The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

Turkish Airlines : ”THE JOURNEY” リドリー・スコット監督によるショート・フィルム

2019-02-26 | 猫その他雑記
Turkish Airlines : ”The Journey”


数々の名作を手掛けた世界的に著名な監督であるリドリー・スコット氏が制作を担当したターキッ
シュ・エアラインの新CM ”The Journey” の放映が開始されました。

”The Journey”『ザ・ジャーニー』は、ターキッシュ・エアラインが初めて就航してから85周年を記
念すると同時に 2018年10月オープンした新空港を世界に紹介する事を目的とした約6分のショート・
フィルムです。
 
このショート・フィルムに出演しているのは 『ブレードランナー2049』のシルヴィア・フークスです。
謎の女性を尾行する任務を負ったスパイ(?)或は探偵(?)。







作品はサスペンス色のある追跡ドラマ仕立てになっている様で、作品中にはターキッシュ・エアライン
の機内をはじめ、新空港、チュラ―ン・パレス、地下宮殿、ボスポラス海峡、ガラタ橋、その他イスタ
ンブールの名所が紹介されていますね。
イスタンブールにオマージュを捧げる作品と言われ、各所とても印象的な映像となっているので是非ご
覧頂きたいと思います。

↓ こちらから
https://youtu.be/C5CbPzfzhnw

”The Journey”は2月3日に米国で開催されたNFLの「スーパーボウル」で30秒間のCM上映され、又ショート・
フィルムは同社のYou Tubeチャンネルで同時配信されたとの事。

いや~、何とも懐かしいです。
ターキッシュ・エアラインが日本との直行便を就航したのが1989年。
初めてトルコに行ったのはその前ですから、大昔!! 南回りでトランジットと何度かのストップオー
バーを繰り返しながら20時間以上掛けての長旅でしたっけ。 
勿論北回りでヨーロッパ経由という方法もあったのですが、なにしろ当時は予算の関係で・・・(泣)

その後、直行便に乗った時は、何と楽になった事か(と言っても13時間位掛かりますけど)。
初めて訪れて以来 何度か訪れる度にイスタンブールの開発は目を見張るばかりで、行くたびに
道路、建物がどんどん新しくなっているのには驚いたもんです。

そして、又空港も新しくなった訳ですね。
新空港は以前の ”アタチュルク空港” から場所を移して ”イスタンブール空港” として3月にフルオープン。
最終的に全面的に完成するのは2028年と言われ、その規模は世界最大級になるとか。
素晴らしい空港になったもんです。


新空港の場所は下記地図を参照下さい(wikipediaから)

以前のアタチュルク空港は画像下(マルマラ海方向)、新イスタンブール空港は画像上(黒海方向)

因みに、ワタクシはトルコ政観やターキッシュ・エアラインの広報でも回しモンでもありませんよ。
ただ、トルコ大好きなだけなので念のため(笑)




『エージェント・オブ・シールド』S5放送開始

2019-02-24 | 海外ドラマ
”Agents of S.H.I.E.L.D” : S5

2013年S1放送開始~

ようやく、ようやくですが、『エージェント・オブ・シールド』のシーズン5が放送開始になります。
(某他局では既に放送済ですが・・・)


Dlifeにて3月9日(土)21:00~

今回は字幕版も3月15日から放送開始です。(嬉しいです!)
全22エピソード(1話のみパート1&パート2の構成)

そして、S5 の放送を機に2月25日(月)からS4の字幕版も再放送になるとの事。
何時も吹き替え版だったので これは嬉しいですね!

↓ Dlifeの公式ページはこちら
https://dlife.disney.co.jp/program/drama/agentsofshield_s5.html



以前書きましたが、シーズン5は『エージェント・オブ・シールド』にとって記念すべきシーズンで
第6話はコールソンさんを演じているクラーク・グレッグが初監督を務めているし、第12話が通算
100話達成というこれまた記念すべきエピソードになっています。 何が起こるんでしょうね。


又、S5から新キャラクターも登場となる様で、
ディーク(ジェフ・ワード)、テス(イブ・ハーロウ)、グリル(プルイット・テイラー・ヴィンス)、
フリント(コイ・スチュワート)等がキャスティングされています。

そして、S5からはマーベル色が色濃く描かれているとも言われています。

↓ S5の予告編はこちらです
https://youtu.be/YQJKgtAktLQ



尚、S6(13エピソード)も既にABC TVにて2019年5月に放送開始されましたし、何と、S7もS6と同じ
13エピソード構成で製作発表され、2019年2月撮影開始(?)と発表されました。
凄いですねッ!

