The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『特捜部Q 檻の中の女』ユッシ・エーズラ・オールスン著

2019-09-29 | ブックレヴュー&情報
『特捜部Q-檻の中の女』:ハヤカワ・ポケット ミステリ2011/6/10

ユッシ・エーズラ・オールスン(著)、吉田奈保子(翻訳)

北欧ミステリは好みなので 割に色々読んだつもりでしたが、何故かこの作品は漏れて居りました。
先日『パリ警視庁迷宮捜査班』を読んだ際(感想はこちらに書きました)、何人の方かが『特捜部
Q』に設定が似ていると書き込みをされていたのをみて、成程、それならば読んでみましょうか・・・
となった次第です。

デンマークの作家 ユッシ・エーズラ・オールスンによる『特捜部Q』シリーズの第一作目である
『檻の中の女』は2007年原作初刊。
既にシリーズ7作目迄刊行、翻訳出版されています。
因みに、
1 『檻の中の女』
2 『キジ殺し』
3 『Pからのメッセージ』
4 『カルテ番号64』
5 『知り過ぎたマルコ』
6 『吊るされた少女』
7 『自撮りする女たち』
となっています。

そして、今回私が読んだのは少し古いのですが ポケット・ミステリ版(2011刊)でしたが、その後文
庫化されて[ハヤカワ・ミステリ]文庫から2012年に新装丁で再販されていました←気付かなかったッ!


内容(「BOOK」データベースより)
捜査への情熱をすっかり失っていたコペンハーゲン警察のはみ出し刑事カール・マークは新設部署の統率
を命じられた。とはいってもオフィスは窓もない地下室、部下はシリア系の変人アサドの一人だけだった
が。未解決の重大事件を専門に扱う「特捜部Q」は、こうして誕生した。まずは自殺と片付けられていた
女性議員失踪事件の再調査に着手したが、次々と驚きの新事実が明らかに!デンマーク発の警察小説シリー
ズ第一弾。


~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


主人公の警部補カール・マークはある事件の捜査中相棒1人が死亡、1人が再起不能の重傷を負い、自らも
重症を負って以来 仲間達を救えなかった後悔とトラウマにさいなまれながら仕事に対する情熱も失って
いた。 そして周囲からも疎まれていた折、厄介払いと予算獲得の思惑による上層部の計らいで迷宮入り
の事件を再捜査する新部署である「特捜部Q」への移動を命じられる。
カールは妻とは離婚はしていないものの別居中。義理の息子とオタクの料理担当同居人との3人暮らし。

何処からか現れたシリア系のハーフェル・エル・アサドが助手となり、地下室に追いやられた新部署で
最初に取り組んだ事件が5年前に起きたミレーデ・ルンゴーの失踪事件。

才色兼備の民主党副党首であったミレーデが障害を持った弟のウフェと共にドイツに航行するフェリーか
ら姿を消して以来その消息が知れないし遺体も見つかっていない。

物語はカールとアサドが調査を始める2007年と2002年以降のミレーデの物語が平行して、交互に描かれ
ています。

少々ネタバレになりますが、日本語タイトルの”檻の中の女”で示されている様に、ミレーデが2002年
に軟禁された檻の中の状況が胸苦しくなります。
ひたすら弟の事を思う事で毎日厳しい監禁状況を生かされて5年を過ごすミレーデの精神力と生命力に
は驚嘆するのみですが、何故彼女がこの様な目に合わされるのかは子供の頃に自動車事故で両親が死亡、
弟が障害を持つようになった時に遡るのですが、誰が、何の為に?でミレーデと共に惑わされていきます。

シリア系のアサドのキャラクターが際立って魅力的。
とてつもなく鋭い思考をひらめかせたり、電気の配線など手際よく片付けたり色々な知識を持っている
一方、コピーの取り方が分からなかったり、法律書などデンマーク語で読めるくせに簡単なジョークが
分からなかったり・・・。そのギャップが面白い。 そして、マイペースでアラブ式を貫きメッカに向
かっての礼拝は欠かさず、その上部屋でアラブ料理まで始める。
カールを目の敵にしている苦手な元同僚達にもあっという間に懐に飛び込み良好な関係を築いていく
”人たらし”アサド。 そんなアサドの正体にカールは疑いを持ちつつ、それでも次第に信頼関係を築
いて行きます。

果たしてミレーデを救う事ができるのか・・・。 タイムリミットがある中ハラハラ、ドキドキしなが
ら怒涛のラストを迎えます。
ラストシーンは感動的な結末で締めくくられています。
読ませてくれます。

ただ、他の北欧ミステリ作品の様な冷たい空気感はあまり感じられなかった様な気がします。

アサドの謎めいた過去、カールとの関係等興味は尽きませんので、遅ればせながらこれから順次作品を
読み始めようと思っているところ。

ところで、この作品は映画化されている様なのですが、観た事がありませんでした。
機会があれば・・・と思うところですが、何処かで配信しているかしら?






