The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『刑事フォイル』久々の再放送

2022-01-28 |  ∟刑事フォイル
”Foyle’s War”

ITV
久々の『刑事フォイル』の話題です。

アンソニー・ホロヴィッツと言えば、何と言っても先ず思い付くのが『刑事フォイル』”Foyle’s War”
だったのですが、このところアンソニー・ホロヴィッツ関連の小説を取り上げる事が何度かあり、又、
『カササギ殺人事件』のドラマ化情報も書いたばかりでした。

何となく『刑事フォイル』を思い出していたそんな折も折、本当に久し振りの『刑事フォイル』再放
送の情報が出ました。

AXNミステリーにて、
3月19日(土)6:00am スタート(3日間連続で全エピソード放送との事)


数年前迄、何度となく繰り返し再放送をしていたので、その都度ひつこく見直していたものの、この
数年は放送がありませんでしたね。

私が最初にこのドラマを観たのは随分前(多分10年以上前?)で、何気なく観始めて以来のめり込み
ました。

過去何度か触れてきましたが、最後に書いた記事から6年以上経っていました。
そんな事もあり、再放送を前に少しおさらいをしておこうと思います。

このドラマは、大人気であった『主任警部モース』の終了と共に、その次の番組としてITVの製作により、
アンソニー・ホロヴィッツの脚本で2002年放送開始されたドラマです。

S1(2002年): 4エピソード
S2(2003年): 4 エピソード
S3(2004年): 4エピソード
S4(2006年): 2エピソード
S5(2007年): 2エピソード
S6(2008年): 3エピソード
S7(2010年): 3エピソード
S8(2013年): 3エピソード
S9(2015年): 3エピソード  

エピソードリストはコチラをご参照下さい

 
概略は、
第二次世界大戦中のイギリス南部ヘイスティングスで、警視正フォイルが戦時中の混乱状態に起きる
事件を解決していきます。
温厚ではあるが、人一倍強い正義感を持ち、頑固でもあるフォイルが犯罪に立ち向かう姿を描いています。
第二次世界大戦に徐々に巻き込まれていく初期からの戦史を織り込みながら、時代に翻弄される市政の
人々の生活や、その中で起きる事件を断固として警察官の誇りを持って忠実に職務をこなす、正に”Foyle’s
War” フォイルにとっての戦いなのです。

キャストは、
製作総指揮:ジル・グリーン
監督:ジェレミー・シルバーストン
脚本:アンソニー・ホロヴィッツ
出演:
クリストファー・フォイル(ヘイスティングス署の警視正):マイケル・キッチン
サマンサ”サム”・スチュワート(フォイルの運転手):ハニーサックル・スチュワート
ポール・ミルナー(ヘイスティングス署の巡査部長):アンソニー・ハウウェル
アンドリュー・フォイル(フォイルの息子):ジュリアン・オヴェンテン

エピソード毎に贅沢なゲスト出演もあります。
(ゲストのほんの一部だけストはエピソードリストにも書きました。但し個人的な好みで偏っています) 

何と言っても、マイケル・キッチンが素晴らしく、これだけでも見る価値ありと思いますが、チームとな
るサムがこの時代には珍しく行動的で物怖じせず健気な姿が緩衝材となっています。
又、真面目で物静かではあるが頼りになるミルナーと、それぞれが戦時下困難や悩みを抱えながら事件に
取り組む姿を描いていて、兎に角流石アンソニー・ホロヴィッツの脚本だと納得させられる内容となって
いると感じます。

兎に角、これぞ ”ザ・英国ドラマ”と感じる、何度もじっくり観直したくなるドラマだと思います。

ところで、
マイケル・キッチンがとても素敵なのですが、『主任警部モース』で偶然若かりし頃の(髪の毛ある)姿
の出演に気づきました。 役柄のせいもあるのでしょうが、何となく胡散臭い、悪の感じでした。フォイ
ルの頃が断然素敵です(髪の毛無くても←暴言、又言ってる)

又、ハニーサックル・スチュワートも『ポアロ』や『ルイス警部』等にも出演しています。

そう言えば、以前拙記事にも書きました、『メインテーマは殺人』の作品冒頭で、自らも登場人物でもあ
るアンソニー・ホロヴィッツが『刑事フォイル』の製作に関して語っています。
街中での撮影の難しさ、主演のマイケル・キッチンから台本に関して多くの注文があり 台本が付箋だら
けだった云々。
マイケル・キッチンだからこそなのでしょうが、脚本家に主演俳優がダメ出しするのかとチョット驚いた
もんです。(ホロヴィッツさんのぼやきが・・・?)。
一方共演者である、サムのハニーサックルはお気に入りの様でしたね。

