『特捜部Q-檻の中の女』:ハヤカワ・ポケット ミステリ2011/6/10
ユッシ・エーズラ・オールスン(著)、吉田奈保子(翻訳)
北欧ミステリは好みなので 割に色々読んだつもりでしたが、何故かこの作品は漏れて居りました。
先日『パリ警視庁迷宮捜査班』を読んだ際(感想はこちらに書きました)、何人の方かが『特捜部
Q』に設定が似ていると書き込みをされていたのをみて、成程、それならば読んでみましょうか・・・
となった次第です。
デンマークの作家 ユッシ・エーズラ・オールスンによる『特捜部Q』シリーズの第一作目である
『檻の中の女』は2007年原作初刊。
既にシリーズ7作目迄刊行、翻訳出版されています。
因みに、
1 『檻の中の女』
2 『キジ殺し』
3 『Pからのメッセージ』
4 『カルテ番号64』
5 『知り過ぎたマルコ』
6 『吊るされた少女』
7 『自撮りする女たち』
となっています。
そして、今回私が読んだのは少し古いのですが ポケット・ミステリ版(2011刊)でしたが、その後文
庫化されて[ハヤカワ・ミステリ]文庫から2012年に新装丁で再販されていました←気付かなかったッ!
内容(「BOOK」データベースより)
捜査への情熱をすっかり失っていたコペンハーゲン警察のはみ出し刑事カール・マークは新設部署の統率
を命じられた。とはいってもオフィスは窓もない地下室、部下はシリア系の変人アサドの一人だけだった
が。未解決の重大事件を専門に扱う「特捜部Q」は、こうして誕生した。まずは自殺と片付けられていた
女性議員失踪事件の再調査に着手したが、次々と驚きの新事実が明らかに!デンマーク発の警察小説シリー
ズ第一弾。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
主人公の警部補カール・マークはある事件の捜査中相棒1人が死亡、1人が再起不能の重傷を負い、自らも
重症を負って以来 仲間達を救えなかった後悔とトラウマにさいなまれながら仕事に対する情熱も失って
いた。 そして周囲からも疎まれていた折、厄介払いと予算獲得の思惑による上層部の計らいで迷宮入り
の事件を再捜査する新部署である「特捜部Q」への移動を命じられる。
カールは妻とは離婚はしていないものの別居中。義理の息子とオタクの料理担当同居人との3人暮らし。
何処からか現れたシリア系のハーフェル・エル・アサドが助手となり、地下室に追いやられた新部署で
最初に取り組んだ事件が5年前に起きたミレーデ・ルンゴーの失踪事件。
才色兼備の民主党副党首であったミレーデが障害を持った弟のウフェと共にドイツに航行するフェリーか
ら姿を消して以来その消息が知れないし遺体も見つかっていない。
物語はカールとアサドが調査を始める2007年と2002年以降のミレーデの物語が平行して、交互に描かれ
ています。
少々ネタバレになりますが、日本語タイトルの”檻の中の女”で示されている様に、ミレーデが2002年
に軟禁された檻の中の状況が胸苦しくなります。
ひたすら弟の事を思う事で毎日厳しい監禁状況を生かされて5年を過ごすミレーデの精神力と生命力に
は驚嘆するのみですが、何故彼女がこの様な目に合わされるのかは子供の頃に自動車事故で両親が死亡、
弟が障害を持つようになった時に遡るのですが、誰が、何の為に?でミレーデと共に惑わされていきます。
シリア系のアサドのキャラクターが際立って魅力的。
とてつもなく鋭い思考をひらめかせたり、電気の配線など手際よく片付けたり色々な知識を持っている
一方、コピーの取り方が分からなかったり、法律書などデンマーク語で読めるくせに簡単なジョークが
分からなかったり・・・。そのギャップが面白い。 そして、マイペースでアラブ式を貫きメッカに向
かっての礼拝は欠かさず、その上部屋でアラブ料理まで始める。
カールを目の敵にしている苦手な元同僚達にもあっという間に懐に飛び込み良好な関係を築いていく
”人たらし”アサド。 そんなアサドの正体にカールは疑いを持ちつつ、それでも次第に信頼関係を築
いて行きます。
果たしてミレーデを救う事ができるのか・・・。 タイムリミットがある中ハラハラ、ドキドキしなが
ら怒涛のラストを迎えます。
ラストシーンは感動的な結末で締めくくられています。
読ませてくれます。
ただ、他の北欧ミステリ作品の様な冷たい空気感はあまり感じられなかった様な気がします。
アサドの謎めいた過去、カールとの関係等興味は尽きませんので、遅ればせながらこれから順次作品を
読み始めようと思っているところ。
ところで、この作品は映画化されている様なのですが、観た事がありませんでした。
機会があれば・・・と思うところですが、何処かで配信しているかしら?
