The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『ワニの町へ来たスパイ』ジャナ・テリオン著

2021-03-30 | ブックレヴュー&情報
『ワニの町へ来たスパイ』(創元推理文庫)-2017/12/11

”Louisiana Longshot”
ジャナ・テリオン(著)、島村浩子(翻訳)


内容(「BOOK」データベースより)
潜入任務で暴れすぎたために、敵から狙われる身となった超凄腕CIA秘密工作員のわたし。ル
イジアナの小さな町で、自分と正反対の女性になりすまし潜伏するつもりが、到着するなり保安
官助手に目をつけられ、住む家の裏の川で人骨を発見してしまう。そのうえ町を牛耳る老婦人た
ちに焚きつけられ、しかたなく人骨事件の真相を追うことに……。
型破りなミステリ・シリーズ第一弾。

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

このところ複雑でジックリ読まなければならないミステリを続けて読んでいたせいか 少々脳が
疲れて来た為、気分転換と脳を休ませる意味で軽い作品を選びました。
初読みの作家さんです。

コージーミステリ系は余り好みでは無かったので ほんの軽い気持ちで選んだ作品ですが、これ
がなかなかの拾い物でして、思わず一気読みしてしまいました。

主人公は語り手で、凄腕のCIA秘密工作員のレディング(通称”フォーチュン”)。
潜入先で武器商人でドラッグの元締めを殺してしまった為、報復の為殺し屋たちから命を狙われ
ることになってしまった。
CIAの長官モローは、フォーチュンに身を隠すように指示。
モローの姪で最近亡くなった大叔母アイダから家を相続したサンディー=スー・モローになりす
まし、ルイジアナの田舎町シンフルで静かに暮らすように指示。
ところが、サンディーと云う女性は性格も外見もフォーチュンとは正反対、似ても似つかぬ女性
らしいので、ヘアースタイルから着る物に至るまで変装して現地に向かうフォーチュン。

シンフル(sinfull=罪深い)という町は、バイユーと呼ばれる濁った川が流れ、周りを湿地に囲ま
れアリゲーターが人家のそば迄出没するという 人口300人にも満たない田舎町。

町に到着早々保安官助手に目を付けられるは、家で飼われていた老犬が敷地内のバイユーで人骨
らしきものを見つけるは、早速騒動に巻き込まれることに。
骨を見つけた犬の名前は”ボーンズ”、フォーチュン曰く「1日24時間のうち23時間は寝ている」と
いう老犬(この犬もなかなかと和ませてくれる)。 

そんなフォーチュンはちょっと変わったおばあちゃん2人に出会う。
町を仕切っているらしい”シンフル・レディース・ソサイエティ”という怪しげな婦人会のメンバー
であるアイダ・ベルとガ-ティー・ルパート、そして亡くなったアイダもメンバーであったという。

5年程前にハーベイ・チコロンという町の嫌われ者が姿を消し、行方不明になっていたが、見つ
かった人骨がそのハーベイではないかというアイダとガ-ティー。
もしそうであれば、資産家であったハーベイに虐待を受けていた妻のマリーが犯人ではないかと
心配する町の人々。
そして、そのマリーは行方をくらましている。
特におばあちゃんたちは町の人たち皆から好かれていたマリーを気遣い、マリーの行方探しと
真犯人を見つける為に捜査開始。 
密かに身を隠していなければならないフォーチュンも嫌が応にもドタバタに巻き込まれていく。

2人のおばあちゃん達はただの無害なおばあちゃん達では無さそう。
特にアイダ・ベルは一発でアリゲーターを仕留める、コルベットを乗り回す、等パワフルさを
発揮するのです。
本編最後に彼女たちの過去が示され、成程ね・・・と納得。

このおばあちゃん達は本国アメリカでは大人気で、インターネット上ではTシャツやマグカップも
売り出されているとか。

兎に角痛快で思わずクスッとさせられたりしながらも、しっかり犯人捜しのミステリにもなってい
る元気を貰える作品でした。

アメリカ南部、ルイジアナの雰囲気も楽しめます。

又、翻訳がこの作品の内容、テイストにとても上手く合っていて雰囲気を盛り上げていると感じま
した。

「ミス・フォーチュン・シリーズ」は本書を含み既に10作品発表されており、、アイダ・ベルと
ガ-ティーも引き続き登場するそうです。 

2作目は、
『ミスコン女王が殺された』”Lethal Bayou Beaty”