”The Personal History of David Copperfield” 情報少し

2019-09-26 | 映画
”The Personal History of David Copperfield”(原題)

2019年製作 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、フィルム4プロダクション等

監督:アーマンド・イアヌッチ
脚本:アーマンド・イアヌッチ、サイモン・ブラックウェル
製作:アーマンド・イアヌッチ、ケヴィン・ローダー

出演;
デヴィッド・カッパーフィールドにデヴ・パテル
共演が
ティルダ・スウィントン
ヒュー・ローリー
ピーター・カパルディー
ベン・ウィショー
ポール・ホワイトハウス
ベネディクト・ウォン
モーフィド・クラーク


原作はチャールズ・ディッケンズの長編小説『デヴィッド・カッパーフィールド』”David Copperfield”
1849年から1850年にかけて雑誌に月刊連載された良く知られた古典小説です。

原作概要は、
『誕生まえに父を失ったデイヴィッドは、母の再婚により冷酷な継父のため苦難の日々をおくる。
寄宿学校に入れられていた彼は、母の死によってロンドンの継父の商会で小僧として働かされる。
自分の将来を考え、意を決して逃げだした彼は、ドーヴァに住む大伯母の家をめざし徒歩の旅を
はじめる。多くの特色ある人物を精彩に富む描写で捉えた、ディケンズの自伝的要素あふれる代
表作』
内容(「BOOK」データベースより)

その昔(多分大学の時?)英語の教材で原作を読まされた(読まされた?)記憶があり、その後翻
訳本も読んだと思うのですが、何しろ大昔のこととてうろ覚え(何時ものフレーズ)
でも、古典としては結構面白かった様な記憶があります(いい加減)

今回映画化された作品は古典小説にユーモアを交え分かりやすく映像化されているとの事で、
原作通りなのかどうか・・・。 どの様に描かれているのか興味があります。

残念ながらデヴィッド・カッパーフィールドを演じているデヴ・パテルさん知りませんでした。
(それにしても、カッパーフィールド役にインド系の俳優を起用した意図は何なんだろう?)





そして、何よりその他の出演者が豪華で凄いですね。
特に、Doctor Whoのピーター・カパルディー、この所出演作多数(書ききれない)ベン・ウィショー、
ティルダ・スウィントンとベネディクト・ウォンは”Doctor Strange”で共演していたし・・・。
そう言えば、ヒュー・ローリーの”マイクロフト”は未だ見る機会を得ていません。
因みに、ウィショー君のキャラクター画像は現時点ではどこにも見つかりませんでした(残念!)

尚、このところウィショー君の活躍が素晴らしいので、追ってまとめて”ウィーショー君特集”
(勝手に設定)をしようと思っています。


初演は2019年9月5日TIFF ”Tront International Film Festival”

日本公開予定も2020年春と決まっているので、是非観たい作品です。






『Louis Wain』ベネディクト新作伝記映画

2019-09-21 | 映画
“Louis Wain”

(妻エミリー役のクレア・フォイとのプロモーション画像から)
(source : News Nation)

凄~く久し振りのベネディクト話題です。
一ヶ月以上前からでしょうか、ボチボチとこの作品の情報が出始めたのですが 仕舞い込んでお
りました。
最近全くベネディクトの記事を書いていなかったので、やはりたまには・・・・と思いまして。

この作品はルイス・ウェイン”Louis Wain”の半生を描いた伝記映画です。
ルイス・ウェイン(1860年8月5日~1939年7月4日)は擬人化した猫の絵を描き続けた英国の画家
です。
後年は統合失調症に苦しんだと言われ、作品にもこの痕跡が反映されているとも言われています。

カチンコもネコで可愛い!

(source : Adam Ackland)

8月10日から撮影開始となったこの作品のキャストは、
製作 : アダム・アクランド、ガイ・ヒーリー
監督/脚本 : ウィル・シャープ
製作 : アマゾン・スタジオ、スタジオカナル、フォルム4・プロダクションズ

出演:
ルイス・ウェインにベネディクト・カンバーバッチ、その妻エミリーにクレア・フォイ
その他 アンドレア・ランズボロー、トビー・ジョーンズ 等

トビー・ジョーンズと言えば、”SHERLOCK” S4E2 “The Lying Detective”「臥せる探偵」ではシャー
ロックの天敵、憎っくきカルバートン・スミス役でベネディクトと共演していたのですが、今回はどの
様な役でどんな絡みがあるんでしょうね。

↓ こちらがfirst imageの画像


手前を横切るのが雨の降る夜に夫妻が保護してピーターと名付け、闘病中のエミリーに安らぎを与え
たと言われる猫ですね。
この猫との遭遇がウェインの絵のテーマに大きな影響を与えたと言われています。









この所、どの作品も”ヒゲ”続きのベネディクトでしたが、又もやです。
でも、ルイスさんがオヒゲですから仕方ないですね。 シブシブ・・・。
初老の(?)シラガ交じりのヒゲ姿はなかなか渋い様ですよ。




(source : via Cumberbatchcom. & etc.)