又、3月公開予定の『キャプテン・マーベル』にもコールソンさん久し振りにスクリーン登場していま
すし(こちらに書きました)、コールソンさんファンにとっては嬉しい限りです。








『カササギ殺人事件』 アンソニー・ホロヴィッツ著

2019-02-20 |  ∟カササギ殺人事件 /ヨルガオ殺人事件
”Magpie Murders”

『カササギ殺人事件』上&下 創元推理文庫 2018/9/28
アンソニー・ホロヴィッツ(著)、山田 蘭(翻訳)

『内容紹介』より 
現代ミステリの最高峰が贈る、すべてのミステリファンへの最高のプレゼント!

1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段
の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは……。その死は小
さな村の人々へ徐々に波紋を広げていく。燃やされた肖像画、消えた毒薬、謎の訪問者、そ
して第二の死。病を抱えた名探偵アティカス・ピュントの推理は――。現代ミステリのトップ・
ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なオマージュ作品!

この作品は、≪年末ミステリランキング、史上初!の全制覇第1位≫
となっており、「#このミステリがすごい!」、「#週刊文春ミステリーベスト10」、「#2019
本格ミステリベスト10」、「#このミステリが読みたい!」での制覇だそうです。

へそ曲りなワタクシとしては、このキャッチに釣られた訳ではなく、あくまでも”アンソニー・
ホロヴィッツ”だからという事で手に取りました。

アンソニー・ホロヴィッツは、過去に”コナン・ドイル財団公認”として「絹の家」と「モリアー
ティー」の両作品を出版していましたし、又TVドラマ「名探偵ポアロ」や「刑事フォイル」の脚
本でお馴染みです。 そんなアンソニホロヴィッツによるアガサ・クリスティーへのオマージュ
作品です。

この作品は、2層構造になっていて、1つは女性編集者のスーザン・ライランドが探偵役となる物
語り、もう1つは作家アラン・コンウェイの作中の名探偵アティカス・ピュントが手掛ける殺人事件。
この二つが絡みあうところが作品の要になっています。

上巻ではスーザンが世界的なベストセラーとなったアラン・コンウェイの”アティカス・ピュント
シリーズ”の9作目である最新作「カササギ殺人事件」を読み始める場面から始まります。
「カササギ殺人事件」は1950年代の英国を舞台に ある小さな村で起こった家政婦の不審な死を
巡って 余命3ケ月という名探偵アティカス・ピュントが捜査に乗り出す事件を扱っています。
この部分は冒頭からアガサ・クリスティーの世界そのままで、個人的には「殺人は容易だ」を思い
起こしました。
アガサ・クリスティーが度々題材に取り入れていたマザー・グースの”カササギ”が取り入れられて
いる事からも良く分かります。
正に黄金期の古典的ミステリ感に満ちた描き方になっていて アガサ・クリスティーへのオマー
ジュ満載です。
上巻はピュントが「犯人は分った」という部分で終わっています。

ところが、この作品の原稿を送って来たアラン・コンウェイ自身が謎の死を遂げ、原稿の最終部分
が失われていたのです。

そんな経緯で、下巻ではスーザンが素人探偵役となって「カササギ殺人事件」の内容を追いながら、
作品中で明かされなかった謎とアラン・コンウェイの死の謎を追っていく現代パートになります。

アランが抱えていた複雑な葛藤を追って行くうちに、「カササギ殺人事件」との絡み合い、アラン
が仕組んだ言葉遊びやアナグラムを解き進める事になります。

「カササギ殺人事件」の中で、登場人物の名前が全て鳥の名前であったり、地名等もあちこちか
らの寄せ集めであったり、言葉遊びやアナグラムを使った名前であったり安易な手法をとってい
る点にスーザンは「登場人物の名前付けは作品にとって重要」と否定的な感想を持っています。
最も有名な例として
”コナン・ドイルが考え直さず シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンでなくシェリン
フォード・ホームズとオーモンド・サッカーの名前のままであったら はたしてこの2人は世界
中でこんなにも成功を収める事ができただろうか” と。 (ここ嬉しいいところ)