3作目は
『生きるか死ぬかの町長選挙』”Swamp Sniper”


の2作も既に翻訳出版されています。

相変わらず鬱々とした日々が続くこんな時、楽しく気分転換出来る作品です。



これから放送予定の海外ドラマ(4月&5月)

2021-03-26 | 海外ドラマ
-再放送分と独占初放送分-

4月5月に放送予定の海外ドラマの情報が色々出ていますが、今回は全く個人的な好みで
優先的にピックアップした作品をご紹介しておきます。
他にも沢山放送予定がありますが 出来れば順次追加していくつもりです。
今回は総てAXNミステリーでの放送分です。

先ず、
再放送予定分として、

※ 『戦争と平和』BBC版


字幕版 全8話 2016年 BBC製作

4月7日(水)スタート 毎週木曜 8:00pm~

本作では、滅多に撮影許可が下りない世界遺産・エカテリーナ宮殿やルンダーレ宮殿、エルミ
タージュ美術館など、貴重な建物で撮影された。衣装やジュエリーなどの装飾品も当時のデザ
インを忠実に再現し、“本物”にこだわった迫力の映像美は圧巻だ。
(AXNミステリー公式ページより)

この作品は以前何度かご紹介しましたが、感想としては書く余裕がありませんでした。
映像も美しく、出演者も豪華です。
ポール・ダノのピエールがとても良いです。(私見)
念のため一応おさらいを

出演:
ピエール・ベズーホフ:ポール・ダノ
ナターシャ・ロストワ:リリー・ジェームズ
アンドレイ・ボルコンスキー;ジェームズ・ノートン

又、ドーロホフにトム・バーク、アンナ・パヴロヴナにジリアン・アンダーソン等
レベッカ・フロントも出演しています。

今回は字幕版での再放送ですので、嬉しいですね。

↓ 以前もう少し詳しく書いた記事はコチラに。
✩ BBC版ドラマ 『戦争と平和』

※ 『ミス・マープル』ジョーン・ヒクソン版

字幕版再放送です。
全22話 

4月17日、4月24日(土)4:00pm~

↓ エピソード等はこちらの過去記事をご参照下さい
✩ ジョーン・ヒクソン版『ミス・マープル』今更ですが・・・・

※『マクドナルド&ドッズ 窓際刑事ドッズの捜査手帳』S1

全2話 2020年 ITV製作

とても好きなドラマです。
再びドッズさんに癒されましょう。

字幕版
4月27日(火)4:00pm~

↓ 概略は以下の過去記事をご参照下さい
✩ 『マクドナルド&ドッズ 窓際刑事ドッズの捜査手帳』S1



以下は5月日本初放送ドラマです

※ 『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』

”Astrid et Raphaelle”
2019年 フランス初放送 全9話

几帳面で論理的なアストリッドと、思いついたら猪突猛進でガサツで大らかなラファエルという正
反対の二人が協力し合い事件を解決していく、フランス発ミステリー!
犯罪資料局で働く自閉症のアストリッドは、警官だった父親の影響を受け子供の頃から刑事事件
の調書や謎解きに人一倍興味を持っていた。そして、犯罪学者や監察医並の知識も兼ね備えて
いる。ある日、医師の自殺を調べている警視のラファエルに的確な資料を出したことでラファエル
に才能を見出され、ラファエルは医師が動機もなく自殺した3件の事件を一緒に調べてくれとアス
トリッドをスカウトする。

完璧な人間などいない。しかし、自分ができないことを誰かと補い合い、助け合うことで、自分一
人ではできなかったことが成し遂げられる、そんなことを二人から学ぶことができるドラマシリーズ
である。
(AXNミステリー公式ページより)