兎に角、ベネディクト+ネコの組み合わせと言われると 大好物のセットですからもう見逃す訳には参り
ませんでしょう。
(因みに、このネコちゃん今は亡き我が家の大切な愛息子ネコとそっくりなんです。なので、猶更・・・ね)

ウェインの猫の絵の一部です



一枚欲しくなります・・・・。

米国公開は2020年予定(日本公開は未定です)

日本で公開されるでしょうねぇ?




『SHERLOCK』: Mini Episode “Many Happy Returns” 回顧その(2)

2019-09-18 | SHERLOCK Mini epi. : Many Happy Returns
“Many Happy Returns” 2013

「幸せな人生を」 : 何で今頃? 物凄く今更なのですが・・・

・・・・・その(2)

(ニューデリー)


プラケッシュ警部が部下を従えて記者会見に臨んでいます。
多くのマイクとカメラマンたちが取り囲むなか、警部は満足げに笑みを浮かべます。
そして、
「皆さん、その後は単に殺人犯を探し出すだけの問題でね、私は犠牲者のアイスクリームコーン
の中にチョコレートがどれだけ沈み込んだかを解き明かす事でそれを成し遂げたんです」
と警部は満足げに記者団に向かって笑顔をみせます。

 ”アイスクリームコーンの中のチョコレートがどれだけ沈んだか・・・”は正典「6つのナポ
レオン」にある「アバネティー家の事件」で ”夏の暑い日にパセリがバターの中に沈んだ深さ・
・・”からの引用ですね。

その後、警部は記者団を残し部屋を出、背後でドアを閉めると廊下の少し先に居る人物に向かって、
背後を気にしながら、

「友よ。 君の手柄にしなくて良いのか? すべて君のお蔭なのに」

その目の前には、クルクルヘアーとロングコートを着た見慣れた姿が・・・背後からの光で顔は陰
になって居て見えない。 

(ロンドンのパブ)
再びレストレードとアンダーソン。
GL: 賢い奴だ。プラケシュ警部
PA : ねぇ、ちょっと・・・。警部なんかにあんな推理が出来たと思いますか?
GL : ああ、そりゃどうも!
PA : シャーロックが貴方の事件を全て解決した時だって自分の手柄にしなかったのを憶えている
でしょ?
GL : (憤然としながら)彼が全てを解決した訳じゃない!
PA : (考え込みながら遠くを見るように)彼は他の場所に居るんだ。身を潜めている。でも首を突っ
込むのを止められないんだ。
(含み笑いをしながら)間違いなく彼ですよ、サインを見分けられるなら!
GL : ”クライン兄弟”、”タワーハウスの件”、”ケンジントンの通り魔”ー皆俺が自分で解決し
たんだ!
PA : まあ、タワーハウスはしくじったけど。
GL : そんな事はない!
PA : いえ、そうでした。(そして地図の他の場所を広げ)

発見例その3・・・(ハンブルグの場所を指で叩いて)・・・謎めいた陪審員

レストレードは呆れかえった様にテーブルにオデコをゴンと打ち付ける←ここ好きなトコ(笑)

(ハンブルグ)

疲れ切った表情の陪審員長が他の陪審員に向かって話し始めます(ここはドイツ語で)
「陪審員長ご承知の通り、この陪審員団は稀に見る非常に圧迫された状況下にあります。しかし私
はあなた方に判決を下す事を強く求めなければならない。トレポフ氏は妻殺害の件で有罪か?無罪
か?」


5人の陪審員達が次々に応えていきます。 ”無罪”と。

その間、一番端に居る一人の男が苛立たし気に指でテーブルを叩いています。
そして、最後の席に座る陪審員へ順番が回ってきた時、陪審員長は溜息をつきながら、
「で、どうですか?」


後姿が見えるその男性は、クルクルヘアーに襟を立てたコート(お馴染みの)男性が・・・!