又、アティカス・ピュントの相棒の名前ジェイムズ・フレイザー。 最初にこの名前を見た時に
私はTVドラマの「名探偵ポアロ」でヘイスティングス大尉を演じていたヒュー・フレイザーから
拝借したのでは?いや、余りに深読みしすぎかしら?と思っていたら 案の定(笑)下巻でこの
点も判明。アランが住んでいる屋敷の名前が”アビー荘園”(これはそのまま正典のタイトルから)
そんなこんなで、あちらこちらにアガサ・クリスティー作品やらシャーロック・ホームズ正典か
らの引用が散りばめられているのも楽しいところ。

そして最終的にスーザンが解明したアランが仕掛けたアナグラム。
これは原文がどうなっていたのか非常に気になるところで、日本語訳にしてアナグラムを作るの
は訳者が大変だったろうなぁ。と感心しています。 全体の翻訳もすっきりしていて読みやすい
と感じます。 アナグラムの部分が気になり原文で読んでみたいと思いつつ、近頃の脳の弱り具
合ではなかなか難しかろうと(泣)。

又、ストーリー自体以外にも、実在の作家名(イアン・マキューアン、カズオ・イシグロ その他)
が何度も登場し、アガサ・クリスティーの孫であるマシュー・プリチャード迄登場してスーザンと
対話する場面もあります。

そして、英国ドラマ好きには応えられないのですが、放送されていた新旧英国ドラマのタイトルが
数多く出てきますね。 アンソニー・ホロヴィッツが手掛けた「バーナビー警部」をはじめ、これ
でもかという程書かれていたり、・・・。 もう嬉しいのです。
それにしても 「刑事ナントカ」とか「ナントカ警部」というタイトルの多い事か。 この点は以
前拙記事にも書いた事があるのですが、ですが、そのほとんどを観た事がある 或は現在も観てい
る私も相当なモンで(冷汗)
特に「バーナビー警部」に関しては、スーザンの上司であるチャールズ・クローバーの言葉の中で
「カササギ殺人事件」”Mugpie Murders” というタイトルが「バーナビー警部」”Midsomer Murders"
に似すぎている・・・いう下りがありますが、両方”M”で始まるだけじゃ?なんて余計な事を感じ
たりもしますが。

後書きにもある様に、ダブルフーダニットを楽しみながら、古典的ミステリと現代的な探偵物語を
楽しめる”1粒で2度美味しい”どころか3度、4度位美味しい。各方面からの称賛の声も真実であった
事を感じさせられます。

兎に角、期待通り面白い作品でありました。
流石、アンソニー・ホロヴィッツです。

因みに、アンソニー・ホロヴィッツの作品については過去に拙記事書きましたので、よろしかったら
ご覧下さい。

 シャロック・ホームズ 「絹の家」 感想
 アンソニー・ホロヴィッツ著 『モリアーティー』 読みました







『ニュー・トリックス~退職デカの事件簿~』S4:AXNミステリー初放送

2019-02-12 | 海外ドラマ
”New Tricks”

英BBC制作 2003年~2015年 全12シーズン

AXNミステリーでは何度も再放送あったにもかかわらずS3迄で、それ以降の放送はどうなって
いるんだろう?
と思っていた所、ようやくS4の放送が始まる様です。

3月10日(日)8:00pm~ 8エピソード一挙放送 だそうです。

その前に、2月21日(木)11:00から
S1~S3の再放送も予定されています。

↓ AXNミステリー公式ページはこちら
https://www.mystery.co.jp/programs/newtricks

AXNミステリーでは一応”チャンネル初放送”と告知されているのですが、チャンネル銀河では既
にS12 迄放送済だった様な?
一応S6迄(多分)は観た記憶があるのですが、それ以降は何故か観ていなかったと思うのです。