アンソニー・ホロヴィッツは、これも過去何度も書きました様に、
『名探偵ポアロ』、『バーナビー警部』他長年人気長寿ドラマの脚本も手掛け、又小説家としても多くの
ベストセラーを生み出しています(これも過去記事に取り上げました)。
何時か改めて作品を纏めてみようと思っています。




「刑事フォイル」感想再び

2015-11-16 |  ∟刑事フォイル
”FOYLE'S WAR”


以前も何度か『刑事フォイル』については感想を書いているのですが、現在BSで
放映されているせいか 随分前の拙記事を見に来て下さる方が多い事に驚いています。
(特に日曜日から月曜日にかけて閲覧数が一段と上がるものですから・・・・)
ただ・・・BSは吹き替えなのが返す返すも残念です(又言ってる)。

AXNミステリーでも何度目かの再放映をしていますし、私も何度目かになりますが
時々再試聴しています。 (AXNミステリーではファイナルシーズンS9を放映中です)。
以前も同じことを書いた記憶があるのですが、この様な派手さもない一見地味とも
思えるドラマが何故この様に皆の心を掴み人気を博しているのか再度考えてみました。

第二次世界大戦中、大戦後の何気ない庶民の生活 -食糧不足に苦労したり、本土襲撃
を受けた人々の苦労、軍需産業に駆り出される若い女性達等々 同じ様な状況を経験
した日本人として(実体験としては知りませんが)心の琴線に触れるというか理解
できる状況を描き出しているのもその理由の1つではないかと思います。

そして、そんな状況下に於いても市井の中で起きる日常の犯罪に毅然と立ち向かう
フォイルの心意気と言うか決然とした態度に感銘を受けるのでしょう。
終戦後 MI:5に移っても 体制の矛盾と戦いながら事件と向かい合うフォイルは一貫
して自分の意志を貫いて戦い続ける。 こんな点に共感を覚えるのではないでしょうか。
穏やかではあるけど 強い意志を持ち事件解決に立ち向かう姿は 頑固一徹の石頭では
なく サムやミルナーに見せる思いやり、心配りを感じさせられるし、時折見せるちょっと
したユーモアが心を和らげてくれます。
思わず あんな上司は理想的だな~と思わせられてしまいます。

息子アンドリューに対しても、不器用であり べたべたした関係では無くても 心の中で
いかに思いやり パイロットとして従軍している息子を心配する親心がさり気なく表され
ていて、特に休暇で帰国したアンドリューに自分で釣りをしてもてなそうとしたり、軍に
戻る際にはさり気なくお金を渡してやるなど 微笑ましい親心です。

戦争中は日本も同じ庶民の苦しみがあったのでしょうけど、唯一の違いは フォイルが
戦時中にも関わらず 束の間釣りやゴルフを楽しむ場面を見ると日本では考えられな
かった状況なのだと気づきます。 尤もヘイスティングスはロンドンとは違って地方都市
ですので ある程度の余裕があったのかも知れませんが、逆にノルマンディーからの負傷兵
を救出に行く一般漁船のエピソード等史実に基づいた地域性が特出した場面もありました。
戦時中の人々、街の様子など詳細に描かれていて勉強にもなりますね。


↑ アンドリューと釣りを楽しむフォイル


↑ 何時もの装いですがゴルフプレー中のフォイル

日々の暮らしに苦労する一般庶民とは別に旧弊な貴族、上流階級の人々はそんな状況下でも
家柄、名誉に縛られ、守り抜こうと足掻いている様子、そのせいで起こる事件等色々な点で
人々の生活状況が見えて来るのですね。

そして各エピソードのセリフも記憶に残る素晴らしい物が多く アンソニー・ホロヴィッツ
の脚本の素晴らしさを再認識させられます。
ただ、日本語字幕版にしても吹き替え版にしても多少ニュアンスが違ったり良さが伝わらない
部分もあるのが残念です。


以前一度書いたのですが、S7E3 ”The Hide” 「反逆者の沈黙」は何度見ても感銘を
受けます。アンドリュー・スコットの名演技 : 前回は書きませんでしたが、最後に本心を
告白した後 心の重荷を下ろした後の表情がとても良く、柔らかく微笑み ”Thank you, sir”
とフォイルに握手をもとめるむ姿がより涙をさそうのですよ・・・・・。