その後、スタンドに置かれた新聞の見出しには「トレポフ有罪!」、「トレポフ”有罪”騒動」と
いう文字が踊っています。
(他陪審員が全員”無罪”を主張したにもかかわらず、最後の審判員の一言で覆ったという事)

 ”トレポフ” の名は、正典「ボヘミアの醜聞」 ”A Scandal in Bohemia” にある「語られざ
る事件」にある「トレポフ氏の妻の殺害事件」からでしょうね。

(再びロンドンのパブ)
PA : 彼の筈なんです!他に可能な人間なんていないでしょ!分かりませんか?
GL : 俺に分かるのは、お前が死んだ人間が行き返るなんて妄想をこじらせて立派な仕事を失ったっ
て事だ。何故それを望むのかも知ってる。(顔をしかめて)だが、起こる訳ないんだ。
首を振るアンダーソンを眺めて、
GL : さて、俺は古い友人を訪ねるところだ。身体に気を付けろよ、な?
(そして、傍に置いてあった箱を手に取り、かつての同僚を気づかわし気な様子で見ながら)
一言言っておくよ。彼らが事件の再調査をしないか確かめるんだな。
PA : でも地図を見て下さいよ。

(地図にはアンダーソンが記した点線がニューデリーからハンブルグ、そしてアムステルダム、ブリュッ
セルへと続き 次第にロンドンに向かって来ている)
彼は近づいてきているんだ。
(そしてレストレードを見上げながら)
まるで戻って来ているみたいだ。


レストレードは少し考え込んだ様子をしたが、やがて静かにアンダーソンに頷くとパブを後にし
ました。




・・・・・to be continued




← 『SHERLOCK』: Mini Episode “Many Happy Returns” 回顧その(1)







これから放送の海外ドラマ:9月/10月放送分

2019-09-14 | 海外ドラマ
10月放送のドラマ(9月放送を含む)の中から興味があるドラマをピックアップしました。(相変わ
らず個人の趣味に基づいています)

 『刑事モース~オックスフォード事件簿』“ENDEAVOUR”


ようやくS4の残りの2 エピソードがシネフィルWOWOWにて日本語字幕版で初放送になります。

E3(Case 16)”Lazaretto”「呪われたベッド」
E4(Case 17)”Harvest” 「不吉な収穫祭」

10月16日(水)13:00~

その前に、9月17日(火)からは、再びCase 1 から再放送もあります。

ジッと我慢で字幕版を待っていたのですが、ようやく!ですね。

↓ 詳細は公式ページをご参照下さい
https://www.cinefilwowow.com/englishdrama/#endeavor

 『レ・ミゼラブル』 ”Les Miserables”

(8エピソード)
BBC One にて2018年12月に放送開始となったミニ・シリーズがAXNミステリーにて放送開始になり
ます。
9月21日(土)16:00 ~(日本語字幕版)

『レ・ミゼラブル』はビクトル・ユーゴーの名作ですが、過去にも多くの舞台や映画で製作されて
いました。
今回のドラマはミュージカルではなくドラマ形式ですが、出演者が贅沢です。
製作総指揮:アンドリュー・デイヴィス(『戦争と平和』、『ハウス・オブ・カード』等)
出演:
ジャン・バルジャン : ドミニク・ウェスト
ファンティーヌ : リリー・コリンズ
ミリエル司教 : デレク・ジャコビ―
ジャヴェール : デヴィッド・オイェロウォ
デナルディエ夫人 : オリビア・コールマン
コゼット : エリー・バンバー
マリウス : ジョッシュ・オコナ―
エポニーヌ : エリン・ケリーマン
フェリックス : ジョニー・フリン
マリウス祖父 : デヴィッド・ブラッドリー
テナルディー : アディール・アクタル


豪華な出演者と共に、どの様に描かれているのかとても興味があります。

↓ 公式ページはこちら
https://www.mystery.co.jp/programs/les_miserables

『薔薇の名前』 ”The Name of the Roses”


AXNミステリー にて10月12日(土) 16:00~放送開始になります。

このドラマは以前ご紹介したのでこちらをご参照下さい。

↓ 公式ページはこちら
https://www.mystery.co.jp/programs/the_name_of_the_rose

 『女王ヴィクトリア 愛に生きる』 ”Victoria”: S2


ITV 2017年初放送 全10エピソード
AXNミステリ―にS2日本語字幕版が放送開始になります。
9月23日(日) 16:00~

↓公式ページはこちら
https://www.mystery.co.jp/programs/victoria

それに引き続き、何とか一日も早くS3をお願いしたい所なんですが・・・・・(個人的に)

 『オックスフォードミステリー~ルイス警部』”Inspector Lewis”


AXNミステリ―にて、再びの放送開始になります。
先日S9迄観なおしていたんですけど、何度めかの再放送です。 いえ、何度放送して下さっても良い
んです。
このドラマに関しては再放送ある度にひつこく観るというシステム(?)になっているので、何度で
も嬉しいんです。