ユッシ・エーズラ・オールスン(著)、吉田奈保子(翻訳)
北欧ミステリは好みなので 割に色々読んだつもりでしたが、何故かこの作品は漏れて居りました。
先日『パリ警視庁迷宮捜査班』を読んだ際(感想はこちらに書きました)、何人の方かが『特捜部
Q』に設定が似ていると書き込みをされていたのをみて、成程、それならば読んでみましょうか・・・
となった次第です。
デンマークの作家 ユッシ・エーズラ・オールスンによる『特捜部Q』シリーズの第一作目である
『檻の中の女』は2007年原作初刊。
既にシリーズ7作目迄刊行、翻訳出版されています。
因みに、
1 『檻の中の女』
2 『キジ殺し』
3 『Pからのメッセージ』
4 『カルテ番号64』
5 『知り過ぎたマルコ』
6 『吊るされた少女』
7 『自撮りする女たち』
となっています。
そして、今回私が読んだのは少し古いのですが ポケット・ミステリ版(2011刊)でしたが、その後文
庫化されて[ハヤカワ・ミステリ]文庫から2012年に新装丁で再販されていました←気付かなかったッ!
内容(「BOOK」データベースより)
捜査への情熱をすっかり失っていたコペンハーゲン警察のはみ出し刑事カール・マークは新設部署の統率
を命じられた。とはいってもオフィスは窓もない地下室、部下はシリア系の変人アサドの一人だけだった
が。未解決の重大事件を専門に扱う「特捜部Q」は、こうして誕生した。まずは自殺と片付けられていた
女性議員失踪事件の再調査に着手したが、次々と驚きの新事実が明らかに!デンマーク発の警察小説シリー
ズ第一弾。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
主人公の警部補カール・マークはある事件の捜査中相棒1人が死亡、1人が再起不能の重傷を負い、自らも
重症を負って以来 仲間達を救えなかった後悔とトラウマにさいなまれながら仕事に対する情熱も失って
いた。 そして周囲からも疎まれていた折、厄介払いと予算獲得の思惑による上層部の計らいで迷宮入り
の事件を再捜査する新部署である「特捜部Q」への移動を命じられる。
カールは妻とは離婚はしていないものの別居中。義理の息子とオタクの料理担当同居人との3人暮らし。
何処からか現れたシリア系のハーフェル・エル・アサドが助手となり、地下室に追いやられた新部署で
最初に取り組んだ事件が5年前に起きたミレーデ・ルンゴーの失踪事件。
才色兼備の民主党副党首であったミレーデが障害を持った弟のウフェと共にドイツに航行するフェリーか
ら姿を消して以来その消息が知れないし遺体も見つかっていない。
物語はカールとアサドが調査を始める2007年と2002年以降のミレーデの物語が平行して、交互に描かれ
ています。
少々ネタバレになりますが、日本語タイトルの”檻の中の女”で示されている様に、ミレーデが2002年
に軟禁された檻の中の状況が胸苦しくなります。
ひたすら弟の事を思う事で毎日厳しい監禁状況を生かされて5年を過ごすミレーデの精神力と生命力に
は驚嘆するのみですが、何故彼女がこの様な目に合わされるのかは子供の頃に自動車事故で両親が死亡、
弟が障害を持つようになった時に遡るのですが、誰が、何の為に?でミレーデと共に惑わされていきます。
シリア系のアサドのキャラクターが際立って魅力的。
とてつもなく鋭い思考をひらめかせたり、電気の配線など手際よく片付けたり色々な知識を持っている
一方、コピーの取り方が分からなかったり、法律書などデンマーク語で読めるくせに簡単なジョークが
分からなかったり・・・。そのギャップが面白い。 そして、マイペースでアラブ式を貫きメッカに向
かっての礼拝は欠かさず、その上部屋でアラブ料理まで始める。
カールを目の敵にしている苦手な元同僚達にもあっという間に懐に飛び込み良好な関係を築いていく
”人たらし”アサド。 そんなアサドの正体にカールは疑いを持ちつつ、それでも次第に信頼関係を築
いて行きます。
果たしてミレーデを救う事ができるのか・・・。 タイムリミットがある中ハラハラ、ドキドキしなが
ら怒涛のラストを迎えます。
ラストシーンは感動的な結末で締めくくられています。
読ませてくれます。
ただ、他の北欧ミステリ作品の様な冷たい空気感はあまり感じられなかった様な気がします。
アサドの謎めいた過去、カールとの関係等興味は尽きませんので、遅ればせながらこれから順次作品を
読み始めようと思っているところ。
ところで、この作品は映画化されている様なのですが、観た事がありませんでした。
機会があれば・・・と思うところですが、何処かで配信しているかしら?