そして、このエピソードでのフォイルのセリフ(ジェームズの母親との経緯を語る際)、
の ”I knew her” (彼女を知っていた)とあからさまでない言葉で表現される彼女
との関係。  あーそうゆう事だったのね。 グッときましたね。
ジェームズがフォイルの息子であるかどうかに関しては2人とも全く触れていないし むしろ
追及する必要が無いと考えているのだと思いますが、困った時には手を貸すと申し出るフォイル
に素直に感謝するジェームズ。
2人にとって心から大切に思うジェームズの母親を挟んで2人の心が結ばれたのだと感じました。

そして これも以前に書いた事なのですが、サムと結婚するアダム・ウェンライト役が変更に
なっているのが何とも残念で!(ひつこい!) マックス・ブラウンであればこのドラマの
中でも大分 ”華”があったのだと思うのですが・・・・(個人的感想ですが)。

アダムと結婚した後のサムは物腰も大人の女性を感じさせられるし、話し方もトーンが変わって
落ち着いて見えます。が、その後もフォイルの手伝いをし フォイルからは「もう首を突っ込むな!」
等と言われながらも事件に係りアダムを心配させます。

AXNミステリーでの再放映を観ながら、時間が許す時はBSでの放映も時々観ています。
字幕版で観ていた者にとっては少し違和感があるのですが それでも又観てしまうのですね。

そうそう、次回はいよいよローレンス・フォックス出演の ”War Games” 「作戦演習」→(BS番組案内
では 「軍事演習」となっている様ですね。)
ハサウェイとは異なる ”美しき暗殺者”(キャッチコピーでした)を是非又観なくては。
但し、吹き替え版でローレンスの声でないとどんな感じなのか一抹の不安がありますが・・・・・・



「刑事フォイル」に関しては 思いも多く話題が尽きませんです。








「刑事フォイル」エピソード・リストと雑感等

2015-09-04 |  ∟刑事フォイル
”FOYLE'S WAR” : エピソード・リストと雑感等



8月30日(日曜日)に遂に「刑事フォイル」がBS放映開始となり、楽しみに待って
いた方が随分多い事を知りました。

私も吹き替え版がどの様になっているのか気になり観てみましたが、コメントにも
触れました様にフォイルの声が違うんだなぁ・・・・って感じでした(マイケル・
キッチン ご本人の声はもう少し深みがあるのですけど)。 でも、取りあえずは何
とか我慢で きる許容範囲かな?(偉そうに)。

初回をご覧になりモグモグさんからも早速”良かった””との感想を聞かせて頂き、 又
他の友人達も同様の意見を聞き、同時にこの作品に関心を持たれた方が予想 以上に多
かった事を知りました。

私の様にひっそり運営している辺境ブログにさえ多くの方がおいで下さり、特に BS
放映直後から今までにない程の閲覧を頂き驚きました。 有難うございます。
「フォイル」の様に凄くクオリティーは高いけど ある意味地味であるドラマにあれ
程 多くの方が関心を持たれて 感動したとのご意見を見ると我が事の様に感激して し
まいました。

AXNミステリーではS9迄放映終了しましたが、ODでは再放映もしています。
で、しつこく又観ていますが、一部不明だったり忘れている点、混乱している点等 あ
りますので(ボケ)頭の整理と今後ご覧になる方の参考になれば、と余計なお世 話で
すが全エピソード書き出してみました。

S1 (2002年制作)
E1 : 「ドイツ人の女」 ”The German Woman”   ジェームズ・マカヴォイ出演
E2 : 「臆病者」 ”The White Feather”
E3 : 「兵役拒否」 ”A Lesson In Murder”  デヴィッド・テナント出演
E4 : 「レーダー基地」 ”Eagle Day”

S2 (2003年制作)
E1 : 「50隻の軍艦」 ”Fifty Ships”
E2 : 「エースパイロット」 ”Among The Few”
E3 : 「作戦演習」 ”War Games"   ローレンス・フォックス出演
E4 : 「隠れ家」 ”The Funk Hole”

S3 (2004年制作)
E1 : 「丘の家」 ”The French Drop”
E2 : 「癒えない傷跡」 ”Enemy Fire”
E3  : 「それぞれの戦場」 ”They Fought in the Fields”
E4 : 「不発弾」 ”War of Nerves”

S4 (2006年制作)
E1 : 「侵略」 ”Invasion”
E2 : 「生物兵器」 ”Bad Blood”

S5 (2007年制作)
E1 : 「クリスマスの足音」 ”Bleak Midwinter”
E2 : 「戦争の犠牲者」 ”Casualties of War”

S6 (2008年制作)
E1 : 「疑惑の地図」 ”Plan of Attack”
E2 : 「壊れた心」 ”Broken Souls” 
E3 : 「警報解除」 ”All Clear”