今回は、再びS1から(勿論字幕版)
9月29日(日)11:00~

↓ 詳しくは公式ページをご参照下さい
https://www.mystery.co.jp/programs/lewis

もう何度も観ているのですが、今回はS1のE1を集中的に観なおそうかと。
このエピソードは『主任警部モース』の終了後、スピンオフとしてスタートしたパイロット版ですので、
アチコチに本編で亡くなったモースへのオマージュが散りばめられています。 そこをしっかり確認し
たく思って居るところでございます。

『モース』と同じく兎に角プロットは複雑ですが、何度も観なおしているからいい加減ストーリーは
覚えていても、このドラマはハサウェイ重視、そしてルイスとハサウェイの会話、掛け合いが大好き
ですから・・・・。

そして、先日(9月4日付)拙記事でご紹介した『MANIFEST/マニフェスト』も忘れない様に。







『クラウド アトラス』

2019-09-11 | 映画
”Cloud Atlas” 2012

2012米国初公開
ワーナー・ブラザース

この作品の情報は以前チラッと見た事はあるのですが、トム・ハンクスのSFか~・・・ってな位で
そのままスルーしていました。
トム・ハンクスは特に嫌いでもない(お好きな方には申し訳ない暴言ですが)ですが、概略を見た
時はあまり気乗りがしない映画と思っておりました。

ところが、何かを調べていた時(曖昧)引っ張られて出て来たのがキャストでして、何とッ!凄い
じゃありませんか。(個人的には、ベン・ウィショーとジェームズ・ダーシーに釣られまして・・・)

で、これは見逃せません、となった時幸いHuluで配信されておりましたので早速視聴致しました。
という経緯です。 

内容概略紹介は、
主人公は、6つの時代と場所で、6つの人生を生きる男。その人生は悪人で始まるが、様々な数奇な
経験を経て、ついには世界を救うまでに魂が成長していく男の物語だ。2度のアカデミー賞に輝く
名優トム・ハンクスが、これまでのキャリアのすべてを注ぎ、次第に変化していくキャラクター
を演じ切った。
舞台は、19世紀から24世紀。過去・現在・未来にまたがる500年の間の6つのエピソードが、一見
アトランダムな流れに見えて、実はシーンからシーンへのつなぎの一つ一つが完璧に計算された、
圧倒的な映像で描かれていく。
『マトリックス』3部作のウォシャウスキー監督
トム・ハンクス&ハル・ベリー主演で贈る
新感覚SF超大作!
過去から未来へ。
500年の時を超え、受け継がれる意志が革命を起こす。
(公式ページから)

『クラウド・アトラス』はデヴィッド・ミッチェルのブッカー賞候補作で、映画化不可能と言われ
た原作を元にした映画化作品です。

1849年 南太平洋(波乱に満ちた公開の物語)
1936年 エディンバラ(幻の名曲の誕生秘話)
1973年 サンフランシスコ(巨大企業の陰謀)
2012年 ロンドン(ある編集者の大脱走)
2144年 ネオ・ソウル(伝説のクローン少女と革命)
2321年 遠未來のハワイ(崩壊した地球での戦い)
と言ったように、
19世紀のニュージーランドから遠未来のハワイまでの6つのエピソードが断片的に語られている
んですね。
そして、それぞれの小編が織りなす輪廻転生の物語が絡み合いながら描かれています。
輪廻転生する人物には体の一部に”彗星型のあざ”があります。
兎に角、
キャストが物凄く豪華です
監督&脚本:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディー・ウォシャウスキー


トム・ハンクス
ハル・ベリー
ジム・スタージェス
ベン・ウィショー
ジェームズ・ダーシー
ヒューゴ・ウィーヴィング
ヒュー・グラント
スーザン・サザランド
ぺ・ドゥナ

と言ったオールスター・キャストですが、それぞれが複数の物語で複数の役を演じています。



特殊メイクで全く別人の様になっていたり、トム・ハンクス、ヒューゴ・ウィ―ヴィング、ハル・ベリー
等は比較的判別しやすいのですが、中には画面にチラッと登場する場合もあり、全く認識できていなかっ
たキャラクターも何人か・・・・。

そして、エンド・ロールでそれぞれが何を演じていたのか開示されます。 それを見ないと多分全ては
気付かなかったと思います。

ストーリー自体もですが、俳優陣のメークによる変身ぶりを見るにも一度の視聴では難しいかと思われ
ます。
しかし、
作品自体が約3時間という長編ですので、じっくり構えて(ワタクシは二度に分けて視聴しました)
観る必要があると思います。

SF、ミステリー、アクション、ラブロマンスなどの様々なテイストを含んだ超大作ではあります。

個人的には、最初にも書きました様に ベン・ウィショーとジェームズ・ダーシーが主なる目的(?)
でしたが、二人は恋人同士を演じています。


↑ ウィショー君の女装姿は美しいです。(一方ヒューゴ・ウィ―ヴィングの女装は・・・上の画像4段目
真ん中ご参照下さい)