出演;
サラ・モーテンセン:アストリッド・ニールセン
ローラ・ドヴェール:ラファエル・コスト


✩ 『フラワーショップ・ミステリー』

”Flower Shop Mystery”
2016年 カナダ、アメリカ製作 全2話

ブルック・シールズ演じる元弁護士で生花店を営むアビーが事件を解決していく、コージー・ミステ
リー!
映画「プリティ・ベビー」で世界中でセンセーションを巻き起こし、一躍世界的な人気スターとなった
ブルック・シールズが主演・製作をつとめた意欲作。

主人公のアビー・ナイトは、優しい父親と母親思いの大学生の娘、そして、心機一転で始めた生花店で、
夫の死を乗り越え始めていた。そんな時、平穏な町で事件が起こる。元弁護士の血が騒ぎ、アビーは
独自に事件を捜査していく。
捜査をしていく中で生花店の隣のバーを買ったハンサムなマルコ・サルヴァーレに協力を仰ぐことに
なり、徐々に信頼関係を築き上げていく。
アビーが生花店の店主ということから、お花がキーアイテムとなるミステリーシリーズ!
(AXNミステリー公式ページより)

出演;
ブルック・シールズ:アビー・ナイト
ブレナン・エリオット:マルコ・サルヴァーレ
ボー・ブリッジス:ジェフリー・ナイト


出演者を見てチョット驚きました。
ブルック・シールズ、懐かしい名前が出ています。 かなり昔超美少女として記憶に残っていたの
ですが、その後興味もなかった為かどうしていたのか全く知りませんでした。
写真で見る限り、歳なりにですがフツーに綺麗な(?)オバサンになっている様で。
いや、ちゃんとドラマで見たらやはり美女かもしれませんね。
コージー系は普段あまり興味はないのですが、チョット気になっているドラマです。



名探偵ポアロ『杉の棺』

2021-03-22 | アガサ・クリスティ
”Sad Cypress”

Season 9 Episode2 (2003年初放送)

ポアロ関連は何度も過去に書いていたものの、何故か個々のエピソード自体に触れた事は無
かった様な気がします。

原作は、アガサ・クリスティーが1940年に発表した『杉の棺』”Sad Cypress” ですが、この原
作は本当に大昔に読んだので細部は霧の中(得意のフレーズ)でした。

先日何気なくポアロの再放送を観ていたのですが、以前観たのは随分前の様な気がするのと同
時に、ゲスト出演者に目が留まり 久々にゆっくり観直す事にした次第です(惜しむらくは吹
き替え版でしたが)。





概略は、
ロディと婚約中のエリノアに怪しい警告文が届く。 不安にかられた彼女は病床の叔母の主治医
であるロードに相談。 ロードは友人であるポアロに助言を請う。
ドイツ留学から帰国した幼馴染で庭師の娘メアリに出会ったロディは彼女に心を奪われてしまう。
傷ついたエリノアは婚約を解消し、メアリに憎しみを募らせていた。
叔母は亡くなり エリノアはその遺産を相続する事になるが、叔母が非常に可愛がっていたメアリ
にもその一部を贈ることに。 そして、屋敷の整理をするエリノアを手伝っていたメアリが急死し、
エリノアにその殺害容疑がかかる。 容疑を否認しないエリノアは裁判に掛けられる事になる。
そんなエリノアの容疑を晴らす為、限られた時間の中ポアロが事件解明に挑む事になる。

出演:
エルキュール・ポワロ : デヴィッド・スーシェ
エリノア・カーライル : エリザベス・ダーモット・ウォルシュ
ロディ・ウィンター : ルパート・ペンリー=ジョーンズ
メアリ・ジェラード : ケリー・ライリー
ピーター・ロード医師 : ポール・マクガン
ホプキンズ看護師 : フィリス・ローガン
ウェルマン夫人 : ダイアナ・クイック
マーズデン : ジャック・ギャロウェイ


今回出演者が興味深かったので、その視点で触れてみたいと思います。



まず、個人的な好みからですが、何と言っても目に付いたのが ルパート・ペンリー=ジョーンズ
でしたので、ジックリ正座して(椅子だけど)拝見いたしました。 婚約中にもかかわらず他の女
性に目を奪われるダメ男君ですが、相変わらず端正なお姿です。



そして、
ポアロの良き友人であるロード医師を演じているポール・マクガンは、『ドクター・フー』の8代目
ドクターを演じた役者さんです。 とは言え、私が見たのは”新シリーズ”と云われる クリストファー・
エクルストン版の9代目ドクターからなので、実際のお姿は画面上では観た事がありませんが・・・・。