S7 (2010年制作)
E1 : 「帰れぬ祖国」 ”The Russian House”  マックス・ブラウン出演
E2 : 「差別の構図」 ”Killing Time”
E3 : 「反逆者の沈黙」 ”The Hide”  アンドリュー・スコット出演

E8 (2013年制作)
E1 : 「新たなる戦い」 ”The Eternity Ring”  
E2 : 「エヴリン・グリーン」 ”The Cage”
E3 : 「ひまわり」 ”Sunflower"

S9 (2015年制作)
E1 : 「ハイ キャッスル」 ”High Castle”
E2 : 「エルサレムの悲劇」 ”Trespass”
E3 : 「エリーズのために」 ”Elise”
      
ゲスト出演で書き出したのはあくまでも個人的な趣味、好みのみですが、他にも こんな所
にこんな人が と多くのベテラン俳優、名優がさり気なく出演しています。
ホントに贅沢です。

S8からフォイルはMI-5で働く様になり、これまでとは異なる形で事件の捜査を すると共に、
MI-5内での相容れぬ意見の相違、陰謀、葛藤を抱えながらも別の 形での戦いが続きます。

ファイナルシーズンも感動の内容でしたが、敢えてここでは触れないことにします。
ただ一点、これもネタばれになるのかしら?と思いつつも どうしても書いて置きた いのは、
S7でアダム・ウェインライトからプロ―ポーズされ 結婚する事になった サムなのですが、
 S8を見て あれ?違う人と結婚したのかと暫らくの間混乱して しまったのですが、何と!
 アダムが配役変更になっていたんですね。
余りにも違う印象の俳優さんに変更で もうホントに残念でした。
マックス・ブラウンはこの当時 ”MI-5” に出演で被ってしまたんでしょうか?


最後に、 ”War Games” でハサウェイとは全く異なるキャラクターを演じたローレンス
画像です。若い!



この後BSでファイナルシーズン迄全話放映してくれる事を祈るばかりです。




「刑事フォイル」 S7 感想等

2015-08-20 |  ∟刑事フォイル
”FOYLE'S WAR”: S7


何度も触れていたのですが、「刑事フォイル」再放送中で連日観なおしている中で
いきなりですがS7に触れてみようと思います。

現在も放映中の為 なるべく内容細部には触れない様にしますが、実際に観る前
には封印なさりたい方は申し訳ありませんが回避お願い致します。 


何故いきなりS7かと言うと 内容が何時にも増して心に染みる作品であったし、色々
な点で心に残る点が多かったので、記憶に新しいうちに書き残して置こうと考えました。

何れも2010年制作のエピソードです。
S7E1 「帰れぬ祖国」 ”The Russian House”
S7E2 「差別の構図」 ”The Killing Time”
S7E3 「反逆者の沈黙」 ”The Hide”

前回英国ミステリーリストアップ時は余り細かく触れていなかったので 改めて。

以前名前だけは聞き及んでいたものの 詳細は良く知らなかったので、今回遅まき
ながら今更ですが、企画・脚本を手掛けるアンソニー・ホロヴィッツについて少し
調べてみました。
ホロヴィッツはミステリー界注目の小説家、脚本家で、コナン・ドイル財団公認で
シャーロック・ホームズの続編「絹の家」を執筆し、又「バーナビー警部」、「名探偵
ポアロ」等の脚本も手掛けているようです。
(大変!「絹の家」読んでいません(汗) 何てことでしょう! パスティーシュは
色々読み漁っていたのに失格ですね・・・・ 早速手に入れます。)
そして2014年にはOBEを授与されているそうです。
ホロヴィッツ自身もイギリス在住の裕福なユダヤ人家庭の生まれだそうで、ナチス
のホロコーストやユダヤ人の問題にも特別な思いが有ったのではないかと感じます。
作品中も色々なシーンで触れられています。


これも今更ですが、主要登場人物ご紹介です :

Christopher Foyle (Michael Kitchen)
ヘイスティングス警察署の警視正(DCS=Detective Super Intendent)
温厚な性格ですが人一倍強い正義感を持ち、戦時中と特殊な状況下にも決して
犯罪を許さない信念の人です。
スコッチを愛し、時には釣り、ゴルフを楽しみます。
妻を亡くし、一人息子のアンドリューはオックスフォード在学中に空軍に召集され
パイロットとして従軍していました。

Paul Milner (Anthony Howell)
大戦で片足を失いという不運に見舞われ 失意の中フォイルに出会い生きる希望を
見出し、フォイルの片腕となって活躍する事に。
生真面目で頭が固い印象だが 緻密な捜査で事件に取り組みます。
心の余裕が出来ると共に次第に柔軟になってきた印象もあります。