そう言えば、先日視聴していたドラマ『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』 ”A Very
English Scandal” では ベン・ウィショーとヒュー・グラントが恋人同士を演じていましたっけ。
その、ヒュー・グラントは、今作ではあまり出番は多くはなく脇を固めているものの存在感のある
役どころです。
贅沢な役者使いをしているな~と感じさせられました。
 
なかなか複雑なストーリー展開ではありますが、一応概略を押さえて置いてから視聴すると理解しや
すいかと・・・・。
何れにしても二回視聴をお勧めしたい作品です。









『SHERLOCK』: Mini Episode “Many Happy Returns” 回顧その(1)

2019-09-08 | SHERLOCK Mini epi. : Many Happy Returns
“Many Happy Returns” 2013

「幸せな人生を」 : 何で今頃? 物凄く今更なのですが・・・

はじめに、

このところ何年も前のシャーロック関連古い拙記事をご訪問下さる方が増えて来て、フト気が付
いたらDlifeチャンネルで『シャーロック』の放送が始まったんでしたね。
私自身はTVでの放送はあまり観ていなかったので確かでは無いのですが、Dlifeチャンネルでの
放送は初めてですよね。

2年程前にS4関連を書き終わって以来、随分長く『シャーロック』関連を書いていないし、『シャー
ロック』殆ど観なおしていませんでした。
何となく懐かしくなって、そんな時急に思い出しました。

2013年のクリスマス時期に放送された”Many Happy Returns”
これは、2012年1月に放送されたS2E3の ”The Reichenbach Fall” 「ライヘンバッハ・ヒーロー」
以来2年振りに2014年1月1日放送予定と言われていたS3の放送前カウントダウンが始まるクリスマ
スシーズンに特別にYouTubeで流されたスペシャルのミニ・エピソードです。
もう6年近く経ってしまったんですね(遠い目)

もう誰もかれもS3の放送が待ちきれずにいたこの時期のクリスマス・ギフトは大興奮してワクワ
クしながらPC に噛り付いて観た事を懐かしく思い出しました。涙が溢れそうでしたよ。

既に多くの方がこのエピソード関連についてお書きになっていたと思いますが、当時まだブログ
を始めていなかった為、S1~S3に関しては余り書いていなかったし、このエピソードに関しては
内容も書いていなかったので、本当に驚くほど今更なのですが、懐かしかったし、久し振りに
あの時の高揚感を振り返ってみようと思います。


S2E3でシャーロックが衝撃的な自殺(ビルの屋上からの落下)を遂げた後、生きている事は分かっ
ていたものの、S3E1でどの様な形で姿を現し復活するのか?というのが注目の的でした。
正典では、”The Empty House”(空き家の冒険)でホームズ帰還となったのですが、BBC版では
タイトルを引用して ”The Empty Hearse”(空の霊柩車)と発表されていました。


放送前に街中にはシャーロックの名前が掲げられた空の霊柩車が出現したりして、いやがうえに
も期待感を盛り上げていました。

このミニ・エピソードは約6分と短い作品ですが、以下概略です。



SH : シャーロック・ホームズ
JW : ジョン・ワトソン
GL : グレッグ・レストレード
PA : フィリップ・アンダーソン

(ヒマラヤの山奥深くにある修道院)


赤い僧衣とフードをまとった僧兵達が跪くなか、修道院長と思われる僧侶が並んでいる僧侶たち
の頭に手を触れて祝福を与えている。
最後の僧侶の前に立つと その僧侶のフードを持ち上げ顔を露わにする。


現れたのはブロンドの若い女性。

正体を明かされた女性は、修道院長をにらみつけ一言。
”You bastard !”(この野郎! 或は 人でなし!)


周囲の僧侶たちも驚いて見つめる修道院長は陰に包まれて顔が分からない。

 これは、正典『空き家の冒険』でホームズがチベットに行っていたと語っている事に由来する
のでしょう。

(ロンドンのパブ)

レストレード警部と警察を辞しているヒゲずらのアンダーソン




(レストレードはアンダーソンが口にした言葉を信じられない様な表情で)
GL:  仏教の僧兵の分派にブロンドのヤクの売人が潜り込んでいたんだと? そんな事あるわけないだろ!
PA: そ、そのブロンドのヤクの売人は修道院長の並外れた観察力と推理力によって正体をばらされたんですよ!
GL: ブロンドの女が禿頭の坊さんたちの中に紛れ込んでいただと?そんなんじゃシャーロック・ホームズを欺
けないな。
PA: ええ、多分そうなんです。
GL: 彼は死んだんだ。 (悲痛な面持ちのアンダーソンに向かって)
悪かったよ。俺だってそう思いたくないさ。 だが彼は本当に死んだんだ。
PA: じゃあ、これをどう説明します? (と言ってテーブルの上に世界地図を広げ、ニューデリーの上に示され
た赤いバツ印を指さします)


発見事項その2。 ニューデリー事件。
(レストレードは呆れた様な表情でアンダーソンをみながら)
GL: タイトルなんか付けてんのか?