メアリー・ジェラードを演じているケリー・ライリーは ロバート・ダウニーJr.版シャーロック・
ホームズでメアリ・モースタンが記憶に残っていますね。



そして、
ホプキンズ看護師のフィリス・ローガンは、何と言っても『ダウントン・アビー』のヒューズでお馴
染みですが、『主任警部モース』その他多くの作品に出演しています。



そう言えば、判事役でティモシー・カールトン(ベネディクト・カンバーバッチのパパ)がチョコッと
だけ顔を見せていましたっけ。



このエピソードは ヘイスティングスも居らず、ポアロが1人頑張ります。
何と言っても、刑の確定から死刑執行迄5日しかないんです。 この時代はこんな風だったんでしょう
かね。早過ぎです。

尚このエピソードの原題は ”Sad Cypress” (直訳は”悲しいイトスギ”)ですが、イトスギは柩を作る
のに使われるそうで、又ドラマの冒頭 病に臥したエリノアの叔母が引用したシェイクスピアの『十
二夜』の科白「わが身を杉の棺に横たえよ』の部分からと言われています。

原作本は、
『杉の棺』(ハヤカワ文庫-クリスティー文庫)

アガサ・クリスティー(著)、恩地三保子(翻訳)



『刑事モース~オックスフォード事件簿』 S8撮影開始!

2021-03-18 |  ∟新米刑事モース/主任警部モース
“ENDEAVOUR”: Season 8


コロナの影響で遅れていたシーズン8の撮影が数日前から始まった様で 久々にメディアを賑わ
しています。
半年以上遅れましたかね。
どうなる事かと心配で、皆様首を長くして待っていましたが、ようやく、ようやくです。

以前から何度も書いてきました、今シーズン8は若モースとしてのファイナルとなる訳ですので
いや増しに期待と力がこもります。

シーズン8の時代設定は1971年と言われています。

オリジナルの『警部モース』の原作でのデビュー時の年齢は44歳とされており、(ドラマの主任警
部モースとしてのジョン・ソウはもう少し年上の感じですが)、先日3月6日に41歳のお誕生日を迎
えたショーン君。今シーズンでのモースは大分このオリジナルモースの年齢に近づいてきている感
じですね。

シーズン7のtrailerにもあった、フレーズを思い出します。

『 ENDEAVOUR BECOMING “MORSE” 』

これは以前の記事にも書きましたが、このフレーズを見た時にトリハダもんでした。

今シーズンでもショーン君は監督兼任もしている様です。



今回はオックスフォードでの野外ロケの状況が沢山出ていましたのでご紹介しておきます。
やはり皆マスクをして気を付けている様で、野外ロケはまだしも 屋内での撮影は本当に気を使
う大変な状況だろうと察せられますね。











シーズン8のエピソードタイトル等は未だ発表されていませんが、英国初放送は年内を予定して
いるとの事です(”idealy” という言い方をされていますが)

取りあえずの第一報で、今後の情報は出次第追加していくつもりです。

(source :dailymail co.uk, oxfordmail co.uk, Jack Ludlum, Kati & etc.)



ドラマ『Atlantic Crossing』(原題)

2021-03-16 | 海外ドラマ
”Atlantic Crossing” 2020年

8エピソード

ノルウェイ国営放送で2020年製作された実話を元にした歴史ドラマです。
4月4日からイギリスで初放送になる予定になっていますが、以前から興味を持っていたので
一応ご紹介しておきます。



第二次世界大戦時。
国民から人気のあったノルウェイのマッタ妃は アメリカを訪問した際、当時のフランクリン・ルー
ズベルト大統領夫人エレノアと友情を育む。
だが、その後ドイツ軍によるノルウェイ侵攻が進むとスウェーデンに亡命したが、そこでも身の危
険を感じたマッタ妃は 親交のあったルーズベルト大統領から招かれアメリカに渡り、ホワイトハ
ウスにも数か月滞在した。
このシリーズはマッタ妃とルーズベルト大統領の当時の親交が描かれている様です。