そんな訳で、S4を再び観る前に、S3を久し振りに再試聴してオサライをしました。

このドラマは大好きでして、これまでも何度か拙ブログでも触れてた事がありますが、この際少し
だけ復習をしておきましょう。

オリジナルメンバーは、

ロンドン警視庁警視サンドラ・プルマン : アマンダ・レッドマン
ジャック・ハルフォード : ジェームズ・ボラン


ブライアン・レイン : アラン・アームストロング
ジェリー・スタンディング : デニス・ウォーターマン

ロンドン警視庁に未解決事件捜査の部署ユーコス(UCOS=Unsolved Crime and Open Case
Squad)が新設される事となり、警視のサンドラ・プルマンがこの部署を任されることに。
チームのメンバーとして選ばれたのは退職した元刑事達。
それぞれ一癖も二癖もある個性的なメンバーはそれぞれの持ち味と現職時の経験を生かし、次々
と未解決の難事件を解決していく・・・・。というのが大まかな流れです。

個性的で暴走しかねないオヤジ達の手綱を握るサンドラも大変です。
各メンバーもそれぞれ私生活に悩みや問題を抱えながら 体力は衰えたものの昔取った杵柄を
生かして仕事に励むのです。

兎に角、彼らの会話が楽しく、マッタリ感もありながら、しっかりとしたクライムドラマにも
なっています。

ところで、以前は知らなかったオヤジ達の現役時代の階級が出ていました。
それによれば、
ブライアンは ”Detective Inspector” (警部補)
ジャックは ”Detective Chief Superintendent”(警視正)
ジェリーは ”Detective Sergeant”(巡査部長)
となっていました。
現役時代は大分階級の差があったんだ。 ジャック偉かったんだ!とちょっとビックリしましたわ。

それぞれのさり気ない気遣い、優しさを見せるチームの適度な距離感が何とも言えず心地よいのです。

S3では、ブライアンが大切にしていた老犬に死なれ悲しみに暮れている時に、サンドラがブライアン
に忌引きを与えたり、その老犬のお葬式にメンバーが揃って参列したり。
又、サンドラが昇進試験を受けUCOSを離れるのではないかと邪推したオヤジ達がイジケたり、やさぐ
れたリ・・・(子供←(笑) 
兎に角、4人のチームワークと心癒される様な会話、同時にミステリードラマとしても英国ドラマら
しい雰囲気に溢れていると感じます。

S3も観直してみてやっぱり忘れている事や気付かなかった事が多いんですね。
例えば、
E8には、「ルイス警部」のケヴィン・ウェイトリーが出演していました。(ヒゲ+悪役)
又E7には同じく「ルイス警部」でホブソン役のクレア・ホルマンも出演していましたね。
その他、多くの著名俳優がゲスト出演している点も見どころです。

そして、毎回繰返しますが、
ジェリー・スタンディングを演じているデニス・ウォーターマンによるテーマソング ”It's Alright”
がこのドラマを表現しています。
歌詞も以前書きましたが、再び(ひつこい!)

It's alright, It's OK,
Doesn't really matter if you're old and gray
It's alright, I say It's OK
Listen to what I say

It's alright, doing fine,
Doesn't really matter if the sun don't shine,
It's alright, it's OK
We're getting to the end of the day

High tech, low tech, take your pick
'Cause you can't teach an old dog a brand new tricks
I don't care what anybody says
At the end of the day

There's a place that I can't find
A drink or two to ease my mind
Golden days

It's alright, take your time,
Everybody thinks that you're past your prime
It's alright, It's OK
Still got plenty to say

大丈夫、気にするな
オヤジで白髪頭だって構やしない
俺の言う事を聞け

大丈夫、上手くいってるさ
お日様が照らなくたって構やしない
人生の黄昏時なんだ

ハイテク、ローテク、何でも好きにやれよ
「老犬に新しい技は教えられない」って言うだろう
人が何と言ったって構やしない、俺の人生だ

行き場所に迷ったら
1杯や2杯飲んだって良いだろう
人生絶頂期だ

のんびり行こうぜ
誰もが良いときは過ぎ去ったというけど 構わないさ
まだまだ言いたい事は山ほどあるんだ
(凄く大雑把な いい加減訳ですが・・・・・)