その2へ、
・・・・・ to be continued です。






『MANIFEST/マニフェスト』日本初放送

2019-09-04 |  ∟MANIFEST
”MANIFEST”

米NBC Sep.2018初放送
S1 16エピソード

2018年新作ドラマの中で視聴率No.1を獲得したドラマ『MANIFEST/マニフェスト』が『スー
パー!ドラマTV』 チャンネルにて日本独占初放送となります。

放送は、
10月15日(火)22:00 スタート
毎週火曜日22:00(二か国語版)
毎週火曜日24:00(字幕版)

↓ 公式案内ページはこちら
http://www.superdramatv.com/lineup/SN0000001301.html

概略は、
乗客191名を乗せたジャマイカからニューヨークに向かう途中の828便は途中突然発生した乱
気流に巻き込まれた。
何とか無事にニューヨーク空港に到着したものの、実際は数時間のフライトの筈が出発から5年
半の歳月が過ぎていた。
失われた5年半の間に家族や恋人、仕事等失ってしまうものの 主人公ミカエラをはじめ乗り合
わせた乗客の何人かは”謎の声”が聞こえるという超能力を得た。 その声に導かれて人々を救っ
ていく・・・。
ってな感じのストーリーの様です。
となれば、SFサスペンスドラマという事になりますね。

そして、飛行中にタイムスリップと聞くと、何となく『ロスト』を思い浮かべます。
もう大分前の放送でしたが、途中脱落して最後迄観ていなかったけど・・・。

多くの批評を見ると、単なるSFというより、サスペンス・スリラーとして、又人間ドラマとしての展
開になっている様で大変興味があります。

製作総指揮 : ロバート・ゼメキス(先日ご紹介して7月放送開始となった『プロジェクト・ブルー
ブック』の製作総指揮も手掛けています。
(このドラマ未だ観終わっていません。何故か毎回途中で脱落して・・・又観なおす・・・を繰り返し
ているところ)





出演 :
ミカエラ・ストーン : メリッサ・ロクスバーグ
ベン・ストーン : ジョシュ・ダラス
グレース・ストーン : アシーナ・カーカニス


乗客の1人 ニューヨーク市警察の刑事であり、自分達に起きた現象の謎を解き明かそうとするヒロイン
ミカエラには『スーパー・ナチュラル』、『ARROW』 等に出演しているメリッサ・ロクスバーグ。
そして、ミカエラの兄で強力な超能力を得た息子を守ろうとするベンには『ワンス・アポン・ア・タイ
ム』のジョシュ・ダグラスが扮しています。

因みに、”manifest”は (税関提出用の)積荷目録、乗客名簿と言った意味があります。

ただ、未だドラマを見ていないので勝手な想像ではありますが、「刑事リバー」でリバーも口にした
”manifest”。 この解釈がとても難しかった事を思い出しました。
リバーがスティービーの霊を見る事を ”manifest” だと言っていたのですが、この意味に近いも
のもあるのではないかと妄想したりしています。
(尚、「刑事リバー」の拙記事内でこの点について触れましたので、よろしかったらこちらをご覧下
さいませ)

又、乗客が搭乗していた便名(モンテゴ航空”828”便)
この”828”と言う数字がその他の場面でも登場し、謎に満ちた曰くありげな数字として印象付けら
れている様です。。
主人公ミカエラの母のお気に入りの言葉が、『旧約聖書』の使徒パウロの手による書簡「ローマの
使徒への手紙」8章28節にある”万事が良い方に働く”(All Things Work Together For Good” である
ことから、これを指している可能性も指摘されているとの事。

このドラマ 面白そうで、かなり期待大です。

↓ Official trailerはこちら
https://youtu.be/LjsFg7e-ffk

既に、S2の製作も発表されています。(放送時未定)


恒例のフレーズですが、視聴後感想を(書ければ)・・・・





『パリ警視庁迷宮捜査班』ソフィ―・エナフ著

2019-09-01 | ブックレヴュー&情報
『パリ警視庁迷宮捜査班』ハヤカワ・ポケット・ミステリー 2019/5/1

ソフィ―・エナフ(著)、山本知子(翻訳)、川口明百美(翻訳)

