―Mr. Holmes (2) : 映画版 ―
Mr. Holmes
”The Man beyond the Myth of Sherlock Holmes”
Director : Bill Condon (ビル・コンドン)
Cast :
Sherlock Holmes : Ian McKellen (サー・イアン・マッケラン)
Mrs. Munro : Laura Linney(ローラ・リネイ)
Roger : Milo Parker(マイロ・パーカー)
Tamiki Umezaki : Hiroyuki Sanada(真田広之)
Thomas Kelmot : Patrick Kennedy(パトリック・ケネディー)
Ann Kelmot : Hattie Morahan(ハティ・モラハン)
Dr. Barrie : Roger Allam(ロジャー・アラム)
Inspector Gilbert : Philip Davis (フィリップ・デイヴィス)
前回原作について書いてから間が空いてしまいましたが 映画版DVDを観た感想等
書いてみました。
昨年夏だったか 初めてMr.Holmesの画像が発表された時、サー・イアンが随分
老けたなぁと言うのが最初の感想でした。 が、後に色々情報を見た時にあれは
メークの為せる技だったと知り驚くと同時に己の浅はかさを知りました。
そうですよね、実年齢より20歳位も年上の役柄だし、最後の事件の時の映像を
見れば一目瞭然だし、あのメーク技術に驚かされました。
田舎暮らしをしている93歳のホームズの姿は記憶も途絶えがちなので 忘れそうに
なるロジャーの名前をシャツのカフスに書き残して置く。 これは日本に行った際
ウメザキの名前も書いていました。
このエピソードは正典にもあり、”The Adventure of the Naval Treaty”「海軍条約事件」
の中で - ”That is of enormous importance" said Holmes making a note upon his
shirt-cuff. (あれはとんでもなく重要な事だ、と言ってホームズはシャツの袖口
にメモを書いた)ーとあります。
そして姿勢、歩き方等全く93歳にしか見えない。
ロジャー少年を演じたマイロ・パーカーは可愛くて、純真で大きな瞳を輝かせてホームズの
話を聞く様子、甲斐甲斐しくホームズの世話をする様子、瞳を輝かせながら色々な事に興味を
持つ等とても良い演技をしていました。 可愛いです。
最後の事件となったケルモット夫人事件(原作はケラーなんですけど・・・)は原作とは違った
状況でしたね。
50歳代(?)のホームズを演じたサー・イアンは気品があり自信に溢れた様子が素晴らしかった
のですが、無事解決したと思われたにも拘らず死を選んだケルモット夫人の最後を知ったホームズの
憔悴が心に響きます。
原作の三部構成は映画版では入れ子状態で挿入されています。
又原作とは違う表現をされている部分も何か所かありました。
原作とは異なる表現になる事は脚本的によくある事だとは思うのですが、今回原作を読んだ後に
映画版を観ると、違和感がある事は拭えません。
結果的に良いか悪いかは判断出来ませんが、一番はロジャーの扱いで最後を観てひっくり返る程
ビックリしました。
映画版の方が救いがあるとは思うのですが・・・・ 難しい所ですねぇ。
それと、ケルモット夫人の行動も違った描き方がされています。
尤も、原作の時にも書いたのですが、確かに原作でのケルモット夫人の行動とそれに伴う
ホームズの行動が曖昧だった為、映画の脚本では理由付けがなされているのだと思いましたけど。
そして、ケルモット夫人に会う際、ホームズがホームズの姿で接触し、しかもケルモット夫人
もホームズである事を知っていた。 等原作で感じた曖昧さを納得させる様なシチュエーション
に持って行っていた様な気きがしました。
↑
このシーンは、ホームズがワトソンが書いた作品を元に作られた 自分を主人公にした映画を観て
苦虫を噛み潰したような様な表情をしているのが面白いです。
何より残念だったのは日本のシーンですよ!
