞き出した事には、ゴドフリー・ノートンという男性が毎日欠かさず
訪れる様だという事でした。
確かノートン氏は弁護士だった筈だというワトソンに、「それは不吉だな」とホームズ。

そんな時突然彼のノートン氏が馬車でやってきてアイリーンの部屋に入り、直ぐに慌てて戻り 馬
車に乗ります。12時までに到着する様に急いで聖モニカ教会に行くように御者に言いつけています。

その後すぐにアイリーンも家を出てもう一台の馬車に乗りますが、その姿を一目見たホームズは明
らかに心を動かされた様な表情となります。そしてワトソンに、「一瞬で男に命を捧げさせる様な
絶世の美女だった」と云うと、ビックリしたワトソンは「君らしくないな 、ホームズ」

 常日頃のホームズの態度とはそぐわない言葉に、これを聞いたワトソンが原作にはないツッコ
ミをして、その点を強調しています)。 それに対して、「たとえだ、ワトソン、他意はない」と
ちょっと言い訳がましいホームズ。

ホームズも慌てて2人の後を追う為馬車を拾い教会へ急がせます。


教会では今まさに2人の結婚式が執り行われようとしているも立会人(花婿の付添人)が居ない為
式は出来ないと司祭から断られそうになっていた。

大慌てのノートン氏は、こっそり忍び込んでお祈りをしている振りをしていたホームズを呼び込み
間に合わせの立会人とし、やっと結婚式を終える事が出来ました。

教会を出て明日の朝会う約束をして別れるノートンとアイリーンは別々の馬車に乗ります。
走り出した馬車を止めたアイリーンはホームズを呼びます。 一瞬驚いた様な表情のホームズ。



馬車に走り寄ったホームズに、お蔭で式を挙げる事が出来たとお礼に金貨を渡すアイリーン。
固辞するホームズに、「今日の記念に取って」と云うアイリーン。


「1ポンド金貨をくれた。 僕はこの出来事の記念に時計の鎖に付けておこうと思う」というホームズ。


 

その後の計画を尋ねるワトソンに、
SH : 先生、君の勇気と慎重さが必要だ
JW : 任せてくれ
SH : 法律に触れる事でも?
JW : かまわないよ。
SH : 逮捕されるかもしれないぞ?
JW : 正統な理由があればかまわないよ
SH : 勿論理由はある
JW : じゃあ君の言う通りにするよ
SH : Splendid!良いね!




ワトソンもホームズの計画に従う約束をするのです。




・・・・・ to be continued です。




 グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲:(2)  
→ グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 :(4)


グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲:(2) 

2018-03-02 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 ”A Scandal in Bohemia ”Revision”: (2)

The Adventure of Sherlock Holmes
(1984年)

・・・・・ 修正: その(2)

派手なお召し物でマスクの紳士にワトソンを紹介するホームズ。

↓ 正典パジェット版挿絵の国王


初めましてと握手をしようと手を伸ばすも全く無視され戸惑うワトソン。

どちら様ですか?と名を問うホームズに、ボヘミアの貴族であるクラム伯爵だと名乗ります。
2人だけで話したいという伯爵に 毅然として「お断りします。私同様彼にも全てお話し下さい」と
応えるホームズに、「君がそう言うなら信用しよう」と渋々従う”伯爵”。
”伯爵”は、この件は2年間極秘にする様に。 2年後には問題でなくなる。だが今は欧州全体の歴
史を揺るがせかねない問題なのだと言います。

そして、”クラム伯爵”も実は偽名である事、面倒な問題がおき公になればボヘミア王室ホルムシュ
タイン家の危機を招きかねないという紳士に対し、「それも承知しておりますよ。”陛下”」と云う
と驚いた様な紳士は、「その通りだ、私は王だ」と云ってマスクを取り去ります。

「ウィルムヘルム陛下だと気づいていました。 カッセル・フェルムシュタイン大公でありボヘミア
国王」それを聞いてビックリ仰天のワトソンは慌てて立ち上がります。 それを制した国王は語り始
めます。


「10年程前にワルシャワを訪問した時に かの有名なアイリーン・アドラーと出会った。」”かの有名な”、
当然知ってるだろ?の王にもピンとこないホームズはワトソンと人名簿を調べます。