監督 : アレクサンデル・エイク
出演:
マッタ妃 : ソフィア・ヘリン(『THE BRIDGE/ブリッジ』等
フランクリン・ルーズベルト大統領 : カイル・マクラクラン(『ツイン・ピークス』等)








カイル・マクラクラン、懐かしいですねぇ。
1990年放送当時世界的な反響を呼んだ『ツイン・ピークス』、昔夢中で観ていた事を覚えていま
す←古い話で・・・・。 
そう言えば、数年前に観ていた『エージェント・オブ・シールド』に出演していたのを偶然見つ
けてこの時も懐かしい思いで見ていました(出演は少なかったですけど)。

今回のルーズベルト大統領役は、メイクの助けもあるでしょうが 大統領ご本人にとても雰囲気
が似ている様に思います。

このドラマに描かれているという歴史的実話は知りませんでしたし、手堅い製作がされている様
なので、機会があれば是非観たいドラマです。

日本での放送はあるかどうか・・・・。

↓ trailer はこちら
https://youtu.be/uU4wb2vwJHw



『英国総督 最後の家』2017年

2021-03-13 | 映画
”Viceroy's House”


1947年、独立前夜のインドを舞台に、激動する歴史に翻弄された人々の姿を描いたヒューマンド
ラマ。最後のイギリス統治者として、インドのデリーにある総督の家にやってきたルイス・マウ
ントバッテン。宮殿のように豪華な総督の邸宅では、ヒンズー教、イスラム教、シーク教などさ
まざな宗派の教徒たち500人が使用人として階下で働き、ルイスと家族が暮らす2階では、政治の
エリートたちが、独立後に統一インドを望む多数派と、分離してパキスタンを建国したいムスリム
たちとに分かれ、連日連夜の論議を続けていた。そんな日々の中、使用人のインド人青年ジートと
令嬢秘書のアーリアが、宗派の違いを超えて惹かれあうのだが……。インドにルーツを持ち、祖父
母が分離独立の大きな影響を受けたというグリンダ・チャーダ監督がメガホンをとり、総督ルイス・
マウントバッテンを「パディントン」のヒュー・ボネビル、ルイスの妻でインドへの愛情を示すエド
ウィナ役を「X-ファイル」のジリアン・アンダーソンが演じた。

2017年製作/106分/G/イギリス
原題:Viceroy's House
配給:キノフィルムズ
(映画.comより)

監督:グリンダ・チャーダ
製作総指揮 : キャメロン・マクラッケン、クリスティーン・ランガン、ナターシャ・ワートン他
脚本 : ポール・マエダ・バージェス、グリンダ・チャーダ、モイラ・バフィーニ

出演
ルイス・マウントバッテン卿 : ヒュー・ボネビル
エドウィナ・マウントバッテン : ジリアン・アンダーソン
ジート・クマール : マニシュ・ダヤル
ヘイスティングス・イズメイ大将 : マイケル・ガンボン


マウントバッテン卿を演じるヒュー・ボネビルは 言わずもがなですが「ダウントン・アビー」のグラン
サム伯爵で良く知られていますし、妻のエドウィナを演じるジリアン・アンダーソンは「X-ファイル」
のスカリーですっかり名を広めましたね。 その後かなりの数にのぼる作品に出演していますが、大変人
気を得ているドラマ「ザ・クラウン」のマーガレット・サッチャー役で、第78回ゴールデン・グローブ賞
の助演女優賞を獲得しています。
そして、その「ザ・クラウン」にも今回の主役であるマウントバッテン卿も登場しているのです。
又、ベテランのマイケル・ガンボンが流石の存在感を見せています。

主権の譲渡の為、最後の英国総督として赴任してきたマウントバッテン卿と家族。
インドに対して深い敬意を持ち、イギリスの都合のみを考えるチャーチルの強硬手段からどうにか距離を
置き、インドを平和な状態で引き渡す為に、イスラム教の指導者であるジンナーやヒンズー教徒を率いる
ネルー(昔は”ネール”と言っていたような・・・)との話し合いを続けるが、宗教間の対立は増すばかりで。
1つの国インドを目指すガンジーの思いは届かず、イギリスはヒンズーの国インドとイスラム教のパキス
タンと分離する事を提案します。