原作で感じたカリンの詳細な日本描写が生かされていない。
ハリウッドや海外作品で描かれる日本の映像と同じ様に 国籍不明(韓国風?or中国風?アジア風?)。
着物、食堂のセット等ありがちではあるけど、本当に残念な映像でした。
日本の映像はロンドンにセットを組んだそうですが、もう少し細かい日本人の意見或はカリン自身の
意見を聞いて欲しかったと感じます。
文句はその位にして・・・・
ただ、再度言いますが サー・イアンの老ホームズの演技は素晴らしいの一語に尽きます。
老いて思いのままにならない身体と記憶の衰えに戸惑いながらも ロジャー少年との交友を深めていく姿は
微笑ましいし 心温まります。
ロジャーの事故を知って泣き崩れるホームズは まさに「人間ホームズ」を感じさせられ感動します。
↑
最後のこのシーンは原作にも書かれているのですが、小さな石を今は亡きワトソン、マイクロフト、ハドソンさん
等親しかった人々の墓石の様になぞらえて その中心に座り祈りをささげる様な姿は ホームズがやっと心を
開いて自分を取り戻した様子に思え 胸が一杯になり滂沱の涙・・・・
他にも何度も泣かされましたが個人的にはこのシーンが一番感動的だったのです。
サー・イアンはこの作品でオスカーの主演男優賞の候補に入ると言われていますが、来年2月発表でどうなりますか。
日本での映画公開は来年(時期は未定)との事です。
Mr. Holmes
”The Man beyond the Myth of Sherlock Holmes”
Director : Bill Condon (ビル・コンドン)
Cast :
Sherlock Holmes : Ian McKellen (サー・イアン・マッケラン)
Mrs. Munro : Laura Linney(ローラ・リネイ)
Roger : Milo Parker(マイロ・パーカー)
Tamiki Umezaki : Hiroyuki Sanada(真田広之)
Thomas Kelmot : Patrick Kennedy(パトリック・ケネディー)
Ann Kelmot : Hattie Morahan(ハティ・モラハン)
Dr. Barrie : Roger Allam(ロジャー・アラム)
Inspector Gilbert : Philip Davis (フィリップ・デイヴィス)
前回原作について書いてから間が空いてしまいましたが 映画版DVDを観た感想等
書いてみました。
昨年夏だったか 初めてMr.Holmesの画像が発表された時、サー・イアンが随分
老けたなぁと言うのが最初の感想でした。 が、後に色々情報を見た時にあれは
メークの為せる技だったと知り驚くと同時に己の浅はかさを知りました。
そうですよね、実年齢より20歳位も年上の役柄だし、最後の事件の時の映像を
見れば一目瞭然だし、あのメーク技術に驚かされました。
田舎暮らしをしている93歳のホームズの姿は記憶も途絶えがちなので 忘れそうに
なるロジャーの名前をシャツのカフスに書き残して置く。 これは日本に行った際
ウメザキの名前も書いていました。
このエピソードは正典にもあり、”The Adventure of the Naval Treaty”「海軍条約事件」
の中で - ”That is of enormous importance" said Holmes making a note upon his
shirt-cuff. (あれはとんでもなく重要な事だ、と言ってホームズはシャツの袖口
にメモを書いた)ーとあります。
そして姿勢、歩き方等全く93歳にしか見えない。
ロジャー少年を演じたマイロ・パーカーは可愛くて、純真で大きな瞳を輝かせてホームズの
話を聞く様子、甲斐甲斐しくホームズの世話をする様子、瞳を輝かせながら色々な事に興味を
持つ等とても良い演技をしていました。 可愛いです。
最後の事件となったケルモット夫人事件(原作はケラーなんですけど・・・)は原作とは違った
状況でしたね。
50歳代(?)のホームズを演じたサー・イアンは気品があり自信に溢れた様子が素晴らしかった
のですが、無事解決したと思われたにも拘らず死を選んだケルモット夫人の最後を知ったホームズの
憔悴が心に響きます。
原作の三部構成は映画版では入れ子状態で挿入されています。
又原作とは違う表現をされている部分も何か所かありました。
原作とは異なる表現になる事は脚本的によくある事だとは思うのですが、今回原作を読んだ後に
映画版を観ると、違和感がある事は拭えません。
結果的に良いか悪いかは判断出来ませんが、一番はロジャーの扱いで最後を観てひっくり返る程
ビックリしました。
映画版の方が救いがあるとは思うのですが・・・・ 難しい所ですねぇ。
それと、ケルモット夫人の行動も違った描き方がされています。
尤も、原作の時にも書いたのですが、確かに原作でのケルモット夫人の行動とそれに伴う
ホームズの行動が曖昧だった為、映画の脚本では理由付けがなされているのだと思いましたけど。
そして、ケルモット夫人に会う際、ホームズがホームズの姿で接触し、しかもケルモット夫人
もホームズである事を知っていた。 等原作で感じた曖昧さを納得させる様なシチュエーション
に持って行っていた様な気きがしました。
↑
このシーンは、ホームズがワトソンが書いた作品を元に作られた 自分を主人公にした映画を観て
苦虫を噛み潰したような様な表情をしているのが面白いです。
何より残念だったのは日本のシーンですよ!
原作で感じたカリンの詳細な日本描写が生かされていない。
ハリウッドや海外作品で描かれる日本の映像と同じ様に 国籍不明(韓国風?or中国風?アジア風?)。
着物、食堂のセット等ありがちではあるけど、本当に残念な映像でした。
日本の映像はロンドンにセットを組んだそうですが、もう少し細かい日本人の意見或はカリン自身の
意見を聞いて欲しかったと感じます。
文句はその位にして・・・・
ただ、再度言いますが サー・イアンの老ホームズの演技は素晴らしいの一語に尽きます。
老いて思いのままにならない身体と記憶の衰えに戸惑いながらも ロジャー少年との交友を深めていく姿は
微笑ましいし 心温まります。
ロジャーの事故を知って泣き崩れるホームズは まさに「人間ホームズ」を感じさせられ感動します。
↑
最後のこのシーンは原作にも書かれているのですが、小さな石を今は亡きワトソン、マイクロフト、ハドソンさん
等親しかった人々の墓石の様になぞらえて その中心に座り祈りをささげる様な姿は ホームズがやっと心を
開いて自分を取り戻した様子に思え 胸が一杯になり滂沱の涙・・・・
他にも何度も泣かされましたが個人的にはこのシーンが一番感動的だったのです。
サー・イアンはこの作品でオスカーの主演男優賞の候補に入ると言われていますが、来年2月発表でどうなりますか。
日本での映画公開は来年(時期は未定)との事です。