The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『SHERLOCK』: Mini Episode “Many Happy Returns” 回顧その(2)

2019-09-18 | SHERLOCK Mini epi. : Many Happy Returns
“Many Happy Returns” 2013

「幸せな人生を」 : 何で今頃? 物凄く今更なのですが・・・

・・・・・その(2)

(ニューデリー)


プラケッシュ警部が部下を従えて記者会見に臨んでいます。
多くのマイクとカメラマンたちが取り囲むなか、警部は満足げに笑みを浮かべます。
そして、
「皆さん、その後は単に殺人犯を探し出すだけの問題でね、私は犠牲者のアイスクリームコーン
の中にチョコレートがどれだけ沈み込んだかを解き明かす事でそれを成し遂げたんです」
と警部は満足げに記者団に向かって笑顔をみせます。

 ”アイスクリームコーンの中のチョコレートがどれだけ沈んだか・・・”は正典「6つのナポ
レオン」にある「アバネティー家の事件」で ”夏の暑い日にパセリがバターの中に沈んだ深さ・
・・”からの引用ですね。

その後、警部は記者団を残し部屋を出、背後でドアを閉めると廊下の少し先に居る人物に向かって、
背後を気にしながら、

「友よ。 君の手柄にしなくて良いのか? すべて君のお蔭なのに」

その目の前には、クルクルヘアーとロングコートを着た見慣れた姿が・・・背後からの光で顔は陰
になって居て見えない。 

(ロンドンのパブ)
再びレストレードとアンダーソン。
GL: 賢い奴だ。プラケシュ警部
PA : ねぇ、ちょっと・・・。警部なんかにあんな推理が出来たと思いますか?
GL : ああ、そりゃどうも!
PA : シャーロックが貴方の事件を全て解決した時だって自分の手柄にしなかったのを憶えている
でしょ?
GL : (憤然としながら)彼が全てを解決した訳じゃない!
PA : (考え込みながら遠くを見るように)彼は他の場所に居るんだ。身を潜めている。でも首を突っ
込むのを止められないんだ。
(含み笑いをしながら)間違いなく彼ですよ、サインを見分けられるなら!
GL : ”クライン兄弟”、”タワーハウスの件”、”ケンジントンの通り魔”ー皆俺が自分で解決し
たんだ!
PA : まあ、タワーハウスはしくじったけど。
GL : そんな事はない!
PA : いえ、そうでした。(そして地図の他の場所を広げ)

発見例その3・・・(ハンブルグの場所を指で叩いて)・・・謎めいた陪審員

レストレードは呆れかえった様にテーブルにオデコをゴンと打ち付ける←ここ好きなトコ(笑)

(ハンブルグ)

疲れ切った表情の陪審員長が他の陪審員に向かって話し始めます(ここはドイツ語で)
「陪審員長ご承知の通り、この陪審員団は稀に見る非常に圧迫された状況下にあります。しかし私
はあなた方に判決を下す事を強く求めなければならない。トレポフ氏は妻殺害の件で有罪か?無罪
か?」


5人の陪審員達が次々に応えていきます。 ”無罪”と。

その間、一番端に居る一人の男が苛立たし気に指でテーブルを叩いています。
そして、最後の席に座る陪審員へ順番が回ってきた時、陪審員長は溜息をつきながら、
「で、どうですか?」


後姿が見えるその男性は、クルクルヘアーに襟を立てたコート(お馴染みの)男性が・・・!


その後、スタンドに置かれた新聞の見出しには「トレポフ有罪!」、「トレポフ”有罪”騒動」と
いう文字が踊っています。
(他陪審員が全員”無罪”を主張したにもかかわらず、最後の審判員の一言で覆ったという事)

 ”トレポフ” の名は、正典「ボヘミアの醜聞」 ”A Scandal in Bohemia” にある「語られざ
る事件」にある「トレポフ氏の妻の殺害事件」からでしょうね。

(再びロンドンのパブ)
PA : 彼の筈なんです!他に可能な人間なんていないでしょ!分かりませんか?
GL : 俺に分かるのは、お前が死んだ人間が行き返るなんて妄想をこじらせて立派な仕事を失ったっ
て事だ。何故それを望むのかも知ってる。(顔をしかめて)だが、起こる訳ないんだ。
首を振るアンダーソンを眺めて、
GL : さて、俺は古い友人を訪ねるところだ。身体に気を付けろよ、な?
(そして、傍に置いてあった箱を手に取り、かつての同僚を気づかわし気な様子で見ながら)
一言言っておくよ。彼らが事件の再調査をしないか確かめるんだな。
PA : でも地図を見て下さいよ。

(地図にはアンダーソンが記した点線がニューデリーからハンブルグ、そしてアムステルダム、ブリュッ
セルへと続き 次第にロンドンに向かって来ている)
彼は近づいてきているんだ。
(そしてレストレードを見上げながら)
まるで戻って来ているみたいだ。