↑ ガンジーと


↑ 実際のご本人達


↑ エドウィナ夫人とネルー


↑ ジンナーと

残された時間の中で、総督邸の備品、調度品、キッチン用品に至るまで総て両国に分配する様子、国民達
に何れかの国籍を選ばせる手続きの様子、そして、その後の両国内で起こる暴動、虐殺等に胸が痛みます
が、マウントバッテン卿やエドウィナ達の奮闘も含め丁寧に描かれています。



そんな仲サイドストーリーの様に描かれる、イスラム教の女性とヒンズー教の青年のラブロマンスは宗教
の対立によって、その混乱に巻き込まれる無辜の庶民の象徴と感じられます。

途中実際の当時の映像が流され、現実に起こった事が実感として胸が痛みます。

総ては史実そのままかどうかは分りませんが、教科書の中の文字からでは読み取れない、現実を目の当た
りにする事で改めてインド、パキスタンの建国時の状況を理解する事が出来ました。

当時の風景、人々の生活が丁寧に描かれ、係わる人々の苦悩も含め改めて勉強させられる作品でした。

ところで、
エドウィナを演じるジリアン・アンダーソンが妙に姿勢が悪く、猫背気味なのが何故かしら?と感じて
いた所、実際エドウィナご本人の映像を見るとそっくりなんですね。
流石女優さんです。

又、私事なのですが、何故か子供の頃からマウントバッテン卿のお名前は脳の片隅に残って居りました。
教科書からではないですね。 人となりとか細かい事は知らなかったのに、多分身内の大人達の話が記
憶の底に残っていたのではないかと思うのですが、不思議でなりません。
なので、今回何故か懐かしい(?)思いも持ちながら映画を観る事が出来ました。

因みに、マウントバッテン卿はエリザベス女王の夫君フィリップ殿下の伯父にあたる方です。

とりとめもない感想になりましたが、軽い気持ちで何気なく見始めた映画で改めて色々考えさせられ、
気づかされるきっかけを貰った様な気がします。

↓ DVDはこちらです





『ヴィエナ・ブラッド』S1

2021-03-09 | 海外ドラマ
”Vienna Blood” Season 1

2019年 イギリス/オーストリア
BBC

先日の拙記事で、見逃したので何処かで再放送、配信をお願いしていたドラマ『ヴィエナ・ブラッド』
ですが、お願いの声に応えてくれたかの様にHuluで配信が始まりました。何というナイス・タイミン
グでしょう。 チョット感動。

で、早速全部試聴致しました。 
取りあえず概略を。

この作品は、臨床心理士でもあるイギリス人作家 フランク・タリスによるベストセラー小説(リバー
マンシリーズ)を元にドラマ化したものです。 
原作リバーマンシリーズは6巻迄出版されているとのことですが、ペーパーバックのみで残念ながら翻
訳はされてない様です。

シーズン1は3エピソードですが、各エピソードをパート1、パート2の2話構成にしてあります。
E1 : The Last Seance
E2 : Queen of the Night
E3 : The Lost Child

前回キャストをザっとご紹介してありますが、もう一度

製作総指揮:スティーブ・トンプソン(『シャーロック』、『ドクター・フー』等)
出演;
マシュー・ビアード : マックス・リバーマン(ユダヤ系英国人精神科研修医)
ヨーゲン・マウラー : オスカル・ラインハルト(ウィーン警察警部)
ジェシカ・デ・ガウ : アメリア・レグゲイト(英国人科学者)
ルイーゼ・フォン・フィンク : クララ(マックスの婚約者)


1900年代初頭のウィーンが舞台になっています。
主人公のマックス・リバーマンは、精神分析学の祖であるジークムント・フロイトに傾倒する精神
科研修医ですが、父の友人であるシュトラッサー署長を介して、警察の捜査に同行、協力する事に
なります。当時一般的でなかった心理学の知識を駆使し、”プロファイル”という考え方を用いなが
ら犯人像を分析していきます。







実業家であるマックスの父は、マックスに“まともな医者”になる様に苦言を呈しているが、母親は
マックスに理解を示している。
又夫が戦死し、同居をしている姉は 友人でもあるマックスの婚約者クララに対するマックスの煮
え切らない態度に苛立ちを示している。