↓ こちらで聞いてみて下さい
https://youtu.be/LNF79iI7G8g

S3のラストでは、ジャックの亡くなった奥さんに関してちょっとしたクリフハンガーの様な終わり方
をしています。

S9位から次第にメンバーが変更になって来ています。
個人的にはオリジナルメンバーでの作品が好きなので残念ですが。








アガサ・クリスティー原作 『ねじれた家』 日本公開情報

2019-02-08 | アガサ・クリスティ
”The Crooked House”

2017年公開
Sony Pictures
配給:KADOKAWA

アガサ・クリスティーが自ら”最高傑作”と語った 『ねじれた家』(1949年発表) が70年の歳月
を経て2017年初の映画化され、日本初公開となります。
2019年4月19日(金)から

原題の”Crooked House”は作品中にも引用されているマザー・グースの童謡”There was a crooked
man”(ねじれた男がおりました)の最終節の歌詞 ”in a little crooked house”に由来する。
(Wikipediaから)

無一文から巨万の富を築いた大富豪の毒殺事件を巡り、容疑者となった”心のねじれた”一族が巻き
起こす人間模様を描くミステリー。
英国上流階級の生活、衣装、背景、インテリア等の見所も多い様ですね。

この作品のキャストは、

監督:ジル・パケ=ブレネール
脚本:ジュリアン・フェロウズ(『ダウントン・アビー』等)他
出演:
エディス・デ・ハヴィランド : グレン・クローズ
チャールズ・ヘイワード : マックス・アイアンズ
ブレンダ・レオニデス : クリシティーナ・ヘンドリックス
ソフィア・レオニデス : ステファニー・マルティニ
タヴァナー主任警部 : テレンス・スタンプ
マグダ・レオニデス : ジリアン・アンダーソン
クレメンシー・レオニデス : アマンダ・アビントン











↑ アマンダも出ています← サラッと流す。そっけないかしら?

テレンス・スタンプをはじめ、グレン・ローズ、ジリアン・アンダーソン、マックス・アイアンズ等々
とても贅沢な配役です。
因みに、テレンス・スタンプの姿を見たのは随分久し振りなのですが、すっかり落ち着いた老紳士に
なってますね。

何度も言い訳をしていますが、アガサ・クリスティーの作品は殆ど全部読んだのですが、何しろ大昔の
事とて、詳細を忘れている作品が多く、この作品もその一つです。 
なので、これを機会に又読み直してみる事にしようと思っているところです。

この数年アガサ・クリスティー作品が次々と映像化されています。
サラ・フェルプスが手掛けたBBC版のドラマ(『そして誰もいなくなった』、『検察側の証人』、『無実
はさいなむ』)が既に放送されていまして全部観ましたが、3作共にサラ・フェルプスの独自の解釈で原
作とは異なる描き方がされていました。
特に、『無実はさいなむ』はビックリでしたねぇ。
すべての登場人物のキャラクターの描き方が原作とは異なり、しかもドロドロ感が強く、挙句の果ては
犯人も原作とは違っています。 原作を読まずに観れば あれでれはあれで・・・という感じ方もある
かと思いますが、個人的には原作の方が好きでした。

次の作品である『ABC殺人事件』”The ABC Murders” は日本放送は未定ですが、これも気になるところ
です。 (情報はこちらに書きました)

映画版『ねじれた家』はどの様に描かれているのでしょうか?
是非観たい作品です。

↓ 日本語版予告編はこちら
https://youtu.be/V4_lEXb1K7w


原作翻訳本
「ねじれた家」(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) : 2004/6/14

アガサ・クリスティー(著)、田村 隆一(翻訳)

DVD(PAL版)

£5.99(現在価格、subject to change)





『女郎蜘蛛』パトリック・クウェンティン著

2019-02-04 | ブックレヴュー&情報
『女郎蜘蛛』創元推理文庫 2014/5/22

”Black Widow” (1952年刊)
パトリック・クウェンティン(著)、白須 清美(翻訳)