人名簿によれば 『1858年ニュージャージー生まれ。オペラ歌手としてワルシャワ等で活躍。引退後
ロンドンに在住。時折音楽会に出演』とあります。


アイリーン・アドラーと深い仲になったという当時皇太子であった国王の回想シーンが挿入されます。
目隠しをさせ楽団の演奏で2人だけで踊るシーン、射的や乗馬で的確な腕を披露するアイリーン、そし
て男装をして王と2人でナイトクラブでカンカンを見て遊ぶシーン等(これらは正典には書かれてい
ないオリジナルシーンですが、アイリーンの”男装”は さり気なく後のある場面のヒントにもなって
います)
 

そしてそんな折、国王がポートレイトを写す際アイリーンがつと傍に寄り添い2人の写真が撮られたの
だと言います。
それを聞いたホームズは、チッ、チッ、チッ、と舌を鳴らし「それはまずい。実に軽率でしたね」に、
国王は「彼女は美しく魅力的で、賢く大胆な女性だった。当時はまだ皇太子だった。若気の至りだった。
が、今は30歳だ(←30歳?これが?)」色々言い訳する国王。


↑ グラナダ版として初の”尖塔のポーズ”

↑ こちらが正典「ボヘミアの醜聞」内、シドニー・パジェット版挿絵にある”尖塔のポーズ”
この後、歴代のホームズがこのポーズをとる様になります。

↑ BBC版ベネディクトのシャーロック、ガイ・リッチー版R.D.Jr.のコラージュ(何度も載せてスミマセン)

ホームズが写真を取り戻そうとしたのか尋ねると、「試みたが失敗した。買い取ろうとしても売らない
だろう」という国王。
それでは盗めば・・・いうホームズに、5度試みた。2度強盗を雇い、一度は荷物を奪った、待ち伏せを
2度したがことごとく失敗。写真は見つからなかったのだと言います。


それを聞いたホームズは大爆笑。 ムッとする国王
私の身の破滅だと困り果てる国王は、スカンジナビア王の第二王女クロチルド姫との結婚を控えており、
先方は厳格な家柄であるし 王女も潔癖症である。 アイリーンの事が知れると破談になるに違いない。
そのアイリーンは例の写真を来週月曜日の婚約発表の後送ると云って来たと云います。

ホームズは他に事件を抱えているが後3日あるので何とかなるだろうと(チョット勿体ぶって)国王を安
心させます。
そして、「この件の報酬は?」と尋ねると、国王は持ってきていた布袋2つを出し、「金貨で300ポンド、
紙幣で700ポンドある」と。 
これを聞いたワトソンはビックリ仰天で椅子から飛び上がります。

 合計1000ポンドは現在の貨幣価値にすると約2,400万円相当とか・・・!! そりゃ~腰を抜かす
程ビックリしますわ)
 報酬には拘らない筈のホームズが珍しく自分から報酬を確認するのは、国王への戒め、お灸をす
えるの意味もあるのかも知れない)

アイリーン・アドラーの住所を聞いた後、「近いうちに良い知らせを」と国王を帰します。

見送りをするワトソンは丁寧にお辞儀をしますが、鷹揚に頷く国王。一方ホームズは知らん顔で見送り
もせず暖炉の傍でパイプをくゆらし始める。それを見た2人があきれ顔。


国王を送り出したワトソンは、喜色満面でもみ手をしながら国王の置いて行ったお金を取り上げ、
「”ロマノス”で食事ができるぞ。 だが金曜日までは3日しかない」というワトソンに、「それまでに
は解決する。週末にはセント・ジェームス・ホールでチャイコフスキーの演奏会があるんだ」と自信満々
のホームズ。
( ”ロマノス”が良く分からないのですが、多分普段はとても手が出ない高級なレストランなんで
しょう)


1人にしてくれとワトソンを自室に追いやったホームズは、国王が置き忘れて行ったマスクを手に取り
何やら思案顔(アイデアが浮かんだ?)





・・・・・ to be continued です。




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→ グラナダ版『ボヘミアの醜聞』再掲 :(3) 

● 『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index