ウィーン警察レオポルドシュタット署のオスカル・ラインハルト警部は 実直だが短気でもあり
又暫らく結果を出していなかった為、早期退職をほのめかされたりしている。 当初はマックス
の同行を迷惑に思い、邪魔者扱いをしていたが、次第に助言を求める様になり、タッグを組む事に。
幼い娘を亡くし、妻とは別居中。

各エピソードの内容は別途書こうと思いますが(出来るかな?)、取りあえずドラマ全体の感想と
しては、

このドラマは、前回ご紹介にも書きました様に、過去『SHERLOCK』や『ドクターフー』を手掛
けたスティーブ・トンプソンによる製作総指揮のクライム・サスペンスであります。
そのせいか、作風が『シャーロック』にとてもよく似ている感じを受けます。
他にも書かれていた様に、『シャーロック』の時代劇版という言及にも納得させられますね。

ただ、このドラマは、舞台がオーストリアのウィーンである事、設定時代が19世紀初頭-恐らく
ウィーンが学術的にも芸術的にも最も華やかだった時代になっている為、クリムトの絵画展、
フロイトの講義場面、マーラーの演奏会等も描かれているのも興味深い点です。

又、反ユダヤ主義、移民問題も絡めながら、当時の社会問題を描きながら、同時に自然史博物館、
オペラハウス、ホーフブルグ宮殿、彼の有名な大観覧車(←「第三の男」を思い出しました)
等々、ウィーンの風景、名所も楽しめるという美味しい点もありますね。

マックスを演じるマシュー・ビアードは、ふわっとしてソフトな雰囲気、口調もソフトです。
線の細い印象ですが、犯人を追ってビルの屋上を走って追跡する等結構アクティブでもあります。
(彼は「イミテーション・ゲーム」に出ていたそうですが、全く記憶に残っていませんでした。
ゴメンです)。
その他の出演者は殆どオーストリアやドイツ出身の俳優さんなので初めてお目に掛かる方ばかり
ですが、とても良いハーモニーを醸し出していると感じます。

軽すぎず、重すぎず、テンポも丁度良いし、映像的にも興味深い かなりクオリティーの高い
作品ではないかと感じます。



何より、マックスとラインハルトのバディー関係が次第に深まる様子も興味深く、マックスから
”友達”と言われて嬉しそうなラインハルトが可愛い(?)です。 

3エピソードと少ない構成ですが、既にシーズン2も製作済の様です。
出来るだけ早い日本放送を待ってます!

因みに、

DVDは発売されています(日本版は出ていない様ですね)



原作本はこちら(ペーパーバックを読む気力、体力はないので、翻訳本出れば読みたいけど・・・)




ドラマ版『オビ=ワン・ケノービ』続報

2021-03-06 | Star Wars
”OBI=WAN・KENOBI” (原題)


もう1年半程前になるでしょうか、映画『スター・ウォーズ』シリーズで人気キャラクターであった
オビ=ワン・ケノービを主人公にしたドラマがユアン・マクレガーで製作されるとの情報を書きまし
た(コチラに)。
その後、殆んど何の進展もないまま 記憶の底にしまい込まれていたのですが、数日前に新しい
キャストの発表があり、そう言えば・・・・。と思い出し、ここに追加を書いて置こうと思います。



実は、書く機会を逸していたのですが(こんな大事な事なのに)、昨年末、このシリーズにヘイデ
ン・クリステンセンがダース・ベイダーを再演する事が正式発表されていたのです。
もう、何と申しましょうか・・・・。 個人的には大興奮、狂喜乱舞(大げさ)なニュースでした。





ヘイデン・クリステンセンは、『スター・ウォーズ』新三部作(『ファントム・メナス』、『クローン
の逆襲』、『シスの復讐』)で、アナキン・スカイウォーカー(後のダース・ベイダー)を演じていて、
個人的には大好物の俳優さんでした。

その、ヘイデン君が何とッ!再びダース・ベイダーを演じる事となり、オビ=ワン・ケノービと共演
するなんて、もう何と嬉しい事でしょう。
『シスの復讐』が2005年公開だったので、ユアンとヘイデン君の顔合わせ共演は16年振りでしょうか。