内容紹介
ふと知り合った脚本家志望の娘がピーターのアパートメントで首を吊っていた。不貞を疑われ、つ
いには殺人の容疑者になって人生最大の危機に陥るピーター。パズルシリーズ続編。

内容(「BOOK」データベースより)
愛妻アイリスが母親に付き添ってジャマイカへ発った日、ピーター・ダルースはナニー・オードウェ
イと知り合った。パーティーで所在なげにしていた二十歳の娘は作家修業中だという。ピーターは父
親めいた親切心を発揮して執筆の便宜を図ってやる。やがて待ちに待ったアイリスの帰国、喜び勇ん
で迎えに行くピーターは、とてつもない災難に見舞われることを知る由もないのだった…。


何の前情報も持たず、何気なく手に取った作品ですのでパトリック・クウェンティン初読みです。
そんな訳で後書きを読んで初めて知ったのですが、
パトリック・クウェンティンとはリチャード・ウィルスン・ウェッブとヒュー・キャリンガム・ウィー
ラーの共作ペンネームである。
又、この作品の登場人物であるピーターとアイリスが活躍するシリーズの8作目にあたり、しかも最終
作品だとの事。
あれ~シリーズ最終作から読んじゃいましたわ。
そして、この作品は1962年に翻訳刊行されていたものの新訳本になるそうです。

主な登場人物は、
演劇プロデューサーであるピーター・ダルース
ピーターの妻で女優のアイリス・ダルース
作家志望のナニー・オードウェイ
ピーター夫妻の上階に住む女優ロッティー・マローン
ロッティーの夫 ブライアン・マレン
殺人課の警部補 トラント
その他

因みに、
原題は”Black Widow”で、これは「黒後家蜘蛛」、日本語タイトルの「女郎蜘蛛」は英語で”Silk
Spider”或は”Garden web spider”なので、微妙に異なるんですが、本作の内容には「女郎蜘蛛」
のイメージが合っている様に感じました。

愛妻のアイリスが母親の病後静養に付き添いジャマイカに旅行で留守中。 ロッティーのパー
ティーで作家志望の若い女性ナニー・オードウェイに出会ったピーター。 
美人でも魅力的でもないナニーだが恵まれない状況の中で健気に夢を追っている姿に同情心を
憶えたピーターは食事に誘ったり、挙句の果てに 執筆に専念出来る様にと自分が留守の間部屋
を使ってよいと鍵を貸す事に。
アイリスが留守のピーターを心配し何かと世話を焼きたがる小うるさいロッティー、そしてその
ロッティーの小間使いの様な若い夫ブライアン。

2週間後、待ちに待っていたアイリスが帰国することになり、空港に迎えに行ったピーターがアイ
リスと自宅に戻ると、寝室のシャンデリアに首を括って死んでいるナニーを発見する事になる。
彼女を自殺に追い込んだのではないかとスキャンダルに巻き込まれるピーター、又妻のアイリスも
ピーターへの愛情と疑念の間で翻弄される。

やがて、警察の調べでナニーが妊娠していた事も判明し、他の色々な手がかりから 他殺の可能
性もありと、ピーターは警察からも疑われることに。

蜘蛛の巣に取り込まれた餌の様にもがけばもがく程窮地に追い込まれ、次第に状況が悪化する中、
自身で真相解明に奔走するピーター。
そんな中、次第にナニーの実像が浮かび上がってくる。

登場人物も多くなく、女性陣のキャラクターがそれぞれ濃い、そして、あまり表立って活躍して
いない様にも見えるトラント警部補もミステリアスな雰囲気を出している。

途中、犯人の見当は付いてしまうが、終盤畳みかける様な展開、二転三転して最後に明らかにな
る真相。

ナニーの人物描写の鮮やかさ、サスペンスに富む展開等60年以上前の作品とは言え少しも古臭
さを感じさせません。
そして、各シーンが鮮やかに目に浮かぶ様な描写は 映像化されればより素晴らしいい作品に
なるのではないかと感じさせられます。
何となくヒッチコックの映画を思い浮かべました。

これを機会に遡って他作品も読んでみようと思っているところです。

因みに、
表紙はロッティーのパーティーのシーン。
赤いドレスを着て1人窓際に座る女性がナニーですね。