レストレードは少し考え込んだ様子をしたが、やがて静かにアンダーソンに頷くとパブを後にし
ました。




・・・・・to be continued




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『SHERLOCK』: Mini Episode “Many Happy Returns” 回顧その(1)

2019-09-08 | SHERLOCK Mini epi. : Many Happy Returns
“Many Happy Returns” 2013

「幸せな人生を」 : 何で今頃? 物凄く今更なのですが・・・

はじめに、

このところ何年も前のシャーロック関連古い拙記事をご訪問下さる方が増えて来て、フト気が付
いたらDlifeチャンネルで『シャーロック』の放送が始まったんでしたね。
私自身はTVでの放送はあまり観ていなかったので確かでは無いのですが、Dlifeチャンネルでの
放送は初めてですよね。

2年程前にS4関連を書き終わって以来、随分長く『シャーロック』関連を書いていないし、『シャー
ロック』殆ど観なおしていませんでした。
何となく懐かしくなって、そんな時急に思い出しました。

2013年のクリスマス時期に放送された”Many Happy Returns”
これは、2012年1月に放送されたS2E3の ”The Reichenbach Fall” 「ライヘンバッハ・ヒーロー」
以来2年振りに2014年1月1日放送予定と言われていたS3の放送前カウントダウンが始まるクリスマ
スシーズンに特別にYouTubeで流されたスペシャルのミニ・エピソードです。
もう6年近く経ってしまったんですね(遠い目)

もう誰もかれもS3の放送が待ちきれずにいたこの時期のクリスマス・ギフトは大興奮してワクワ
クしながらPC に噛り付いて観た事を懐かしく思い出しました。涙が溢れそうでしたよ。

既に多くの方がこのエピソード関連についてお書きになっていたと思いますが、当時まだブログ
を始めていなかった為、S1~S3に関しては余り書いていなかったし、このエピソードに関しては
内容も書いていなかったので、本当に驚くほど今更なのですが、懐かしかったし、久し振りに
あの時の高揚感を振り返ってみようと思います。


S2E3でシャーロックが衝撃的な自殺(ビルの屋上からの落下)を遂げた後、生きている事は分かっ
ていたものの、S3E1でどの様な形で姿を現し復活するのか?というのが注目の的でした。
正典では、”The Empty House”(空き家の冒険)でホームズ帰還となったのですが、BBC版では
タイトルを引用して ”The Empty Hearse”(空の霊柩車)と発表されていました。


放送前に街中にはシャーロックの名前が掲げられた空の霊柩車が出現したりして、いやがうえに
も期待感を盛り上げていました。

このミニ・エピソードは約6分と短い作品ですが、以下概略です。



SH : シャーロック・ホームズ
JW : ジョン・ワトソン
GL : グレッグ・レストレード
PA : フィリップ・アンダーソン

(ヒマラヤの山奥深くにある修道院)


赤い僧衣とフードをまとった僧兵達が跪くなか、修道院長と思われる僧侶が並んでいる僧侶たち
の頭に手を触れて祝福を与えている。
最後の僧侶の前に立つと その僧侶のフードを持ち上げ顔を露わにする。


現れたのはブロンドの若い女性。

正体を明かされた女性は、修道院長をにらみつけ一言。
”You bastard !”(この野郎! 或は 人でなし!)


周囲の僧侶たちも驚いて見つめる修道院長は陰に包まれて顔が分からない。

 これは、正典『空き家の冒険』でホームズがチベットに行っていたと語っている事に由来する
のでしょう。

(ロンドンのパブ)

レストレード警部と警察を辞しているヒゲずらのアンダーソン




(レストレードはアンダーソンが口にした言葉を信じられない様な表情で)
GL:  仏教の僧兵の分派にブロンドのヤクの売人が潜り込んでいたんだと? そんな事あるわけないだろ!
PA: そ、そのブロンドのヤクの売人は修道院長の並外れた観察力と推理力によって正体をばらされたんですよ!
GL: ブロンドの女が禿頭の坊さんたちの中に紛れ込んでいただと?そんなんじゃシャーロック・ホームズを欺
けないな。
PA: ええ、多分そうなんです。
GL: 彼は死んだんだ。 (悲痛な面持ちのアンダーソンに向かって)
悪かったよ。俺だってそう思いたくないさ。 だが彼は本当に死んだんだ。
PA: じゃあ、これをどう説明します? (と言ってテーブルの上に世界地図を広げ、ニューデリーの上に示され
た赤いバツ印を指さします)


発見事項その2。 ニューデリー事件。
(レストレードは呆れた様な表情でアンダーソンをみながら)
GL: タイトルなんか付けてんのか?


その2へ、
・・・・・ to be continued です。