Samantha Stewart = Sam (Honeysuckle Weeks)
フォイルの運転手。
若く積極的な女性で 事件に関しても臆せず自分の意見を述べ 時に捜査にも赴きます。
大昔の死語で言えば ”おきゃん”、 同じく死語 ”チャキチャキ”(いやー古いですねぇ)。 
サムの物怖じしないで健気に生きて居る姿はややもすると暗くなりがちなテーマの中での
救いになります。


S7に関しては、終戦となり色々な面でこれまでとは違う変化が描かれています。
市政の人々は喜びと共に崩壊した家、街並みの中 元の生活に戻る戸惑い不安も
感じています。
従軍していた兵士たちも帰国し始めますが、生きて帰国した罪悪感、トラウマ、
昔の生活に戻る不安を抱えて誰もが落ち着かない状況下、迎える家族達も戦争前、
戦時中とは違った状況で家族を迎える戸惑い。
ソ連に対する疑心暗鬼、変わらぬドイツに対する憎しみ、ユダヤ人や外国人に対する
(共に戦ったアメリカ人に対する複雑な感情も含め)人種偏見等々でそれぞれが色々
な思いを胸に秘め、それらの事が原因で事件が起こってきます。

登場人物それぞれにも変化が訪れます。
フォイルはいよいよ警察を辞職する意志を固めます。
その為サムは職を失う事となり、日々求職中。
政治家の秘書に応募したり、帰国兵士のケアーをするボランティア、その後ウェインライト
が経営する下宿屋の手伝いをするようになります。
ミルナーはフォイルが去った後、警察に残り部下を持つようになり捜査を続けます。



そんなシリーズ中、私が一番気になったのが E3の「反逆者の沈黙」で、この回には
アンドリュー・スコットが出演していました。


アンドリューが扮するジェームズ・デベローは貴族の家に生まれ高学歴を持ちなが
らナチスのシンパである自由軍に入って居た罪で投獄され裁判を待つ身でありました。
彼は自分の身の潔白を示す反論、弁明は何もしないし、全く口を閉ざして ただひたすら
死刑となる筈の判決を待って居ます。
彼の行動を不審に思ったフォイルは辞職した身でありながら調査を開始するのですが、
何故彼に関心をもったのか?
警察官の身分を離れた為困難に会いながらも 同時に起こったジェームズの父の秘書
殺害事件を受けてのミルナーの登場、協力を得て調査を続け次第にジェームズ・デベローの
過去が明らかになるのです。
そして最後にフォイルの意図が明らかになるのですね。
その間サムは戦時中荒廃した建物を復興すると言う意図で土地開発を進める業者と対立して
下宿屋と周囲の環境を守る運動を始めます。

アンドリューは以前から良い役者さんだとは思っていたのですが、今回のデベロー
は本当に感動しました。 上手い役者さんです。
動きの少ない、押さえたセリフまわしと表情のみでデベローの心の痛み、苦しみ、心の奥底に
仕舞い込んだ悪夢、葛藤、諦観等虚ろな眼差し、繊細な演技で胸を打たれる演技でした。

因みにデベローの判決時法廷のシーンは 被告席に立つ姿、傍聴人席を見上げる
姿等はシャーロックのあのシーンとそっくりで 又別の意味で感激したりして・・・・
それと、以前書いたMI-9 の存在がこのエピソードで言及されていました。

余談ですが、デベローを助けようとする隻眼の弁護士役はシャーロックのThe Sign of
Threeで近衛兵の上司である大佐(ジョンが名刺を投げ返された)の方でした
(お名前は調べていません、スミマセン)。

共演者に触れますと、サムが手伝いをしている下宿屋の経営者であるウェインライトを
演じているのはマックス・ブラウン。 後のMI-5でデミトリーを演じていました。


この作品は細部に迄拘り 配役に関しても些末な役にも経験豊かな有名俳優を
起用しているし、内容の深さも相まって本当にクオリティの高いドラマだと感じます。
何と言ってもマイケル・キッチン素敵ですもの。 髪の毛チョット残念だけど全く気に
なりませんし・・・良い役者さんは髪の毛関係ないですね(独断と偏見)。
ショーン・コネリー然り!
だからジュード・ロー頑張って欲しい!って、どさくさ紛れに何言ってるんでしょう。


最後についでながら、S1の再放送を観ていたらデヴィッド・テナントが出ていました。
ドクターの前ですね。





「ルイス」と共に今一番気になるドラマなので 取り留めも無く長々となってしまいま
した。