今回製作されるドラマシリーズは、『III: シスの復讐』でアナキンがダークサイドに墜ち、ダース・
ベイダーに変ってしまった10年後から始まるとの事。
つまり、『IV:新たなる希望』との間の物語を描く事になる様です。

ん?って事は・・・・、
オビ=ワンはアレック・ギネスのベン・ケノビに近づいてくる訳だから 容易にイメージ出来るの
ですが、アナキンは既にダース・ベイダーに変わってしまったとすれば、アナキンとしてのヘイデ
ン君はどういう設定で登場するんだろう? と、疑問と不安が出てくるのですが、まぁ、兎に角情
報を待ちましょう。

そして、先日新キャストとして インデラ・ヴァルマの出演が発表されました。


インデラ・ヴァルマは『ゲーム・オブ・スローンズ』でエラリア・サンド役で出演していた女優さん
です。
彼女の役柄は未だ発表されていません。

撮影は2021年春の終り頃ロサンゼルスで(多分?)開始予定との事。

又、このシリーズは以前書きました様に、全6エピソード(予定)Disney+で 配信予定。
時期は未定です。
(Disney+契約していないからな~・・・。 又DVD頼みになるのかしら?)

『スター・ウォーズ』も『最後のジェダイ』までは劇場で観ましたが、新シリーズはもはや別物(私
見)と思われ、その後の2作品は配信でのみ鑑賞したという経緯がありました。

拙関連過去記事をご覧頂ければお分かりになるかと思いますが、何時も”ダース・ベイダーは?、
ヘイデン君は?”ばかり言ってましたね(笑)
勿論オビ=ワンもアレック・ギネスの時から、そしてユアンになっても好きなキャラクターでした。

なので、今回のドラマは楽しみが出来ましたし、個人的には久々に”スター・ウォーズ”の世界を
楽しめれば良いな、と思っています。

今後撮影開始になれば色々情報が出ると思いますので、随時追加しようと思っています。




”Unforgotten”「埋もれる殺意」シーズン4

2021-03-02 | 海外ドラマ


“Unforgotten” のシーズン4が英国ITVで放送開始になっています。

このドラマは、S1~S3迄既に日本でも放送、配信されました。

シーズン1 : 「39年目の真実」8エピソード : 2015年11月UK初放送
シーズン2 : 「26年目の沈黙」6エピソード : 2017年1月UK初放送
シーズン3 : 「18年目の慟哭」6エピソード : 2018年7月UK初放送

新シーズンであるシーズン4は全6エピソード。
内容はボチボチ出て来ていますが、現時点では敢えて触れないでおきます。
又、日本語タイトルは未定です。

メインの出演者である
キャシー・スチュアート : 二コラ・ウォーカー
サニル・”サニー”・カーン : サンジーヴ・バスカ―
は続投

このドラマの素晴らしい点は、過去の未解決事件の再調査というメインテーマだけではなく、
その被害者と家族の人生に向き合い、又加害者の心情を細かく描き出しているという事。

又、キャシーを演じる二コラ・ウォーカーの演技が「控えめななかにも、孤独、共感、慈しみ
といった感情を盛り込んでいる」評価されている様に、彼女の存在感で別格の出来栄えになって
いるとも言われています。
そのキャシーの相棒であるインド系の巡査部長”サニー”とのコンビも良い味を出しています。

二コラ・ウォーカーは以前も何度か書きました様に、とても好きな女優さんで、最初に目に留
まったドラマは もう随分前の作品ですが、「MI-5 英国機密諜報部」でした。 その後「刑
事リバー 死者と共に生きる」
も好きでしたねぇ。
派手さはないですが、ジックリと見せてくれる演技が素晴らしい役者さんだと感じています。

同じく未解決事件の再捜査というテーマを扱う”ニュー・トリックス”とは対極のタイプになり
ますが、どちらもそれぞれ違う魅力があり、個人的にはこの二つのドラマは両方大好きです。

↓ S4のtrailerはこちら
https://youtu.be/7mLwTNqJLRw

日本放送が何時になるか未定ですが、情報入り次第追記します。