内容紹介
フランスで15万部突破! 「コスモポリタン」名物ライターがおくる、スリルと笑い満載の傑作!
喧嘩っ早い性格がたたって停職処分を食らった警視正、アンヌ・カペスタン。復帰後の仕事と
して、新しく結成される未解決事件捜査班を率いることを命じられる。ところが、集まったのは
大酒飲み、ギャンブル好き、スピード狂、作家活動が本業と化している片手間警部、組んだ相手
が次々不幸な目に遭う通称「死神」などなど、くせの強いメンバーばかり。カペスタンは20年前
に起きたフェリー船員殺人事件と、8年前の強盗殺人に目をつけ、捜査を始めるが……。

内容(「BOOK」データベースより)
六カ月の停職から復帰したパリ警視庁警視正のアンヌ・カペスタンは、新結成された特別捜査班
を率いることを命じられる。しかし、あてがわれたオフィスは古いビルの一角。集められたメンバー
は、売れっ子警察小説家(兼警部)、大酒飲み、組んだ相手が次々事故に遭う不運の持ち主など、警
視庁の厄介者ばかり。アンヌは彼らとともに、二十年前と八年前に起きたふたつの未解決殺人事件
の捜査を始めるが、落ちこぼれ刑事たちの仕事ぶりはいかに…「フランスの『特捜部Q』」と評され
るコミカル・サスペンス、開幕!

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

普段フランスのミステリは余り読まないのですが、今回は珍しくブックリエさんのお薦めに従って
読んでみようかと図書館に予約を入れて待つこと約3か月。
ようやく順番が回って来て読む事が出来ました。
事前に面白かったとの情報も頂いたので、楽しみにしていましたよ。

他情報では、フランス版特捜部Qだとの声が多かったのですが、ワタクシは”特捜部Q”は観ていなかっ
たし、原作も読んでいないので比較する事は出来ません。
しかし、個人的には フランス版『ニュー・トリックス』だと感じました。
『ニュー・トリックス』では、ボスが女性警視、メンバーは退職したロートル元警官という設定でし
たが、この小説では、ボスが女性警視である事は同じでも、メンバーが現職ではあるものの組織の厄
介者、はみ出し者の寄せ集め・・・という違いはありますが。

メンバーのキャラクターが非常に濃いです。
特別版のボスはアンヌ・カぺスタン(パリ司法警察警視正。問題を起こし6ケ月の停職処分中であった。
ビュロン:パリ司法警察局長でカぺスタンの上司
そのビュロンによって特別に結成された特別捜査班のメンバーは、
ルイ=バプティスト・ルブルトン(警視):ゲイでパートナーを亡くしたばかり
ジョゼ・トレズ(警部補):組んだ相棒が次々不幸に見舞われる通称「死神」
エヴァ・ロジェール(警部):作家として名を成したが兼業で勤務する大金持ち
その他、ギャンブル狂、アルコール依存症、スピード狂、サイバーオタク、元交渉人等はみ出し者、
厄介者たちばかり。 それに、ロジェールの愛犬ピロット(ピル―)が加わります。

個性豊かなメンバーがそれぞれの特技を生かして、20年前に起きたフェリーの船員殺人と8年前に起
きた老女強盗殺人事件の捜査を始める事になります。

物語は、2012年(現在)の彼等の捜査状況の中、折々に1919年のフロリダ、キー・ウェストの出来
事が織り込まれていますので、これが ”キー” になるだろう(洒落か?)と思われます。

そして、嫌々始めたそれそれのメンバーが次第にその特技を生かし、捜査にのめり込んで生き生き
と動き出す過程の会話や、物置小屋の様なオフィスをそれぞれの個性に合わせてリノベートしてい
くた過程、そして次第にチームとして結束していく様子は目が離せません。
(お金に糸目をつけないロジェールがシャンデリア迄持ち込む始末)

各自それぞれが心の中に持つ過去や抱え込んだ悩みがチームの仲間と行動する事により少しずつ生き
る自信を取り戻していく様子、次第にアットホームな雰囲気の中で仲間とも打ち解け合っていく様子
はユーモラスな会話と共に心にしみてきます。

そして、チームの働きにより、2つの事件は思いもよらぬ展開で1つに結びき思いもよらぬ終結を
迎えます。

フランスらしいというのか、それぞれの会話がユーモア、ウィットに満ち溢れているのも楽しい
所だし、ロジェールの愛犬がなかなかの存在感で活躍するのも微笑ましい所。

兎に角、ミステリでありながら、メンバーの人生や過去にも心を寄せた人間ドラマの物語でもあ
る様な気がしました。
後味もなかなかよろしかったですね。

ところで、個人的にはビュロンのたぬきオヤジ振りが好きですね。

続編にあたる新作2編が既に刊行されているとの事ですので、翻訳が待たれます。
愛すべきチームメンバーでの新作が楽しみです。